「探究学習」とは?これから必須の学び方!
2020年、学習指導要綱が改定されましたが、新たな学習法として注目されている「探究学習」を皆さんはご存じですか?
今回は「探究学習」について、基礎知識や歴史的背景、類似する学習方法との違いなど詳しく説明していきます。
2020年、学習指導要綱が改定されましたが、新たな学習法として注目されている「探究学習」を皆さんはご存じですか?
今回は「探究学習」について、基礎知識や歴史的背景、類似する学習方法との違いなど詳しく説明していきます。
自ら学び自ら考える「探究学習」とは何?
探究学習とは、「自ら学び自ら考える力」を育てる学習のことです。
まずは、探究学習の基礎知識ついて説明していきましょう。
探究学習とは
今後急速に変化していく世の中で活躍するためには、どうしたらよいのでしょうか?
そんな時代のなかで「探究学習」は、柔軟な発想力や自分とは違う意見や価値観を受け入れる力、新しいことに挑戦する力などを培うことができると期待されている学習方法のひとつです。
「探究学習」とは、自ら問いや課題を見つけ、情報を収集・整理しながら、他者と議論・協力、ときには振り返り、自分独自の最適な答えを見つけ出していく学習方法です。
探究学習はいくつかのステップを踏むことで進められます。
1 課題の設定
2 情報収集
3 情報の選択
4 情報の分析・整理
5 まとめ・発表(レポート、スピーチ、新聞形式など)
出典:文部科学省「今、求められる力を高める総合的な学習の時間の展開」(平成25年)第2章 ※PDFファイル
次のステップに進む前には必ず振り返りや見直しを行います。
出題された問題に対して一つの決められた答えを誰かから教えてもらう従来の学習スタイルとは大きく異なり、あくまでも子どもたちが主体的・対話的に答えを見つけ出していく深い学び方が今後は当たり前になっていくと考えられます。
探究学習はそんな学び方を身につけることができる注目の学習方法なのです。
学習指導要領に定められている「探究学習」
平成29年度に告示された小学校学習指導要領の中にある「第5章 総合的な学習の時間」において「探究学習」のあり方が明記されています。
要領によると「探究的な見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うこと」を目標に掲げています。
そして、自己の生き方を考えていくための以下の資質・能力を育成することを目指しています。
(1)探究的な学習の過程において、課題の解決に必要な知識及び技能を身につけ、課題にかかわる概念を形成し、探究的な学習のよさを理解するようにする。
(2)実社会や実生活の中から問を見いだし、自分で課題を立て、情報を集め、整理・分析して、まとめ・表現することができる。
(3)探究的な学習に、主体的・協働的に取り組むとともに、互いの良さを活かしながら積極的に社会に参画しようとする態度を養う。
(参考:小学校 学習指導要領(平成29年告示):文部科学省)
探究学習は国語や算数といった教科学習とは別に設けられた、総合的な学習の時間に主に取り入れられています。
これは、新しい時代に必要になってくるであろう生きるための資質や能力の習得のために、重要な位置づけであると言えるでしょう。
探究学習の歴史
探究学習という言葉の起源は、アメリカの教育学者シュワブ(Joseph J Schwab)が1962年に提唱した学習論だと言われています。
日本でもシュワブの議論が早くから注目され、「探究としての学習」としてその翻訳が1970年に出版されました。
1974年には、教育学者の降旗勝信が「探究学習の理論と方法」という本を著して、徐々にアメリカでの探究学習議論が、日本でも広がりを見せていきました。
このような背景もあり、1969年日本の学習指導要領でシュワブの探究の過程を取り入れ、教育内容の現代化を目指すことになりました。
1989年の高校「理科」の学習指導要領において、「探究活動」という用語が初めて登場し、この探究活動が1998年の学習指導要領改定で新設された「総合的な学習の時間」に繋がっていくことになります。
探究学習の効果
