プログラミングで発揮!発達障害というポテンシャル

 

2005年に発達障害者支援法が施行されて以来、現在の日本では乳幼児健診において障害の早期発見・早期療育が積極的に行われています。一昔前であれば、「ちょっと変わっている人」と片付けられていまっていた特徴も、現代では医師の診断が下れば歴とした「障害」として捉えられており、必要に応じて治療やトレーニングが行われています。

 「障害」のという言葉の持つマイナスなイメージとは裏腹に、進化し続けるIT社会においては、その生まれ持った特性を「才能」として発揮できる環境づくりを進めようとする企業も年々増加傾向にあります。

 今回は、2020年から小学校でも必修化になることで近年話題になっている「プログラミング」。注目を集める「プログラミング」「発達障害」の関係性についてご紹介していきます。

発達障害とプログラミングの関係性

プログラミングに適した発達障害の種類

 

発達障害を持つ人の脳は、前頭葉からの指令が正常に行われていないなどの理由で脳の機能そのものが違うという研究結果が発表されています。つまり、発達障害は「脳の障害」であるということなのです。

参考HP:東京都福祉保健局http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/tamafuchu/hoken/handbook.files/5dai2syou.pdf

 

発達障害は大きく分けると以下の様に分類されます。 

 

ASD【自閉症スペクトラム障害/アスペルガー症候群】

・独特なこだわりを持ち、コミュニケーションや対人関係に問題あり。

・社会性やコミュニケーション能力に欠け、対人関係を構築するのが困難。

ADHD【注意欠陥・多動性障害)

・多動で落ち着きがない。

・集中力が欠ける。

・忘れ物が多い、ケアレスミスを繰り返す。

 

LD【学習障害)

・知的な遅れはないが、読み書きや計算が困難。

 

発達障害の中でもASDに代表されるアスペルガー症候群の特徴は、とりわけプログラミングを行う上で相性が良いとされています。

アスペルガーには以下の様な特徴があります。

・IQの高さ

・記憶力、集中力の高さ

・興味を持った特定の分野における強いこだわり

・優れた観察力

・細部へのこだわり

 

発達障害を持つIT業界の著名人

 

世界最大のコンピューターソフトウエア、マイクロソフト社を創立したビル・ゲイツ氏、アップルコンピューターを立ち上げたスティーブ・ジョブズ氏、フェイスブックのマーク・ザッカバーグ氏など、天才と称される著名なプログラマーやエンジニア達がアスペルガー症候群の傾向にあることをご存知の方も多いでしょう。

いずれも幼少期の頃から知的能力に優れた特徴を発揮しながら、対人関係が苦手であったり、衝動的な行動により周りとの協調性に欠ける一面がありました。しかし、その生まれ持った才能やこだわりを貫き、それを認められる環境で開花できたことにより、革命とも言えるクリエイティブな偉業を成し遂げてたのです。

日本では10人に1人が発達障害を持っているのに対し、アメリカでは、6~7人に1人とより多くの割合で発達障害者がいると言われています。特にIT産業の中心地であるカリフォルニア州のシリコンバレーでは、多く発達障害を持つ従業員が活躍しているため、アメリカではアスペルガー症候群は「シリコンバレー症候群」とも呼ばれているほどです。

発達障害とプログラミングの類似性と相性

 

発達障害の考え方とプログラミング的思考は似ている?

 

アスペルガー症候群は、「例外」や「曖昧なことや状態」を受け入れることが難しいという特徴があります。規則性を伴うプログラミングにおいて、「例外」や「曖昧なこと」はほとんどありません。このアスペルガー症候群とプログラミングの類似性により、たとえ小さな子どもであっても、才能を発揮すると技術に長けた大人の思考力をはるかに超える独創的なプログラムを作り上げることも可能なのです。

また、アスペルガー症候群は、感情的なことを表現するより、論理的で規則性に沿ったルールの中で物事を考察することを得意としているため、数学やプログラミングにおいてその能力を大いに発揮する傾向にあると言えるでしょう。

 

発達障害×プログラミングがもたらすメリット

 

発達障害の中でもアスペルガー症候群は、とりわけプログラミングに適している傾向にあるとご紹介しました。具体的にはどの様な点で適性があるのでしょうか。

アスペルガー特有の強いこだわりは、興味のある分野に関して徹底的に没頭する特徴があります。根気強く作業を続けることが可能なので、得意分野においては類まれな集中力を発揮できるという化学反応的なメリットがあるのです。

