弁護士になるには学力がどれくらい必要?ルートの違い・費用・難易度まとめ
弁護士になるには難しい印象がありますが、実際にどのようなルートがあり、どれくらいの費用や期間がかかるのでしょうか。この記事では、弁護士になるために必要な学力や進路、費用について、わかりやすく解説していきます。
弁護士になるには?気になる仕事内容と年収

まずは弁護士という職業について、基本的な情報を確認しましょう。
「弁護士になりたい」と思った時に、具体的にどんな仕事をするのか、どのような生活が期待できるのかを知ることは夢を叶えるためにはとても大切です。
困っている人を助ける法律の専門家
弁護士は、法律の専門知識を活かして、困っている人や企業を助ける仕事です。
個人の方の離婚や相続、交通事故などの問題を解決したり、企業の契約書をチェックしたり、裁判で依頼者の代理人として主張したりします。
弁護士は、法律という社会のルールを使いこなして、人々の権利を守り、正義を実現する職業といえるでしょう。
社会貢献度が高く、やりがいのある仕事として、多くの人から尊敬される職業の一つです。
弁護士の平均年収は約765万円
弁護士の年収は、働き方や経験年数によって大きく異なります。
職業情報提供サイトjob tagによると、弁護士の平均年収は約765万円です。
経験を積んでいくと年収1,000万円超も珍しくなく、大手法律事務所では初年度から年収1,000万円以上というケースも。
一般的な会社員の平均年収が約460万円程度であることを考えると、弁護士は高収入を得られる職業といえるでしょう。
弁護士が活躍する場所
これまでは法律事務所で働くのが一般的でしたが、最近では企業の法務部門に所属する「インハウスローヤー」や、官公庁で働く弁護士も増えています。
また、独立して自分の法律事務所を開業する弁護士もいます。
働き方によって年収や仕事内容が変わってくるため、将来どのようなキャリアを歩みたいかを考えることも大切になるでしょう。
弁護士になるには司法試験合格の学力が必要

弁護士になるためには、必ず「司法試験」という国家試験に合格しなければなりません。
では、司法試験に合格するまでの道のりはどのようなものなのでしょうか。
弁護士になるまでの道のり(受験資格→試験→修習→登録)
弁護士になるまでのステップは、大きく分けて4つあります。
- 司法試験の受験資格を取得する(予備試験合格または法科大学院修了)
- 司法試験に合格する(年1回実施、合格率は約41〜42%)
- 司法修習を修了する(約1年間の実務研修)
- 弁護士登録をする(弁護士会への登録)
このうち、最も高いハードルとなるのが2.司法試験に合格するです。
そして、その司法試験を受けるためにも、まず受験資格を得なければなりません。
弁護士に必要な2つの試験
弁護士になるためには、主に2つの試験をクリアする必要があります。
一つ目は「司法試験」です。
これは法律の専門知識と応用力を問う試験で、短答式試験(マークシート形式)と論文式試験があります。
二つ目は、司法試験合格後に行われる「司法修習生考試(二回試験)」です。
約1年間の司法修習の最後に実施される試験で、合格率は90%以上と高いです。
そのため、司法試験に合格することが弁護士になるための最も高い壁であるといえます。
弁護士になるための2つのルートと必要な学力を知っておこう

