まもなく必修化!学校のプログラミング教育準備の実態


【プログラミング教育特集】

『まだ間に合う!小学生の子どもをもつ親が必修化に向けて知っておくべきこと』
ということで、

前回の「プログラミング教育必修化で小学校はどう変わる?疑問を徹底解説!

に引き続き今回は第2章!
小学校でプログラミングが必修化される目的や内容は分かったけど、

プログラミング教育が導入する目的はわかったけど、実際に子どもが通っている学校では準備が進んでいるの?

準備って具体的にどんなことをしているの?

ということについて解説します!

プログラミング教育必修化に向けた学校の準備の実態

実は準備が順調とは言えない状況

2020年度のプログラミング教育必修化のスタートにむけて全国の小学校で準備万端!と期待したいところですが、実態はそうではないことがわかりました。

2020年1月9日、文部科学省は教育委員会を対象とした、小学校プログラミング教育の準備に関する調査の令和元年度の結果を、「令和元年度 市町村教育委員会における小学校プログラミング教育に関する取組状況等の調査の結果について」で公表しています。

都道府県別の集計結果をみると指導体制の整い具合は様々です。最も比率の高いところでは、調査時に既に100%との回答ですが、最も低い島根県では73.7%となっています。研修や模擬授業の実施や、その実施の予定もない、という回答の教育委員会もありました。

調査から見える課題

指導体制の準備が整っていない教育委員会では、どのようなことが原因で準備が進まなかったのでしょうか?

2017年に文部科学省が行った「教育委員会等における小学校プログラミング教育に関する取組状況等について」(平成30年度)から探ってみたいと思います。

プログラミング教育の実施に関する課題として得られた回答では、「ICT支援員の不足」を80.6%が挙げています。また、「そもそも何から手を付けたらよいのかわからない 」41%、「どのような支援が必要かわからない」47.1%と、プログラミング教育への理解不足も比率が高い状況でした。プログラミング教育への理解や指導方法を、先生方が一朝一夕に身につけられるとは考え難いですから、わからないという課題は今もあると推測できます。

プログラミング教育必修化に向けた学校の準備(指導者育成)

教員の感じている課題

実際に2020年度から学校現場で子どもたちに指導する先生方は、何に課題を感じているのでしょうか。
ネット上でも見ることができた、様々な団体が行っているアンケート調査などの結果をみると、いくつかの課題が浮かび上がってきます。

プログラミング教育の指導に自信がある教員が少ない

プログラミング教育に対してサポート要因など人的支援がほしい

プログラミング教育の概念が理解できていないので不安

機材の操作方法が理解できていないスキル不足からくる不安

日々の業務が多忙で研究の時間を確保できない

技能と知識を研修で身につけたとして、実際の授業を組み立てて実践することへの不安

想定できていないトラブル発生への懸念


プログラミング教育は、これまでの授業方法とは異なる手法となります。
先生方も、経験したことのない指導方法に向けて、これまでとは違う授業準備や計画をし、新しい授業のイメージを作らなくてはなりません。

不慣れな機器を目の当たりにして不安に感じるのも当然のことでしょう。

育成のために行われていること

様々な課題や不安を抱える現場に対して、プログラミング教育の授業ができる教員育成に、どんなことが行われているのでしょうか?

文部科学省の調査結果によれば、約93%の教育委員会が、実践的な研修や、模擬授業を含む授業の実践を行っているという回答をしています。最低限必要と考えられる指導体制の基礎が整っていないところも約7%あるということも同時にわかりました。(出典:市町村教育委員会における小学校プログラミング教育に関する取組状況等調査の結果について)

この結果をうけ、文部科学省は今後の対応として、

(1)最低限必要と考えられる指導体制の基礎が整っていない自治体等へのヒアリングを行い、より詳しい状況を確認

(2)(1)を踏まえながら、必要に応じて当該地域でのセミナー開催や、教員研修用教材等の提供などを実施

(3)最低限必要と考えられる指導体制の基礎が整っている自治体においても、一層プログラミング教育の充実に取り組めるよう、引き続き必要な情報提供等を実施

ということを明記しています。

自治体によって様々ではありますが、教員向けウェブページでは、研修企画の案内や、参考資料となるサイトへのリンク集をもっている教育委員会のサイトもありました。

あっという間に年度末を迎えそうですが、まずは指導者となる先生方の心理的ハードルが下がることを期待したいですね。

プログラミング教育必修化に向けた学校の準備(ICT環境)

ICT環境って何のこと?

