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「SDGs 5.ジェンダー平等を実現しよう」の日本や海外の取り組み事例

SDGs・ESD
「SDGs 5.ジェンダー平等を実現しよう」の日本や海外の取り組み事例

「SDGs」という言葉をTVやネットで耳したり、目にしたりする機会が増えてきました。

SDGsの17の課題は決して他人事ではなく、自分自身や子どもたちの将来にも影響する問題です。

中でも5.ジェンダー平等を実現しよう」の必要性は、実感することも多いのではないでしょうか?

そこで、「SDGs 5.ジェンダー平等を実現しよう」の目標達成のために、日本や海外で行なわれている取り組み事例を紹介していきます。

日本でも広がる「SDGs 5.ジェンダー平等を実現しよう」の取り組み事例

SDGs.5の詳しい内容を知りたいという方はこちらをご覧ください!
【SDGs 5.ジェンダー平等を実現しよう】への取り組み

日本企業の事例

SDGsに賛同し、実際に様々な取り組みをしている企業が増えています。全ての就労者が働きやすい環境を作るために、「5.ジェンダー平等を実現しよう」への取り組みを積極的に行っている企業の事例をいくつかご紹介します。

株式会社コーセー

人権尊重」を活動テーマとし、LGBTなど従業員の多様性配慮の促進に向けて新任管理職研修を実施。また、「消費者視点の研究・商品開発」を活動テーマの元、化粧品を通して地域や嗜好、年齢、性別、LGBT、宗教、 障がい者など多種の顧客満足への取り組み

佐川急便株式会社

台車や自転車などで集配を行う「サービスセンターを全国に325カ所設置。サービスセンターを地域展開することで、女性の就業機会の拡大(女性の活躍推進)に貢献

吉本興業

2017年3月8日の「国際女性の日」に、「5.Gender Equality」のボードを持った女性芸人が女性へ向けたメッセージを発信。さらに、女性の健康教育と予防医療の推進を行う「一般社団法人シンクパール」主催のイベント「NIPPON女性からだ会議」にて、「NIPPON女性からだ会議大賞2019」の次世代女性の健康や活躍に取り組む団体として特別賞を受賞

自治体の事例

東京都

*多様な性に関する取り組み:渋谷区「パートナーシップ証明書」、世田谷区「パートナーシップ宣言書」の交付
*男性相談:足立区「男性電話DV相談」、新宿区「男性相談員による相談」の実施
参考サイト:男女共同参画に関する国・東京都・他自治体の動き

群馬県富岡市

自治体行政や社会システムにジェンダー平等を反映させるために、行政職員や審議会委員等における女性の割合を増やす取り組み
参考サイト:富岡市が取り組むSDGsとは

NPOやNGOの事例

NPO法人ジェンダーイコール

ジェンダーギャップのない社会を目指し、Webサイトでジェンダー平等に関するコンテンツ配信、子育て世代向け啓発事業(家事育児シェアや働き方に関するセミナー、講演、ワークショップの開催)、子供向け教育事業(ジェンダー平等意識醸成のための読み聞かせ、夢を実現する手段としてのプログラミング教育およびマネーリテラシー向上のための教育)

国際NGOプラン・インターナショナル・ジャパン

世界の女の子の権利を促進するためのグローバルキャンペーン「Because I am a Girl」を通じて通学支援、出産支援など、熊本地震において心のケアを中心とした緊急支援活動、2016年に初の女性理事長就任
参考サイト:外務省 Japan SDGs Action Platform

海外の「SDGs 5ジェンダー平等を実現しよう」の取り組み事例

「育児しやすい環境=女性の社会進出」の実現・北欧、ヨーロッパ諸国

アイスランド

女性が職場に赤ん坊を連れていくことは当たり前の環境。母親、父親とも3ヶ月の育児休暇、さらに3ヶ月を両親で分割して取得することが可能。従業員50人以上の企業は女性管理職比率を4割にすることが義務化。国会の議員も約半数が女性

ノルウェー

両親合わせて育児休暇を最大54週、その中で父親が10週間の取得義務がある。クオータ制(議員や会社役員などの女性の割合を、あらかじめ一定数に定めて積極的に起用する制度)の導入、法律で育休が理由の減給処分や降格を禁じている

ドイツ

女性クオータ法を制定。大手企業108社に監査役会の女性比率を30%以上とする義務付け、さらに大手企業3500社には役員や管理職の女性比率を高めるための自主目標の設定、具体的措置、達成状況に関する報告の義務付け。この法律は公的部門にも適応
ドイツ企業は施策として、育児と管理職の両立実現のために、時短ワークやテレワーク、ジョブシェアリングなど働き方の選択を推し進めている

色々な文化が混ざりあうアメリカ

アメリカの女性社会進出レベルは先進国の中でトップレベルとされていますが、開発や技術系などのテック業界の女性就労率は低い状態です。移民も多く、職種によって性別だけではなく人種の偏りも見られます。

教育

理数系能力を必要とする分野の男女差を減少させるため、小学校から女児を支援する教育プログラムを実施、英語が母国語ではない子供達への特別授業の実施

企業や大学の事例

*ユニリーバ:役員・管理職の約半分が女性。育児や介護補助金制度や、体外受精・卵子凍結などの家族計画サービス支援がある
*IBM:女性のリーダーシップや会議での女性の発言スペースの確保など、ジェンダー平等の仕事場環境への取り組み。社内のボランティアネットワークからアイディアを得て、STEM教育の開発や促進、少女のSTEM分野への可能性を広げるプログラムへの支援などを行っている。また、インドの少女達へのStem教育支援「Stem for Girls」も行なっている
参考URL:IBM

