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知っておきたい! 子どものやる気をグングン伸ばす「言葉がけ」とは!

子育て
知っておきたい! 子どものやる気をグングン伸ばす「言葉がけ」とは!

お子さまと接する中で、ほめたい時、注意したい時、励ましたい時、などさまざまな言葉がけをする状況がありますね。
日々繰り返される言葉がけ。せっかくなら、お子さまの育ちに効果的な言葉がけを積み重ねていきたいものです。
では、お子さまのやる気を伸ばす「言葉がけ」とはどのようなものなのでしょうか。

もくじ

    やる気を伸ばす言葉がけ

    子育ては、お子さまをほめて、𠮟って…の繰り返しですね! そんな中で、親の言葉がけ一つで、お子さまがとても前向きになってくれたり、反対にやる気を損ねてしまったりした経験はありませんか? 実は「ほめる」ことで、お子さまのやる気を促したり、満足感を与えることができ、「叱る」ことも効果的に使うと、反省を促したり、前向きな気持ちにさせたりすることができるといわれています。お子さまのやる気を促したり、前向きな気持ちにさせる言葉がけを身につけていけるといいですね。

    例えば、子どもにとってやる気を伸ばす言葉がけは、

    ・肯定的な内容の言葉がけをされた
    ・励まされた、努力を認められた、評価された
    ・みんなの前で褒められた
    ・頑張っている過程を褒められた
    などになり

    反対にやる気が下がってしまう言葉がけは、

    ・感情的に怒られた
    ・努力を認められなかった

    などになります。

    今回は、大人からの言葉がけが、子どもの気持ちにどのような影響を及ぼすのか、論文「指導者の言葉かけが子どものやる気と認知に及ぼす影響」を参考に、詳しく見ていきましょう。

    論文の概要紹介

    矢澤久史さんによって2007年に東海学院大学紀要で発表された論文「指導者の言葉かけが子どものやる気と認知に及ぼす影響」。教育活動やスポーツ活動時の、教員や指導者から子どもへの言葉がけが、子どものやる気や意欲にどのように影響するか、豊富な事例でまとめられています。
    参考にした論文は以下のページで読むことができます。
    矢澤久史、2007、「指導者の言葉かけが子どものやる気と認知に及ぼす影響」、『東海学院大学紀要』、1号、211-217。

    子どもにとって「うれしい言葉」「いやな言葉」

    子どもにとって「うれしい言葉」や「いやな言葉」とは、どのようなものなのでしょうか。
    このような言葉がけをしてもらったからやる気が上がったとか、こんなことを言われたのでやる気が下がったなど、言葉がけはやる気や、気持ちの変化に大きく影響するといわれています。
    論文「指導者の言葉かけが子どものやる気と認知に及ぼす影響」(以下、本論文)では、関東地区の国立大学の授業で健康スポーツ演習を受講している1年次生59名に対する、小学校から高校までの体育・スポーツ活動時における教員や指導者から言われた「うれしかった言葉」と「いやだった言葉」についての調査に関して、以下のように述べています。

    うれしかった言葉として、「瞬発力があるから、一定の距離なら一番速く走れるぞ」 (指導者から長所を見い出されたと感じた場合)、「結果が大事なのではなく、苦手なりに1つ1つ課題を見つけてやってみよう」 (指導者から努力 を認められ,評価されたと感じた場合)、「素質がある、柔道部に入らないか」 (指導者の本心からほめられたと感じた場合)、「流れを変えたのはおまえのプレーからだ」 (指導者からみんなの前でほめられた場合)が挙げられていた。 他にも、頑張れば必ずできると励ましてくれたり、ずっと熱心に指導してくれたことが挙げられていた。一方、いやだった言葉では、「おまえ、邪魔だ」(指導者が感情的になり、怒られた場合)、「だらだらとさぼるな」 (指導者から努力を認められなかった場合)、 「足が遅いやつは人より2倍練習しなければいけない」 などが挙げられていた(211)。

    指導者に言われてうれしかった言葉の理由として、肯定的な内容であることに加え、指導者の意見や思いがこめられた言葉をうれしい言葉として捉えているということが伺えます。
    また、いやだった言葉の理由としては、指導者が感情的になり怒られる、努力を認められなかった、などが挙げられています。子どもが自分自身の姿が正しく評価されていない時にいやだったと感じてしまうようです。


    成功場面、失敗場面での、子どもがうれしくなる言葉がけ

    また、本論文では、小学校5年生への成功場面と失敗場面で教師に言われてうれしかった言葉についての調査に関しては、以下のように述べられています。

    小学校5年生に成功場面と失敗場面で教師に言われてうれしかった言葉を調査した。 その結果、成功場面では「さすがだね」、「よくできたね」、「えらいね」、「この調子でがんばれ」、「すごいね」 など賞賛の言葉かけが挙げられた。 一方、失敗場面では「誰にでも失敗はあるよ」、「気にしなくていい」、「先生もよくあるよ」、「失敗してもいいんだよ」など、自信を持たせ、立ち直りのきっかけや安心感を与える言葉かけが挙げられた(211)。