司法試験の受験資格を得るには「予備試験ルート」と「法科大学院ルート」の2つの方法があります。
それぞれ特徴が異なり、必要な学力や費用、期間も変わってきます。
予備試験ルートの特徴
予備試験ルートは、最短2年8ヶ月ほどで弁護士になれるスピード感が特徴です。
しかし、予備試験は合格率が約3.6%と非常に難易度が高く、とても難しい試験です。
独学や通信講座などで対策をする場合、授業や指導に頼る場面が少ないため「今日は何をどこまでやるか」を自分で考え、コツコツと積み重ねられる力が必要です。
学費を抑えながら、できるだけ早く弁護士を目指したいと考える場合に有力な選択肢といえるでしょう。
一方で、その厳しい試験を乗り越えた方々の司法試験合格率は約90%ととても高いです。
高い学力と粘り強さを身につけた証として、弁護士になった後も実務の現場で評価されやすい点も、このルートの大きな特徴です。
法科大学院ルートの特徴
法科大学院は「ロースクール」とも呼ばれ、弁護士を目指す人が法律を体系的に学ぶための大学院です。
法学部を卒業した人向けの2年コース(既修者)と、法学部以外を卒業した人向けの3年コース(未修者)が用意されています。
法学部を卒業し、法科大学院の2年コースに進学した場合、合計約6年で弁護士になることが可能です。
入学には一定の学力が求められますが、予備試験と比べると評価の幅は広く、大学での成績や基礎学力も重視されます。
大学→法科大学院→司法試験という進路になるため、時間はかかりますが、段階的に法律を学べる環境が整っている点が特徴です。
費用は比較的高めです。
- 国公立:2年で約189万円、3年で約269万円
- 私立:2年で約230〜500万円、3年で400〜500万円程度
一方で、カリキュラムに沿って学習を進められることや、同じ目標を持つ仲間と切磋琢磨できる環境があることは、大きなメリットといえるでしょう。
法科大学院ルートは、コツコツと積み上げる学習スタイルが合うお子さまに向いています。
自分一人で突き進むよりも、授業や指導を受けながら理解を深めたいタイプや、時間をかけて着実に力を伸ばしていきたいお子さまにとって、安心感のある進路です。
2つのルートの違いと選び方のポイント
学力が非常に高く、自分で学習計画を立てて進めることが得意なお子さまには、予備試験ルートが合う場合があります。
大学から大学院へと段階的に学びたい、指導を受けながら理解を深めたいと感じるお子さまは、法科大学院ルートが適しているかもしれません。
ただし、保護者にとって大切なのは「今どちらのルートが向いているか」を決め切ることではありません。
どちらの道を選んだとしても、土台となるのは読解力や論理力といった基礎学力です。
法律の学習では、文章を正確に読み取り、筋道を立てて考える力が欠かせません。
小学生のうちからこうした力を育てることが、将来の選択肢を広げてくれます。
弁護士になるための学力と難易度

それでは、実際に司法試験に合格するためには、どのような学力が必要なのでしょうか。
また、その難易度はどれくらいなのでしょうか。
司法試験に必要な学力
司法試験に合格するためには、主に次の3つの力が求められます。
- 読解力:法律の条文や判例、複雑な事例を正確に読み取る力。文章の意味を深く理解し、細部まで見落とさない注意力が求められる。
- 論理力:法律問題を論理的に分析し、筋道を立てて解決策を導き出す力。「なぜそうなるのか」を順序立てて説明できる思考力が重要。
- 記述力:自分の考えを論理的な文章で表現する力。限られた時間内で、説得力のある答案を書き上げる能力が必要。
これらの力は、一朝一夕で身につくものではありません。
小学生のうちから読書習慣をつけたり、考える力を養ったりすることが、将来の法律学習の土台となるでしょう。
司法試験の難易度と学力レベル
司法試験の難易度は、偏差値で表すとおよそ75程度といわれ、国家試験の中でも最難関レベルです。
2025年の司法試験の合格率は41.2%(受験者数3,837人、合格者数1,581人)でした。
一見すると高く感じるかもしれませんが、この数字は、予備試験合格や法科大学院修了といった厳しい条件をクリアした人だけが受験している結果です。
特に予備試験ルートでは司法試験の合格率が90%を超えていますが、予備試験の合格率が約3.6%と非常に低いことを考えると、弁護士になるまでの道のりがいかに厳しいかがわかります。
合格に必要な勉強時間は、一般的に3,000時間から8,000時間程度。
これは、1日3時間勉強しても約3年から7年かかる計算になります。
弁護士になるにはいくらかかる?費用と進学プラン

