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農家になるには何が必要?仕事内容とやりがい・必要な力まとめ

みらいの学び
公開日:2025年12月1日 更新日:2025年12月1日
農家になるには何が必要?仕事内容とやりがい・必要な力まとめ

農家は、日本の食を支える大切な仕事です。

近年では、自然の中で働くことに魅力を感じ、農業に関心を持つ若い世代も増えているよう。

「野菜ってどうやって作られるんだろう?」「お米ってどうやって作るのかな?」とお子さまが少しでも興味を持ったら、家庭菜園を始めてみるのもよいかもしれませんね。

もし農家になる場合は、自分で準備や手続きを進める必要があります。

ここでは、農家の仕事内容に加え、始めるための手続き、向いている力などをわかりやすくまとめました。

「農業ってこんなお仕事なんだ!」と、親子で学ぶきっかけになれば幸いです。

もくじ

    農家になるには何が必要?仕事内容まとめ

    ここでは、農家の基本について知っておきましょう。
    農家になるには何が必要なのか、仕事内容やスケジュールについても解説しています。

    作物を育てて売るまで|栽培〜出荷〜販売〜経営

    農家は、作物を育てて収穫し、出荷・販売して収入に繋げる仕事です。

    土作りや種まき、田植え、肥料や水の管理、雑草取りなど、毎日のこまめな手入れが欠かせません。作物の種類や季節によっては、夜間に状態を確認することもあります。

    また、台風・大雨・積雪といった自然災害への備えや、より良い作物を作るための品種改良、減農薬・有機栽培などの研究も大切な業務。収穫した作物はJAや市場へ出荷するほか、直売所やネット販売など、自分で売り方を工夫することもできます。

    季節ごとに変わる!農家の1年のスケジュール

    農家の仕事は、季節や作物の成長に合わせて大きく変わります。

    春は種まきや土づくり、苗の植えつけが中心となり、夏にかけては水や肥料の管理、雑草取りなど毎日の手入れが続きます。

    作物が育つ夏の終わり〜秋は収穫と出荷が重なるため、一年でもっとも忙しい時期。収穫が落ち着く秋から冬は農閑期となり、来年の準備や設備の点検などを行い、次のシーズンに備えます。

    また、母の日のカーネーションや、クリスマスのポインセチアといった季節限定の花を扱う農家では、特定の日に合わせた出荷が必要なため、忙しさの時期も変わってきます。

    働き方はいろいろ!個人・法人・兼業のちがい


    農業には、個人・法人・兼業などさまざまな働き方があります。どのような違いがあるのかをチェックしてみてください。

    個人農家

    個人で農業を営む形で、収入は個人の所得として扱われます。家族で協力して行うケースが多く、自分のペースで仕事を進められる点が特徴です。

    農業法人

    会社組織として農業を行う形で、株式会社や合同会社などの「会社法人」と、農業協同組合法に基づいて作られる「農事組合法人」にわかれています。組織的に働けるため、給与制や福利厚生が整っている点が魅力です。

    兼業農家

    農業以外の仕事と農業を両立する形です。

    おもな収入源が農業かそれ以外の仕事かで「第一種兼業農家」「第二種兼業農家」に分類されます。副業所得よりも農業所得が多い農家を第一兼業農家、農業所得よりも副業所得が多い農家を第二兼業農家と呼びます。

    農家になるには何が必要?4つのなり方と始め方

    ここでは、農家を始める4つの方法について解説しています。それぞれどのようななり方があるのかを紹介していきましょう。

    自分の畑を持って始める「独立就農」

    自分自身が経営者となり農業を行う方法です。

    他業界から始める人も多く、酪農や農作業のヘルパーとして経験を積んだり、研修生として農業の基礎を学んだりするケースが一般的です。自分で計画を立て、経営から作業まで責任を持つことが求められます。

    会社で働きながら学ぶ「雇用就農」

    農業法人などに就職して働く方法です。

    収入を得ながら、農業の知識や技術を身につけられる点が特徴。自分の思いどおりにすべて進めるのは難しい面もありますが、実務を通じて農業を学べるため、将来的に独立を目指す場合でも有効な方法と言えるでしょう。

