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SDGs14|海の豊かさを守ろう|現状・課題と親子でできる5つのこと

社会・SDGs
公開日:2025年8月28日 更新日:2025年8月21日
SDGs14|海の豊かさを守ろう|現状・課題と親子でできる5つのこと

SDGs14「海の豊かさを守ろう」は、海を取り巻く問題の解決実現を目指す開発目標です。今現在、海は深刻な問題を抱えており、その解決なくして豊かで幸せな世界は持続できないでしょう。
ここでは、「SDGs 14.海の豊かさを守ろう」について、その意味や背景、企業の取り組み、私たちができることなどをまとめました。

動画でも3分で分かりやすく解説していますので、ぜひご覧ください!


もくじ


    SDGs14とは?目標「海の豊かさを守ろう」の意味と背景


    SDGs14「海の豊かさを守ろう」は、海の環境や生態系、資源の保護と持続的な利用の実現を目指して掲げられた目標です。

    SDGs14が設定された背景には、海洋資源が減少している、海洋環境が悪化しているという現状があります。特に、日本人は海からの恩恵が大きいため、その課題としっかり向き合わなければいけません。

    なぜ海の環境が重要なの?

    なぜ海の環境が重要なのか。それは、地球上の人間や生物が生きるために、海洋資源は必要不可欠なものだからです。

    魚介類や海藻類などの食料はもちろん、医薬品に使われる物質を持っている生物も存在しており、人間の生活には欠かせない重要な役割を果たしています。ほか、廃棄物や汚染物質の分解や排除、気候の調節なども海が行っていることはご存知でしょうか?

    海から受けている恩恵は実にさまざま。地球は海の存在に支えられ、生かされているのです。

    海の環境を守ることは、地球上すべての生物の命を守ることに繋がっていると言ってもよいでしょう。

    SDGs14が掲げる具体的なターゲット

    「SDGs 14.海の豊かさを守ろう」には10個のターゲットが設定されており、目標達成を実現させるために取り組むべきことを細かく説明しています。

    たとえば、

    • あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。
    • 海洋及び沿岸の生態系の回復のための取組を行う。
    • 小規模・沿岸零細漁業者に対し、海洋資源及び市場へのアクセスを提供する。


    など、海の環境汚染や生態系を回復させる仕組み作りはもちろん、漁業に携わっている人々のために持続的に働ける環境を整えることも重要だと提唱。

    「SDGs14.海の豊かさを守ろう」を実現するためには、関連する他の目標も同時に実現できる取り組みが必要だと考えられています。

    出典元:SDGs(持続可能な開発目標)17の目標と169のターゲット(外務省仮訳)

    以下の記事では、SDGs14について小学生でも理解できるように解説しています。ぜひ参考にしてください。
    親子で考えよう!目標14 海を守る

    海の現状と課題|海洋ごみ・水質・生態系の危機

    では、海の現状や課題について詳しく見ていきましょう。

    世界と日本の海の現状データ


    世界の海に着目してみると、サンゴ礁の衰退、海上汚染、水産資源の減少といった課題が挙げられます。

    サンゴ礁の衰退の原因は、水質が酸性になる海洋酸性化や温暖化による白化など。サンゴ衰退が進んで死滅してしまうと、海の生態系が崩れ、人間の生活も脅かされてしまう可能性があります。

    また、水難事故などで船から流出した油による海洋汚染、魚や貝の乱獲によって水産資源が減少していることも、世界の海の現状と言えます。

    日本の海も同様に、水産資源の減少や海洋プラスチックごみによる生態系への悪影響が課題となっています。

    海洋プラスチックの深刻な影響

    海洋プラスチックの影響は、海の環境をめぐる問題の中でも大きなものの一つです。

    プラスチックは自然界において長時間漂流し、やがて小さく砕けていきます。砕けたプラスチックは「マイクロプラスチック」と呼ばれ、海洋生物がエサと間違えて誤飲することも。

    たとえば、ウミガメがビニール袋を誤飲したり、クジラの胃から大量のプラスチックごみが出てきたり、というニュースも見られます。マイクロプラスチックには有害物質が吸着しており、マイクロプラスチックを誤飲した魚を人間が食べてしまえば、人間の身体にも影響が出るかもしれません。

