進路を考えるヒントに!自由研究に自分研究はいかが?自分を知って将来に活かせる!
夏休みの自由研究に、工作、観察、実験などではなく、自分について研究するのはいかがでしょうか?
自分について知ることで、自分の個性や魅力に気づき、将来につながる強みも見つけることができるかもしれません。
お子さまの進路にもきっと良い影響がありますよ。
「自分を研究する」とは?
「自分」について、人は案外分かっていません。
アメリカの心理学者ターシャ・ユーリック氏によると、「95%の人が自分を正しく認識できていると思っているが、実際は10~15%の人しか正しい自己認識をしていない」そうです。
しかも、年齢を重ねるほどに自分の周りの情報や選択肢が増え、自分自身の体験や経験の多様さに気づくことで、自己認識がぶれてくるのです。
その結果「好きなものは?」という質問にすら、答えられない大人もいるほどです。
しかし、小学生なら、まだ自分の心を素直に表現していることが多いでしょう。
これが好き、あれが好き、何をするのが楽しい、こんなことをしてみたい。
そんな小学生の間に、
- 自分は何が好きか
- 何が得意なのか
- 何かを選ぶときにどんな基準で選んでいるのか?
など、「自分」について言葉にし、まとめておくのです。
そして、「自分」について分かったことを元に、将来、どんなことがやりたいのか、それはどんな仕事になるのか。どんな価値を提供していきたいのか。
そこまで考えられると、自由研究にもなります。
参考:9割の人が「自分を知らない」という残念
「自分を研究する」のは何のため?
今の自分が好きなこと、得意なこと、判断基準などを言葉にすると、自分の「個性」が見えてきます。
人とは違うところ。得意なところ。
それらを上手に伸ばしていくと、「強み」につながっていきます。
この「強み」と「好きなこと」から進路、ひいては、将来のやりたいことを考えていくことができるのです。
つまり、「自分を研究する」ことは、「将来やりたいこと」につながっていくといえます。
キャリア教育にも関連します。
キャリア教育を知ろう!学校での実践や家庭でできること
「将来の夢」は職業名で考えなくてもいい?
「将来やりたいこと」といえば、よく学校で聞かれる「将来の夢」を連想しますね。
「将来の夢」は職業名で書かれることがほとんどです。しかし、その職業名は、「子どもが知っているもの」に限定されています。
世の中には、数え切れないほどの職業があります。インターネットの発達によって、これまでは存在しなかった職業もどんどん生まれている状況です。
ですから、子どもの限られた知識や経験の中から「将来なりたい職業名」を聞くよりも「どんな仕事をしたい?」「どんな風に生きていきたい?」つまり、「将来何をやりたい?」という、子どもの心から出てくるものを大切にすべきなのです。
自分研究の方法
「自分研究」は下記の順に行います。
1.自分を知る
2.キーワードを抜き出す
3.自分がやりたいことを考える
4.実際の行動まで考える
5.自由研究としてまとめる
詳しくみてみましょう。
1.自分を知る
自分のことは自分が一番分かっていると思っていても、いざ言葉にしようとすると難しい物です。
ここでは、「自分」をどんどん言葉にして表現してみましょう。
方法として
- 自分史を作る
- マインドマップを使う
- マンダラートを使う
の3つを紹介します。
自分史を作る
今までで印象的だったことを振り返ってみましょう。
どんな出来事がありましたか?そこで何を考え、どんな行動をし、何を感じたでしょうか?
できるだけエピソードが分かるように、具体的に書いてみてください。
マインドマップを使う
大きめの紙を用意し、自分の好きなこと、苦手なこと、頑張ったこと、得意なこと、やってみたいこと、などから連想するものを書いていきます。
思いついた単語でも、その時の感情でも、どんどん書き込みましょう。
コツは手を止めないことです。
これは書かない方がいいかな、などは考えずに、頭に浮かんだことを全て書くつもりでやってみてください。
マンダラートを使う
参考:上村彰子『大人は知らない今ない仕事図鑑100』講談社,2020年,176p
マンダラートとは、3×3の9マスの正方形の周りに、3×3の8マスの正方形のマスが並んだものです。
目標達成のための思考を整理するときなどにも使われます。
今回は、自分を知るために使ってみましょう。
頭に浮かんだものを気楽に書いていきます。
④は(お母さんから見たいいところ)(おじいちゃんから見たいいところ)などで、何人かに聞いた答えを書いてもいいですね。
⑦はできる、できない関係なく何でも書いてみましょう。
⑧はすぐにできそうなことを書きます。
全て埋められなくても大丈夫!
