小学校でのプログラミング教育必修化。学校教育は何がどう変わるの?

近年よく耳にするワード、『プログラミング』。習い事の一つとしても大変人気が高まっていますが、言葉の知名度とは裏腹にどういうことを学ぶのかは明確ではない保護者の方も多いのではないでしょうか。

 

今回は、小学校でプログラミング教育が必修化に至った背景や実際の学習内容、プログラミング学習によって子ども達への教育がどう変わるのかについて詳しくご紹介していきます。ぜひご参考にしてくださいね。

 

なぜ必修化?小学校プログラミング教育における学習の概念

 

 

小学校でプログラミング教育を必修化とする背景

 

小学生の子を持つ親たちの素朴な疑問。それは、

 

“そもそもプログラミングって何?”

“プログラミングによって何が学べるの?”

“プログラミング学習によって子どもたちにどういう変化があるの?”

なぜ小学校でプログラミング教育が必修化になるの?”

 

等ではないでしょうか。

 

現在小学生の子ども達は、一昔前では考えられなかったAIの新技術が当たり前に生活の一部として身近にある世代です。この子達が大人になる頃には、我々の想像も及ばない世界が待っていることは安易に予想できます。

 

日々進化するデジタル社会でどんな教育が子ども達にとって望ましいのかを検討するにあたり、有識者会議での議論の取りまとめを経て、中央教育審議会において学習指導要領改訂に向けた議論が行われました。 

 

そこで、現代の子ども達が成長し自立するうえで、

 

・パソコンやスマートフォン・タブレットなどの情報を積極的に活用し情報技術力を手段として活用する力

 

プログラミング的な論理的思考力や創造性、失敗を繰り返しながら問題解決をする能力の育成

 

が必要という結論に至ったということです。

 

実際に提示された小学校の新学習指導要領では、次の2つの学習活動が定められています。

 

ア. 児童がコンピュータで文字を入力するなどの学習の基盤として必要となる情報手段の基本的な操作を習得するための学習活動

 

イ. 児童がプログラミングを体験しながら、コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動

 

参考URL

http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/05/21/1416331_001.pdf

 

もう少し簡単に言うならば、

 

ア. 日常的にパソコンを使用するために必要なタイピングなど、コンピュータの基本的な操作・活用スキル

イ. コンピュータはどうすると動くのかという論理的な思考力を身につけること

 

という事になります。

 

コンピュータを上手に活用すること、またその過程を通し課題を解決する能力を育むという教育の狙いがあるのです。

 

プログラミング的思考力の具体的な例

 

コンピュータは人の命令や指示によって作動します。この命令を与えることこそがプログラミングになります。プログラミングを体験しながら、

 

「自分が意図している一連の活動を実現するためには、

どの様な動きを組み合わせ、処理させるにはどうしたら良いか、

どの様に改善すればより良い活動に繋がるのか」

 

という論理的思考を養うのがプログラミング学習の主な目的です。

 

子ども達はいずれ社会に出ます。この様な思考力は、仕事上や日々の問題解決に活用するために必要な能力とされています。解決に困難な場合や複雑な問題であっても、問題の本質を見抜き、適切に処理できる力を培うための教育なのです。プログラミング的思考を学ぶことは、生きていく上での総合的な人間力を養う過程と言っても良いでしょう。

 

プログラミング教育に対する勘違い

 

それでは、小学校でプログラミングを学ぶことによって何を身に着けることができるのでしょう。

 

“親の知識を超えた特殊な技術の習得?”

“プログラミング言語やコーディングを学ぶの?”

“将来プログラマーになるための学習?”

 

プログラミングという高度な技術を駆使するイメージから様々な憶測が飛び交いますが、小学校におけるプログラミング教育は、直接的に特殊なIT言語や高度なWebスキルを学ぶということではありません。小学校におけるプログラミング授業では、あくまでも前述の基礎的なパソコンスキルや思考的学習が主な教育内容となりますが、現代の子ども達が将来いかなる職業に就くとしても、日々進化するIT社会に適応すべく基礎知識を培うことには間違ありません。

 

小学校でのプログラミング必修化における学習・指導内容

プログラミングの学習内容・指導例

 

2020年度から実際にどのようなプログラミングの授業が行われるのでしょうか。

授業内において、算数や国語の様にプログラミングという科目が増えるわけではありません。その教科ごとにおけるプログラミング要素に焦点を置き、それに沿った視点で授業内容を掘り下げていくという指導内容になります。