    小学5年生を対象とした調査ですが、分かりやすい賞賛の言葉がうれしかった言葉として挙げられています。本論文においても、成功場面での子どもの努力や意欲を十分に認めて励ますような言葉がけが、子どものやる気を高めるために有効であると指摘しています。また、失敗した体験をしても、このような言葉でうれしい気持ちになり、失敗体験を少しでも前向きにとらえることができるということです。成功場面では、比較的言葉がけがしやすいものですが、お子さまが失敗した時のフォローの言葉がけも忘れずに行いたいですね。

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    たくさんうれしい言葉をかけられた子どもは、他人を受け入れる力がアップ!

    子どもが、どのような言葉をかけられるとうれしく感じるのかについて、本論文では以下のように述べています。

    他者からかけられた言葉かけのうれしさと他者受容感や自己認知との関係も調べている。 分析の結果、成功場面・失敗場面とも、うれしいと感じる言葉を他者から受けた経験が多い生徒ほど、他者受容感が高いことが示された。また、まじめであると思っている生徒はそうでない生徒に比べ、先生や 仲間から受ける言葉をうれしいと感じていること、自分自身の能力を低く捉えている生徒は先生からの言葉かけに対するうれしさの程度が低いことも明らかにされた(212)。

    「うれしいと感じる言葉を他者から受けた経験が多い生徒ほど、他者受容感が高いことが示された」とあるように、うれしい言葉をかけられた経験の積み重ねが大切だということが分かります。日々の生活の中で、積極的にお子さまがうれしいと感じる言葉をかけてあげたいものです。あわせて、お子さま自身の自己肯定感を育んでいくことも大切ですね。ぜひ以下の記事も参考にしてみてください。

    自己肯定感をグッと高める! 子どもへの接し方とは?

    子どもを育む言葉がけ、プラスアルファのポイントとは?

    言葉がけと動機づけとには、どのような関係があるのでしょうか。動機づけとは、目的や目標に向かって行動を起こし、行動を維持させていく過程のことをいい、モチベーションとも呼ばれます。どのような言葉がけをすることで、動機づけ、すなわち子どものモチベーションを高めることができるのでしょうか。本論文では、言葉がけと動機づけに関して、以下のように述べています。

    小学4年生の体育の授業において、「パスが前よりうまくなったね」、「前よりもシュートが成功するようになったね」と いうような個人内評価により個人の進歩を強調する言葉かけを教師が行う介入条件と、そのような介入は行わない統制条件を比較し、言葉かけが生徒の動機づけに及ぼす効果を検討している。彼の研究では、教師からの言葉かけを認知した子どもの割合は、統制条件 (28.1%) よりも介入条件 (56.3%) の方が多かった。また介入条件では、教師からの言葉かけを多く認知した生徒ほど、体育授業における課題志向性や満足感などの動機づけが高まっていることも示された。さらに、具体的な教師の言葉かけを分析した結果、授業によって動機づけが高められた子どもは、個人内評価による肯定的な言葉かけ以外に、「どうやったらうまくシュートできる?」など子ども自身に課題を与える発問や、「ゴールとボールの間に入るといいよ」というような矯正的な言葉かけをされていた(213-214)。

    このように、子どもの進歩を具体的に伝えてあげることによって、動機づけが高まるなどメリットが高いことが分かります。上記の引用における授業中の教師のように、子どもに課題を提示したり、矯正的な言葉かけをするのは、親子間だと難しい時もあるかもしれません。お子さまにアドバイスをしすぎて嫌がられた経験がある方もいるのではないでしょうか? ただ、適切な言葉がけができれば、モチベーションをアップさせることができるのですね!

    また、本論文で「技術的学習では、具体的な肯定的・矯正的な言葉かけを積極的に与えること、子どもに確実に伝わるような位置とタイミングで言葉かけを行うことの重要性を指摘している」(214)と述べているように、言葉がけのタイミングはとても重要であるといえます。お子さまがより聞き入れてくれるタイミングを、探ってみてはいかがでしょうか。

    「ほめる」「叱る」について探ってみましょう!

    ほめる・叱るをパターンで分析!

