【あの国も!?】STEM(ステム)教育とは?海外事例を詳しく紹介!日本の現状も!

「STEM教育」って聞いたことありますか?
今、世界各国でSTEM教育という21世紀型の新しい教育が導入されています。
日本でもSTEM教育を普及させようとする動きが活発化しています!
今回の記事では、STEM教育の意味や内容、日本や海外での現状について解説します。
STEM教育の準備を始めたい保護者の方はぜひ読んでみてください!

日本では普及前!STEM教育(ステムきょういく)とは?」

STEM教育とは

Science(科学)
Technology(技術)
Engineering(工学)
Mathematics(数学)

それぞれの単語の頭文字を取った言葉です。
科学、技術、工学、数学の教育分野を総称してSTEMと呼びます。
これらの分野を総合的に勉強して、科学技術の発展に貢献できる人材を育てることを目的とされたのがSTEM教育です。
聞くと、「難しそう…」「うちの子に必要なの?」と思う保護者の方もいるでしょう。
科学、技術、工学、数学の勉強を総合的に…といわれても、専門的で分かりにくいですね。

この4つの分野の勉強とは、

  • 科学 = 観察、実験をもとに規則性を見つけ出すこと
  • 技術 = 最も適した仕組みや条件を見つけ出すこと
  • 工学 = 仕組みをデザインして、社会に役立つものづくりをすること
  • 数学 = 数量を論理的に使いこなしたり表したりすること

というようなことを学ぶことを意味しています。
科学、技術、工学、数学は、どれも科学技術に必要とされていて、お互いの分野が大きく関わり合っているのです。
将来的に科学技術開発やIT技術に貢献できる人材を育て、国際競争力を向上していくことを目的にSTEM教育が各国において重要視されているのです。

しかし、STEM教育の本質は自分で学んで、自分で理解していくこと。

「自分から進んでやろうとする力」
「新しいことを考え出す力」
「判断力」
「問題解決力」

といった能力を高めていくことをベースに考えられています。
これらの能力を高めるのを可能にするのが、IT、コンピューター、科学技術です。

子どもの頃から、興味のあることにとことん取り組んだり、パソコンやタブレットに触れて自分から学んでいく経験をしたり。子ども本人の好奇心の芽を育んでいくといいでしょう。そうしたことがSTEM教育へ抵抗なく取り組む力になり、やがて国際社会における「価値の高い人材」「専門性の高い人材」を増やすことにつながっていきます。

実はオバマ前大統領がきっかけだった

STEM教育が世界に浸透するきっかけをつくったのは、アメリカのバラク・オバマ前大統領でした。

オバマ前大統領は「科学を本来あるべき地位に取り戻す」ために、2000年代からアメリカにとって重要な教育対策のひとつとしてSTEM教育を推進していきました。

例えば2015年度のSTEM教育関連予算は29億ドル。施策として、10年かけてSTEM分野の卒業生100万人増・STEM専門教員10万人増。STEM教育推進のための高度な知識や技術を養うための学校改革。指導方法や学習方法の研究、等多岐にわたります。

オバマ前大統領のSTEM教育に対する熱意ある取り組みは、アメリカから世界へ広まっていきます。

STEAM教育(スティーム)との違いって?

STEM教育には、さまざまなバリエーションがあります。
子どもに学ばせるにあたって、まずはどのようなものがあるのか知っておきましょう。
STEM教育のバリエーションについて説明していきます。

STEAM(スティーム)教育

STEM(ステム)教育に「Art(芸術)」を加えたSTEAM(スティーム)教育。
科学や数学だけでなく、様々な分野の教育を横断的にバランスよく学び、各分野を応用して、物事に対応していく力や、問題解決を図っていく能力を高めていこうという教育です。STEMの論理的な思考に、芸術で大切な想像力や表現力をプラス。クリエイティブな発想が生まれたり、何でもチャレンジしようとしてみたりする力は、子どもが生きていく上でも重要な能力となり、学ぶ必要があります。文部科学省でも、STEAM教育の推進がうたわれています。

★詳しくはこちらの記事をご覧ください。

eSTEM(イーステム)教育

eSTEM教育は、STEM教育に「Environmental(環境)」を加えた教育です。
生活環境や自然環境、産業環境など、身近なものから世界規模の大きなものまで、あらゆる環境分野を学ぶシステムになっています。
eSTEM教育の狙いは、科学技術の向上だけではなく、環境問題まで配慮できる人材を生み出すことです。
eSTEM教育が浸透すれば、明るい未来が見えてきますね!