 

例えば、5年生の算数では、正多角形の意味を理解し、パソコンでその正多角形を描く過程を学習します。また、6年生の理科では、人を感知して電気がつくセンサーの仕組みについてプログラミングを通して学習します。3年生以上の音楽においては、様々なリズムやパターンを組み合わせた楽曲の作成を学年に応じた内容で行います。

 

こういった実例を見ると、あらゆる学習においてプログラミングを学ぶ要素、そしてプログラミング的思考で普段の授業を受けるということは、なかなか興味深い指導内容だと感じますね。

 

授業だけじゃない!様々なプログラミング学習内容・指導例

 

学校の授業以外でも、プログラミング教育を機会はたくさんあります。

 

徳島県の神山町は古くから人形浄瑠璃が盛んな農村地区ですが、サテライトオフィスのエンジニア人材が多く定住する地域でもあります。そんなエンジニアの事業者により、地元の小学生に人形浄瑠璃を動かすプログラミングを体験してもらう取り組みが行われました。

 

子ども達が自らプログラミングを構築し、人形浄瑠璃を動かす体験をすることで普段は馴染みのない伝統芸能を身近に感じ、継承していく目的があります。またこのような取り組みは地域のIT系人材の活躍の場となり、町全体の活性化にも繋がる活動となります。

 

参考URL

https://miraino-manabi.jp/content/190

 

プログラミングは誰がどうやって指導するの?指導環境の整備 

 

それでは、実際のプログラミング授業は誰がどのように指導していくのでしょうか。

 

普段の科目の単元をプログラミング的視点で授業を進めるにあたり、主な指導者はクラス担任となる場合が多いでしょう。環境の整備については、現役教師への指導や生徒数に対するパソコン・タブレットの確保、デバイスや無線LANの設置など、現実的な課題も多く見られます。また学校によって指導内容が異なり、教育のクオリティーの差が出ることも懸念されています。先行してプログラミング教育を既に導入している学校では、ICT支援員やボランティアを依頼し、専門的知識のある指導者によって指導が行われている事例も報告されています。

 

プログラミング必修化における中学・高校の学習内容、大学入試への影響

中学校では2021年より技術・家庭科授業にプログラミング導入

 

小学校では思考力を育むのが大きな目的であるプログラミング学習ですが、中学校においてはより技術的な内容にも触れていきます。

 

教科書によって学習内容は異なりますが、既存のプレゼンテーションやアニメーションを作成するソフトでの学習の他、実際にコーディングを習得したり、情報セキュリティーを学びながらチャット画面やWebページを作成したりするなど、ネットワークを活用した授業内容になります。

 

高校では選択制だったプログラミングが2022年には全員が必修に

 

 現行では、高校でのプログラミング授業は選択制とされ、大半の生徒はプログラミングに触れていない環境でした。2022年からは全員が必修科目である「情報Ⅰ」にプログラミングの内容が追加され、選択制の「情報Ⅱ」により更なる知識を深めていく環境となります。「情報Ⅱ」は、人工知能を活用したデータ分析、データサイエンスやソフトウエアの開発、VRなどを盛り込んだ内容となり、より高度な学習内容になります。

 

プログラミング教育がもたらす大学受験への影響

 

教育課程での必修化で、これからの子ども達は小・中・高と10年以上に渡りプログラミングを学ぶことになります。大学入試改革が大幅に進む中、大学入学共通テストでは、思考力や判断力、個人の表現力が重要視されます。実際に、慶応大学や明治大学、国立大学の情報学部を中心に、入試科目として「情報」が採用される学校が増加傾向にあります。今後の大学受験において、プログラミング教育の延長線にある「情報」は、国語・数学・英語と同様に、文系・理系かかわらず必須科目となっていきます。

 

まとめ

 

2020年より小学校で必修化となるプログラミング学習についてご紹介して参りました。新しい成長戦略である未来投資会議にて議長を務める安倍首相は、「AIやビッグデータなどのIT、情報処理の素養はこれからの時代の『読み書きそろばん』」だと発言しています。プログラミング学習の導入に向けて、教師への指導や環境の整備など課題も多く見られますが、子ども達が楽しみながらこれからのIT社会に適応できる能力を伸ばす環境が少しでも早く整うことを願います。