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生きる力がないとは? 〜自分自身に満足できない若者が多い日本〜

親の学び
公開日:2021年10月5日 更新日:2021年10月5日
生きる力がないとは? 〜自分自身に満足できない若者が多い日本〜

さまざまなメディアから伝わるニート、自殺といったいまどきの若者の問題について危機感を抱いたり、自分の子育てに不安があるお母さん、お父さんに向けて。
どうしたら生きる力がない大人にならないか、生きる力の土台を育む大切さをご紹介します。

「生きる力」の土台を育もう

人間、夢を見ていれば、生きる力がわきます。コロナ禍の先の見えない状況で、ウイルスは見えない敵ですから不安はつきものです。このような時代ですが、子どもたちが夢や希望を持つことは重要です。どうしたら我が子が夢や希望、生きる力を持ってよりよい人生を生きていけるのでしょうか。

日本の若者は生きる力がないと問題視する声がありますが、解決するためにはどうしたらいいのか。子どもの力になりたいと思っているお母さん、お父さんが今何をなすべきかという視点から考えていきます。

今の若者の生きる力

日本を含めた7カ国の満13から29歳の若者を対象とした意識調査(我が国と諸外国の若者の意識に関する調査(平成25年度))の結果からわかってきたことがあります。そこで顕著に現れたのが日本は諸外国に比べ自己を肯定的に捉えているものの割合が低いということです。

自分自身に満足しているかと問われた時、諸外国では8割程度が満足と答えているにもかかわらず(アメリカ86.0%、フランス82.7%)、日本はたったの45.8%に止まったのです。

引用元:日本を含めた7カ国の満13~29歳の若者を対象とした意識調査(我が国と諸外国の若者の意識に関する調査(平成25年度)

また、諸外国と比べて、うまくいくかわからないことにも意欲的に取り組むという意識が低いこともわかりました(フランス86.1%、ドイツ80.5%に対し日本は52.2%)。海外の若者に比べるとうまくいくかわからないことにも積極的に挑戦したいと思えず、やる気が出ない若者が多いのです。

最近の若者は、ものの豊かさより心の豊かさを求める傾向が強く、頑張ることにあまりいい印象を持っていないようです。

引用元:日本を含めた7カ国の満13~29歳の若者を対象とした意識調査(我が国と諸外国の若者の意識に関する調査(平成25年度)

会社の面接などでも、若者は仕事でよいものを作りたい、成長したいという気持ちはあっても、自分の時間はきっちり確保したいという傾向が強く見られます。入社しても理不尽なことに耐えられず会社を辞めることが多いですが、実は社会の中には理不尽なことはたくさんあります。

理不尽への耐性をつけたり、理不尽を飲み込んでやっていく忍耐力はつけておかないとこの先生きていけないのではないかと心配になるところです。

新しい時代の新しい職業に就く子どもたち

これまでは大人から子どもに必要な知識や技術を伝えるというのが教育の根本でした。しかし現代は社会のスピードがとても速く、グローバル化が一気に進んでおり、国際関係・地球環境など地球規模の複雑な問題に向き合っていかなければなりません。

米デューク大学の研究者であるキャシー・デビットソン氏が、2011年8月のニューヨークタイムズ紙で「2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちの65%は大学卒業時、今は存在していない職に就くだろう」と予測しています。

キャシー氏はまた、雇用者の約47%の仕事が自動化されるといった予測もある困難な時代を生きる子どもたちに対して、自ら課題を発見し、他者と協働してその解決を図れるよう、「アクティブ・ラーニング」の視点で授業を改善し、課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習を充実させていくことが求められている」と提言しています。
 
このような時代には、子どもたちに必要なのは大人から与えられる知識や技術ではありません。よりよく生きるために必要なことを自ら考え、自ら行動する力、つまり「生きる力」が何より必要なのです。

今まで見たことも経験したこともないようなことが自分の目の前で起こった時、それに対処する能力を是非備えたいものです。

子ども自ら課題を発見し、解決を図るための大人の関わり方


1 大人は子どもに関心を持つ

どのように関わるかといえば、まずは大人が子どもの未来に「関心」や「興味」を持つことが大切です。

愛の反対は無関心です大人の持っている考えを押しつけず、先入観を持たずに、まずは子どもたちの未来に興味を持つことから始めてみましょう

これからの学校教育は対話型の授業となり、考える力や表現力を引き出す授業にますます転換していきます。これまではとにかく勉強して偏差値を上げ、有名な大学へ行くことがゴールであるとされてきました。子どもは塾や学校に任せていればよかった時代はもう終わりです。

これからは子どもたちが歩む未来がどうなっていくのかを見据えて、常にアンテナを張り、子どもと対話していきたいものです。

2 自分の人生を思い描ける子を目標にする

 自分で決定できることが増えると幸福度が上がります。神戸大学と同志社大学が国内2万人を対象に実施した調査結果から、学歴や所得よりも「自己決定」が幸福度に影響を与えることがわかっています。 

ですから、自分で人生を選べる子に育てることを目標にしてはどうでしょう。夢に向かって自ら学び、努力する子ども、どう生きるかを自分で選べる子どもは、何が起きてもゼロから立ち直ることができます。逆境の中にも自分で光を見出すことができます。自分で考え、自分で動ける、生きる力を持った子どもこそが夢をもって力強く未来へ歩んでいけます。

子どもにはさまざまな経験をさせてあげることです。この経験の中には、習い事も含まれます。子がやりたいという習い事はどんどんやらせてみましょう。間違っても親が自分の希望を勝手に押し付けたりせず、子どもとしっかり向き合い、その気持ちを組んであげることを一番に考えてください。

自分で考える力が生きる力の根底

子どもは小さな成功体験を積み重ねることで自己肯定感を高め、主体的に考えたり、やる気を出せるのです。そして子ども自身が自分の人生を思い描ければ、目標が生まれ、そこに向かって努力していけます。そうなると「生きる力がない」などといわれることは決してないのです。

家庭ではぜひ子どもが好きなことをとことんやらせて、大人がコミュニケーションをしっかりととっていく。大人が子どもの話をきちんと聞いて、子どもが自己肯定感を育めるよう、自分に自信が持てるように、たくさんの愛情を注いでいくことで、子どもたちは自分の人生を思い描ける、「生きる力」を育むことができるでしょう。
 
 参考文献:「なぜ最近の若者は突然やめるのか」平賀充記
「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」内閣府(平成25年度)

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