小学校のキャリア教育の実践例とこれから

 

小学校のキャリア教育とはどのような内容なの?すでに行っている小学校の実践事例を知りたい!ということで小学校キャリア教育の今とこれからをご紹介します。

小学校で行われるキャリア教育の実践例

 

文部科学省が推進する小学校キャリア教育

小学生から「キャリア」を学ぶと言われても、いまいちピンと来ないですよね。なぜなら私たちがイメージするキャリア=「経歴」の意味と、小学生のキャリア教育の意味とは全く違うからです。

 

文部科学省が推進するキャリア教育は、「社会的・職業的自立に向け、基盤となる能力や態度を育てることを通してキャリア(発達)を促す教育」とされています。つまり子どもたちにとっての自立の発達教育、すなわち「生きる力」なのです。

 

文部科学省は、キャリア教育を幼児期の教育から高等教育まで子どもの発達状況に応じて行うとしています。小学校では、働くことの大切さの理解、興味関心の幅の拡大などが主なポイントです。

 

小学校版キャリア教育の内容

小学校のキャリア教育は特に科目を指定せず様々な内容で行います。時間割の中では特別活動(特活)で行われます。

 

例えば、

1年生 <生活> 「小学校生活への適応を促す」

2年生 <道徳> 「自分の役割を果たそうとする態度を養う」

など低学年では自己管理の基礎力をつけるために取り入れられています。

 

中学年では自分の周囲に目を向け色々な職業を学び、将来の夢や希望を持つよう組まれています

高学年では施設や職業見学を行って社会生活の大切さが分かったり、憧れの職業のために自分で今しなければいけないことを考え努力しようとするといった自己実現へのきっかけとなる内容です。

 

詳しい内容は、文部科学省小学校キャリア教育の手引き(改訂版)に載っています。
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2013/09/11/1320712_03.pdf

 

実践例から見る、小学校キャリア教育によって育まれる力

 

キャリア教育は職業教育ではない

キャリア教育の内容は子どもたちの「生きる力」の形成で、職場体験や職場見学はキャリア教育の取り組みの一つにすぎません。職場の体験に行くまでに長い時間をかけて、調べ物やグループでの打ち合わせなどの下準備を行います。そして体験後のお礼の手紙も含めて教育の一環として子どもたちを成長させています。

キャリア教育により育成される力:人間関係の形成・自己管理能力

 

そもそもキャリア教育がこんなにも言われるようになったのは、20世紀後半のグローバリゼーションにあります。世界との関わりが密接になり国際化が加速し、インターネットが地球上を飛び回る私たちの日常生活の変化が子どもたちの育つ環境に影響を与えたということです。

 

働き方が柔軟になった現代は特に、大人を見ていても子どもたちは将来の自分の姿と重ねづらくなってきています。なりたい職業にYoutuberがランクインしてくる時代ですから、自分で仕事を見つけ出すパイオニア精神がこれからさらに求められるかもしれません。

 

また核家族や少子化などから子どもたちの精神性、社会性が身体の発達に比べて遅れがち、コミュニケーションがとれないなど新たな問題もでてきています。

このような背景から、これからの未来を見据えてキャリア教育が必要となりました。

 

キャリア教育には小学1年生からグループワークの活動が取り入れられ、学校生活への適応と人間関係の形成、基本的な生活習慣などの自己管理能力をつけるプログラムが組まれています。例えば文部科学省のキャリア教育の手引きの中に、小学6年生の社会の実施例が載っています。

キャリア教育では各教科と組み合わせることで学習意欲を高める目的と、キャリア教育の重要性を学ばせる目的を同時に達成することができます。もちろん大事な科目勉強がおろそかにならないような実施の具体例も教師向けに用意されています。

 

出典;文部科学省小学校キャリア教育の手引き 第3章より(改訂版)
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2012/05/21/1320712_16.pdf

 

