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【SDGs現地レポート】パレスチナのガザ地区のお母さんと子どもの生活と健康の現状

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【SDGs現地レポート】パレスチナのガザ地区のお母さんと子どもの生活と健康の現状

今回は実際にエルサレムに住みながらパレスチナで支援活動をしているJVC(日本国際ボランティアセンター)の山村順子(やまむらよりこ)さんに直接お話を伺い、現地のお母さんや子どもがどのような暮らしをしているのかを伺いました。

今回は実際にエルサレムに住みながらパレスチナで支援活動をしているJVC(日本国際ボランティアセンター)の山村順子(やまむらよりこ)さんに直接お話を伺い、現地のお母さんや子どもがどのような暮らしをしているのかを、みらいい編集部のHiroがインタビューしました。
この記事を通してまず世界で何が起こっているのかを把握していただき、その状況を家族にシェアして、お子さんと一緒にできることから始めてください。

【JVC山村順子さん】2012年にパレスチナを訪れた際に、パレスチナの人たちの人間性に触れ、パレスチナに関わりたいと思い立つ。

2017年からJVCでパレスチナの現地調整員として活動している。

パレスチナって?

Hiroーまずパレスチナとはどんな場所なのですか?

山村さんーパレスチナとはイスラエル国にある、パレスチナ自治区と呼ばれる緑のエリア(地域)のことを指します。(この認識は日本政府の認識に基づいています)私たちの主な活動場所はガザ地区と東エルサレムと呼ばれる場所です。東エルサレムから車で一時間のラマッラーと呼ばれる自治区の中心地で雪が降っている日に、世界で最も低地に位置している、世界最古の都市・ジェリコにいくと、暑い砂漠のような気候の場所に行けます!


Hiroー同じ時間に雪と、砂漠のような場所を楽しめるのはとても魅力的ですね!

山村さんーパレスチナ・ガザ地区にはジェラート屋さんやカフェもあります。

ガザ地区では文化的に女性が外で働くことが難しいので、男性のスタッフがジェラート屋さんで働いていて、ジェラートを取ってくれます。味もとても美味しくて、ピスタチオ味やアラビアガム味などがありとても人気です。

チョコ系のアイスも人気です。ナッツを売る場所もあちらこちらにあり、日本でいう歌舞伎揚のようなものもあります。ガザは海に接しているので、新鮮な魚が食べられます。また、150円ほどでエジプトのファストフードであるコシャリ(パスタ、豆、焦がした玉ねぎ、ご飯など炭水化物を混ぜたもの)などを食べることもできます!


Hiroーご飯もとても美味しそうですね。ジェラートも日本のジェラートに負けないほど美味しそうです!

山村さんーパレスチナガザ地区では1家族に5人の子どもは普通です。私の友人には10人きょうだいの人もいます。お母さんは妊娠期間が長いので大変です!


ガザ(パレスチナ全体でそうですが)では喜びをいつでもみんなと分かち合う文化が強くあります。誰かの誕生日があるとオフィスでよくみんなでお祝いをしています。分け合う文化から、食べ物も皆で分け合うのが当たり前だと思っています。お菓子を選ぶときもみんな好きかな?などと考えて買いますし、家に呼ばれて夕食を一緒に食べさせてもらうことも多いです!

Hiroーこのように子どもが多くて、さらに喜びを分け合う文化があるとはとても魅力的ですね!

山村さんもおっしゃっていましたが、日本ではお菓子はみんなのものという意識よりも、自分が買ってきたのだから自分のものという意識が強いですよね。温かい場所ですね!