    2016年にスイスで行われたダボス会議では、2050年までに、海洋プラスチックごみの重量が海洋生物の重量を超過するとの試算が報告されました。早急な対策の強化が必要とされます。

    参照元:環境省「海洋ごみとマイクロプラスチックに関する環境省の取組」

    魚がいなくなる未来?漁業と生物多様性

    海が抱える課題としては、魚の減少も大きな懸念材料と言えるでしょう。

    世界中で魚介類の需要が増加傾向にありますが、獲り過ぎてしまうと、当然ながら資源は減少の一途をたどります。海は、地球上でいちばん多くの生物が生息している場所。生態系が破壊されると、生物多様性が失われてしまいます。

    生物多様性は、人間が生きていくために欠かせない基盤。
    食料はもちろん、燃料になったり気候を調整したりと、見えないところでさまざまな恩恵を私たちに与えてくれています。生物多様性が失われると、人間の生活そのものが成り立たなくなってしまうでしょう。
    魚がいなくなれば、当然漁業の担い手もいなくなります。それゆえ、多くの失業者があふれてしまうという課題も生じるでしょう。

    SDGs14の取り組み事例|日本と世界の動き

    SDGs14を実現するため、日本と世界では、どのような取り組みがされているのでしょうか?ここでは、取り組みの一部を紹介します。

    日本の取り組み

    岐阜県で実施されている「長良川システム」は、人々の生活、水環境、天然資源が連携した持続可能な取り組みです。河川の清掃や森の手入れ、希少生物や産卵場の保護などの活動を行うことで、鮎資源を含む美しい自然環境を維持しています。

    その結果、清流を活かした文化や観光にも注力できるため、持続的に価値を創造する仕組みを構築できているのですね。

    長良川システムについては、以下の記事で詳しく紹介しています。ぜひチェックしてみてください。
    【SDGs.14 海の豊かさを守ろう】「長良川システム」について知ろう!

    また、深刻化しているプラスチックごみを減らすために、2020年7月からレジ袋の有料化が義務付けられました。そのため、マイエコバッグを持参する人も増えています。

    海洋プラスチックについては、以下の記事も参考になります。
    【SDGs14.海の豊かさを守るために…】海洋プラスチックについて考えてみよう!

    世界の事例

    世界の事例では、ノルウェーで1999年から導入されている「デポジット制度」を紹介しましょう。

    デポジット制度とは、飲料製品などを「商品価格+デポジット(預り金)」で販売し、容器を回収する際に消費者に預り金を返金する制度です。

    消費者が利用した製品の容器は、スーパーなどに設置した自動回収機や小売店で返却できます。

    ノルウェーでは、「プラスチック容器は貸し出しているものであり、消費者のものではない」という考え方が根付いており、この共通概念がデポジット制度を支えていると言えるでしょう。その結果、ノルウェーはペットボトルのリサイクル率が97%と高い数値を誇っています。

    そのほか、EUでは「EUプラスチック戦略」という方針を打ち出しています。

    • プラスチックリサイクルの経済性と品質の向上
    • プラスチック廃棄物と海洋ごみ量の削減


    などを軸として精力的に取り組み、大きな成果を上げているよう。

    また、EU全域に使い捨てプラスチックに関する規制案も提案し、プラスチックごみの削減に尽力しています。

    参照元:環境庁「EUの政策概要」

    海洋保全に取り組む企業・団体の動き

    引用元:株式会社SAMURAI TRADING


    多くの日本企業もSDGs14に注力しています。
    埼⽟に本社を置く株式会社SAMURAI TRADINGは、廃棄された卵の殻を活用したバイオマスプラスチック「PLASHELL」(プラシェル)を開発・販売しています。

    PLASHELLは卵殻を60%使用しているプラスチックで、環境負荷が低い素材。バイオマスプラスチックを使用することで石油由来のプラスチックの使用量を減らし、プラスチックごみを削減することが狙いです。

    産業廃棄物となっていた卵殻を有効活用できるため、輸送時や焼却時に排出されていた二酸化炭素を抑えることも可能。プラスチックの削減とともに、環境保全も実現できますね。