また、普通の人であれば見落としてしまう細かな部分にまで着眼し、新しい数列を次々と生み出していく豊かな創造力はアスペルガーが持つすばらしい特徴です。

アスペルガー症候群には高いIQと共に優れた記憶力が備わっているで、プログラミングスキルなどを素早く習得して覚えることも得意とされています。HTMLやCSS、JavaScript、PHPなど、プログラミングには様々な言語が存在しますが、アスペルガー最大の強みである暗記力によりスピーティーにスキルアップできるので、効率的に作業が進む傾向にあります。チームワークや対人間関係においては不得意でも、比較的個人で稼働できるプログラミングは、発達障害という「才能」を遺憾なく発揮できる可能性が十分にあるのです。

 

プログラミングで飛躍 発達障害の可能性

発達障害はIT分野において貴重な能力

 

アメリカ・シリコンバレーのIT産業地域において、アスペルガー症候群のワーカーが大いに能力を発揮しているのは前述のとおりです。その才能溢れるワーカー同士が結婚し、子どもを授かるとどうなるでしょうか。

 

発達障害は遺伝性があるので、両親が共に障害を持っているとその子どもも先天的に何らかの発達障害を持って誕生する可能性は大いにあります。その様な天才とも呼べる両親の間に生まれた子どもはしばしば「Gifted(ギフテッド)」と呼ばれ、2人の才能を掛け合わせた、まさに天からの贈り物の様な高い能力を持つキーパーソンとなりえる存在なのです。
★Gifted(ギフテッド)に関して詳しく知りたい方はこちらを参照してください!
→ギフテッドって何?ギフテッド小学生の今

日本においてもシリコンバレーの様に、アスペルガーをはじめとする発達障害の特性に着目し就労支援を行う事業が増えつつあります。

 

参考HP:就労移行支援事業所アーネストキャリア
https://earnest.ac/発達障害の人はit人材として類稀なポテンシャルを/

 

協調性を保つことや同僚や取引先との対人関係で苦手な部分がある発達障害の人は、就職後1年で3.5人に1人が離職するというデータがある中、発達障害者の能力を必要とし、定着率を上げようと企業改革も積極的に行われています。

 

参考HP:NHKクローズアップ現代
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4215/index.html?1542865454&fbclid=IwAR0u9vYfDnV909wDgN9otURrTLEt3otCyA3VVMLbB_KukrewvMYDt_obuCI

 

生きづらさにも成りえる発達障害が、現在では日々進化し続けるIT社会の更なる発展を担う貴重なポテンシャルとして期待が高まっています。

発達障害のお子さんを持つ保護者の方へ

 

発達障害児を抱える保護者にとっての最大の不安。それは何と言って我が子が自立して生きていくための将来的な就労問題ではないでしょうか。

今回紹介した、アスペルガー症候群などを代表とする発達障害とプログラミングの組み合わせは、まさに科学反応の様な相性の良さが特徴となっており、プログラマーやエンジニアといったIT関連の業種は、発達障害の可能性を最大限に発揮できる代表的な職種と言えるでしょう。

働き方の様々な多様性が認められている現在、障害はすでに障害ではなくなってきていると認める企業も増加傾向にあり、「障害」という名の「才能」を極めて技術を身に付ければ、国内はもちろん世界で活躍することも不可能ではないのではないのでしょうか。

まとめ

障害の有無にかかわらず小さなうちはその子の興味のあることや特性を伸ばしてあげる事が何よりも大事です。発達障害のこだわりを特性とするなら、興味のあるものや反応するものを少しでも多く発見し、小さなきっかけをたくさん増やしてあげた先に職業に繋がるものに出会えたなら、親にとっても子どもにとっても大変幸せなことでしょう。

小学校での必修化にはじまり、中学・高校ではさらに掘り下げた内容で学習が進められることから、プログラミングをより身近な存在として成長していくであろう現代の子ども達。学校では技術的な学習よりは思考的な部分を学んでいきますが、在宅で可能なプログラミング学習や、習い事としても教室が増えているので、楽しみながら技術を学び、発達障害があっても社会で活躍できるスキルを身につけるきっかけになればと願います。