そのようなパレスチナですが、パレスチナ・ガザ地区は特に大きな問題を抱えていると山村さんはいいます。

パレスチナには2つの政府が存在しており、ガザ地区と、ヨルダン川西岸地区は別の政府がおさめています。ガザ地区とヨルダン川西岸地区の間では、様々なサービスの差がうまれています。ガザ地区をおさめている政府はイスラエル国からパレスチナの代表として承認された政府ではないため、陸・海・空が封鎖されていて(基本的に閉じられていて、イスラエルが出入りを管理)、移動が制限され、様々な自由がない状況です。

パレスチナガザ地区現地の暮らし

そういった移動や自由がない状況のパレスチナガザ地区ですが、実際にどのような暮らしをしているのでしょうか。

電気の不足

停電が常に起きています。イスラエルから買っている状況です。カタールからの支援もたびたび入ります。イスラエルとの政治的な関係で、一日にどのくらい電気が流れるかが変わります。

たとえば、8時間オフ、8時間オンで通電と停電を繰り返します。地域によっては夜だけ電気が流れることもあるので、夜に洗濯機を回したりしないといけません。

1日3時間オフ、3時間オンの週もあります。そのため夜は目に負担のかかるLEDライトで照らして生活する方もいますが、それでもとても暗い状況で暮らしています。

安全な水の不足

ガザは実質上住めなくなっているほど電気や水が不足しています。

ガザの96%の地下水は人間が使用するには適さないため、料理や飲料用の水は日本が冬に灯油を売りにくるように、トラックで運ばれてくる水を購入しています。

購入した水はタンクにいれて、アパートの住民が家族単位でそのタンクから水を取って暮らしています。さらに電気が不足している影響により、下水をきれいにするエネルギーがないため、毎日100リットルの汚い水が海へ垂れ流されています。そのためガザの海は泳ぐことができません。ガザの海の近くにいくと汚臭がします。前に外国人が入った際にも熱を出したそうです!


世界の水や海の問題について詳しくはこちらをご覧ください!
【できることはたくさん】SDGs6.安全な水とトイレを世界中にを解説
SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」の現状と私たちにできること

子どもの健康状態と子育て

貧困率が5割を超えるガザ地区では、栄養のある食材を購入することは簡単ではありません。

62.2 %の世帯が食糧不足になっていると言われています。(現在はさらに悪化)基本的な栄養に関する知識を得る機会も少ないので、一見健康そうに見えても栄養不足になっている子どもが少なくありません。
くる病や貧血を患うケースも多く、その後の人生に大きく影響します。 
家庭内のリソースや資金不足で子どもにしてあげたいことができていない状況、家から出ることが少ないこと、子育てに関する伝統的な慣習の中には子どもの健康にとって良くないものもあり、若い母親が気軽に相談でき、正しい知識を持っている人材がいない環境など、お母さんたちが子どもを育てていく中での障がいも多く、支援を必要としている方々が多くいます。

このようにパレスチナのガザでは電気・水の不足や、栄養のある食材を購入することが難しく、これから未来のある子どもたちが満足な暮らしができていません。

私たちができることとは

そのような現状にあるパレスチナガザ地区に対して、その他貧しい国などに対して日本からでもできることはなにかを伺いました。
・ニュースで見た世界で起きている問題を家族で話し合う
・新聞の国際欄を読んでみる
・本を読んで見る(ネットやYouTubeより正確な情報なので)
・普段からおかしいことはおかしいと言える力をつける
・聞いたことをなんでもそのまま信じすぎず、自分の頭で考える
・NGOを通じて支援してみる
「世界で何が起こっているのかを、ニュース、新聞、本などを通して「知る」ということが大切で、その知った情報を本当にそうなのか?という視点から自分で考えてその問題の本質はどこにあるのかを見極めることが重要」とのことでした。

行動するには、まず「知る」から始めて行動に結びつくようにしていきたいですね。

インタビューを通して

今回のインタビューを通して、子どものみらいを切りひらくメディアとして、もっと世界の多くの貧しい地域の現状だったり、問題を抱えている国を取り上げて、まず皆さんに知っていただくことが重要だなと感じました。

さらにSDGsの各目標を達成するためには、国や個人の協力無しには到底達成できないと感じました。この現状を全く知らない人が大半の状況で、どうすれば達成できるでしょうか。

パレスチナを含めて、まだまだ世界には厳しい状況の地域や国が存在します。

その状況を我々は引き続き発信していきますので、皆さんも一緒に知って、まずは自分ができることが何なのかを一緒に考えていきませんか。
日本中や世界中で手を取り合うことが一番の近道です。
まずは寄付から始めてみませんか?


協力:日本国際ボランティアセンター

みらいい編集部 Hiro

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