    言葉がけにおいての「ほめる」や「叱る」には、どのようなパターンがあるのでしょうか。本論文では、大学生に対する小学校時代に教師からかけられた特に印象に残っているほめ言葉と叱り言葉についての調査に関して、以下のように述べています。

    調査の結果、教師からのほめ言葉は、「問題解くの早いね」などの事態に対する直接的なプラス評価、「1年間で字が上手に書けるようになった」というような事態の成立に至る過程に対する評価、「あなたには級長を任せられる」というような信頼感の伝達、「全国大会出場だ」というような目標の提示による当該事態(性格、能力)に対するプラス評価の4パターンに分けられた。この中で一番多く挙げられたのは過程に対する評価であり、これに直接的評価が続いていたが、どのタイプのほめ言葉かによってその言葉をかけられたときの満足度には違いはなかった(214-215)。

    普段お子さまにはどんな「ほめ言葉」をかけていますか? このようにメリットがたくさんある「ほめ言葉」には、色々と種類があることが分かります。
    お子さまの様子をよく観察し、気持ちを汲んであげることで、さらにほめてあげられることが見つかるのではないでしょうか。お子さまに対する理解を深めることで、親子関係や信頼関係は増し、お子さまに合ったより良い人生に導いてあげる一助となるでしょう。
    一方で、「𠮟り言葉」については、以下のように述べています。

    これに対し、叱り言葉は、「食べ物を粗末にするな」というような当該事態がなぜ望ましくないかの根拠を示す直接的マイナス評価、「いつもいじめてばかり」など直接には非難しないがその是非を考えさせようとする間接的マイナス評価、「みんなに謝りなさい」というような行為・状態の改変欲求、「片付けないなら捨てるよ」という罰の提示、「ゴミが一杯落ちていて歩きにくいでしょ。ちゃんと掃除しなさい」というようなマイナス評価と行為の改変の両者を求める複合型の5パターンに分けられた(215)。

    このように「叱り言葉」は5種類に分けられています。実際にお子さまを叱っている時にはなかなか意識しづらいものですが、時々ご自身の叱り方の傾向を振り返ってみてはいかがでしょうか。「叱り言葉」によって、お子さまの受け止め方も異なってくるようです。その点に関して、本論文では以下のように述べています。

    このうち、行為・状態の改変を求める叱り言葉よりも、当該事態が批判されるべき根拠が示されている直接的マイナス評価と間接的マイナス評価の方が、叱られ言葉に対する子どもの納得度が高かった。 叱られると言うことはそれまでの子どもの中にある価値規範が否定されるものであるので、それを棄却して新たな価値規範を受け入れるためには、相応の根拠が必要となると言える(215)。

    つまり、叱り方によってお子さまの納得度を上げられるということを示しています。納得度が高い叱り言葉として、なぜ望ましくないのかの根拠を示す「直接的マイナス評価」(例:食べ物を粗末にするな)と非難はせずにその是非を考えさせようとする「間接的マイナス評価」(例:いつもいじめてばかり)が挙げられています。このように、お子さま自身が自分の行為を振り返った時に、なぜ叱られたのかという事を認識しやすいよう、分かりやすい表現を心がけることが大切です。

    ポイントを押さえた叱り方で子どもとより良い関係を築く!

    お子さまを叱る時にも気をつけておきたいことがあります。子どものことを考え、良かれと思って叱ったものの、それにより親子関係に悪い影響が生まれてしまっては元も子もありません。「叱り言葉」と子どもの感情との関係について、本論文では以下のように述べています。

    叱り言葉の受け入れにくさを規定している要因として「きつさ」と「長さ」に注目し、これらの要因が受け手の反省感情や嫌悪感にどのように影響するのかを検討している。 彼らは、小学生に学校場面で日常的に起こる「学習用具忘れ」という事態を想定させ、それぞれ長さときつさの異なる叱り言葉を受けた場合に、どのくらい反省するかとその言葉を受けてどのくらいいやだったかを回答させた。その結果、叱り言葉のきつさに関わらず短い叱りよりも長い叱りの方が反省感情は高められなかった。また、長さに関わらずきつい叱りの方が嫌悪感は高まることも示された (215-216)。

    このように、子どもにとっては、きつい叱りは長さに関わらずに子どもの嫌悪感が高まるとのこと。長くきつい叱り方になってしまう方は、見直してみる必要があるかもしれません。日々お子さまと向き合うことは、とても幸せで喜ばしいことではあるけど、大変なことももちろん多いですね。ご自身に余裕が無くなっていると感じる方は、ぜひ以下の記事も参考にしてみてください。

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    お子さまに対する言葉がけについて詳しく見てきました。お子さまの、やる気や気持ちの変化に対する言葉がけの影響が理解できたのではないでしょうか。そして、ほめる時も叱る時も、タイミングや、ほめ方・叱り方によって、子どもの受け止め方が異なることも分かったのではないでしょうか。お子さまによい影響を与えるためには日々の言葉がけの積み重ねが大切になってきます。効果的な言葉がけを行うためには、お子さまの姿をよく観察し、お子さまの状態を知っておくことが必要ですね。また、折に触れて、普段よい言葉がけができているか、叱りすぎていないかなど、ご自身で振り返ってみてはいかがでしょうか。

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