STREAM(ストリーム)教育

STREAM教育は、STEM教育に「Art(芸術)」と「Robot(ロボット)」を加えた教育です。
今やAI技術の進化はめまぐるしく、人間に代わってロボットが仕事をする時代がやってくることが予測されています。
STREAM教育には、AIが苦手とするクリエイティブな分野や高度なロボット技術を学ぶことで、ロボットを使いこなせる人材を生み出すといった狙いがあります。

GEMS(ジェムズ)

GEMSとは「Great Explorations in Math and Science」の略称で、幼児期から高校生位までを対象とした科学と数学の体験型プログラムの事です。カリフォルニア大学バークレー校の付属機関であるLHS(ローレンスホール科学教育研究所)で開発されています。

体験学習の理論に基づいてプログラムが構成されていて、例えば、用意された答えに合わせて実験をするのではなく、どの実験をしてみるのか、どう結論を出すのか等を自分たちで話し合って答えを探していくのです。

GEMSでは、子どもたちの柔軟な発想力や想像力が引き出されていくプロセスを重視しています。GEMSのプログラムで学習することで、自分で考える力、自分で学ぶ姿勢が身についていくでしょう。

海外のSTEM教育の現状

海外のSTEM教育の現状も知っておきましょう。
どの国もSTEM教育を重視している様子がうかがえます。

カタール

カタール大学のセンター・フォー・アドバンスト・マテリアルズ(CAM)では、STEM学習を専門的に受けている高校生達の育成を目的として、AL-Bairaqというプログラムを実施しています。
AL-Bairaqでは課題解決型学習として学生同士でチームを組み、出題された本格的な研究課題を解決していきます。
STEM教育を専門に学ぶ高校生に対して、直接指導することで大きな成長が期待でき、プログラムは大きな成果をあげています。

出典:STEM教育 各国の状況 カタール

中国

中国では、新しい価値を創造できる人材が絶えず輩出できるようにとの目的のもと、2010年に教育改革・発展計画が発表されました。
2017年には「義務教育小学校科学課程標準」(日本の学習指導要綱のようなもの)にSTEM教育が義務教育課程内に盛り込まれることが決定されました。さらに2018年に、約10年間の具体的なSTEM教育への計画等がまとめられた「中国STEM教育2029革新行動計画」が発表されました。中国ではこれからSTEM教育が浸透していくことでしょう。

出典:諸外国の政府におけるSTEM人材戦略の取組1 中国
初等中等教育における情報教育等の推進

イギリス

イギリスでは「科学とイノベーションに関する投資フレームワーク2004-2014」が発表され、STEM分野への人材確保の重要性が指摘されました。また、STEM分野を専攻する学生の数、研究職に就く学生の割合、中等教育の修了試験における科学学習の結果等、重要視される項目が挙げられています。

出典:諸外国の政府におけるSTEM人材戦略の取組2 イギリス

韓国

韓国では2013年に発表された「第3次科学技術基本計画」(2013年-2017年)では、STEM教科書、科学英才教育体制の強化、理工学系の分野での成功ビジョンを提示して、学生の進路指導の強化等、とても実践的な内容になっています。

小中学生に対して、放課後や週末等学校での授業が無い期間に、数学・科学を含む多様な分野へのプログラム式の英才教育を行う「英才教育院」という機関があります。また、小中学校内にも同様に数学・科学分野等の英才教育をおこなう「英才学級」が設置されています。

出典:諸外国の政府におけるSTEM人材戦略の取組3 韓国

シンガポール

シンガポールでは1997年に、思考力を育成していく教育方法が提起され、これまで知識中心で学習していたものが転換し、探求型学習が推進されるようになりました。政府が運営するサイエンスセンターでは、全ての中学校の生徒に向けSTEMプログラムを提供するため、2014年「STEM Inc」が始まりました。

STEMのスペシャリストや、エンジニア、STEM講師が学校現場まで赴いてカリキュラムを作成したり、授業をサポートしたりと、現場に即した学習支援をします。

シンガポールのSTEM教育は数学や科学といった教科ごとに分けて学習するのではなく、実社会での活かされ方によってカテゴリー分けされています。子どもの得意な部分にフォーカスして学習させることができます。

出典:諸外国の政府におけるSTEM人材戦略の取組4 シンガポール
日本の20年先を行く!シンガポールのSTEM教育とは?【前編】理数教育を重視してきたシンガポールの国家戦略!