頭を柔らかくして、楽しんでやってみてください。
自分史、マインドマップ、マンダラートは全てやらずに1つだけでも構いません。
取り組みやすいものを選んでみてくださいね。
2.キーワードを抜き出す
1.の「自分を知る」作業の次は、キーワードを抜け出してみます。
自分を知るための作業をするだけでも気づきは多いですが、もっと活用するために必要な工程です。
まず、青、緑、赤など3色のペンを用意してください。
①「好きな分野」「好きなこと」に丸をつける
1.「自分を知る」で書いたものを眺め、「好きな分野」「好きなこと」を表す言葉に青色のペンで〇をつけます。
たとえば、野球、〇〇に関する本、音楽、運動などです。
作業の途中で好きな分野などが新たに浮かんだら、どんどん追記していきます。
②「得意なこと」に丸を付ける
次に、緑色のペンで「得意なこと」に〇をつけます。
たとえば「情報をまとめる」「人の話を聴く」「集中できる」などです。
③「自分にしっくりくるな」「なんだか気になるな」「大事にしたいな」という言葉に丸をつける
最後に赤色のペンで「自分にしっくりくるな」「なんだか気になるな」「大事にしたいな」という言葉に〇をつけます。
たとえば、「新しいことを知りたい」「学ぶ」「知る」「体験する」などです。
キーワードを探している途中で、新たな言葉が思い浮かんだ場合は、追加していっても構いません。
3.自分がやりたいことを考える
2.で抜き出したキーワードを「①好きなこと」「②得意なこと」「③大事にしたいこと」に分けて書き出してみましょう。
そして、それらを掛け合わせて出てくる「やりたいこと」を考えてみます。
キーワードだけから考えるのが難しい場合は、「誰に」「何を」「何のために(相手にどうなってほしいか)」などから考えると分かりやすいです。
たとえば、キーワードが
①音楽
②人に教えること
③楽しい
だったら、どんなやりたいことが考えられるでしょうか?
- 子どもたちに、音楽の楽しさを教えて、人生を豊かにすることを伝える、音楽の先生
- 病院などの施設で、音楽の楽しさを伝える、演奏家
など、実際にできるかできないか、仕事になるかどうかは考えずに、連想ゲームのように考えてみましょう。
1つではなく、たくさんアイデアを出すことで、自分の可能性にも気づくことができます。
また、すでになりたい職業がある場合は、「どんな」人、「何のために」などを考えると、その仕事をする目的まで考えることができますよ。
4.実際の行動まで考える
考えた「やりたいこと」の中から、一番興味のあるものを選び、それを実現するにはどうすればいいのかを考えてみましょう。
どんな知識やスキルがいるのか、どんな勉強をすればいいのか。
すでにある職業に似ている場合は、その職業について調べてみます。
インターネットや図書館を利用し、必要であれば関連する職業の人にインタビューをしてみてもいいかもしれませんね。
未来の自分と今の自分をつなぐ大切な工程です。
「やりたいこと」をするためには、どんな中学校生活を送るのか、そのためには、小学校ではどんな風に過ごすのか。
この1年では?今月では?今週、そして、今日は何ができるのか?
そこまで考えることができると、今の自分と未来の自分をつなぐことができます。
5.自由研究としてまとめる
1~4を自由研究としてまとめます。
テーマ、なぜやろうと思ったのか、自分研究の過程、結果、そこから考えられるやりたいこと、今後の具体的行動を項目にするとよいでしょう。
自由研究のまとめ方は、こちらの記事をご覧ください。
夏休みの自由研究どうする?進め方からまとめ方まで徹底解説!
習い事で自分を知る
夏休みの自由研究にするには難しい場合は、習い事を通して自分の強みに気づくこともあります。ただ、「先生の在り方」が重要となります。
先生として生徒に教えるということではなく、 「子どもたちが自分で考え、やってみる」ことに寄り添い、励ましてくれるコーチのような存在であること。そのように関わっていくことで、 自己肯定感が上がり、チャレンジ精神や思考力、理解力などが育まれていきます。
自分の可能性を知ることは「自分」を知ることにもつながります。
実際にプログラミング教室を受講している親子のインタビューはこちらからご覧くださいね。
子どもの成長に親もうれしい驚き!7組の親子にインタビュー!
自由研究を子どもの未来へつなぐきっかけに
一般的な自由研究を通して、探求心や思考力、課題発見や、問題解決能力も育めますが、「自分研究」をすることで、自分を知り、得意や個性を知り、未来につながる強みややりたいことを見つけることもまた大切です。
この夏、一味違った自由研究「自分研究」をして、なりたい自分を探してみませんか?
きっと、進路を選んだり、将来仕事をする際にも役立つことでしょう。