キャリアプランニング能力

キャリアプランニング能力とは、自分が学んでいることや働いていることの意味を理解して行動や改善をしていく力のことです。保護者の方の中には、自分の子どもが先を見据えて行動ができたらどんなに喜ばしく安心できるかと思われるでしょう。なぜなら普段の生活だけでなく、将来社会にでたときに主体的に自ら考えたり行動したりする大人に育て上げることが、子育ての最終目標の一つだからです。

 

小学校でのキャリア教育は、受け身な子どもたちにとって時間割の中の断片的な授業となっているかもしれません。ですから保護者の方はキャリア教育の授業で学んだことが、今後の流れとして続いていることを優しく伝えてあげるとよりこれからの子どもたちの成長につながっていくでしょう。

 

小学校キャリア教育実践事例集~主な都道府県~

 

ここでは、千葉県、岡山県、秋田県の小学校キャリア教育の実践事例をご紹介します。

実践例①:千葉県「地域・家庭・学校が連携したキャリア教育」

 

千葉県の多古町の小学校ではキャリア教育の内容を広報誌として発行し、保護者の方に配布しています。特徴的なのは、「グローバルキャリア事業」で成田空港で働く人にインタビューをし職業への理解を深めていく内容です。

 

また地元の高校生と共同で小学3年生が花の種を植えるといった年齢・学校の枠を越えた活動も目をひきます。

 

参考:多古町教育研究協議会キャリア教育研究部の広報誌
http://www.tako-town.ed.jp/tako1-es/?action=common_download_main&upload_id=373

実践例②:岡山県「夢や希望を持たせるアイディア」

岡山県では中学進学後に挫折感を味わう卒業生が多くいたことから、困難な状況になっても諦めず、夢を持ってがんばれる児童を育てたいという「夢への授業」という授業を行っています。

例えば、

・夢をつかむ計画表 明日へのステップを作成

・6年生の最後の参観日で児童が自分の「夢作文」を発表

・校内テレビ番組製作:こんにちは、『スペシャルタイム』の時間です

など小学6年生に将来の夢と希望を意識させ意欲的に取り組む内容が充実しています。

 

参考:岡山県 キャリア教育 実践事例

http://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/467712_3288143_misc.pdf

実践例③:秋田県『あきたでドリーム(AKITA de DREAM)』

文部科学省の全国学力テストの成績が1位の秋田県では、平成24年度にキャリア教育として小学生に県独自のキャリアノート『あきたでドリーム(AKITA de DREAM)』を作成しました。

県の小学校ではキャリアノートを使い、地域の祭りや高齢者とのふれあいを通して、キャリア教育とふるさと教育に活用しています。1年生から6年生まで6年間通して1冊にまとめられるので、子どもたち自身の振り返り学習ができるのも魅力的です。

 

秋田県総合教育センターでは、教師向けのキャリア教育の内容も常に発信しており、県をあげての小・中・高のキャリア教育に力を注いでいます。また県内の小・中学校で『あきたでドリーム(AKITA de DREAM)』がどのように活用されているのかを見ることができます。

 

参考:キャリアノート『あきたでドリーム(AKITA de DREAM)』
https://www.pref.akita.lg.jp/uploads/public/archive_0000006556_00/%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%88%EF%BC%88%E5%B0%8F%E5%AD%A6%E7%94%9F%E7%89%88%EF%BC%89%20(1).pdf

 

参考:秋田県総合教育センター
http://www.akita-c.ed.jp/~ckys/career/kiroku-career/kiroku-career.html

 

おわりに

小学校のキャリア教育の実践例についてご紹介しました。各都道府の立地や文化を活かした内容から、未来を担う子どもたちへの期待と責任が伝わってきます。

 

今後はITを利用したり、地域の人と協力して開発や文化の復興・継承をしたりと学校の枠を越えた教育になるかもしれません。保護者としては、我が子の今日あった学校での様子を聞きながら、子どもたちの新しい挑戦を見守り、応援し続けていきたいものですね。