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ギフテッド教育を文部科学省はどう考える?有識者会議が示す方向性と支援をまとめて解説

子どもの成長
公開日:2022年8月23日 更新日:2026年7月5日
ギフテッド教育を文部科学省はどう考える?有識者会議が示す方向性と支援をまとめて解説

近年、日本でもギフテッド教育への関心が高まっています。

しかし、文部科学省は海外で使われる「ギフテッド」という言葉をそのまま用いるのではなく「特定分野に特異な才能のある児童生徒」という表現を使っています。

文部科学省はギフテッド教育をどのように考えているのでしょうか。

この記事では、ギフテッド教育の基本から、子どもの特徴、有識者会議が示した方向性までをわかりやすく解説します。

もくじ

    ギフテッド教育とは?文部科学省の考え方をわかりやすく解説

    文部科学省は、特定の子どもだけを特別扱いする教育ではなく、一人ひとりの可能性を伸ばすための支援としてギフテッド教育を位置づけています。

    ギフテッドとは「特異な才能のある児童生徒」のこと

    ギフテッドとは、特定の分野で高い能力や才能を持つ子どもを指す言葉です。
    海外では広く使われていますが、日本では明確な定義が統一されているわけではありません。
    文部科学省は、有識者会議の中で「特定分野に特異な才能のある児童生徒」という表現を用いています。
    これは、知能指数だけで判断するのではなく、

    • 数学や理科
    • 音楽や芸術
    • プログラミング
    • スポーツ
    • 探究活動


    など、さまざまな分野で高い能力を発揮する子どもを含めて考えています。
    ただし、才能があるからといって学校生活で困りごとがないとは限りません。
    理解が早いため授業を退屈に感じたり、周囲との違いに悩んだりすることもあります。
    そのため、近年は才能を伸ばすことと同時に、子どもが抱える困難への支援も重要視されています

    文部科学省が「ギフテッド」という言葉を使わない理由

    文部科学省が「ギフテッド」という言葉を積極的に使わない理由の一つは、子どもを一律に分類することへの慎重な姿勢です。
    「ギフテッド」という言葉には「特別な才能を持つ子ども」というイメージがあります。
    しかし実際には、才能の現れ方は一人ひとり異なります
    ある分野では高い能力を発揮していても、別の分野では苦手さを抱えているケースも少なくありません。
    そのため文部科学省は、それぞれの特性や学習ニーズを理解し、適切な支援につなげることを重視しています。
    この考え方は、後ほど紹介する有識者会議の提言にも反映されています。

    ギフテッド教育が注目されている理由

    背景の一つには、学校教育の中で十分に力を発揮できていない子どもの存在があります
    文部科学省によると、特異な才能のある児童生徒は、その才能や認知・発達の特性によって、学習上や学校生活上の困難を抱える場合があるとされています。
    授業内容が簡単すぎて集中できない、興味のあることに没頭しすぎる、周囲と考え方が合わず孤立するといったケースです。

    これまでは「勉強ができる子だから問題ない」と考えられている側面がありました。
    しかし近年は、才能を持つ子どもにも適切な支援が必要だという認識が広がっています
    また、日本の教育では「個別最適な学び」が重視されるようになっています。
    子ども一人ひとりに合った学びを実現する流れの中で、ギフテッド教育への関心も高まっているのです。

    文部科学省が示すギフテッドの子どもたちの特徴

    ギフテッド教育について理解するためには、ギフテッドの子どもにどのような特徴がみられるのかを知ることも大切です。

    学習面でみられる特徴

    ギフテッドの子どもには、学習面で次のような特徴がみられる場合があります。

    • 新しい内容を短時間で理解できる
    • 強い探究心を持つ
    • 大人のような視点で考える
    • 独創的な発想をする
    • 「なぜそうなるのか」を徹底的に考える


    こうした特徴から、授業の進度が合わず、物足りなさを感じる場合もありますが、すべての教科が得意とは限りません。
    興味のある分野では高い力を発揮しても、関心の薄い分野では苦手意識を持つこともあります。

    学校生活や人間関係でみられる特徴

    学校生活や人間関係の中で抱えやすい悩みには次のようなものがあります。

    • 同年代の友達と話が合わない
    • 周囲との違いを強く感じる
    • 完璧を求めすぎる
    • 感受性が豊かで傷つきやすい


    自分の考えを強く持っているため、集団活動に違和感を覚えることも少なくありません。
    その結果「変わった子」と見られてしまい、孤立感を抱えるケースもあります。
    だからこそ、学力だけでなく、子どもの気持ちや人間関係にも目を向けることが大切です。