弁護士を目指すには、学費や受験費用など、さまざまな費用がかかります。
家計への影響も考慮して、現実的な進学プランを立てることが大切です。
予備試験ルートでかかる費用
予備試験ルートの最大のメリットは、法科大学院に通う必要がないため、学費を大幅に抑えられる点です。
予備試験の受験料は1万7,500円程度と低額。
ただし、多くの受験生は予備校や通信講座を利用するため、その費用として50万円から150万円程度かかるのが一般的です。
法科大学院でかかる費用
法科大学院の学費は、国公立と私立で大きく異なります。
一般的な費用の目安は以下のとおりです。

編集部作成
国立の法科大学院は、入学金が約28万円、年間授業料が約80万円程度です。さらに専門的な教科書や参考書が必要なため、年間10〜15万円かかります。2年間(既修者コース)で約200〜215万円、3年間(未修者コース)で約270〜280万円が目安となります。公立校の一つである東京都立大学は、東京都民の既修者であれば入学金や授業料を合わせて2年間で約150万円とかなり学費を抑えることも可能です。
私立の法科大学院は、入学金が約10〜30万円、年間授業料が約100〜150万円程度です。2年間で約230〜350万円、3年間で約330〜500万円が一般的です。
成績優秀者には学費減免制度や奨学金制度を設けている法科大学院も多いため、可能なら積極的に活用したいですね。
大学〜司法試験〜修習までの概算費用
弁護士になるまでの全体的な費用を見てみましょう。全体として、予備試験ルートなら約50万円〜150万円程度、法科大学院ルートなら大学からの費用を合わせて約500万円〜1,000万円程度の費用が目安となります。

上記の表の他に、司法試験の受験費用が2万8,000円、模試などで数万円かかります。
司法修習中の費用として、修習生には月額で給付金が支給されます(約14〜15万円)。
そのため、修習中の生活費の心配は比較的少ないでしょう。
ただし、地方での修習の場合は住居費などが別途必要になることもあります。
小学生のうちに育てたい!将来弁護士になるための基礎学力

弁護士になるための土台は、小学生のうちから作ることができます。
では、どのような力を育てればいいのでしょうか。
ここでは3つの力と家庭でできる勉強習慣を紹介します。
読解力と言葉の力
法律の勉強では、条文や判例など、難しい文章を正確に読み取る力が不可欠です。
小学生のうちから読書習慣をつけ、さまざまなジャンルの本に触れて、読解力と語彙力を育てましょう。
特に、物語だけでなく、説明文や論説文などを読む経験も大切です。
読んだ内容について親子で話し合ったり、要約してみたりすることで、理解をより深められます。
おすすめの取り組みとしては、
- 図書館を活用して幅広いジャンルの本に触れる
- 新聞のこども版を読む習慣をつける
- 読んだ本の感想を書いてみる
などが挙げられます。
論理的に考える力
弁護士には、物事を筋道立てて考え、説明する力が求められます。
そのため、子供自身が「なぜそうなるのか」「どうしてそう思うのか」言葉にする習慣を身につけることが大切です。
たとえば算数の文章問題では、子供が答えを出すだけでなく、自分なりに解き方の手順を説明するよう促してみましょう。
また、日常生活の中でも起こった出来事に対して「どうしてそう思う?」と理由を考えさせる声掛けが効果的です。
また、家族で賛成派と反対派などに分かれて相手を説得する「ディベート」や、グループで意見交換を行い解決策や共通の理解を見つける「ディスカッション」をする機会を設けるのも楽しく学べるきっかけになるでしょう。
ディベートの議題は、
- 習い事は1つにしぼるべきか、いくつかやったほうがよいか
- ゲームの時間は平日もあったほうがよいか
といった子供自身の生活に身近なテーマであれば、意見を考えやすくなります。
ディスカッションは、
- 宿題を忘れないために、どんな工夫ができるか
- 朝の準備を早く終わらせるにはどうしたらいいか
- 家族みんなが気持ちよく過ごすためのルールを考えよう
など、実際の困りごとをテーマにすると、話し合いが現実につながります。
このように、自分の考えを言葉にし、理由を説明する経験を重ねることで、論理的に考える力が育っていきます。
あわせて、将棋やチェスなどの戦略ゲーム、プログラミング学習、理科の実験などに子どもが主体的に取り組むことも、考える力を伸ばすよいきっかけになってくれるでしょう。
論理的思考を育てるためにおすすめなのがプログラミング学習ですが、実際どんなことをしたら良いのか疑問に思うことはありませんか?
こちらの記事では家庭でできる学習サポートを紹介しています。
小学生からプログラミング学習をおすすめする理由とは?効果的な家庭学習をサポートする教材も一挙紹介!
遊びを取り入れた学習も効果的です。
こちらの記事では楽しみながら勉強ができる方法を紹介しています。
遊びながら学ぶゲームとは?小学生向け無料アプリ&知育カードゲームおすすめ19選
家庭でできる勉強習慣
弁護士を目指すには、長い時間をかけて学び続ける力が必要です。
そのため、小学生のうちから「一気に頑張る」のではなく「毎日続ける」経験を積むことが大切になります。
- 規則正しい生活リズム:決まった時間に起き、学習時間を確保する
- 集中できる環境づくり:静かで整理された学習スペースを整える
- 目標設定と振り返り:小さな目標を立て、達成できたら認める
こうした積み重ねが、将来の長期学習を支える力になります。
長期間コツコツ勉強を続けるには、お子様への声掛けが重要です。
やる気を育てる声かけについてはこちら。
知っておきたい!子どものやる気をグングン伸ばす「言葉がけ」とは!
規則正しい生活リズムのためには良い睡眠が欠かせません。
眠りのコツを紹介している記事はこちら!
子どもの睡眠時間が足りてない?!「良い眠りのコツ」とは?
将来を考えるきっかけになるおすすめ書籍
- 『こども六法 第2版』

