検索

世界が注目するSTEM(STEAM)教育とはどんなものでしょうか

STEM
世界が注目するSTEM(STEAM)教育とはどんなものでしょうか

STEM(STEAM)教育とはこれからの時代に必要な教育法といわれ、すでに小学校教育に取り入れている国もあります。最近では日本でも注目されはじめ、興味のある保護者もいるのではないでしょうか。
今回は、STEM(STEAM)教育の内容、日本や海外における事例などをご紹介します。

STEM(STEAM)教育とはこれからの時代に必要な教育法といわれ、すでに小学校教育に取り入れている国もあります。最近では日本でも注目されはじめ、興味のある保護者もいるのではないでしょうか。
今回は、STEM(STEAM)教育の内容、日本や海外における事例などをご紹介します。
 

STEM(STEAM)教育とは未来を生き抜く力を育てるためのプログラム

 

STEAM教育の5つの領域:理数系と芸術の関連性

 
STEMは、science(科学)・technology(技術)・engineering(工学)・mathematics(数学)の4つの単語の頭文字を取った言葉です。今後の経済成長にこの4つは重要な領域と考えられており、STEM教育で積極的に学んでいきます。
 
理数能力が優れていても創造力やデザイン力に欠けると、科学技術をうまく形にできない場合があります。コンピューターにはできないクリエイティブな発想や能力を養うために、art(芸術、教養)を加えたSTEAM教育が生まれました。
 
artは芸術だけではなく教養も含まれます。様々な分野を学び知識を得ることで、リーダーシップには欠かせない総合的な考え方ができるようになります。
 
科学面と芸術面は関連性が深く、科学技術と芸術の融合させながら新たな創造物を作り上げています。
 

STEM教育の目的:AI時代、グローバル社会に適応できる力を身につける

STEM教育は「自分で学び、自分で理解していく」ということが根底にあります。目まぐるしく発展する科学技術やグローバル社会に適応するためには、自発性や創造性、判断性や問題解決能力が求められます。
 
AI(Artificial Inteligence・人工知能)のブームの中、IA関連企業の立ち上げが目立っています。AI市場はこれからも伸び続け、それに伴いエンジニアの需要も高まると予測されています。
 
また、国や地域の市場開放がさらに進み、グローバル人材が必要となっています。グローバル社会に適応するには、英語をはじめとする語学力だけではなく、コミュニケーション能力や柔軟性、創造力などが必要になります。
 
STEM教育は、今までの読み書き中心の教育法と違い、指を使い、体験や発見をしながら様々なことを学びます。それは理数系人材の育成だけではなく、国や環境、考え方の違う人たちに適応できるグローバル人材の育成にも繋がっています。
 

STEM教育の目的:自国の優位性を維持する

STEM教育には、世界に通用する優れた人材の育成、他国に負けない技術力を保持する目的もあります。
 
オバマ政権はSTEM教育への財政支援を積極的に行なっていました。国民に向けて公開したメッセージの中では「コンピューターサイエンスのスキルを身につけることは、自身の将来だけではなく我々の国の将来にとってとても大切」と述べています。
 
アメリカ政府はSTEM関連教育に投資し理工系の知識に長けた人材を輩出することは、国家戦略のひとつと位置づけています。最近では、若い世代へのstem教育は将来自国の優位性を維持することに繋がると考え、stem教育を導入する国が増えています。
 
 

日本のSTEM(STEAM)教育の進み具合や現状とは

 

プログラミングを通してのSTEM教育:教育現場での対応や課題

STEM教育の中でもプログラミングは重要視されています。プログラミング的思考が身につくと、問題解決能力が高くなり、デジタル社会へ対応しやすくなります。
 
日本でも2020年からプログラミング教育が小学校で必修化になりました。現在、プログラミング教育の開始に向けて、ICT環境の整備、いわゆるコンピューターやタブレットの準備が進められています。
 
また、プログラミングを教える教師を支援するための組織、「未来の学びコンソーシアム」が設立されました。この組織は文部科学省、総務省、経済産業省と賛同企業や団体、教育委員会などで構成されており、HPでは関連資料や授業案も紹介されています。
 
 

有名企業も注目:STEM教育支援の広がり

STEM教育に注目し、日本の将来を支える子ども達への教育支援を始めた企業も目立ちます。
 
世界的に有名なソニーは、2019年8月に「Sony STEM Studio」を開催し、プログラミングの楽しさを体験できるワークショップイベントを行ないました。 今回は小学3~6年生とその保護者が対象でしたが、今後幅広い年齢層を対象にSony STEM Studioをはじめとする様々な活動を行なっていく予定です。
 
