STEAM(スティーム)教育とは?アートが学びに与える影響とは

 

プログラミング教育と同時に広まりつつあるSTEAM教育。中でも、最近加わったアート分野への関心が高まっています。そもそもSTEAM教育とはどういった教育法なのでしょうか?芸術は学びにどんな影響を与えるのでしょうか?

今回は、STEAM教育のアート分野に関する内容をお届けします。

 

STEAM教育にアートが加わった理由と意味

 

元は「STEM教育」だった

まだ耳慣れない「STEAM教育」ですが、もとは「STEM教育」と呼ばれていました。現在日本にある「STEM教育協会」や「日本STEM教育学会」も、元来の表現が使用されています。

そもそも、この「STEM」というのは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(ものづくり)、Mathematics(数学)という4つの単語の頭文字をつなげたものです。アメリカが技術分野での競争に勝ち残るために始めた教育方針で、日本でもプログラミング教育などで意識されるようになりました。ここにArt(芸術)を加え、概念が広がったものが「STEAM教育」です。

 

どうしてアートが加わったの?

もとはロボット研究やAI・システム開発に強い人材を育成するために始まった「STEM教育」。ところが次第に、こういった研究開発を行うには、理数系に強いだけでは不十分であると考えられるようになりました。自由な発想力や想像力、自分の考えを具体化し、表現して伝える力、新しいものを生み出す創造力などがあって初めて、身につけた知識や技術が生かされるのです。

そして、このような発想力や想像力を鍛えるために取り入れられたのが、アート分野です。自分の知識を生かし、新しいものを生み出す力が必要とされています。

 

求められている人物像とは

先述したように、幅広い知識や専門的なメソッドをもっているだけでは、現在の技術社会を支えることはできても、さらなる進化に寄与することはできないと考えられています。現在求められているのは、ロボット、AI、IoTなどの技術を理解し、さらに発展させることができる人材です。

これらの技術は今後も需要が高まり続け、人間が行っていた役割を果たし、本来は人間が行うべき仕事を担う時代がやってくるでしょう。ところが、その道筋を作るのは、他ならぬ人間自身です。ロボットになにをさせ、どんなAIが求められているのか、それを見極めた研究開発を行える人物が必要とされています。

  

STEAM教育のアート分野で身につけたい力

 

自由な発想力・表現力

アート分野は科学や数学分野と異なり、どこにも正解がありません。ある程度のノウハウや技術は必要だとしても、基本的な「あなたはなにを表現したいの?」という問いをクリアできない限りは、なにも生み出すことができないのです。

そのため、STEM教育にアートを加えることで、もっている知識や技術を生かした表現力が身につきます。さらに、「こんなシステムがあったらいいな」「このシステムを応用すればこんなことができるな」と、新しい発想へとつながるでしょう。

 

自分の考えを伝える力

アートに答えがないことは先述しましたが、だからこそ、「なぜこの絵を描こうと思ったのか」「この音楽でなにを表現したかったのか」という自分の考えを伝える力が必要です。さらには、表現したかったものが表現できているのか、よりよい表現のためにはどうすればいいのかを繰り返し試行錯誤することになるでしょう。

これはコミュニケーション力とも言え、将来的にはプレゼンテーション力にも生かされます。「自分が開発したシステムではこんなことができ、こんな場面で役立つ」「こういった問題を解決してくれる」と自分からアピールする力はとても重要です。特に日本人は自己表現が苦手であると言われることが多いため、小さい頃から自分の考えを伝える訓練を繰り返すことは非常に有効です。

 

人工知能には不可能な創造力

人工知能は、過去のデータを記憶・分析し、次に与えられたアクションへの最適解を見つけることが得意です。データを与えれば与えるほどその制度が増し、より人間に近づくと言われています。ところが、人工知能がいくら人間に近づいていても、「人間からの問いかけ」「人間に必要とされるシーン」がない限り、その能力は発揮されません。現時点で、ゼロから一を生み出すことはできないのです。

STEAM教育分野に限らず、今後は「人工知能にはできない仕事」や「人間にしかないクリエイティビティ」が一層重要視されるようになるでしょう。アート教育を通して発想力や表現力・自己主張力を身につけ、人工知能には不可能な創造力を育てる必要があります。

 

 

実際にSTEAM教育で生かせるアートを学ぶとしたら?

 

絵画教室や造形教室に通う

STEAM教育のアート分野は、その内容に明確な定義はありません。そのため、「STEAM教育に特化したアート教室」というものもありません。一般的な習い事によって、芸術教育を受けるようにしてください。

「アート」と聞いてまず思い浮かべるのは、絵画教室や造形教室ではないでしょうか。絵を描いたり工作物を作ったりすることで、表現力や想像力が鍛えられることはもちろん、手先が器用になる、完成までコツコツと取り組む忍耐力が身につく、などさまざまなメリットがあります。

 

ピアノを習ったり音楽教室に通ったりする

もうひとつ、アート分野で人気の習い事と言えばピアノです。ピアノは技術力がある程度身につかないと、なかなか「表現」までたどり着けません。ただ、音楽教室で体を動かした遊びを行ったり、歌唱表現を学んだりすれば、ぐっと身近に感じることができるでしょう。

STEAM教育の一環としてピアノを習うなら、教室選びを慎重に行う必要があります。トッププレーヤーをめざして技術を磨くような教室ではなく、個性を大切にのびのびとした音楽を楽しめるような教室を探しましょう。事前に見学や体験を行い、自分たちに合った雰囲気であることを確かめてください。

 

「技術を身につける」のではなく「感性を磨く」

今回紹介した「絵画・造形教室」や「ピアノ・音楽教室」だけでなく、工芸やグラフィックアート、さらにはダンスを踊ったり本を読んだりすることでも、芸術力を磨くことが可能です。また、STEAM教育に直結する「プログラミング教室」に通えば、基本的なプログラミング力と、それを活用するための表現力の両方を身につけることができるでしょう。

STEAM教育におけるアート分野で大切なのは、絵を描いたりピアノを弾いたりする技術が必要なのではないということ。「こんな絵を描きたい」「こんな風に演奏したい」「こんな工作物を作ってみたい」というように、子どもの自由な発想を大切に育てましょう。自然の美しさを感じたり、日常生活の中から音楽を感じ取ったりできる感性を磨くことができれば、STEAM教育以外の学びや生活の彩りにもなるはずです。子どもの興味関心を尊重した習い事選びを行ってください。

おわりに

以上、STEAM教育についてと、アートが学びに与える影響について紹介しました。

「アート」と「ロボット、AI、IoT」は対極の位置にあるもののような気がしますが、研究開発に関わる人材においてはそうではありません。自由で柔軟な発想力、想像力、自己表現力やプレゼンテーション能力など、さまざまな能力が求められています。これからの国際社会において、数学や科学ができるだけでは、第一線で活躍することが難しいとも言えるでしょう。

アートを学んでこそ、その他の分野の学びが生かされます。机に向かう勉強だけでなく、広い視野をもってあらゆることに挑戦する姿勢を大切にしてください。