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SDGs6.「安全な水とトイレを世界中に」とは?現状と達成への取り組み

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SDGs6.「安全な水とトイレを世界中に」とは?現状と達成への取り組み

世界には貧困などが原因で不安定な生活を強いられている人たちが一定数存在します。
その状況を解決すべく、2015年に国連総会で2030年までに達成すべき目標として「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」が採択され、17のゴールと169のターゲットを定めています。SDGsの17のゴールのなかでは、命の源でもある水にまつわる内容として「安全な水とトイレを世界中に」を掲げています。
本記事では、SDGs6.「安全な水とトイレを世界中に」の現状と達成への取り組みを中心に解説していきましょう。

もくじ

    動画でも3分で解説しておりますので、ぜひご覧ください!


    SDGs6.「安全な水とトイレを世界中に」が掲げられた背景

    日本では水質の衛生基準が定められており、安心安全な水を供給できる環境が整っているため、日常生活に困ることはありません。私たちは水を飲んだり、清潔なトイレを使ったりするなど、ごく普通にできます。おそらく断水や災害でライフラインが途絶えない限り、水のことで困ることはないかもしれません。

    しかしながら、途上国をはじめとする生活のインフラ整備が不十分な国や地域においては、浄水処理ができていない汚染された水や、衛生状況が整っていないトイレ環境で生活せざる得ません。つまり、安心安全な水を利用できず、水質が汚染された飲料水を使っている訳です。

    ほかにもトイレが利用できない環境に置かれている層もいます。不衛生な環境で生活している人たちのうち、免疫力が落ち、下痢性で命を落とす5歳未満の子どもの数は年間およそ30万人でした。

    ・安心安全な水を利用できない人⇨世界の人口の約3分の1
    ・糞便などによって汚染された飲料水を使用する人⇨約18億人 
    ・下痢性疾患で死亡する子ども⇨1日あたり日800人以上
    ・不衛生な水が原因による疾患で死亡する子ども⇨年間180万人

    このような社会背景を解決すべく、SDGsの17の目標のうち、6番目に「安全な水とトイレを世界中に」を掲げる流れとなりました。

    SDGs6.目標を実現させるターゲットとは?

    SDGs6.「安全な水とトイレを世界中に」は、実現に向けてターゲットを定めています。2030年に向けたターゲットの概要は以下のとおりです。

    ・すべての人々が、平等に、かつ安全で安価な飲料水を利用できるようにする
    ・すべての人々が、適切かつ平等にトイレといった衛生施設が使えるようにし、屋外の排泄をなくす。特に女性および女子、弱い立場に置かれている層に対し、細やかな注意を払う
    ・汚染の減少と投棄の廃絶、有害な化学物や物質が流れ出る量を最低限に抑える
    ・未処理の排水の割合を半減し、水質を改善し、世界的規模で安全な再利用の水の共有を行う
    ・水の利用効率を上げ、淡水の持続可能な採取と供給を確保し、水不足の解消を減少させる
    ・国境を越えた連携により、総合的な視点で水資源の管理を行う

    世界で起きている水資源の現状

    今、世界で起きている水資源の現状は、どのようなものでしょうか。「SDGs6.安全な水とトイレを世界中に」と結び付いた現状を解説していきましょう。

    世界全体の現状

    ゴミには加熱などして処理できるモノとできないモノが存在します。私たちが普段から触れているプラスチック素材のなかには自然分解されず、そのまま海に流れてしまい、海水を汚すという現象が起きています。ほかにも洗濯などの生活排水や、工場排水が海に行き着いてしまい、海の生き物たちが危険にさらされています。
    今の状況が続くと、2050年には海洋プラスチックの量が魚の量を上回ると予測されているので、安全な水を確保するためにも改善に向けたアクションが必要不可欠です。

    途上国の水インフラの整備が行き届いていない

    途上国で安心安全な水の供給ができない、不衛生なトイレを使わざる得ないなどの理由として、水のインフラが不十分という点が挙げられます。なかには、家の水道すらひかれてないケースがあり、そのため、子どもがバケツを持参し、地域の貯水場や井戸まで出向き、水を汲んで家まで持ち帰るのです。毎日、バケツに持ち帰った限られた水量で生活しなくてはなりません。

    砂漠化が進んでいる

    砂漠化も水に関わる問題の一つです。特にアフリカ諸国では干ばつが深刻であり、農作物が育てにくい土壌環境になりやすく、農作物の生産性が低下しています。この悪循環によって水不足に見舞われるため、住まいを失う層も一定数います。

    もし、SDGs6.の目標が達成できないと、どのような世の中になるか?

