ESDとは?持続可能な開発のための教育とその実践例を簡単に解説

みなさん、ESDという言葉を耳にしたことはありますか?
え?SDGsとは何が違うの?と一瞬戸惑ってしまう人も多いかもしれませんね。
今回は、「ESD(持続可能な開発のための教育)」に焦点をあてて解説していきます。

ESDとは?

ESDとは一言でいうと、世界規模で必要不可欠な「教育のあり方」です。
「Education for Sustainable Development」の頭文字をとって、ESDとしています。

日本語では、「持続可能な開発のための教育」と訳されます。

現在、世界には、環境・貧困・人権・平和・開発といったさまざまな地球規模の課題が存在しています。

これらの課題は、ある特定の国や地域だけで解決しようと取り組んでも、到底解決できる問題ではなく、地球に存在する人間を含めた全ての命ある生物が、個の問題として捉え、それぞれが自分にできることを考え、その場限りではなく持続的に実践していくことが必要とされています。

ESDは、持続可能な社会を創造していくことを目指す学習や活動であり、その担い手を育む教育でもあります。

ESDの歩み

ESDの歩みは、1992年にリオデジャネイロで行われた「環境と開発に関する国際会議(国連地球サミット)」まで遡ります。

当時から、球温暖化やオゾン層の破壊などの問題が深刻化しており、それらの問題を解決するために開かれた会議で「アジェンダ21」が制定され、「持続可能な開発(ED)」についての行動計画が示されました。

その後、2002年に「持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグサミット)」で、「持続可能な開発のための教育の10年」を提唱し、これを受け2005年から2014年までの10年を「国連ESDの10年」とし、ユネスコが主導機関に指名されました。

2013年の第37回ユネスコ総会においては、2015年以降のESDの枠組みである「持続可能な開発のための教育(ESD)に関するグローバル・アクション・プログラム」が採択されています。

ESDの基本的な考え方

ESDの学習や活動で取り上げるテーマ、内容は必ずしも新しいものばかりではありません。過去からの連続性を考え、それらをESDという新しい視点から捉え直すことによって「持続可能な社会の構築」という共通の目的を与えることが可能になります。

これは、具体的な活動の展開に明確な方向づけをするものです。

また、それぞれの取り組みを一つの独立したものとして考えるのではなく、お互いを結びつけることで、既存の取り組みの一層の充実や発展を図ります。

(参照 今日よりいいアースへの学び ESD持続可能な開発のための教育/文部科学省

ESDで育みたい力とは?

ESDには、問題と向き合うために重要な六つの価値観を養うことを目標としています。

 多様性 さまざまな視点をもって考える
 公平性 国や年齢に関わらず、誰もが平等に幸せになる権利がある
 相互性 人同士はもちろん、生きものや自然から私たちの生活が成り立っている
 連携性 皆で協力すれば大きなことを成し遂げられる
 有限性 食べもや電気などは無限ではないことを理解し、将来のためを考える
 責任性 責任をもって、自分にできることは自分から進んで行動する

 

これらの価値観を身につけながら、体系的な思考力(問題や現象の背景の理解、多面的かつ総合的なものの見方)、代替案の思考力(批判力)、データや情報の分析能力、コミュニケーション能力、リーダーシップの向上などの力も、育みたい力として重要視されています。

SDGsにおけるESDの在り方

「SDGsとESD、この二つは結局何が違うの?」と思っている人も多いのではないでしょうか?

