グローバル教育とは?その内容と育みたい力

 

「国際化社会」という言葉が使われるようになってもう長いですが、その波は学校現場にも到達しています。小学校でもグローバル教育に力を入れる学校が増えています。

グローバル教育では一体なにを学ぶのでしょうか?どんなスキルを身につけさせようとしているのでしょうか?今回は、グローバル教育の内容と育みたい力について紹介します。

グローバル教育とは?定義や内容

 

グローバル教育の定義

グローバル教育について、はっきりと定義を設けることは難しいと考えられています。ただ、「グローバル人材」については各場で話し合われ、一定の定義が設けられています。

文部科学省「グローバル人材の育成について」によると、「語学力・コミュニケーション能力」「主体性・積極性、チャレンジ精神、協調性・柔軟性、責任感・使命感」「異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティー」という3つの要素をグローバル人材の主としています。つまり、この3つの要素を満たす人材を育むための教育こそが「グローバル教育」であると言えます。

 

グローバル教育の内容

グローバル教育は読んで字のごとく、「地球規模の問題に取り組み、世界的視野を身につける」ことが目的です。地球規模の問題とは、「環境」「平和」「人権」を始め「多文化」「テクノロジー」「マスメディア」「人種」「ジェンダー」などの問題です。

地球に住むすべての人々が幸せな暮らしを送ることができるよう、そして後世によりよい環境を残すことができるよう、問題点を発見してその解決に挑みます。

また、現在の公教育において、世界的視野が身につくような内容はほとんどないと言ってもいいでしょう。教科書に載っている写真数枚では、世界的視野を育むには不十分です。世界の現状を主体的に調べ、知ることが、世界的視野を育む第一歩となります。

 

グローバル教育の方法

現在教育現場では、従来の「教科書型」から「参加・体験型」への移行が進んでいます。グローバル教育では特に、「参加・体験型」の方法が適切です。グローバル教育を受ける側である子どもたち自身が、自分たちの目で世界を見て、問題を発見し、問題解決のための糸口を探す展開が望ましいからです。

また、参加・体験型の教育を行うことで、グローバル人材に必要とされる「コミュニケーション能力」「主体性・積極性・協調性」などの力も身につけることができます。

 

小学校で行われるグローバル教育の実践例

 

「JICA地球ひろば」では、グローバル教育の実践例が多数公開されています。

 

社会科公民分野でグローバル教育

小学校6年生「世界の未来と日本の役割」では、「世界の平和を守るために大切なことは何か、自分の考えをもつ」ことを目標に、社会科の授業の中でグローバル教育に取り組んでいます。「世界がもし 100 人の村だったら」を導入として使用し、世界の問題を自分に置き換えて考えるきっかけ作りを行っています。また、調べる国や内容を限定しないことで、幅広く世界に目を向けることに成功。最後には児童発表会で自分の考えを伝え、「コミュニケーション能力」や「主体性」を育む機会を設けました。

 

図画科教育からのアプローチ

小学校3年生「ぼくらのせかい-みんなみんな生きているんだ友だちなんだ-」では、国語科と連携したグローバル教育が展開されています。現在の教育課程では授業時数に余裕がないため、なかなか単一教科でしっかりとグローバル教育を行う時間がありません。

そのため、各教科で関連する内容をつなげ、横断的な授業展開が有効です。この単元では国語科の「スーホの白い馬」と図画工作科を関連付けています。モンゴルの文化に触れるだけでなく「凧作り」という日本の伝統文化にも触れ、「異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティー」を育むことに成功しています。

 

総合的な学習の時間でしっかりと時間をかけて

小学校6年生「ともに支え合い、ともに生きる」は、14時間をかけてしっかりとグローバル教育に取り組んでいます。国を「エルサルバトル」に限定することで、より深い学びにつなげていることも大きなポイント。世界について広く浅く調べるのではなく、一つの国や内容について深く掘り下げて考えることもグローバル教育における有効な手段です。

また、エルサルバトルと日本の共通点や相違点を考えたり、日本の伝統文化を伝える方法を考えたりすることで、「世界のどこか遠い国」として終わらせない工夫が理想的です。

  

グローバル教育を通して育みたい3つの力

 

世界的な視野をもち、多様性を受け入れる力

子どもたちが普段生活するのは、日本の、しかも限られた空間だけ。家庭の常識や学校のきまり、友だちとの関係性が、子どもの価値観につながっています。グローバル教育を行うことで、そんな子どもたちの視野を広げることができます。

日本の“ふつう”とは違う生活を送っている人々がいること、世界にはさまざまな文化や芸術があること、そしてそのどれもが大切な暮らしであることを知るでしょう。

そのような異文化に対する理解を深めると共に、世界規模の問題点にも目を向けることになります。自分にできることはなにか、みんなで取り組めることはあるか、ということを考え、さらなる学びの発展へつなげます。

また、世界と比べることで日本の良さに気付くきっかけにもなります。世界に誇れる日本の文化や習慣を知り、それを自分の手で守っていこうと考える子どもも出てきます。日本人としてのアイデンティティーを育むきっかけにもなるでしょう。

 

自ら考え、行動する力

椅子にじっと座っていても勝手に進んでいく通常の教科授業と違い、グローバル教育のような「参加・体験型」の授業は自分で一歩踏み出さなければなりません。普段周りに流されがちな子どもは戸惑いもあるかもしれませんが、自ら考え行動する力はこれからの社会において最も重要視されているポイント。ぜひ身につけたい力です。

個別の調べ学習だけでなくグループ学習も設ければ、協調性や柔軟性も育むことができます。周りの意見を聞いてまとめたり、自分の意見を分かりやすく伝えたり、グループ学習には多くの学びがあります。

 

グローバル教育と切り離せない、英語力問題

せっかくグローバル教育で世界的な視野を身につけても、実際に世界中の人々とコミュニケーションを取るには英語力問題があります。小学校でも必修化される英語教育ですが、実践的な英語力につながるかどうかはまだ議論が多いところ。リーディングよりもリスニング・スピーキングを重視した授業内容になることは間違いないです。

世界で活躍できるグローバル人材を育てるためのグローバル教育ですから、英語教育にも当然力を注がなければなりません。学校任せにするのではなく、家庭でもできる英語教育を検討してみてはいかがでしょうか?

 

おわりに

以上、グローバル教育の内容と育みたい力について紹介しました。

「子育てはずっと日本でするから」「海外留学の予定はないから」と、グローバル教育に消極的な保護者の方もいるかもしれません。ところが、ビジネスで外国人とコミュニケーションが必要になったり、街で外国人観光客の姿を目にしたりする機会がぐんと増えています。日本にいても、英語力を始め、世界的な知識や視野をもつ必要があるのです。

学校現場はもちろん、各家庭でもグローバル教育について考える良い機会にしてください。