    2030年にSDGs 6.「安全な水とトイレを世界中に」の目標達成に向けたアクションが、世界各所で取り組まれていますが、達成できない場合、どのような世の中になるか気になるかもしれません。こちらでは達成できない場合の主な例を解説していきましょう。

    農作物が取れなくなる

    安全な水がないと、良質な農作物は育たず、家畜のえさが不足するリスクが高くなります。食糧難がより深刻化し、先進国でも食料不足になるといわれています。

    水不足と不衛生な水による健康被害

    水不足になると、病気の予防や治療に必要な衛生対策ができません。また、不衛生な水を飲んだり、手洗いなどの生活をしていると、免疫力が下がり、コレラや下痢などといった感染症やとびひにかかりやすくなります。医療的ケアが十分でない場合、回復できない可能性が高くなります。

    生態系が乱れる

    ゴミや排水などから生じる有害物質による水質汚染によって、水中の生き物が減ったり、絶滅したりするなどの危険性が高まります。また、陸の生き物も汚染された水に触れたことで命の危険にさらされ、生き延びることが困難になるかもしれません。

    紛争や対立を引き起こす

    島国日本では、川や湖が他国とまたがっていないため、水不足が原因で起きる紛争をあまり知らない人もいるかもしれません。
    陸続きの国では、水不足になると、水力発電や生活用水、灌漑用水などといった国の所有権を巡って紛争や対立を引き起こすケースがあります。過去に11ヶ国にまたがって流れるナイル川では、流域の国同士での対立が起きました。水不足は、国同士の紛争や対立に発展することを知っておきましょう。

    SDGs 6.「安全な水とトイレを世界中に」にまつわる日本国内の取り組み事例

    SDGs 6.「安全な水とトイレを世界中に」の取り組みは、日本でも注力されています。企業の事例は次のとおりです。

    日本コカ・コーラ株式会社

    日本コカ・コーラ株式会社では、「い・ろ・は・す」の売上の一部を日本各地の水資源保全を守る活動「い・ろ・は・すの森活」というプロジェクトの運営費用にしています。 2020年に水資源の保護を行う国内の22団体に対し寄付の支援を行い、この活動は今日も継続されています。

    LIXIL株式会社

    LIXIL株式会社では、安全かつ衛生的なトイレがない環境で生活する人たちに向けた活動に注力しています。下水道のインフラが整っていない途上国の農村地域向けに、簡易式トイレシステム「SATO」を開発しました。これまでに41ヶ国・約510万台を出荷し、約2,500万人(※2021年7月時点)の衛生環境の改善に貢献しています。

    さらに詳しい事例は以下の記事からご確認いただけます。
    https://miraii.jp/sdgs-27

    SDGs 6.「安全な水とトイレを世界中に」の達成に向けて私たちにできること

    「SDGs 6.安全な水とトイレを世界中に」の達成に向けて、親子でできる身近なことを紹介していきましょう。

    水の無駄遣いをやめる

    洗濯量が多いと1日2~3回洗濯機を回してしまうことがあるかもしれません。なかにはタオル1枚だけで洗濯機を回すといった、水の無駄遣いになるケースもあります。洗濯機の水の無駄遣いを避けるには、早く洗わなくてはいけないモノと、急ぎで洗う必要がないモノのすみわけが必要です。状況によっては、家族で洗濯機の使い方を話し合うと良いかもしれません。
    また、お風呂の残り湯は、お風呂洗いや植物の水やり、庭の水まきにも活用できるので、やってみてはいかがでしょうか。水道代の節約にもつながります。

    調理で使われていた油を排水溝に流さない

    私たちは調理器具や食器を洗うとき、油などが付着したものも一緒に排水溝に流してしまうことがあります。おそらく「浄化されるから油を流しても大丈夫」と思う人もいることでしょう。しかしながら、調理の際に使う動植物油は、微生物による分解はできるものの、分解する速度が非常に遅いため、川や海に流れ込むタイミングでは分解しきれていません。そのため、時間が経過した油が酸化してしまい、水質汚染に至ります。水中の生き物にダメージを与えるのです。
    油がついてしまった調理器具や食器は、洗う前にキッチンペーパーなどで吸い取ると、水質汚染のリスクを下げられるでしょう。

    世界各国の水事情を知る

    今日、インターネットが整っている環境で生活をしているので、Webサイトで多数の情報から現状を知ることができます。「どの地域で、何が起きているか」にフォーカスして確かな情報と、取り組んでいることを知っておきましょう。

    安全な水を守るために自分たちでできることを考えよう

    SDGs 6.「安全な水とトイレを世界中に」は、命と深くつながりがある内容です。水がなければ、食べることも洗濯することなどもできません。水質環境に恵まれている日本では、水がなくて生活が困難になることはほとんどありませんが、実際には衛生環境が不十分な水で生活する人がいるということを忘れてはなりません。このような人たちが安心安全な水で生活する近道は、今日の水資源の事情を理解しながら、普段の生活で水を無駄にしない、排水には気をつけるなどの心がけが必要です。

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