    家の仕事を受け継ぐ「親元就農」

    実家の農業を受け継ぐ形で働く方法です。

    地域に根ざした農業や経営のノウハウ、栽培技術を引き継げる点が特徴です。地域社会とのつながりが強く、安定性も高いため、家族経営の強みを活かしながら働けます。

    将来的には、自分なりに工夫して発展させることも可能です。

    ほかの仕事と両立する「兼業農家」

    農業とほかの仕事を両立させる働き方です。

    農業収入が主か副かで、「第一種兼業農家」と「第二種兼業農家」に分類されます。

    農業だけで生活するのが難しい場合や、趣味や地域活動と合わせて農業を続けたい人に向いている働き方。自分のライフスタイルに合わせて柔軟に働ける点が魅力です。

    農家になるにはどんな準備が必要?始める前に知っておきたいこと

    ここでは、農家を始める前に知っておきたいことをまとめました。農家になるには、さまざまな準備が必要です。ひとつずつ見ていきましょう。

    農地はどうやって確保する?借りる方法と買う方法

    初期費用をおさえて始めたい人には、農地を借りる方法が向いています。
    おもな借り方としては、以下の方法があります。

    • 農地バンク(農地中間管理機構)を利用する

    各都道府県にある公的な仕組みで、使われていない農地を借りたい人に貸し出しています。

    • 市町村の農業委員会に相談する

    地域の農地情報を管理しており、農地の所有者を紹介してもらえることもあります。

    • 地域の農家やJA(農協)に相談する

    つながりを作ることで、空き農地を紹介してもらえる場合もあります。

    借りる場合は、以下の流れで手続きを行います。

    1. 農地を探す
    2. 農地法第3条の許可を市町村の農業委員会から得る
    3. 賃貸借契約を結ぶ
    4. 利用開始


    本格的に農業を続けたい人や、将来の拠点を作りたい人には、農地を購入する方法が向いています。以下の流れで、購入手続きが可能です。

    1. 不動産サイトや農地バンクで土地を探す
    2. 農地法第3条の許可を市町村の農業委員会から得る
    3. 許可が下りたら、登記して所有者になる


    農地を借りる場合、登記の必要はありません。

    初期費用はどれくらい?お金の準備をしよう

    農家を始める初期費用の平均は、約570万円と言われています。

    内訳は、

    • 設備投資(トラクター・トラックなど):約 420万円
    • 生活費・運転資金:約150万円


    農業を始める場合、前もって生活費を用意しておく必要があります。収穫できても、思うような売上に繋がらなかった時のために、生活費は1〜2年分用意しておくとよいでしょう。

    土地に関しては、購入するよりも借りる方が、負担が少なくすみます。

    • 畑の場合(10アール):約 5,500円 / 月
    • 田んぼの場合(10アール):約 1万円 / 月


    費用は作物・規模・地域によって変わりますので、よく調べたうえで準備しましょう。

    参照元:「開業支援ガイド」

    営農計画ってなに?行政手続きの流れを知ろう

    独立して農業を始める場合、まず「営農計画」を作ることが必要です。
    営農計画とは、作る作物や栽培面積、収穫量、販売や資金の見通しを、だいたい5年先までまとめた計画のこと。

    独立就農の際は、市町村の農業委員会などに所定の様式で提出し、審査を受けます。承認されると、農地の取得や補助金・融資を利用できるようになります。

    以下、行政手続きの流れです。

    1. 情報収集・相談:自治体や農業普及センターで制度や補助金の情報を確認する
    2. 営農計画の作成:作付け作物・面積・育て方・収穫計画・収支見込みをまとめる
    3. 計画の提出:自治体や農業委員会に提出する。補助金や融資申請に必要。
    4. 審査・承認:行政が計画内容や資金を確認し、承認されれば補助金・融資を交付する
    5. 実施・報告:計画に沿って作物を育て、必要に応じて進捗や経費を報告する


    営農計画を作ることで農業経営の見通しが立ち、安心して農業を始められます。

    農家になるにはどんな資質を伸ばすべき?向いている人の特徴

    農業という仕事にも、人によって向き不向きがあります。
    ここでは、どのような人が向いているのかを詳しく解説。どのような資質を伸ばしていけばよいのかも紹介しています。

    農業に役立つスキルと資格

    農業では、作物を育てる技術だけでなく、技術や経営への理解、自然環境への知識も大切です。

    なぜなら、どんな作物をどのくらい育てるか、天候や土の状態に合わせて計画を立てる力が必要だからです。基礎知識を持っているだけで、日々の作業で迷う場面が減り、安心して農業に取り組めるようになります。

    最近は機械を使う作業も多く、「大型特殊免許」や「フォークリフト免許」も取得していると、作業の幅が広がります。トラクターなどを安全に運転する技術を身につけ、自然と向き合いながら工夫する力を育てていくことが、これからの農業において役立つでしょう。

