【みんな知ってた?】ギフテッド教育とは?アメリカの実例を元にわかりやすく解説


横並び教育が主流の公教育への個々の生徒への柔軟な対応が望まれる中、「ギフテッド」ということばをよく耳にするのではないでしょうか。

生まれつき特定分野で顕著に優れた能力を持った子どもたちをギフテッドと呼びますが、ギフテッド教育とはどういう教育なのでしょうか?

今回は、ギフテッド教育の特徴や日本と海外の現状や取り組み、最新のアメリカの実例を元に解説します。

★そもそもギフテッドとは?という疑問には、こちらの記事をご参照ください。

ギフテッド教育とは

特別な能力を持つ子どもたちのためのギフテッド教育は一体何なのでしょうか?ギフテッド教育について解説していきます。

ギフテッド教育の特徴

ギフテッド教育は、特別な才能を持って生まれた子どもたちを対象に、それぞれの学習能力や学習ペースに合わせた特別教育プログラムです。

生徒それぞれの学習能力や突出した才能に合わせたカリキュラムを進めていくことが、ギフテッド教育の大きな特徴の一つです。

それぞれの学習ペースを見ながら、学習レベルや教材を変えていく部分なども、決められたカリキュラムを同じペースで学んでいく通常のクラスとの大きな違いでしょう。

また、ギフテッド教育ではアウトプットにも重点を置いています。クラスでのディスカッション、エッセイやプロジェクトなどの発表を通し、スピーキングとライティング能力を伸ばすとともに、表現力や積極性も養います。

ギフテッド先進国であるアメリカは、州によってカリキュラムが異なり、3つの実施方式があります。

・​エンリッチメント方式

ギフテッドの生徒も通常のクラスで過ごしますが、ギフテッドの子どものレベルに合った高レベルな課題や宿題を出します。

・プルアウト方式

普段は通常のクラスで学びますが、定期的にギフテッドの生徒たちを集めた学校などで学習します。

ギフテッドの生徒たちに合った高レベルな学習ができます。また、知能レベルが近い生徒同士のコミュニケーションの場にもなります。

・アクセルレイト方式

日本でいう「飛び級」です。学習能力が同年代より秀でており、上の年代と学習することが望ましいと判断された場合に可能になります。

ギフテッド教育の日本と海外の現状

ギフテッド教育の特徴について説明しましたが、私の子どももギフテッドかも?と思う方もいらっしゃるかもしれません。

そういったお子さんにあった教育を受けるためには、ギフテッド教育の現状を知ることも大切です。

日本の現状

取り組み事例

日本では、東京渋谷区が公教育としては初のギフテッド教育に取り組んでいます。

しかし、渋谷区のギフテッド教育は特別支援教育の一環で、特別な才能が認められるが学級不適応が見られる子どもたちが対象となっています。

そのため、海外のように「なるべく多くのギフテッドの子どもたちへギフテッド教育を受ける機会を与える」という環境とは異なるようです。

ギフテッドの子どもたちの中には、通常のクラスで理解を得られず浮いてしまい、不登校になるケースもあります。最近では、そのようなギフテッドの子どもたちを支援する団体が増えており、様々な取り組みがされています。

異才発掘プロジェクトROCKET

東大先端研(中邑・近藤研究室)と日本財団の協働で行われ、先進的な取り組みとして注目されています。
スカラー(特待生)として特定の子どもたちを育てるプログラムと、公開できるプログラムに参加するオープンプログラムがあります。
その他、セミナーやプログラムを体験できるイベントの開催などもしています。

・GIEP(Gifted Individual Educational Plan)

日本ギフティッド協会では、GIEP(ギフティッド用個別教育計画書)の作成をしています。
GIEPは保護者、生徒、担任、学校とその子どもに関わるスペシャリストで共有します。作成には担任の参加が必要ですが、GIEPにはクラスの参加法や個別の宿題などの、学校で必要なサポートも含まれます。
GIEPに興味のある方はこちらをご参照ください。

・ギフテッド応援隊

会員になると、SNSの非公開グループで情報のシェアや悩み相談、日々のつぶやきなどのやり取りが行えます。
また、各地で会員が参加できるイベントを開催しています。
ギフテッド応援隊の詳細はこちらをご参照ください。

ギフテッド教育後進国の日本

日本では、自分の子どもにギフテッドの可能性を感じても、適切な教育を受けられる機会が少ない状況です。

ギフテッドに関して理解がなく、横並び教育が原因で不調をきたすギフテッドの子どももいます。

ギフテッドの子どもへ対応できる教師が少なく、クラスの学習ペースに合わせなくてはいけません。

ギフテッドの子どもたちは、能力を発揮できず、学習欲求を抑えられてしまうような環境にストレスを感じます。

担任の理解のない対応やクラスメイトとの関係に悩み、自分の能力を隠すようになる子や、不登校になるギフテッドの子どもは少なくありません。また、子どもの突出した能力に戸惑う親も多いようです。

日本で海外のようなギフテッド教育を実施するには、まだまだ時間がかかるでしょう。まずは、それぞれの学校や教師が、ギフテッドについて勉強し理解を深めることが大きな課題です。

