小学校に取り入れられるSTEAM教育とは

 

小学校でプログラミング教育が導入されるにあたって使われているSTEM(ステム)もしくはSTEAM(スティーム)教育という言葉を聞かれたことがあるでしょうか?想像しやすいプログラミングと違って「STEAM教育が必要になります」と言われても、え?何のことだかわからない!という方もいらっしゃるでしょう。

 

ここではそもそも「STEAM」という言葉(スペル)の意味から学校外での学習方法などについてご紹介していきます。

小学校で始まるSTEAM教育の現状と背景

 

STEAM教育とは?STEM・プログラミング教育との違い

まずSTEAMの前身「STEM(ステム)」の言葉の意味ですが、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の頭文字を繋げたものです。

 

その「STEM」に、受け身の科学技術の知識だけではなく、自ら自由に表現すること、個々の感性を活かすことも大事にするという意味で「Art」の「A」を加えたのが「STEAM(スティーム)教育」です。表現力を養うことは普通の社会生活でも大事なことですよね。

世界的にSTEAM教育が必要となっている現状

STEAM教育の発祥はアメリカです。2011年にオバマ大統領がSTEM教育を優先課題に位置付ける演説をし、産業・財界人も趣旨に賛同して学校を設立させるなど動きが広がりました。さらに2013年にはSTEM教育がアメリカの「重要な国家戦略」に指定され、現在ではアーティスティックな要素も加えたSTEAM教育が主流となり教育の場が拡がっています。

 

その後、欧州・アジアと世界的にSTEAM教育が広がった背景には、この数十年で凄まじい発展を続けているデジタル・IT産業の技術者の不足があります。2030-40年には今の人間の仕事の約半分がAIで代用できる第4次産業革命がくると言われていますが、それを作り出したり操作・管理する技術者がどんどん全く足りなくなっていくと予測されているのです。

STEAM教育が日本の小学校に取り入れられることになった背景

 

日本の小学校にもSTEAM教育が始まることになった背景は、下記調査によると日本でも2015年で17万人の技術者が不足しており、2030年にはニーズの拡大に反比例して人材は減少し、さらに59万人が不足するだろうと予測されているためです。

 

経済産業省「IT人材の最新動向と将来設計に関する調査結果」より
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/27FY/ITjinzai_report_summary.pdf

 

ただし、IT技術者を育てるための教育が小学校で始まるわけではなく、論理的なプログラミング的思考を育てるのが目的とされています。

日本の小学校でのSTEAM教育と世界のSTEAM教育

 

日本で始まる小学校でのSTEAM教育の内容

前述しましたが、小学校で始まるSTEAM教育の一つであるプログラミング教育は、プログラマー育成のための教育ではありません。この教育のねらいは「思考力・判断力・表現力など」を論理的に展開できる「プログラミング的思考」を育むことです。

 

経済産業省「未来の教室プロジェクト」「小学校プログラミング教育の手引き」より
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouikusaisei/jikkoukaigi_wg/kakusin_wg4/siryou4.pdf

 

具体的には現在の授業(国語・算数など)の単元はそのままで、内容の理解を深めるツールとして「コンピュータに意図した処理を行うよう指示することができるということ」を体験させる、とあります。モデル校として実施された授業例では図形をパソコンを使って描かせたり、スポーツとの連携授業でタグラグビーの動きを数値化する、などの授業が紹介されています。

 

日本の小学校でのSTEAM教育開始に向けた準備

 

上記「未来の教室プロジェクト」によると、小学校でのSTEAM教育はプログラミング教育として2020年より導入されることになっていますが、実はその準備はまだほとんど整っていません。3クラスに1クラス分=3人/台のパソコンを設置目標としていましたが、2018年3月時点でも5.8人/台で半分しか揃っておらず、無線LANの整備にもまだ時間がかかるそうです。

 

文科省・経産省総務省「初等中等教育における情報教育などの推進」より
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/suishinkaigo2018/koyou/dai6/siryou4.pdf

 

国の指針に沿ったプログラム教育を行うためには大規模なハード・ソフトが必要になりますが、揃えるための予算が各市町村で決定できていないため現場も具体的な授業計画ができないのが現状のようです。ただ、これは大きな設備投資となりますので、焦らず、しっかり考えられたものが整っていって欲しいですね。

世界のSTEAM教育はどうなっているの?

 

アメリカではSTEM教育が2013年に国家戦略とされて以降、産官学が連携したSTEM教育が国を挙げて進められています。公か私か、州、学校の性質にもよりますが、小中高に当たる学校にプログラミングや研究用ロボットの授業が加えられています。

 

また、アメリカ以外でもオーストラリアで2009年に高校生対象のiSTEMプログラムが開始され、カナダでは2011年に20大学のSTEN学科入学支援が始まり、ベトナムでは2012年に私学でのSTEM教育の開始、香港も2015年にSTEN教育本格指導を発表して外部の専門家の力を借りてそれぞれ進められています。

 

「21世紀の教育・学習」世界のSTEM教育の潮流より
https://meti.go.jp/committee/kenkyukai/mirainokyositu/pdf/001_09_00.pdf

小学校以外でのSTEAM教育

 

プログラミング教室・プログラミングアプリについて

小学校以外で学ぶフィールドも徐々に広がり始めています。自分でロボットを組み立て、それを動かすプログラムをパソコンで作るプログラミング教室から、外遊びをしながら「なぜ?」を引き出す教室、化学実験をするクラブなど様々です。

 

家で遊べる無料のプログラミングのアプリも色々あります。中でも早くからよく使われている「スクラッチ」は命令ブロックを組み合わせていくもの、年少向け「スクラッチJr.」はイラストボタンをパズルのように組み合わせていくものです。他にもイラストボタン式「LightBot」や、自分で書いた絵を動かすことができる「ビスケット」も人気があります。

テクノロジー芸術・ものづくり・ワークショップなど

他にも、いわゆるパソコンを使ったプログラミングではなく、STEAMの「S」科学技術、「A」アートの領域の学習も様々な教育が展開されています。

理科実験を行うサイエンスクラブ、図形をカードで立体的に作っていくことを競いながら数理的・数学的センスを養う教室、デジタルアートのイベントやラボを展開しているチームラボでのワークショップなど、親子でも楽しめるものも増えています。

親世代も一緒にSTEAM教育に触れよう

これから徐々に始まる第4次産業革命はデジタル世界に支配されるのではなく、機器を「使いこなせる」「作り上げる」センスが大事になります。STEAM教育は今後の全ての人の生活にとっても必ず役に立地ます。親世代にとってもネット社会の危険性を学ぶことは大事なことですし、いい機会として子どもと一緒に遊び感覚で触れてみませんか。

おわりに

STEAM教育とはそもそも何なのか?世界的にIT技術者が圧倒的に不足していることから導入された背景があるとは言え、小学校でプログラマーを育てる教育ではないこと、導入にあたっては現場も準備が万全ではない事は伝わりましたでしょうか。

最初は苦手でも、簡単なプログラミングアプリで遊びながら論理的思考が身につくのであれば普段の生活にも活かせそうですね。

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