その他、IBMの技術スタッフや企業教育研究会のスタッフが教育現場へ講師ボランティアとして参加したり、NPO法人CANVASと(株)セールスフォースドットコムで「STEM教育プロジェクト」を開始したりしています。
 
このようなSTEM教育の支援活動が広がり、多くの子ども達がstem教育に触れる機会が増えています。
 

STEM(STEAM)教育が体験できる教室やツール

小学生を対象としたSTEM教室が増えています。全国展開しているSTEMON(ステモン)や、ベネッセも東京豊洲でSTEM教室を運営しています。
 
また、ソフトバンクのグループ会社が、幼児から小学生を対象としたSTEM教育スクール「STELABO(ステラボ)」事業を開始しました。ほとんどの教室が無料体験を行っているので、興味があれば問い合わせてみましょう。
教室に行かなくても無料でダウンロードできるプログラミングアプリなどがたくさんあるので、気に入ったものを探してみてくださいね。
 
アメリカで大人気の「マインクラフト」は、子どもの創造力が養われるとビデオゲームに反対な親も遊ぶことを認めることが多いそうです。
 
 

STEM(STEAM)教育発祥国アメリカの取り組みとは

 

小学校低学年からコンピューターやタブレットを使った授業

アメリカでは多くの小学校で、低学年からコンピューターを扱います。タイピングの練習マウスの使い方から始まり、簡単な学習ゲームなどをしながら慣れていきます。
 
多くの学校で生徒全員へクロームブックと呼ばれるノートパソコンとパスワードを支給しています。そのパスワードでアクセスし、許されたWebリサーチのみできるようになっています。
小学校ではプログラミング(コーディング)などの専門的なことを習う時間はあまり多くありません。ただし、リサーチ作業やライティングなど色々な授業でコンピューターを使い、様々な機能が使えるようになります。
州によっては学力テストをコンピューターで行なったり、アメリカの特徴的な教育であるギフテッドプログラムマグネットプログラムでは、宿題から提出までの全てをクロームブックを通して行うなど、コンピューターは小学校の教育に欠かせないものになっています。
 

グループワークやプレゼンテーションを大切に

アメリカの子育ては自立を促すことが重要で個人主義ともいわれていますが、教育現場ではグループワークを大切にしています。
 
小学校低学年はペアで行なうことが多く、学年が上がると数人でグループを作りプロジェクトを進めていきます。先生は補佐的な存在で、子どもたちの発想や想像を妨げるような言動はしません。
 
自然と積極的に意見を出す子や意見をまとめてアイディアを提案する子など、子どもの個性が現れます。社会で成功するには大切な、他人の意見を受け入れる柔軟性や、みんなで協力しながら一つのものを作り上げていく大切さをグループワークを通して学びます。
 
クラス内だけではなく、ときには保護者を招待し、発表する機会を与えます。人前で話すことが苦手な子も回数を重ねるごとに慣れ、聞き手に伝わるよう工夫していくうちにプレゼンテーション能力も高まっていきます。
 

州や郡、市など、地域全体で協力

貧富の差があるアメリカでは、州や郡が全ての子どもたちが平等に教育を受けられるよう様々な取り組みがされています。
 
小学校ではSTEMクラブやライティングクラブなどを作り、放課後に先生が生徒と一緒に簡単な実験やコンピューターを使ったライティングをします。
ドラマクラブ、編み物クラブなど、表現力を養ったり、もの作りを学んだりするクラブがある学校もあります。
 
また、郡全体でSTEMフェスティバルやサイエンスフェアなどを行ない、図書館、コミュニティカレッジ、公立の高校などで、様々なSTEM体験ができます。
 
様々な科学実験や大学生が作ったロボットやコンピューターゲームの体験、移動プラネタリウムなど、たくさんのアクティビティが用意されています。
ただし、郡にどれだけ金銭的な余裕があるか、教育にどれだけ力を入れているかにより、規模の大きさには大きな差があるようです。
 

おわりに

いかがでしたか。これからの社会が求める人材育成には、STEM(STEAM)教育が重要ということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
 
多くの国がすでにSTEM(STEAM教育に力を入れています。日本は2020年からプログラミング教育が始まりますが、今から家庭でもできることもありますよ。
親子でアプリを使って取り組んだり、STEMイベントに参加したりするなど、STEM(STEAM)教育に触れる機会を作り、楽しみながら子どもの可能性を広げましょう。

関連記事