    2E(二重に特別な状態)の子どもへの理解

    ギフテッド教育を考えるうえで欠かせないのが「2E(Twice Exceptional)」という考え方です。
    2Eとは、高い才能と発達障害などの特性をあわせ持つ状態を指します
    数学では非常に高い能力を発揮するが、しかし読み書きには大きな困難があるというような状態です。
    このような子どもは、才能によって困難さが見えにくくなったり、逆に困難さによって才能が見過ごされたりすることがあります。
    そのため、単純に「できる子」「できない子」という判断はできません。
    一人ひとりの特性を丁寧に理解し、適切な支援につなげることが重要です。

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    文部科学省の有識者会議が示したギフテッド教育の方向性

    ギフテッド教育について考えるうえで重要なのが、文部科学省の有識者会議です。
    文部科学省では2021年に有識者会議を設置し、2022年に「審議のまとめ」が公表されています。
    有識者会議では、特定分野に特異な才能のある児童生徒への支援のあり方について議論が行われました。
    その中でも特に重要な考え方を紹介します。

    一律の選抜やラベリングは行わない

    有識者会議が重視しているのは「ギフテッドかどうか」を一律に判定しないことです。
    海外ではIQなどを基準に選抜を行うケースもありますが、才能の現れ方は子どもによって大きく異なり、年齢や環境によって能力の伸び方も変わります。
    そのため文部科学省は「ギフテッド」というラベルを付けて特定の子どもだけを対象にするのではなく、それぞれの学習ニーズに応じた支援が大切だとしています。
    子どもを分類するのが目的ではなく、その子に合った学びを実現することが目的です。

    一人ひとりの個性を伸ばす教育を目指す

    有識者会議では、特異な才能を持つ子どもへの支援を特別な教育として切り離すのではなく、一人ひとりの個性を伸ばす教育の一環として考えています
    同じ学年でも理解の速さや興味のある分野は異なり、算数が得意な子もいれば、昆虫研究に夢中になる子もいます。
    そのため、決められた内容を同じペースで学ぶだけでなく、それぞれの強みや関心を伸ばせる環境づくりが求められているのです。
    これは近年進められている「個別最適な学び」にもつながる考え方です。
    子どもが自分らしく学び、自分の可能性を広げられることが目指されています。

    学校と学校外の学びを組み合わせた支援を進める

    有識者会議では、学校だけで全ての支援を行うのではなく、学校外の学びも活用することが提言されています。
    特異な才能を持つ子どもの中には、学校の授業だけでは物足りなさを感じる子もいるため、

    • 大学や研究機関
    • 科学館や博物館
    • オンライン講座
    • 民間の教育プログラム


    などと連携し、より高度な学びの機会を提供することが重要だとされています。
    学校と学校外の協力により、子どもの可能性を一層広げられると期待されています。
    こうした考え方をもとに、文部科学省では実際の支援事業も進められています。

    文部科学省が進めるギフテッド教育の支援

    有識者会議の提言を受け、文部科学省では2023年度から「特定分野に特異な才能のある児童生徒への支援の推進事業」を開始しました。
    現在も実証研究や相談体制づくりなどを進めています

    特異な才能のある児童生徒への支援事業

    2025年度にも、文部科学省は「特定分野に特異な才能のある児童生徒への支援の推進事業」を継続しており、大学や教育委員会などと連携しながら特異な才能を持つ子どもたちが能力を伸ばせる環境づくりを目指しています。
    具体的な支援事業は、

    • 学校と大学の連携
    • オンライン学習機会の提供
    • 専門家による支援
    • 教員向け研修


    などです。
    また、才能を伸ばすだけでなく、学校生活や人間関係での困りごとへの支援も重視されており、文部科学省は、学習面と生活面の両方を支えることが必要だと考えています

    学校で受けられる支援

    学校では、子どもの状況に応じてさまざまな支援が行われています。

    • 発展的な課題への取り組み
    • 探究学習の充実
    • ICTを活用した個別学習
    • 教員によるきめ細かな指導


    近年重視されている「個別最適な学び」の流れの中で、特異な才能を持つ子どもへの支援も特別なものとして切り離すのではなく、学校全体の教育改善の中で進められています。
    ただし、学校によって取り組み状況には差があるため、保護者が学校と情報共有しながら支援方法を考えることも大切です。

    学校外で広がる学びの機会

    学校外にも、子どもの興味や才能を伸ばせる学びの場があります。

    • 科学コンテスト
    • プログラミング教室
    • 大学の公開講座
    • 地域の探究活動


    近年はオンラインで参加できる学習機会も増え、住んでいる地域に関係なく、専門的な学びに触れられる環境が広がってきました。
    また、同じ興味を持つ仲間と出会えることも大きなメリットです。
    学校では理解されにくかった子どもが、自分らしく過ごせる居場所を見つけるケースもあります。
    このように、学校内外の学びを組み合わせながら支援を行うことが、現在のギフテッド教育の大きな特徴です。