学校と家庭が情報を共有しながら、ギフテッドの子どもに合った学習環境を用意することが重要です。

海外の現状

取り組み事例

アメリカでは、ギフテッド教育を公立校や私立校、ホームスクールで受けられます。

公立学校には、「ギフテッド教育の特徴」で紹介したように、「エンリッチメント方式」「プルアウト方式」「アクセルレイト方式」があります。

エリートを育てるための英才教育ではなく、才能の可能性を最大限にを伸ばすことを目的とした教育が行われています。

私立学校では、潜在能力の開花にも力を入れています。知的好奇心や探究心、創造的思考、感情的知性を育むカリキュラムや、社会性や情動の学習プログラムを取り入れています。

ホームスクールは、子どもの学習能力に合わせたカリキュラムを親や家庭教師と家庭で学習します。家庭学習の難しい、音楽や美術、体育は学校で受ける場合も多いようです。

また、ギフテッド支援団体や大学などでも、ギフテッドの子どもたちのための様々なプログラムを実施しています。中でもジョンズ・ホプキンス大学が実施するサマープログラムは、世界中から参加者を受け入れることで有名です。

シンガポールでは、才能のある人を助け育てるのは国の利益になると考えられており、教育省を中心にGEP(Gifted Education Program)に取り組んでいます。

小学校3年生で受ける、知的能力の高い生徒を識別するための2段階のスクリーニングにより選定された生徒は、4年生からGEPが実施される小学校でGEPを受けることをすすめられます。

英語、数学、科学のより高度な学習カリキュラムの他に、発見と体験学習、校外学習など、様々な学習機会を提供しています。

さらに、音楽・芸術的な才能のある生徒への、音楽選択的プログラムや芸術選択的プログラムなどの並行プログラムも用意されています。

ギフテッド先進国の課題

ギフテッドの子どもは通常のクラスは「簡単すぎる」「つまらない」と感じ、親がもっと高度な学習が必要と感じることが多いようです。

ギフテッドの子どもがやる気を感じる教育が受けられるかどうかは、その子の才能や性格を理解し伸ばせる教師に出会えるかによります。

また、ギフテッド先進国には、ギフテッドの子どもたちを支援する団体や機関が多くあります。多様多種なプログラムや支援方法の中から、子どもに合ったものを見つけなくてはいけないという課題もあります。

また、ギフテッド教育を身近に感じるアメリカでも、公教育としてギフテッド教育を行っていない州があります。

そのため、住む州によってギフテッド教育が受けられず、通常のクラスではやる気が出ず成績に影響してしまう子もいます。

ギフテッドの子どもの才能を埋もれさせないために、親や担任が子どもの能力に気づき、ギフテッドの子どもが満足できる学習環境を提供する必要があります。

アメリカにおけるギフテッド教育の実例

ギフテッド教育先進国のアメリカにおけるギフテッド教育についての実例をご紹介します。

ギフテッド教育を受けるチャンスが平等にある素晴らしさ

ギフテッド教育を実施している州の一つ、メリーランド州のあるカウンティ(郡)では、希望をすれば小学校3年生でギフテッドの判定テストを受けられます。テストは2日にわたり、授業を抜けて校内で受けられます。

ギフテッドプログラムに入れる生徒の数は決まっており、選ばれた生徒たちは学区外からギフテッドプログラムを実施している学校へ通う場合がほとんどです。学校が遠くなっても、スクールバスで通えます。

実際には学校を運営するカウンティがどれだけギフテッド教育にお金をかけられるかで、プログラムの内容やスクールバスの提供などの条件は変わります。しかし、こちらのカウンティでは、ギフテッド教育を含む様々な特別教育プログラムに力を入れています。

アメリカは貧富の差が大きく、同じカウンティ内でも学区によって学校の教育レベルに差があります。そのような環境の中で、すべての生徒の中から特別な能力を持っている子どもが埋もれることなく引き出され、才能を伸ばすチャンスを与えるシステムは素晴らしいものがあります。

注:州によってGATEやGTプログラムではなく、「Advance Learning Service」や「Center for Enrichment Studies」と呼ぶ学校もあります。

「つまらない」から「チャレンジできる」環境で生き生きと

ギフテッド教育を受けている子どもたちは、3歳ですでに簡単な英単語の読み書きをしていたそうです。

語彙力が高く、5歳になる頃にはTVのテロップをスラスラと読み、友達に説明している場面も多く目にするようでした。

小学校に入ると授業がつまらなくて集中できないことや、先生の間違いを指摘したり意見を言ったりすることもあるようです。

個人面談で先生に嫌味を言われることもあったご両親は、お子さんがギフテッドクラスに入ることになりホッとしたそうです。

アメリカでは通常のクラスでもリーディングや算数をレベル分けする学校が多いです。しかし、ギフテッドの子どもは、それ以上の高レベルな学習を必要としています。

ギフテッドクラスでは次々とプロジェクトを与えられ宿題が大変そうですが、生き生きとしているそうです。

子どもに合った教育が受けられることは、子どもだけではなくご両親のストレスも軽減されるのではないでしょうか。

まとめ

ギフテッド教育の先進国ではたくさんのギフテッドの子ども達が、それぞれの能力を伸ばすための教育を受けています。

日本でもギフテッド教育に関心が高まりTVで取り上げられることもありますが、まだまだ遅れている状況です。

ギフテッドの子どもたちの多くが、学習能力に見合った教育が受けられず、悩みやストレスを抱えています。

日本もギフテッドへの理解を深め、ギフテッドの子どもたちが思いっきり学べる環境を作ることが重要です。

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