「自分にできる?」ではなく「どうやったらできる?」自分の可能性を拡げていこう!『プレイフル・シンキング』は「働く人と場を楽しくする思考法」

あなたは、課題に直面したとき、どのように取り組んでいますか?
「自分にできるだろうか」それとも「どうやったらできるだろうか」?
考え方の違いで、自分の可能性が広がるかそうでないかが変わってきます。
そのキーワードが「プレイフル・シンキング」。
上田信行氏著の『プレイフル・シンキング 働く人と場を楽しくする思考法」を紹介します!
著者紹介!上田信行氏
「プレイフル・シンキング」を執筆されたのは、上田信行氏。
同志社大学名誉教授、ネオミュージアム館長をされています。
専門は教育工学で「どのように教えたら子どもたちがより豊かにより深く学習できるか」について研究されています。
1970年代、アメリカで教育学を学んでいた時、「セサミ・ストリート」の制作現場を見たことにより「仕事は楽しくていい」「能動的に他者と関わっていくプロセスこそが学びになるのでは」と考えるようになったそうです。
人生を楽しく豊かにしてくれるのが学びであり、楽しさの中にこそ学びがある。
その思いで、状況に応じて「プレイフル」に考え、プレイフルに振る舞えるための本として「プレイフル・シンキング」を出版されました。
プレイフル・シンキングとは?
上田氏によると、「プレイフル」とは「本気で物事に取り組んでいる時のワクワクドキドキする心の状態のこと」。
もともとの「プレイ」は「遊んでいるときに感じるワクワクした気持ち」。そして「満ちている」という意味の接尾語「フル(-full」にかけて、「ワクワクする気持ちがあふれている」というイメージだそうです。
「遊んでいる時に感じるワクワク」と言われると、日が暮れても、親が「ごはんだよ」と呼んでもやめない、何かに没頭していた子どもの頃のことを思い出すのではないでしょうか?
何に没頭していたかは、友達と遊ぶことだったり、何かを作ることだったり、読書だったりと、さまざまです。
ただ、共通しているのは、「本気で」取り組んでいて、「ワクワクドキドキ」していたこと。
「こうしたらどうなるだろう?」「これは何?」などの純粋な好奇心。だからこそ、探求心が刺激され、工夫をこらしていたのかもしれません。
もし、この「プレイフル」な状態を遊びの場面だけではなく、仕事の場面で発揮できるとしたらどうでしょうか?
プレイフル・シンキングを働く場に活用しよう!
創造的な学びは「体験」→「振り返る」→「意味づけする」というプロセスを繰り返すということ。
つまり、大人にとっての学びは職場にあり、仕事そのものと言えるでしょう。
「プレイフル・シンキング」を仕事に活かすためのポイントは次の通りです。
プレイフルに働くとは
①真剣に向かいやってみること
②柔軟に変わっていくこと
③メタ認知すること
④HOWの精神で共創すること
⑤実現できそうな予感にワクワクすること
ここで注意すべきなのは、プレイフルを疎外するものの存在です。それは「心のあり方」。
表に出てくる感情や行動に影響を与えているのが「心のあり方」だからです。
何か課題が出てきたときに「Can I do it?」と考えるのか「How can I do it?」と考えるのか。
変化を恐れるのかそのままでいいと思うのか。
「努力しても自分は変わらない」と思うのか「努力すれば自分はいくらでも変われる」と思うのか。
人がプレイフルになることを疎外するのは自分が変わっていけるという予感をあまり持つことができない、心が硬直した心のあり方です。
この状態は楽しく仕事をすることを難しくするばかりか、仕事を通じて自分が成長していく機会を奪ってしまいます。
根っからのプレイフル・シンキングになることを目指すのではなく、プレイフル・シンキングに考え、振る舞えるようになること。
それが大切です。
プレイフルさを取り戻そう!
子どもの頃は、みんなが「プレイフル」。
遊びに真剣に向き合い、楽しみ、学んでいました。
しかし、いつの間にか「プレイフル」を忘れてしまい、「仕事がおもしろくない」「自分にできるだろうか」「よく見られたい」と、心がカチカチに固まってしまう人も少なくありません。
では、どうすれば「プレイフル」を取り戻せるのか。
次のステップを踏まえてみましょう。
ステップ1 コチコチな心から自由になる「メタ認知」
自分が置かれている状況を俯瞰的にみてみましょう。
視点を変えることで気づくこともあるはずです。
気づきや言語化を通して自分の可能性を拡げていくことができます。
メタ認知のコツは、頭の中で考えていることを、紙に書き出してみること。
自分の考えを第三者の視点で見ることができ、違う角度からの視点を持つことができます。
ステップ2 仕事をおもしろくする課題設定
第二のステップは課題に没頭すること。
そのためには課題がおもしろくなければなりません。
ここで先ほどの「視点を変える」を思い出してみましょう。
「課題がおもしろくない」のは、あなたがそう感じているから。
「おもしろくない課題」が存在するわけではないのです。
解決法は
- 自分なりに課題を設定しなおしてみること(課題設定)
- 自分なりの目標を設定すること(目標設定)
の二つがあります。
「課題設定」は言われた通りに仕事をこなすのではなく、「自分ならどうするか」と、自分事に捉えなおし、自分が納得できる意味を仕事に与えること。
「目標設定」は、進むべき方向を見定めることとは別に「自分にとっての仕事の意味づけ」です。「これなら頑張りたい」「これなら楽しめそう」という自分の目標を設定するとよいですね。
もし「自分には夢や目標はない」と感じていても、プレイフルに過ごしていくことできっと見つかる、と上田氏は言っています。
また、「一度決めた目標は変えてはいけない」と思いがちですが、それもプレイフルに考えてみましょう。
状況も、あなたも変化していくもの。その変化に応じて目標を変えてもいいのです。
ステップ3 可能性は状況の中に。 How can I do it?