プログラミング教育に使われる環境として、「ICT環境」という言葉がよく出てきますが、この「ICT」、何を指しているかご存知ですか?

「ICT」とは、「Information and Communication Technology(情報通信技術)」の略称で、通信技術を活用したコミュニケーションを指します。

「IT(Information Technology)」とほぼ同義ですが、情報処理の技術そのものをさす「IT」に対し、「ICT」はコミュニケーションという単語が表すような、「ヒトとヒト」「ヒトとモノ」などの間での情報の伝達や通信を重視しています。

また、国際的には、技術を指し示す場合にも「ICT」のほうが広く使われています。

プログラミング教育実施に必要なICT環境

プログラミング教育の実施に必要なICT環境とは、どのようなものでしょうか?
PC、タブレットといった、個々人が操作するディスプレイをもつ機器がパッと浮かぶ方も多いのではないかと思います。

文部科学省が提示している、学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議 最終まとめに、これからの学習活動を支えるICT環境のなかでも、最低限必要かつ優先的に整備すべきICT機器等についてまとめたものがありましたので、そこからICT機器等の種類を列挙してみます。

<学習活動を支えるICT機器>

・大型提示装置(プロジェクタ、電子黒板、大型テレビなど)
・実物投影装置(書画カメラ)
・学習者用コンピュータ(児童生徒用)
・指導者用コンピュータ(教員用)
・充電保管庫(学習者用コンピュータの充電と保管)
・ネットワーク(特別教室の有線LAN、その他の教室の無線LAN)
・いわゆる「学習ツール」(ワープロソフト、表計算ソフト、プレゼンテーションソフトなど)
・学習用サーバ

<校務等を支えるICT機器>

・校務用コンピュータ
・ネットワーク(有線LAN(無線LAN環境の学校もある))
・校務用サーバ
・ソフトウェア(セキュリティソフト、統合型校務支援システム)

最低限かつ優先的に、とされた機器だけでも結構なボリュームです。

万全ではないICT環境の整備状況

文部科学省の調査によると、学習者用(教育用)コンピュータ1台あたりの児童生徒数は、全国平均5.4台、最高は佐賀県の1.9台、最低は愛知県の7.5台(H31.3.1現在)という状況です。(出典:平成30年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(概要)【確定値】)

第3期教育振興基本計画では、3クラスに1クラス分程度を目標としているので、未達成であるとともに、地域差が大きいこともわかりました。

これまで文部科学省では、ICT環境整備に関するいくつかの支援を講じてきました。学校のICT環境を整備しましょう!(教育のIT化に向けた環境整備4か年計画(平成26~29年度))という資料では、ICT環境整備費が地方財政措置されることや、予算要求の進め方、教室内で複数のICT機器を利用した授業のイメージしたイラストもあります。

なお、地方財政措置は、教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(2018~2022年度)にあるように、前述の「教育のICT化に向けた環境整備4か年計画(平成26~29年度)」に引き続き講じることになっています。

地方財政措置により、機器調達の財源を得るルートは見えましたが、なぜそれでも進まなかったのでしょうか。

理由として以下のような点が挙がっていました。

・調達を担当する教育委員会は、ICTのプロではないので要件に適う機器選定が困難。
・ICT環境での学校教育の有効性を首長などが理解できるプレゼンテーションができない。
・地方財政措置は、その使途が自治体の裁量で決まるため、確実なICT環境整備にならない。


近年、ふるさと納税という仕組みが導入されるほど、地域によっては自治体の財政は良好とは言い難い状況。自然災害も頻度が上がっていて、緊急に対応を迫られる事案も多く起きています。多額の設備投資が必要なICT環境の構築に、積極的になれない自治体もあったことと思います。

おわりに

まもなく迎える、小学校でのプログラミング教育の必修化。安心してその日を迎えられる準備が整っていないのが現実です。

プログラミング教育が実施できるか不安な先生方は、まずはプログラミングを試してみてもらいたいですね。面白さを体感できたら、きっと子どもたちにも面白さが伝わる授業になることと思います。

家庭では、先生も含めて誰かが失敗しても、子どもが貶すようなことがないよう、失敗も成功も一緒に学んでいけるように、子どもたちを導けると良いのではないでしょうか。

次回は第3章

まだ間に合う!プログラミング教育必修化に向けて準備すべきこと!

です。ぜひご覧ください!