簡単に言えば、SDGsは目標を示しているのに対し、ESDは目標を達成するための方法を指していると言えます。

それぞれが独立して成り立っているのではなく、お互いに深く関わり合いながら課題解決を目指して行くのが理想です。片方に取り組んでいるから、もう片方は取り組まなくてもよいというわけではありません。

ESDをより一層推進することが、SDGsの達成に直接的・間接的に繋がっています。

ESDの取り組みをSDGsの観点から見直すことで、自分自身のESD活動に新たな意義や価値を付け加えたり、ESDの目標をよりクリアなものにすることが可能となります。

SDGsに関して詳しく知りたい方は、こちらのリンクをご覧ください。

ESDの教育事例をご紹介

それでは、実際どのような形でESDに取り組んでいるのでしょうか?
次項では、日本国内と海外それぞれの取り組みをご紹介します。

国内におけるESDの取り組み

小笠原村立小笠原小学校の取り組み

小笠原小学校では、世界自然遺産に登録されている小笠原の自然について、環境教育の観点から各学年で取り組みました。

5年生では、アオウミガメの生態について探究活動を行い、主体的・創造的に取り組む姿勢と、郷土小笠原への誇りや愛着を育むことを目的とした学習を展開しました。

海洋センターのアオウミガメ保護・調査活動である「産卵調査」「卵の移植」「飼育」「放流」などを体験的に学ぶ総合的な学習を行い、その成果をビジターセンターに張り出すことで、島民や観光客に向けて発表しています。

岡崎市立男川小学校の取り組み 

男川小学校では、自然を活かした理科学習に特化しました。

春にはチョウの成長を孵化の瞬間も含めて観察しました。本格的な昆虫標本制作に取り組み「ふるさと男川の昆虫標本」を完成させました。

そのほか、専門の先生からカブトムシについての講演を聞いたり、調べた昆虫の体のつくりを模型で表すため「頭、胸、腹」を作りモールで触覚と足を作りました。

最終的にはまとめとして各自で「ふるさと男川昆虫図鑑」を作成しました。

海外におけるESDの取り組み

イギリスでの取り組み 

イギリスでは、教会はイギリス人の生活に欠かせないものであり、多くの人々にとって大切な地域の施設です。

ケンブリッジ市にも多くの教会があり、日々さまざまな活動を行っています。

毎週の礼拝のほか、エコロジーに関する活動も推進しています。教会のホームページには、エコロジー活動の理念が掲げられており、また、会員が持続可能な生活を送れるよう支援するため、ブログやウェブサイトの紹介も行っています。

オーストラリアでの取り組み(NGO Lentil as Anything) 

 メルボルンにあるLentil as Anything(LaA)は、レストランと小さなスーパーを運営していますが、特徴的なのは、いずれの店舗にも「値段」がないという点です。

ここでは、レストランで食事をしたりスーパーで品物を手に入れるためには、経済的に余裕がある人は、自分が妥当だと思う金額を寄付し、経済的に余裕がなければ、ボランティアとして活動に参加します。

食品の廃棄を無くし、お金の流れと人の関係のあり方を変えていくという理念のもと、多様な文化背景のボランティアと接したり、違う形で食事や品物を手に入れるという行為を通して、環境や平和、多文化共生、貧困などの問題との関連性を学ぶことができます。

家庭でできるESDの実践例 

では、家庭でESDを実践する場合はどのようにすればいいのでしょうか?

最近始まった代表的な例で言えば、「レジ袋の有料化」です。

お買い物の際に、レジ袋を使わずエコバッグを使えば、それだけで立派なESDとなります。
なぜ、レジ袋が有料化したのかなど、一歩踏み込んで親子で話合うのも良いかと思います。

また、「防災学習」もおすすめです。
地震大国日本と言われていますが、最近では、大雨や台風などの天災でも大変な被害が出ているのが実情です。

いつ、自分の身に災害が起こるかわからないので、日ごろから防災の知識を身につけておくのも重要です。

自宅周辺のハザードマップを家族で確認してみたり、災害時に役立つアイテムを自作してみたりと、楽しみながらESDを実践することができます。

まとめ

自分の身近に存在するESD。

それは、自分の住んでいるこの地球をより良いものにするための地球規模で取り組む壮大なプロジェクトと言っても過言ではありません。

しかし、取り繕った一過性のものでは全く意味がありません。

持続可能な開発のための教育として、自発的にかつ継続的に活動していく必要があります。

私たちはそのプロジェクトの一員としての自覚を持ち、できることからESDの活動を始めていきましょう。