ある課題に対して「自分にできるだろうか」ではなく「どうすればできるだろうか」と考えること。
その際、自分一人の力ではなく、自分の置かれた状況、つまり人、モノやコトをすべて活用し、一人ではなくみんなで解決するにはどうすればよいか考えること。
一人では難しく思えた課題も、周りのサポートがあると「できそう」という可能性がみえてくるのではないでしょうか。
ステップ4 素材を使いこなす プリコラージュ仕事術
ステップ3の考え方ができたら、次は、その状況を使いこなすこと。
たとえば、レストランでの料理ではなく、冷蔵後にあるものを活用して作る家庭料理のようなもの。このようなモノづくりのことを「プリコラージュ」と言います。
「〇〇がないからできない」ではなく、今置かれている状況を活用し、その中で最高のパフォーマンスを上げるにはどうしたらいいかを考えること。
自分の力だけではなく、上司や部下、どんな状況か、制約があるリソースの中でいかに活用して「できる」に持っていくか。
「ない」に注目するのではなく「ある」に注目することで、新しいアイデアも浮かんでくるかもしれません。
プレイフルに働くには4つのPにまとめることができます。
Projects(課題):与えられた課題を自分の課題として再設定
Passion(情熱):課題が自分事になり、見通しが見えてくれば「やりたい!」という情熱が湧いてくる
Peers(仲間):一人ではなく、誰かと一緒ならできるかもしれないという共同的自信が生まれる
Play(挑戦):冒険心を持って、新しいことに挑戦し、自分の限界に挑戦し、自分の限界を試し、リスクを取ながら何度もやりなおすこと
「仕事がおもしろくない」と感じたら、ぜひこのステップで考えてみましょう。
どうしたらプレイフルになれる?プレイフルになれる工夫と手段
プレイフルを取り戻す方法とは別に「プレイフルになれる」具体的な方法もあります。
いくつか紹介しましょう。
ポスト・イット
いわゆる「ふせん」です。
そこに、みんなのアイデアや意見を書いてはるだけで、意見を共有したり議論を活性化できるツール。
長い文章を書くのは、「しっかり考えなければ」「論理的に筋道立てて伝えなければ」と考えてしまいますが、ポスト・イットなら気負わずに書けますね。
頭の中にある、「思い付き」もちょっとした「気になること」も、文字にして他の人にも見えるようにすることで、議論が生まれたり、新たなアイデアが生まれるきっかけになりそうです。
ロッケンロール(大きなロール紙)
こちらもポスト・イットに似ていますが、違うのは参加者全員で大きな一枚の紙に書き込んでいくこと。
ロール紙は788㎜×50mの長くて大きなものを使うそうです。
大きな紙に、黒だけではなくさまざまな色で書く。大きく書くには、体の動きも大きくしなければなりません。
頭で考えるだけではなく、自然と体も使えてしまうツールです。
レゴブロック
仕事の場にレゴブロックとは意外性がありますね。
気持ちや考えをレゴブロックで表現することで、共感しながら対話し、みんなでアイデアを共有、省察(せいさつ:自分のことを顧みて考えをめぐらすこと)することができるツールです。
気持ちや考えという「無形」のものに、レゴブロックという「有形」の色や形を与えるユニークな表現や省察の手段です。
仕事の場面で「レゴブロックで今日一日の気持ちを表現してください」と言われたら、驚くと同時に、「どうやって表現しようかな?」とちょっとワクワクしてしまいますね。もしかすると、苦手に感じる人もいるかもしれませんが、そこは考え方を変える、視点を変える取り組みだと割り切って取り組んでみると、いつもの自分の視点ではないメタ認知ができるかもしれませんよ。
働く人と場を楽しくするプレイフル・シンキングを活用してみよう
「自分にできるだろうか」ではなく「どうすればできるか」
「一人でやらなければ」ではなく、「状況、つまり人やモノ、コトすべてを活用し、みんなで課題解決にあたること」
これらの違いにあるのは、考え方。
普段のモノの見方や考え方に「プレイフル・シンキング」を取り入れることで、楽しむ中で創造性が発揮され、学び、成長していける。
自分だけではなく相手がプレイフルになるために何ができるか。
それを考えた時に「喜びの循環モデル」ができ、職場だけではなく、自分や相手の人生、ひいては周りの環境も良い方向へ変わっていくでしょう。
書籍には、もっと詳しい考え方やツールや工夫が満載です!
ぜひ読んでみてくださいね!
『プレイフル・シンキング 働く人と場を楽しくする思考法』