人工知能AIの登場で、近い将来において「AIが人間の仕事を奪う」という意見が頻繁に聞かれるようになりました。
また、5Gが導入され世の中はますますインターネットを通して便利になっていくでしょう。
このように変化が激しい未来は、まさに予測困難であると言っても過言ではありません。
そんな時代に必要ととされている人材が「0から生み出す力」がある人材だと言われています。
その力を養うために、この「探究学習」が重要視されているのです。
探究することにより、主体的に問題発見・解決し協働しながら新しいものを創造していく力を育てることが可能なのです。
これはAIでは成しえることができない力だと言えます。
探究学習とプログラミング
探究学習はプログラミング学習と相性が良いと言われています。
それは、プログラミング学習で得られるプログラミング的思考が、探究学習で身につけることができる「論理的思考力」に結びつくからです。
2020年より、小学校で本格的にプログラミング教育の必修化が始まりました。
タイピングなどパソコンの基本スキルを学びプログラミング技能を習得するとともに、プログラミング教育で培われるプログラミング的思考の習得にも期待が寄せられています。
子どものうちからプログラミング的思考力を身につけることで、「目的」とその目的を果たすための「過程」を明確にする力、即ち、様々なことを合理的に順序だてて考える力が身につくと考えられます。
プログラミングについては、こちらもご覧ください!
【プログラミング×算数】小学校の授業では、どんなことをしているの?
【プログラミング教育特集】まだ間に合う!小学生の子どもをもつ親が必修化に向けて知っておくべきこと
【プログラミング教育】プログラミングで身につく能力は、実は〇〇でも身につく!?/みらいいチャンネル
他の学習方法と比較してみた!
アクティブラーニング
アクティブラーニングとは主体的・対話的で深い学びのことです。
新学習指導要領にも記載があるアクティブラーニングですが、探究学習よりも広義的な意味で使われています。
アクティブラーニングが目指す、「新しい時代に求められる資質・能力を育成するこ」とを実現するために、探究学習という方法を使って主体的で対話的な深い学びを実践します。
探究学習は、学習者の自発性や主体性を重視する点がアクティブラーニングの特徴と大いに重なると言えるでしょう。
調べ学習
今まで総合的な学習の時間で主に実践されてきたのが、この「調べ学習」です。
課題に対して、教科書も含めたさまざまな資料や図書などを調べる学習活動ですが、探究学習に比べるとやや受動的な学習方法です。
子どもたち自ら「なぜ」「どうして」という疑問を持てないまま課題が設定されることが多いため、主体的に取り組むことができないこともあります。
今後、主体的で対話的な深い学びが主流になると考えられ、この「調べ学習」も探究学習の要素をより色濃く取り入れるスタイルに変化していくことが求められます。
教科学習
学校で普段行われている国語や算数などの授業スタイルで、先生から多数の児童に向けて授業を行います。
皆さんが学校で授業を受けるといえば、この教科学習が頭に浮かぶのではないでしょうか。
決められた時間の中でより効率的に学習できるメリットがありますが、探究学習のように主体的・対話的で深い学びに繋がるかというと、答えはNOです。
今後、この教科学習も探究学習の要素を取り入れて、よりアクティブラーニング化していくとが予想されますが、実際は授業時間の制約があったりとなかなか難しいのが現状です。
まとめ
世の中に浸透しつつある探究学習は、「自ら学び自ら考える力を育てる学習」です。
子どもが疑問に思うことや知らないことを、教師や周りの大人が簡単に教えるのでは意味がありません。
探究学習では、子どもが知っている情報から生まれた「なぜ?」「どうして?」を中心に試行錯誤を繰り返しながら深く掘り下げて学び、新たな発見に繋げます。
主体的に学ぶことで、自分の学びに責任を持ち、自ら進んで学ぶ姿勢が形成されていくのです。
そして、そこで得られた全ての学びが実際の生活でも起こりうる課題やチャレンジに直結しています。
変化の激しい未来を力強く生き抜くため、この「探究学習」をご家庭でもどんどん取り入れていきたいですね!