    参照元:株式会社SAMURAI TRADINGSpaceship Earth公式

    SDGs14で私たちにできること【親子で実践編】

    引用元:MEL協議会公式


    SDGs14を実現するために、私たちにできることはたくさんあります。ここでは、親子でできることを紹介。できることから少しずつ始めてみましょう。

    サステナブル・シーフードを選ぶ(MSC/ASC)

    サステナブル・シーフードとは、MSC認証やASC認証のラベルが貼られた水産物。

    MSC認証は、海洋環境に配慮した魚の獲り方を守っている水産物に与えられる認証ラベルで、「海のエコラベル」と呼ばれています。一方、ASC認証は、環境や地域社会に配慮した養殖で生産された水産物に与えられる認証ラベルです。

    いずれの水産物も、現場から加工流通のプロセスまで厳しい審査をクリアしており、海や環境への影響が少ない製品であることを示しています。

    そのため、サステナブル・シーフードを選ぶことは、SDGs14を実現させるために有効な方法だと言えるでしょう。

    スーパーに行ったら親子で食品ラベルを見て話そう

    親子で一緒に買い物に行く際、先ほど紹介した認証ラベルがある食品を見つけて、親子で一緒に話してみるのもおすすめです。

    MSC認証やASC認証のラベルのほか、MELラベルと呼ばれるものもありますが、こちらは日本の「一般社団法人マリン・エコラベル・ジャパン協議会」によって作られています。

    MELラベルも、環境や生態系の保全に配慮し、適切に管理された漁業の生産者、加工業者、流通業者を認証するラベル。魚が「e」のように見える可愛らしいデザインのラベルです。

    スーパーで買い物をする際に、MSC認証やASC認証のエコラベルなど、海のエコラベル探しゲームをしてみても、楽しくエコラベルを覚えられそうです。

    ぜひエコラベルの商品を購入し、親子でSDGs14について話し合ってみてください。

    自由研究で海のごみや生き物を調べて発表しよう

    夏休みの自由研究で、海のごみや生き物を調べて発表してみるのもよいでしょう。

    本やインターネットなどで、海にどのようなごみがあるのか、ごみによって海の生き物にどのような影響があるのかを調べるのも面白いですよ。
    プラスチックごみにはどのようなものがあるのか?
    プラスチックごみは、なぜ海に集まるのか?
    プラスチックごみによって、どのような被害や影響があるのか?
    プラスチックごみを減らすにはどうすればよいか?

    これらの情報を調査して自分なりにまとめてみることで、おのずとSDGs14についての知識が深まっていきます。自分が何をすべきなのかがはっきりと掴めてくるでしょう。

    海岸のごみ拾い+SNS「ピリカ」で投稿しよう

    海岸のごみ拾いを行うボランティア活動などに積極的に参加してみることも、SDGs14の実現に貢献していることになります。

    ボランティア活動は、自治体や団体などが開催しています。ネットで調べてみると、近くで「ごみ拾いのボランティア募集」といった情報が見つかるかもしれません。
    ぜひ、家族や友人を誘って参加してみてください。

    さらに、その活動をSNSサービス「ピリカ」に投稿してみましょう。

    ピリカとは、誰でもいつでも、気軽にごみ拾いの様子を発信できる完全無料のSNSサービス。ごみ拾い活動を投稿することで、世界中へ活動状況を発信することが可能です。

    拾ったごみの写真を撮って、共有してみましょう。ピリカを利用している人から「ありがとう」が届くので、ちょっと嬉しい気持ちになりますね。ピリカを活用すれば、楽しくごみ拾いが続けられそうです。

    固形シャンプーや詰め替え用品を使ってプラスチックを減らす

    固形シャンプーや詰め替え用品を使用することは、すぐに生活に取り入れられる活動です。

    従来のシャンプーやコンディショナーなどは、液状のためプラスチック容器に入れられているものが多く、プラスチックごみになる可能性も否定できません。

    プラスチックごみを極力減らすようにするには、プラスチック容器を使わない固形シャンプーを使用するのもひとつの手。また、なるべく詰め替え用を購入し、ある程度ボトルを使い続けることもプラスチックごみを減らすのに有効な方法です。

    ほかにも、できることはたくさんあります。以下の記事を参考にしてください。
    家庭における身近なSDGs事例!