いじめやトラブルなど、子どもが日常で直面しやすい場面をもとに、法律をわかりやすく解説した一冊です。
「困ったときに法律が助けになる」という感覚を自然に身につけられるのが特徴。
難しい条文もやさしい言葉で書かれており、法律へのハードルを下げてくれます。
『こども六法 第2版』
- 『学校では教えてくれない大切なこと 39 知っておきたい法律』

契約やネットトラブルなど、身近なテーマを通して法律の基本を学べるシリーズの一冊です。
イラストが多く、読みやすいため、法律に初めて触れる子どもでも理解しやすい構成になっています。
「ルールを知ることの大切さ」を実感できる内容です。
『学校では教えてくれない大切なこと 39 知っておきたい法律』
- 『弁護士のひみつ』

弁護士のひみつ | まんがひみつ文庫 特別編 | まんがでよくわかるシリーズ | キッズネット
弁護士の仕事内容や一日の流れ、どんな勉強をしているのかなどを、子ども向けに紹介した本です。
法律そのものだけでなく「弁護士がどんな思いで仕事をしているのか」が伝わるため、将来の職業として弁護士を具体的にイメージするきっかけになります。
『弁護士のひみつ』
弁護士のひみつ | まんがひみつ文庫 特別編 | まんがでよくわかるシリーズ | キッズネット
弁護士になるには学力と進路の理解が大切
弁護士になるには、司法試験という高いハードルを越える必要があります。
そのために求められるのは、文章を正しく読み取る力、筋道を立てて考える力、自分の考えを文章で伝える力といった、積み重ねによって育つ学力です。
今からできることは、たくさんの本に触れ、日常の中で「なぜそうなるのか」を考え、毎日少しずつでも学習を続ける習慣を身につけることです。
こうした基礎力は、将来どの進路に進む場合でも、お子さまにとって大きな支えになります。
弁護士は確かに簡単になれる職業ではありませんが、社会のルールを守り、人を支えるやりがいのある仕事です。
今の段階で進路を決める必要はありません。お子さまの興味や成長を見守りながら、できる準備を少しずつ重ねていきましょう。
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