【SDGs 10.人や国の不平等をなくそう】実現のためにできること

 

SDGsが掲げる目標の中の「10.人や国の不平等をなくそう」は、人々の生活を保障するために重要な課題です。世界には不平等や差別が深刻な国や地域が存在しています。

そのため、人々の生活格差や国々における経済格差をはじめとする、解決しなければならない様々な問題が発生しています。そこで今回は、目標達成のために行われている取り組みや、子どもと一緒にできることなどをまとめてみました。

 

「SDGs 10.人や国の不平等をなくそう」を知ろう

 

SDGsが掲げる目標の一つ

SDGsの17の目標の中の10番目の目標である「人や国の不平等をなくそう」は、「各国内及び各国間の不平等を是正するをテーマとし、次の10のターゲットから成り立っています。

【10のターゲット】

  ターゲット
10.1 2030年までに、各国の所得下位40%の所得成長率について、国内平均を上回る数値を漸進的に達成し、持続させる。
10.2 2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、すべての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する。
10.3 差別的な法律、政策及び慣行の撤廃、ならびに適切な関連法規、政策、行動の促進などを通じて、機会均等を確保し、成果の不平等を是正する。
10.4 税制、賃金、社会保障政策をはじめとする政策を導入し、平等の拡大を漸進的に達成する。
10.5 世界金融市場と金融機関に対する規制とモニタリングを改善し、こうした規制の実施を強化する。
10.6 地球規模の国際経済・金融制度の意思決定における開発途上国の参加や発言力を拡大させることにより、より効果的で信用力があり、説明責任のある正当な制度を実現する。
10.7 計画に基づき良く管理された移民政策の実施などを通じて、秩序のとれた、安全で規則的かつ責任ある移住や流動性を促進する。
10.a 世界貿易機関(WTO)協定に従い、開発途上国、特に後発開発途上国に対する特別かつ異なる待遇の原則を実施する。
10.b 各国の国家計画やプログラムに従って、後発開発途上国、アフリカ諸国、小島嶼開発途上国及び内陸開発途上国を始めとする、ニーズが最も大きい国々への、政府開発援助(ODA)及び海外直接投資を含む資金の流入を促進する。
10.c 2030年までに、移住労働者による送金コストを3%未満に引き下げ、コストが5%を越える送金経路を撤廃する。

出典:http://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/sdgs_target.html#goal_10

10のターゲットを読むと分かるように、不平等性の対象は国際的な経済からすべての人への平等な能力強化まで多くの課題があります。

 

国と国の間で起きている不平等

現在世界では大きな所得格差があり、世界の富裕層の10%が世界の総所得額の約40%を占めているといわれています。豊かな生活を送る人がいる一方で、1日米2ドル以下の貧困生活を強いられている人たちが大勢います。

現在の金融システムやグローバル経済は資産を持つ富裕層に有利に働き、富裕層はさらに裕福に、貧困層は貧困のまま辛い生活を送っています。このような現状は個人的な不平等だけではなく、国と国の間の平等性にも影響します。

 

例えば、貿易は不平等の上に成り立っている部分があります。開発途上国が先進国に対し優位、または対等に貿易を進めるには、安い労働賃金を武器に安い製品や作物を作り輸出する必要があります。

 

しかし、先進国は高い関税をかけ、自国の企業を守ろうとしています。また、買い手はより安い売り手へと流れていくため、不当な価格での取り引きを余儀なくされる場合もあります。これでは、生産者は十分な利益や労働に見合った報酬が得られず、生活水準の向上は望めません。

体を酷使し働いても貧困から抜け出せず、技術向上のための教育や健康サービスを受けることもできません。結果、貧困層は十分な所得を得ることが難しく、富裕層との資産、生活格差がさらに開いてしまいます。

 

国内での不平等とは

同じ国に住んでいるのに、性別や人種など様々な理由で、就労や教育、医療へのアクセスに不平等が起きています。また、グローバル化や政府の規制緩和政策により、富裕層への恩恵は大きくなりましたが貧困層にはほとんど恩恵がなく、両者の生活を取り巻く環境に大きな格差ができています。