    子どもと一緒に学べる!海の絵本・動画・クイズ紹介

    子どもと一緒に、楽しくSDGs14を学べる海の絵本・動画・クイズを紹介します。ぜひ親子で取り組んでみてください。

    おすすめ絵本3選

    『ウミガメものがたり』

    鈴木 まもる(作・絵)
    あまり知られていないウミガメの生態を知ることができる1冊。ウミガメの排卵から、子ガメが海に出て、再び生まれた海に戻るまでが描かれています。

    子ガメが大人になるまでには、さまざまな試練があります。

    その試練とは、エサと間違えてペットボトルを食べてしまったり、漂流しているロープや網などに絡まってしまったりというもの。しかし、その試練のほとんどは、人間によってもたらされています。

    人間が出すごみによって、海の生物に大きな影響があることが分かりますね。

    なぜ海の豊かさを守らなければいけないのか。その理由を、ウミガメが懸命に生きる姿を通して理解できるようになるはずです。

    ウミガメものがたり

    『プラスチックのうみ』

    ミシェル・ロード (著)、ジュリア・ブラットマン (イラスト)、川上 拓土 (翻訳)

    一見、青く輝く海にカラフルでキラキラしたものが浮かび上がっている華やかなイラスト…と思いきや、そのカラフルなものはすべてプラスチックごみ。ギャップのある表紙が何とも印象的です。

    人間が出したプラスチックごみが海にどのような影響を与えているのか、美しいイラストとわかりやすい言葉で教えてくれる本です。

    この絵本が刊行されたのはアメリカですが、翻訳を担当したのは環境問題に興味を持っている小学生の男の子だそう。豊かな海を守るため、私たちには何ができるのかを考えさせられるでしょう。

    プラスチックのうみ

    『海がどんどんこわれていく』

    保坂 直紀(著)、こどもくらぶ(編集)

    海岸のごみやプラスチックごみなどによって、海がどうなっていくのかをわかりやすく解説しています。この本を読めば、ごみの問題を世界規模で考える必要があることがよく分かります。

    「SDGs14 海の豊かさを守ろう」を根本から探るシリーズのうちの1冊です。ほかにも3冊出版されているので、ぜひチェックしてみてください。

    海がどんどんこわれていく 

    子ども向けSDGs14動画


    海が抱えている課題、プラスチックごみが海に与える影響などを、アニメでやさしく、分かりやすく教えてくれます。

    自分ができることを具体的に知ることができるため、さっそく今日から実践してみよう!と思えるはず。10分ほどの動画なので、すき間時間に気軽に見ることができます。

    海を守るクイズでSDGsを楽しく学ぼう!

    みんなで楽しく学ぶSDGsクイズ
    海洋プラスチックごみクイズ | プログラミングでSDGs!

    楽しくSDGs14について学べる選択式のクイズ。
    解説付きなので、+αの知識が身につきますよ。ぜひ親子でチャレンジしてみてください!

    できることからでいい。小さなことから取り組んでいこう

    「海の恵み」という言葉があるほど、私たちは海のさまざまな資源に支えられて生活しています。地球の7割は海。海がなければ、生物は生きていけないと言っても過言ではないかもしれません。

    「SDGs 14.海の豊かさを守ろう」を実現するため、地球上では国単位でさまざまな取り組みが行われています。

    しかし、私たち一人ひとりができることも確実にあります。
    周りにごみが落ちていたら拾う。ペットボトルはリサイクルに出す。
    そんな小さなことからで大丈夫。海の豊かさを守るため、お子さまと一緒にできることから始めてみましょう。

    各SDGsについて詳しく知りたい方はこちら。
    【みんな知ってる?】SDGsとは?17の目標の解説をまとめました!

    小学校でも、SDGs実現のためにさまざまな取り組みが行われています。詳しくは、以下の記事をチェックしてください。
    小学校教育でのSDGsの取り組み事例と身につく力

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