アジア各国でのジェンダー平等への取り組み

女性の立場が弱いアジアの国などでも、ジェンダー平等の取り組みがされています。

カンボジア

*女性省による女性の経済的エンパワーメント、女性と女児の就学率向上と行動変容、健康の改善、法的保護の確保、意思決定分野における女性の増加への取り組み
*カンボジア女性メディアセンター(WMCC)は、女性に対する暴力や人心取引やHIV/AIDSなど、社会的なジェンダー課題を地域放送ラジオ放送、インターネットを通じたビデオ番組制作、広報活動などを行なう
*女性省が男性の意識と行動変容を促すことを目的とした「グッド・メン・キャンペーン」を展開。女性や少女に対する暴力防止を目的としたキャンペーン広告、スポーツやボランティア活動、学校を基盤にした普及啓発活動などを行なう

フィリピン共和国

*1975年、国内本部機構「フィリピン女性の役割委員会」設立。その後、アキノ政権(1986-92)、アロヨ政権(2001-10)の2人の女性大統領が誕生
*2007~13年、カナダ政府の支援を得てフィリピン女性委員会が「GREAT Womenプロジェクト」を実施。技術的熟練やビジネス研修、技術革新、資源、施設、パッケージング、市場へのアクセス改善などを通じて女性起業家を育成し、女性の経済的エンパワーメントを可能にする就労・雇用環境を作り出した

台湾

*2019年5月24日、アジア「同性婚を認める特別法」の施行
*2016年、民進党の蔡英文氏が女性初の総統に就任
*台湾は立法委員(国会議員)の女性比率が41・6%とアジアトップ。22県・市議会議員の女性比率も33・7%と高い(2020年現在)

その他の「SDGs 5.ジェンダー平等を実現しよう」の取り組み事例

日本企業や団体が行う海外支援

国境を越えてジェンダー平等に対する支援を行なう企業をご紹介します。

花王株式会社

初経教育セット(月経やからだの変化についてまとめた啓発用小冊子と生理用品のサンプルをポーチに入れたもの)をグローバルに無償配布。アジア各国で、現地の小中学校、NGOと連携して様々な初経教育プログラムを実施。

株式会社コーセー

世界の女性に質の高い教育の提供・支援を目標とし、中央アフリカ タンザニアの「さくら女子中学校」の支援

パナソニック株式会社

SDGsの達成に向けて、ソーラーランタン10万台プロジェクトを通じて貢献
*カンボジアの幼児教育や女性の自立支援団体「幼い難民を考える会(CYR/CYK)」の織物研修センターでソーラーランタンを活用
*NGO「Bindaas Unlimited Trust」を通じてソーラーランタンを寄贈し、インドの農村で手仕事布をつくる女性たちが活用、インドの女性雇用創出と伝統文化の継承につながっている
参考URL:外務省 Japan SDGs Action Platform

性的少数者「LGBT」への支援

LGBTへの理解の広がり、日本全国でLGBTを支援する行政が増えています。

北海道札幌市

「パートナー宣言制度」2018年6月1日より、希望者へパートナーシップ宣誓書受領カードの交付を開始。LGBTに関する相談窓口や理解を深める講演会、LGBTフレンドリー企業の紹介など。
参考URL:札幌市パートナー宣言制度

東京都渋谷区

コミュニティ施設「渋谷男女平等・ダイバーシティセンター<アイリス>」を設置。電話相談やパートナーシップ法律相談、パートナーシップの交付など。
参考URL:渋谷男女男女平等・ダイバーシティ

大阪市淀川区

平成25年9月1日に全国行政機関初となる「LGBT支援宣言」を発表。相談対応やコミュニティスペースの提供など、性的少数者への取組みを実施
参考URL:淀川LGBT支援事業

ハラスメントへの対策・対応

事業主は、上司や同僚からの妊娠、出産等に関する言動により妊娠、出産をした女性労働者の就業環境を害さないよう防止措置が義務づけされています。
職場のセクシャルハラスメントに関しては、「性的な発言」であれば同性に対するものも含まれます。事業主は、性的指向や性自認への理解を深め、差別的言動や嫌がらせが起こらないようにすることが重要です。
 
事業主はハラスメントについて、全ての従業員に周知することが大切と考えられています。口頭で伝えるだけではなく、就業規則や社員手帳、ポスターなど書面でも伝えます。
万が一ハラスメントが起こった場合は、被害者と加害者両方から話を聞き、慎重に進めて行く必要があります
参考URL:厚生労働省

おわりに

ジェンダー平等は女性に対する差別問題に注目されがちですが、性的少数者への理解も重要な問題です。また、差別は同性から受ける可能性があることも、お分かり頂けたのではないでしょうか。
 
日本はジェンダー平等先進国に比べると遅れている部分もありますが、様々な企業や自治体、NPOなどがSDGs「5.ジェンダー平等を実現しよう」を重要課題とし、取り組んでいます。
 
ジェンダー平等実現には、一人ひとりが自分と違う立場の人への理解を深め受け入れることも大切なのではないでしょうか。

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