アメリカ

STEM教育をいち早く取り入れ、国を挙げてSTEM学習を推進してきたアメリカ。

それでもSTEM関連の人材が100万人不足するとの予測が出されたため、STEM教育を強化するための計画が発表されています。

2020年までに初等中等教育のSTEM教育のための教員を10万人養成する、高校を卒業するまでにSTEMを学習した経験のある若者を50パーセント増加させる、職業訓練としてSTEM教育を受け、職場で必要な技術が得られる機会を設ける、といった内容が盛り込まれています。

そして、2018年に発表され、アメリカの今後5年間の教育戦略がまとめられた「STEM教育戦略」。連邦省庁の複数の関係機関からSTEM教育戦略に約30億ドルが投資されました。報告書の中では、STEM学習の経験に芸術や社会科学などの分野を組み合わせて学んでいくことが大切だと強調されています。

また、マイノリティや女性がSTEM教育に参加することも重要視されています。

出典:諸外国の政府におけるSTEM人材戦略の取組1 アメリカ
【ニュース・アメリカ】大統領府、今後5年間のSTEM教育戦略計画を発表

EU

EU全体でも、STEM教育について様々な戦略がたてられています。EU加盟国の中で、先進的な取り組みがあれば、EU全体で取り上げて共有し、EU全体のレベルの底上げを図っています。

2007年に「今日の科学教育 欧州の将来に向けた新しい指導法」が発表されます。この報告書の冒頭で若者の科学・数学教育離れが危惧されていて、改善策が練られています。例えば、地方・地域・国・EU全体それぞれのレベルで科学教育の改善を要求する。女子児童が科学教育への関心を広げる必要性、科学教育の改善のため「探求型の授業」を採用する等、以上のようなSTEM教育の重要性が強く説かれています。

出典:今日の科学教育: 欧州の将来に向けた新しい授業法

日本のSTEM教育の現状

さて、それでは日本でのSTEM教育の動向を見ていきましょう。

STEM教育の導入に向けて以下のような取り組みが始まっています。

  • 2020年の小学校プログラミング教育必修化
  • 文部科学省によるスーパーサイエンスハイスクールの支援
  • 国際科学技術コンテストや科学の甲子園の実施
  • 中高生の科学研究実施活動推進プログラム(2019年3月末で活動を終了しています)、次世代科学者育成プログラムなどの推進

また、STEM教育を日本で広めるため、さまざまな研究機関や協会が設立されています。

  • 日本STEM教育学会
  • STEM教育協会
  • STEM教育研究センター

他にも、STEM教育プロジェクトという組織もあり、STEM Questというwebサイトで、STEM教育に関するイベントや教室などの情報を発信しています。

また、先ほど紹介したGEMSに関する機関「GEMSセンター」が公益社団法人日本環境教育フォーラム(JEEF)内に設置。

子どもたちの数学・理科嫌い対策や指導者としての考え方の伝達などの教育が行われています。

STEM教育の教室は、国内でも増えてきています。「プログラミング教室のお知らせ」を目にしたことのある方も多いでしょう。

ソフトバンクがSTEM教育に参入し、「STELABO(ステラボ)」の全国展開を目標に掲げたこともあり、今後ますますSTEM教育を学べるスクールは増えていくと考えられます。

日本ではじまる前に!STEM教育に備える方法

日本でもSTEM教育が重要視され始め、少しずつ取り組みも広がってきています。
STEM教育は今後益々普及していくことでしょう。
時代に取り残されないために、STEM教育に備える方法を紹介します。

STEM教育ツールで遊ぶ

STEM教育に備えるために、STEM教育ツールで子どもと一緒に遊ぶことをおすすめします。
STEM教育ツールとは、プログラミングが学べるアプリやサイト、おもちゃのことです。
ゲーム感覚で学べるものから本格的なものまで、さまざまなSTEM教育ツールがあります
遊びながら学べるなら、「プログラミングって何?」という子どもでも、気軽にSTEM教育に取り組めますね。
また、STEM教育ツールは子ども向けとは思えないクオリティのものがほとんどです。
大人でも本気になって楽しめてしまいそうです!大人が楽しんでいるものには、子どもも興味を持つものです。
家族みんなで遊びながら、STEM教育に備えてみてはいかがでしょうか!

★家庭で学べるSTEM教育に関してはこちら!

ものづくりや科学に触れる機会を増やす

ものづくりや科学に触れる機会を増やすことも、STEM教育に備えられる方法です。
プログラミングは、自分のアイデアをコーディングして形にします。
つまり、ものづくりのひとつといえます。
STEM教育以前にも、普段からものづくりに触れていれば、アイデアや想像力が鍛えられていくことでしょう。
柔軟な発想力はSTEM教育でも重要なことの一つですね。
さらに科学の動画を見たり、科学実験イベントに参加したりして、科学への楽しみを体験させてあげることもSTEM教育の準備としてとても効果的です。

おわりに

科学、技術、工学、数学を総合的に学ぶSTEM教育。
まだ周囲でSTEM教育という言葉が浸透しているとは言えないかもしれませんね。
でもこの先の教育で重要になっていくことは間違いありません。
 日本でSTEM教育の導入が始まったばかりの今だからこそ、保護者の方もSTEM教育について理解を深めていくことが大切です。
その上で、子どもが興味を持ったものにとことん一緒に付き合ってみたり、STEM教育ツールで遊んでみたり、身近な科学に触れたり…。
保護者の方も難しく考えずに柔軟な発想で、できることからSTEM教育に備えてみてください!