    農家に向いている人の特徴

    自然や生き物、植物に興味がある人

    農家に向いているのは、自然や生き物に興味がある人です。

    農業では天気や土、植物の小さな変化に気づく力が大切。「葉の色が薄いから肥料を足してみよう」「土が固くなってきたから耕して根が伸びやすくしよう」など、小さな変化に気づけるだけで、作物の成長を大きく助けることができます。

    農家には、作物の変化を見抜く「観察力」、新しい方法を試す「好奇心」などの資質が必要です。これらの力は、日常でも育まれます。「なぜ色が変わるの?」「この虫はどこから来たの?」など、自然への疑問をお子さまと一緒に考えるだけでも、観察力や好奇心が自然と伸びていきますよ。

    好奇心を伸ばすには、直接体験や工場見学などがおすすめです。以下の記事を参考にしてください。
    直接体験で生きる力を身につけよう!体験が大切な理由とおすすめの体験を詳しく解説!
    小学生にとって工場見学はいいことづくめ!参加しておきたい魅力満載の工場11選

    コツコツと根気強く取り組める人

    何事にもコツコツと根気強く取り組める人も、農家に向いています。

    作物はすぐに育つわけではなく、毎日の水やりや草取りなど地道な作業が成長につながります。自然災害などが起きても、あきらめず、粘り強く取り組むことが重要と言えるでしょう。

    粘り強さを育むには、小さな成功体験を重ね、結果だけでなくプロセスも褒めることが大切です。こうした積み重ねが、やがて根気強く取り組む力を育てます。

    農家になるにはどう学ぶ?進路と将来性

    農家になるには、学校で学んだり現場で学んだりなど、さまざまな方法があります。

    ここでは、農家を目指すのであれば、どのような進路に進めばよいのかをまとめました。農家には将来性があるのかも解説しています。

    学校で学ぶ|高校・大学・農業大学校・専門学校

    農業を体系的に学びたい場合は、学校で学ぶことが基本です。

    高校や大学では農業の基礎知識や作物・畜産の技術を学べ、農業大学校や専門学校では実践的なスキルや最新技術、経営の知識まで幅広く習得できます。施設や設備が整っているため、栽培や畜産の実習を通して安全で効率的な農業の方法を身につけられるでしょう。

    また、同じ志を持つ仲間や指導者との出会いもあり、将来の農業経営や研究、地域農業の担い手になるための基盤作りに適しています。

    現場で学ぶ|農業体験・研修・アルバイト

    農業の現場で実際に働くことで、教科書では学べないリアルな知識や経験を得られるでしょう。

    農業体験やインターン、研修では、季節ごとの作業や農機具の使い方、収穫や出荷の流れを体感できます。アルバイトや研修では、農家の仕事の大変さや楽しさ、効率的な作業方法、チームでの連携の大切さを学ぶことも可能です。

    こういった実践経験は、将来独立したり就職したりする際の貴重な基礎となるため、自分に向いている農業スタイルや得意分野を見つけるヒントにもなるでしょう。

    なお、農業体験については、お子さま向けのものも多く用意されています。

    たとえば、一日農家体験や野菜作り教室、野菜の収穫体験など幅広いものがあります。農泊ポータルサイトや体験ポータルサイトで検索できますので、ぜひチェックしてみてください。

    農泊ポータルサイト
    遊んで学べる体験プラットフォームaini(アイニ)

    農業の将来性とこれからの仕事

    農業は単なる生産だけでなく、観光、加工品開発、地域づくりなど幅広い分野と結びつきつつある仕事。農家が自ら加工品を作って販売したり、農業体験や収穫体験を観光資源として活用したりする例も増えています。

    また、地域の活性化や地元ブランドの確立にも農業が活躍することもあります。

    これからの農業は、従来の作物栽培だけでなく、ICTやスマート農業など新しい技術を取り入れた多角的な働き方が求められます。アイデア次第で、農業は将来性の高い仕事になり得ると言えるでしょう。

    農家になるやりがいは?仕事の魅力と厳しさ

    農家には、多くのやりがいを感じられる魅力ある仕事です。一方で、厳しさもあります。ここでは、どのような魅力があるのかを解説。ぜひ参考にしてください。

    収穫の喜びと「食を支える」魅力

    農家の仕事の大きな魅力は、自分が育てた作物が形となり、実際に人々の食卓に届く喜びを得られることです。種をまき、水をやり、日々手入れをして育てた作物が収穫できる瞬間は、努力が目に見える形で返ってくる感動があるでしょう。