 

中国やインドのような新興国も、経済成長とともに格差がさらに大きくなりました。中国では農村部は都市部に比べ、学歴や賃金が低くなります。中国の戸籍制度が賃金の高い都市部に移住することを制限しています。中国政府は農村部への支援を行っているものの、所得格差は拡大しています。

インドにおいては、IT関連の労働者は質の高い労働環境と所得を得られます。しかし、教育を受けるチャンスがなく識字もままならない人々は質の高い職に就けず、インドの所得格差は拡大する一方です。

 

詳しい取り組み事例はこちらをご覧ください。

「SDGs 10.人や国の不平等をなくそう」実現のための取り組み事例をご紹介!

このような幅広いターゲットの課題に対し、どのような取り組みがなされているのでしょうか。企業や自治体などで実際に行われている取り組み事例を、分かりやすくご紹介していきます。 「SDGs 10.人や国の不平等をなくそう」の詳細は、こちらをお読みください。 ...

「SDGs 10.人や国の不平等をなくそう」様々な団体の取組事例

 

多くの日本企業が貢献

日本でもSDGsに積極的に取り組む企業が年々増えています。その中でいくつかの企業を紹介します。

 

●アート引越センター(アートコーポレーション株式会社)

アートグループでは「SDGs 10.人や国の不平等をなくそう」実現のために、引越業界初の定休日を設け長時間労働の改善、社員の健康維持や女性活躍推進プロジェクト、さらに保育事業を展開し働くママをサポートなど、すべての社員が働きやすい環境を目指しています。

 

また、子どもたちへの支援を中心に、子ども虐待防止オレンジリボン運動への支援、児童発達支援教室の全国展開、ダスキンと提携し保育園での感染症抑制、室内環境向上に貢献、訓練された犬が患者の治療や入院生活に寄り添うファシリティドッグ・プログラムの支援など、幅広い取り組みをしています。

 

●薬樹株式会社

保険調剤薬局業を主な事業とする薬樹株式会社は、障害者雇用推進、エシカル調達を行なっています。

障害者雇用率は29%、大量の森林伐採から作られているファストペーパーの使用を止め、名刺や社内表彰状もフェアトレード認証されているバナナペーパーを使用しています。

 

 

企業だけではない。大学での取り組み

いくつもの大学がSDGsについて勉強し、真剣に取り組んでいます。とくに大きな規模で活動している大学をご紹介します。


●岡山大学

岡山大学には146ページにもわたるSDGsの取組事例集がPDFで発表されています。目標10だけでも、地域の問題解決に取り組む職業人へのリカレント教育やローカルとグローバルをつなぐ多分野融合プログラム、外国企業・投資家の国際法上の地位の研究を含む、15以上の取り組みがされています。

 

●立命館大学

立命館大学はSustainable Week実行委員会を作り、SDGsにおける17個のゴールを啓発・解決の視点から主体的に取り組んでいます。

ワークショップやインパクトゼミ、キャンパスツアーの催行、シンポジウムやワークショップへの参加など精力的に活動しています。体験型ワークショップでは、目標10を含むすべての目標についてロボットを使いながら考えました。

また、みらいKIDSにぎわい交流事業では、小学校高学年を対象にSDGsのワークショップを行なっています。


●神戸大学

目標10において、グローバル化や難民問題などのグローバル問題、社会保障法の現代的課題、戦争と平和についての問題を授業や講義で取り上げています。専門家を招待し講義を行うなど、問題について理解を深める努力をしています。残り16の目標についても、生徒が理解を深めるための取り組みがされています。

 

 

90カ国以上が活動する国際協力団体・オックスファム

オックスファムは1942年にイギリスで設立され、貧困を克服しようとする人々を支援し、貧困を生み出す状況を変えるために日本を含む90カ国以上で活動しています。

活動内容により活動国や地域が異なりますが、目標10の課題である格差と貧困への取り組みでは税の公平性を高め、集めた税金は教育や医療、雇用対策や貧困者の生活支援に使い、経済格差を縮める取り組みが世界各地で成功しています。 

 

