小学校でのプログラミング教育。その内容と、家庭でできる準備

小学校でプログラミング教育が必修化される話題を耳にしたことがある人は多いはずです。ところが、その内容はどうなっているのでしょうか?なぜ小学校でプログラミング教育を行う必要があり、どんな力が身につくのでしょうか?まだ理解が進んでいない部分も多くあります。そこで今回は、小学校で行われるプログラミング教育の内容と、家庭でできる準備について紹介します。

 小学校で行われるプログラミング教育の内容で身につく力とは?

どうして小学校でプログラミング教育をするの?

小学校でプログラミング教育が必修化される背景には大きく二つの理由があります。一つ目は「国際的な競争力の強化」そして二つ目が「IT人材の不足」です。特にIT人材の不足は深刻であると言われており、経済産業省の調査では2030年に59万人のIT人材が不足すると予想されています。今後も高まり続けるニーズに対応するために、小学校段階からのプログラミング教育導入が検討されました。

 

プログラミングで身につく力:パソコンの基本的な操作・活用スキル

現在ある職業の中で、IT機器を一切使わないものがいくつあるでしょうか?事務仕事や営業職で基礎的なパソコンスキルが必須であることは言うまでもありませんが、接客業でもポスレジを使用しますし、芸術職でもインターネットを活用した普及活動等を行うことが主流です。

このように、子どもたちが将来仕事をする上で、パソコンの基礎的な操作・活用スキルは必須であると考えられます。小学校からパソコンに触れプログラミングに取り組むことで、基礎的なパソコンスキルを身につけることができます。

 

プログラミングで身につく力:論理的思考力や課題解決力

プログラミングを行うには、得たい結果からその工程を逆算して考えなければなりません。試行錯誤しながら求める結果を生み出すことによって、論理的思考力が身につくでしょう。さらに、うまくいかなかったとき、どこに問題があるのか見極める必要があります。自分が今まで組み上げたプログラムを見返す、問題点を発見する、改善の手段を考える、というプロセスを繰り返すことにより、課題解決力が鍛えられます。 

小学校で行われるプログラミング教育の内容は?

プログラミング教育の必修化とその内容

実は、小学校におけるプログラミング教育の内容について、はっきりと定められたものはありません。文部科学省が発行した「小学校プログラミング教育の手引(第二版)」の中でも、「各学校の創意工夫を生かしたプログラミング教育が展開されることが期待されます。」と書かれています。それぞれの学校の状況や子どもの実態に合わせたプログラミング教育が求められているのです。

さまざまな教科や単元で取り入れられるプログラミング

小学校でのプログラミング教育は、「プログラミング」という一つの教科として扱われるのではなく、「算数」「理科」「総合活動」など既存の教科に組み合わせる形で導入されます。各学校の創意工夫を生かした内容が求められてはいますが、文部科学省がいくつかの例を用意しています。

5年生算数「プログラミングを通して、正多角形の意味を基に正多角形をかく場面」

6年生理科「身の回りには電気の性質や働きを利用した道具があること等をプログラミングを通して学習する場面」

総合的な学習の時間「「情報技術を生かした生産や人の手によるものづくり」を探究課題として学習する場面」

3~6年生音楽「様々なリズム・パターンを組み合わせて音楽をつくることをプログラミングを通して学習する場面」

などです。このように、さまざまな教科や単元でプログラミングを導入する内容となっています。詳しい内容は「小学校プログラミングの手引き(第二版)」に記載されています。 

文部科学省「小学校プログラミング教育の手引(第二版)」
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/11/06/1403162_02_1.pdf

さらに、文部科学省・総務省・経済産業省が共同で作成した、プログラミング教育の実践例や指導案例が紹介されているサイトがあります。主に教員向けの内容ですが、実際にどのようなプログラミング教育を想定しているのかが分かります。

「小学校を中心としたプログラミング教育ポータル」
https://miraino-manabi.jp/

並行して行われるICT環境の整備

小学校でプログラミング教育が行われるに合わせて、ICT環境の整備も進められます。「電子黒板の導入」「一人一台のタブレット端末」と、こちらは普及にはまだ時間が必要だと予想されています。特にタブレット端末については、1人1台の確保が難しいため、まずは「3クラスに1クラス分」を目安に配置し、タブレットが必要となる授業で「1人1台」使える環境作りをめざしています

 小学校のプログラミング教育必修化に備え、内容を踏まえた準備は必要?

増え続ける「プログラミング学習塾」

小学校でプログラミング教育が必修化されることに合わせ、プログラミング学習塾が増加の一途をたどっています。「今後も高まり続けるIT技術者のニーズに応えられる大人になってほしい」「家で教えられないから教室に通わせたい」と思う保護者が多いほか、将来の大学入試を見据えて習わせる親も少なくありません。

文部科学省は、2024年度に実施される「大学入学共通テスト」から、プログラミング教育を基にした「情報Ⅰ」を教科に加える検討を行っています。小学校からプログラミング教育を受けた子どもたちは、中学校・高校でさらに力をつけ、大学入試に必須のスキルになると考えられています。

 

家庭用教材も増加中

家庭でのパソコン・タブレットの普及率に合わせ、プログラミングの家庭用教材も増加しています。タブレット用の無料アプリである「ScratchJr(スクラッチジュニア)」を使用する教材や、冒険ストーリー仕立てで楽しく学べる教材、子どもに人気のゲーム「マインクラフト」をモチーフにした教材など、子ども心をくすぐる工夫がたくさんあります。

小学生向けの教材であるため内容も平易で分かりやすく、親子で一緒に楽しむこともできるでしょう。「プログラミングなんて分からない」と思っている保護者の方も、ぜひ挑戦してください。 

 

「授業に備えて」ではなく、「子どもの将来のために」

小学校で行われるプログラミング教育の内容は難しいものではなく、家庭での準備は特に必要ないでしょう。先生も「初めてプログラミングに触れる子ども」を想定した授業づくりを行います。

ところが、これまで紹介してきたとおり、大学入試でプログラミング教育を踏まえた教科が設置されることや、将来ますますIT技術が必要になっていくことは重視しなければなりません。IT技術者だけがIT技術を学ぶ時代は終わりました。どんな職業をめざす子どもにとっても、パソコン操作スキル、IT技術、プログラミング能力が重要なものとなります

プログラミング学習塾や、家庭用プログラミング教材を検討するときには、「授業に備えて」ではなく「子供の将来のために」役立つものかどうかを判断基準にしましょう。

おわりに

以上、小学校で行われるプログラミング教育の内容と、家庭でできる準備について紹介しました。小学校でのプログラミング教育についてはまだ手さぐり部分が多く、学校の先生も不安を抱いています。実際に授業が始まったときの子どもの反応や、授業の定着度を見ながら、少しずつ軌道修正されることでしょう。

現段階で、特に家庭での準備は必要ありませんが、パソコンやタブレットの操作に慣れ、プログラミングに触れてみることは良い経験になるはずです。