    ギフテッド教育で保護者が知っておきたいこと

    ギフテッド教育では、学校や専門機関による支援だけでなく、家庭での関わり方も重要です。
    特異な才能のある子どもは、得意なことが目立つ一方で、周囲には見えにくい悩みを抱えている場合があります。
    保護者だからこそできるサポートについて考えてみましょう。

    子どもの興味や関心を尊重する

    ギフテッドの子どもは、特定の分野に強い興味を示すことがあります。
    昆虫観察に夢中になったり、宇宙について何時間も調べたりする姿を見たことがある保護者もいるかもしれません。
    そのような興味や関心は、子どもの才能を伸ばすきっかけになります。
    「勉強に関係ないから」と止めるのではなく、まずは子どもの好奇心を受け止めることが大切です。
    図書館へ行ったり、博物館や科学館を訪れたりして、さらに学びを広げてあげましょう。
    子どもが好きなことを深く学べる環境づくりは、大きな支援の一つです。

    才能だけでなく困りごとにも目を向ける

    特異な才能がある子どもは「できる子」と見られやすい傾向があります。
    しかし、才能があるからといって困りごとがないわけではありません。

    • 完璧を求めて失敗を恐れる
    • 友達との関係に悩む
    • 感情のコントロールが難しい
    • 学校に行きづらさを感じる


    といったケースもあります。
    保護者としては、能力の高さだけでなく、子どもの気持ちにも目を向け、困っていることがないかを丁寧に聞いてみましょう
    安心して相談できる家庭環境は、子どもの成長を支える土台になります。

    学校や専門機関と連携する

    保護者だけで全ての悩みに対応するのは難しいものです。
    必要に応じて学校や専門機関と連携することも大切です。
    担任の先生やスクールカウンセラーに相談すると、学校生活の様子が分かる場合もあります。
    また、地域の教育相談機関や発達支援センターなどが役立つこともあります。
    一人で抱え込まず、周囲の力を借りながら見守っていきましょう。

    ギフテッド教育はこれからどうなる?文部科学省の今後の取り組み

    文部科学省では、特異な才能のある児童生徒への支援を進めるとともに、2030年頃の社会を見据えた次期学習指導要領の検討も進められています。
    一人ひとりの可能性を伸ばす「個別最適な学び」は、これからの学校教育全体に関わる重要な考え方となっています。

    個別最適な学びとギフテッド教育

    近年の学校教育では「個別最適な学び」が重要なキーワードになっています。
    これは、子ども一人ひとりの理解度や興味、学習状況に合わせて学びを進める考え方で、ギフテッド教育も、この考え方と深く関わっています。
    理解の早い子どもには発展的な学習機会を提供し、興味のある分野を深く探究できる環境を整えることが求められています。
    ギフテッド教育は特別な一部の教育ではなく、これからの教育全体を考えるうえでも重要な取り組みだといえるでしょう。

    ギフテッド教育に残る課題

    一方で、課題も残されています。

    • 教員の理解や研修の充実
    • 地域による支援格差
    • 相談先の不足
    • 保護者への情報提供


    特異な才能のある児童生徒への支援は始まったばかりで、全国どこでも同じ支援が受けられる状況ではありません。
    また、ギフテッドや2Eについて十分に知られていないことも課題の一つです。
    今後は、子どもや保護者が必要な支援につながりやすい仕組みづくりが求められています

    今後期待される支援の広がり

    文部科学省では、実証事業を通じて支援方法の研究を進めています。
    今後は、

    • 学校と大学の連携
    • オンラインによる学習支援
    • 専門家による相談体制
    • 教員研修の充実


    などがさらに広がることが期待されており、学校外の学びの場も増えていくと考えられています。
    子どもたちが住んでいる地域に関係なく、自分の興味や才能を伸ばせる環境づくりが進められています
    こうした取り組みが広がると、より多くの子どもが自分らしく学べる社会に近づいていくでしょう。

    ギフテッド教育は一人ひとりの個性を大切にする学び

    文部科学省は「ギフテッド」という言葉ではなく「特定分野に特異な才能のある児童生徒」という表現を用いています。
    その背景には、子どもを一律に分類するのではなく、一人ひとりの個性や学習ニーズを大切にしたいという考えがあります。

    有識者会議では、

    • 一律の選抜やラベリングを行わない
    • 一人ひとりの可能性を伸ばす
    • 学校と学校外の学びを組み合わせる

    といった方向性が示されました。
    特異な才能のある子どもは、高い能力を持つ一方で、学校生活や人間関係で悩みを抱えることもあります。
    そのため、才能を伸ばすことだけでなく、困りごとへの支援も欠かせません。
    保護者としては、子どもの興味や関心を尊重しながら、必要に応じて学校や専門機関と連携していくことが大切です。
    子どもが自分らしく成長できる環境づくりについて、家庭でも考えてみてはいかがでしょうか。

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