    また、農業は単に作物を育てるだけでなく、人々の食を支える重要な仕事です。

    地元のスーパーやレストラン、家庭の食卓に自分の作物が届けられることで、「自分の仕事が社会に役立っている」という実感を得られるでしょう。大きなやりがいにつながります。

    自然と向き合う覚悟と厳しさ

    一方で、農業は自然と常に向き合う仕事であり、大変さも伴います。

    天候や気温、害虫や病気など、人の力ではコントロールできない要素に左右されることが多く、収穫量や品質が思い通りにならないこともあります。

    また、作業は体力や時間を要する場合が多く、早朝や夜間の作業も珍しくありません。そのため、自然に合わせながら計画を立て、臨機応変に対応する覚悟と努力が求められます。

    それでも、自然の中で生き物や植物と向き合う日々は、他にはない学びや達成感を与えてくれるでしょう。

    農家になるにはどこで学べる?親子で体験しよう

    ここでは、農家を目指すために役立つ本や親子で体験できるWebサイトなどを紹介。
    ぜひ親子で取り組んでみてください。

    農業の始め方を学べる本やWebサイト

    『ミーとトラの大冒険 日本の農業と伝統文化』

    ネコのトラとミーがタイムスリップしながら、日本の農業や伝統文化を楽しく学ぶ小学生向けマンガです。
    読者は、農作物や農村の暮らし、伝統行事を自然に理解でき、好奇心や観察力を育てながら、学びを生活や体験に結びつける力も養えます。解説資料つき。

    ミーとトラの大冒険 日本の農業と伝統文化

    『マンガ&イラストでコツがわかる! はじめての野菜づくり』

    野菜ごとの育て方やプロのアドバイスを、マンガやイラストでわかりやすく紹介する初心者向けガイド本です。

    たくさん収穫するコツ、病害虫を防ぐ方法、最適な収穫時期など、知っておきたいポイントが満載。トマトやキュウリ、ジャガイモなどの人気野菜から、コマツナやラディッシュなど季節ごとの野菜まで幅広く扱っています。

    マンガ&イラストでコツがわかる! はじめての野菜づくり 

    アグリキッズ with クボタ

    小学生向けに食べ物や農業を楽しく学べるWebサイトです。

    「学ぶ」「遊ぶ」「体験」の3つの柱で構成され、お米や野菜の作り方や旬、農業機械について、クイズやイラスト、動画でわかりやすく学べます。さらに野外イベントや農業体験キャンプも実施し、日常の「なぜ?」に答えながら、楽しく食や農業の世界を広げることができます。

    アグリキッズ with クボタ

    移住・就農イベントや体験プログラム

    小学生向けの移住・就農体験イベントやツアーは、各地で多数実施されています。

    JA全農親子農業体験ツアー

    親子で田植えや稲刈り、野菜の植え付けや収穫、田んぼの生きもの調査などを体験できる日帰りツアーです。

    地元産の食事を楽しみながら、農作業を通じて生産者と交流し、都市部で触れる機会の少ない農業や食の大切さを学べます。親子で体験しながら、食や農業への理解を深める食農教育の場としても最適です。

    JA全農ウィークリー

    シェア畑キッズ

    4歳〜小学生と保護者が参加できる、約3カ月・全6回の都市型野菜づくり体験プログラムです。親子で種まきから収穫までを体験し、修了証も取得できます。

    ジャガイモや大根の栽培を通じて土に触れたり成長記録をつけたり、出荷やお味噌汁づくりなど五感を使った活動もあり、お子さまの想像力や根気、非認知能力を楽しく育てられます。

    シェア畑キッズ

    親子で農業に取り組むことは、食育にもつながるでしょう。食育については、以下の記事で詳しく解説しています。
    食育ってなに?子どもへのメリットや家庭で簡単にできる方法を紹介

    非認知能力を育むには、習い事もおすすめです!
    子どもの非認知能力を伸ばすお勧めの習い事とは?ポイントもご紹介!

    家庭でも非認知能力を育むことができます。以下の記事を参考にしてください。
    非認知能力は子どもの将来に役立つ力!家庭でできる育み方もご紹介!

    農家はやりがいと魅力ある大切な仕事

    農家は、人々の「食」を支える、やりがいのある大切な仕事です。
    働き方の幅も広く、自分のライフスタイルに合った形で続けられる点も魅力です。また、好奇心や粘り強さといった資質が活かされる仕事でもあります。

    もしお子さまが農業に興味を持ったら、これらの力を伸ばしてあげることが将来の学びにつながるでしょう。

    農業の学び方もさまざまなので、お子さまに合った方法を探しながら、楽しんで学べる環境を用意してあげるといいですね。


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