国際基準の「子育て」〜自分勝手で何が悪い。人は人、自分は自分〜

人は人、自分は自分自分に関係のないことに干渉しない姿勢

前回挙げた例をもう一度よく見てください。どこかで「社会に迷惑をかけている」行動がありますか?叱るべき、嫌がるべきポイントがありますか?アメリカで育った私の娘がよく言う言葉に

「あの人がやりたいんだからいいんじゃない、やれば」という、冷たい口癖があります。

でも、この娘の言葉を聞くと「すごいなぁ」というのが私の率直な感じ方なんです。
「尊重」というのはこういうことなのかと思い知らされるんですね。その人がしたいことをする、それを認めてあげるのが尊重でもあるのだということです。
目の前で狂ったように踊っている人、目の前でびっくりするぐらい集中して何かに打ち込んでいる人、それが社会の迷惑になっているかいないか、迷惑でないなら応援してあげよう、というぐらい尊重というのは大切なんですね。

私が子供のころ、周りの大人たちの口癖のような言葉に、

「恥ずかしいからやめなさい」
「そんなことしたら恥ずかしいでしょう」というものがあったのですが、皆さんはどうですか?(そんなことを大人に言わせてしまう子供だったのですね、私は)

少なからず、きっと今でも日本で耳にする言葉ですよね。これも日本特有の表現です。

狭い国土で肩を寄せ合って生きてきた日本人が、周りとうまくやっていくための方策だったのだと思いますが、今の時代にこんな言葉を使って子供に言い聞かせたら、それこそ「なぜやめなきゃいけないの?」と子供が聞いてきたときの答えさえ見つかりませんよね。

どちらかというと、よく人前でそんなことできるね、そんなことできるならあんなこともこんなことも出来るんじゃないか?と子供の可能性をもっともっと伸ばしてあげることができるかもしれません。

まわりがどう見ているか、まわりの人が変だと思うか?ということに関しては、実は子供も大人も気にする必要はないんですね。まわりにどう影響しているか、まわりに迷惑がかかっているか、それだけ気を付ければいいわけで、そうすると子供も大人ももっと自由になれるし、自由なことをしている時は人間の幸福度が高まっていくのです。

まわりから見ておかしいかどうかでお子さんを注意していると思ったら、是非、子供たちを自由な世界へ開放してあげてください。

「自分勝手」で何が悪い

「自分勝手」というのはどういう状態を指しますか?

集団で行動できないことを言うのでしょうか?
それとも皆の意見に反対を述べる時でしょうか?
または、一人で勝手に好きなことをしている時でしょうか?
「自分勝手」という言葉はたくさんの意味を含んでいるように思います。

でも、悪いことに使われることが多いですね。その自分勝手の悪い部分を良く言うために、我々日本人は「マイペース」なんて言葉を使ったりします。

そもそも「自分勝手」というのは「自分で勝手にする」という言葉です。これは良い意味も悪い意味も含んでいると思います。ここまで読んでいただいた皆さんには既におわかりだと思いますが、自分勝手の悪い意味は、「社会に迷惑をかける勝手な行い」なのでしょう。事実、英語の「Selfish」という言葉のニュアンスには、迷惑な行為が含まれていないと使わないような言葉です。
それこそ勝手に何かを追求している人に「Selfish」などと言ったら、言った人の人間性が疑われかねません。
悪い方の意味は私も否定しませんし、ここは子供たちにはきちんと伝えていくべきポイントだと思います。

しかし、良いほうの「自分勝手」を教えてあげることはしていますか?「良い自分勝手」を教える方法を私たち日本人の親はあまりにも知らないのではないでしょうか?

良い意味での自分勝手を教えるというのは、親としてはとても大変なことです。

でも、同時にとても必要なことです。どういう時に自分勝手をして良いのか。自分勝手をすべきなのか。他人がしたことも無いことを自分で勝手に進める。自分がやりたい事を徹底的にやり通す。
そうした時が、「良い自分勝手」を教える素晴らしい機会なのかもしれません。

もし自分のお子さんが好きなことを見つけて夢中になっている姿を見かけたら、そしてもうそのことで頭がいっぱいになっている状態に気付いたら、「それは良い自分勝手だね。とても良いことだと思うよ」と声をかけてあげてください。

日本人の言う「真面目」という言葉は、いつからかルールに則る、周りに合わせることが真面目と捉えられてきました。

しかし、それは実は自分の人生に「不真面目」な人間を作るという結果になったのです。

本来、社会へ出ていく時、社会の中で自分が成せる役割は何か?と考えたとき、、好きなこと、夢中になれること、得意なことを社会の役に立てていくということが、本来自分の人生に「真面目」な生き方です。その真面目さこそが、先ほどお話した世界の「普通」なのです。

ですから、自分の勝手の「良いほう」を存分にお子さんに感じさせる手伝いをしてください。そしてその自分勝手が自分自身の人生の真面目さにつながっていることをたくさん教えてあげましょう。

次回は、「お金」についてどう教育するかというお話をしたいと思います。いつもお付き合いいただきありがとうございます。

鷹松弘章

国際基準の「子育て」

①国際基準の「子育て」〜幸せとは〜

②国際基準の「子育て」〜好きなこと探し〜

③国際基準の「子育て」〜好きなことを探して、見つかったら〜

④国際基準の「子育て」〜「してはいけないこと」とは、どう伝えるか〜

⑤国際基準の「子育て」〜社会の迷惑を悪として捉え倫理観を育てる教育〜

⑥国際基準の「子育て」〜他人と自分が違うこと、それは良いこと〜

⑦国際基準の「子育て」〜自分勝手で何が悪い。人は人、自分は自分〜

⑧国際基準の「子育て」〜お金とは何?という教育〜

⑨国際基準の「子育て」〜意味のあるお金の使い方の教育とケチ〜

⑩国際基準の「子育て」〜究極の目標子供の自立。実は親の自律が鍵だった〜

⑪国際基準の「子育て」〜人はなぜ生きるのか、徳の循環を伝える〜

⑫国際基準の「子育て」〜親の幸せを諦めないで。幸せな親にしか幸せな子供は育てられない〜

⑬国際基準の「子育て」〜現実的なこと「同性愛、男子、ひとりっ子」〜

⑭国際基準の「子育て」〜今からでも遅くない、障碍・鬱・年代別の子育て、そして最後に〜

1998年Microsoft Corporation日本支社へ入社。2001年からアメリカ本社にて技術職の主幹マネージャーとしてWindowsなどの製品開発の傍ら、採用・給与・等級などのレイオフまで携わり、米国企業の最前線で勤務。20年の勤務後、現在はデータ解析大手の米国Tableau Softwareシニアマネージャー。同時に東証一部上場のスターティアホールディングス株式会社社外取締役、NOBOARDER Inc. 社外取締役兼 CTO。2019年5月には「世界基準の子育てのルール」という本も出版。

※連載は週1度を予定しております

※内容は変更することがあります