貿易と貧困への取り組みは、パレスチナ地区の自然食生産やラオスのコーヒー農園への支援を行なっています。さらに、紛争と平和のためには、難民への人道支援、女性の権利へは、女性らしく生きるための支援や権利を主張し生活の決定を下せるようなるための課題のための活動をしています。

 

 

「SDGs 10.人や国の不平等をなくそう」子どもができること 

 

移民国・アメリカでの取り組み

移民の国・アメリカ。とくにダイバーシティでは肌の色や母国語が違う子どもたちが同じクラスで過ごします。中には英語を話せない子や、宗教により学校のイベントに参加できないという子も珍しくありません。

 

多くの学校で「No Child left behind(落ちこぼれを作らない)」を掲げています。母国語が英語ではない子どもたちへのESOL(English for Speakers of Other Languages)クラスや、クラス内でのリーディング、算数のレベルによるグループ分けなど、不利な状況にある子どもの学力向上へ取り組んでいます。

低所得家庭への朝食やランチの無料援助や、遠足へ行けない子どもへの寄付を募る郡もあります。そして、援助を受ける子どもが差別を受けることがないよう、学校では細心の注意を払います。

 

小学校では低学年から様々な国の文化を学び、さらに障害を持つ人への理解を深める取り組みを行ない、どのように接するべきか子ども自身に考えさせます。

ただし、このような取り組みは大都市ほど進んでおり、小さな町ではマイノリティへの差別や不平等性が根強く残っています。

 

日本の教育現場でも広がる平等の必要性

経済大国である日本でも、格差社会の問題が大きくなっています。また、人口減少に伴い国外からの働き手が必要になり外国人労働者も増えています。

貧困家庭で育つ子どもや外国人がクラスにいることも当たり前になりつつあり、教育現場ではそのような子どもたちが平等な教育が受けられるような配慮が必要です。

 

教師は貧困の子どもたちのSOSを見逃さず、時間の許す限り話を聞き、必要であればNPOなどの支援団体に協力を求めてもよいでしょう。

すでに、外国人のための日本語クラスを作り対応している学校もあります。国語の時間はそちらに移動して日本語を勉強します。外国籍の子どもは義務教育ではないため、登校し続けられる環境を作ることが重要なポイントです。

 

日本で暮らす全ての子どもたちの未来の可能性を広げることは、将来国の戦力となり経済面でもプラスの効果が期待できます。

さらに、2020年から実施される指導要領の改訂に伴い、各教科において教科書の様々な箇所でSDGsについて触れられています。教師はSDGsを通し、自分が豊かになることだけではなく、世界中全ての人の未来について学ぶ機会を与えることが大切です。

 

 

親子で一緒にできること

日本でも被災した方への支援や年末チャリティーイベントなど、様々な支援活動に触れる機会があります。TVやポスターなどで見かけたら、子どもと話し合ってみてはどうでしょうか。

日本でも支援が必要な人がいること、世界中で起きている不平等について親子で関心を持ち、次のようなできることから始めましょう。

 

フェアトレードの商品を購入する
フェアトレードとは、発展途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に取引することです。生産者や労働者への適正な賃金の支払いや労働環境の改善と児童労働を撤廃し、より良い生活が送れることを目指します。フェアトレードマークがついたコーヒーやチョコレートなどを扱うお店も増えています。

 

募金や寄付
人道支援団体への募金や寄付は団体の活動資金となり、多くの人を救うことに繋がります。寄付はおこずかいの中から100円、お年玉の中から1000円というような金額で充分です。子どもが100円出したら親も100円、200円なら200円というようにマッチング制度にすると、子どもにプレッシャーを与えずにできるのではないでしょうか。

 

おわりに

富裕層はさらに豊かになる中で、貧困層はいくら働いても貧困から抜け出せず苦しんでいる人は世界中に大勢います。

「SDGs 10.人や国の不平等をなくそう」実現のためには、国内で起こっている不平等、国と国の間の不平等など、幅広い不平等の課題を解決する必要があります。

日本でも様々な企業や団体が支援を行っています。個人でもできることを探し続ければ、一人でも多くの人を助けることができるはずです。

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