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【SDGs1.貧困をなくそう】の現状と私たちができることを解説

SDGs・ESD
【SDGs1.貧困をなくそう】の現状と私たちができることを解説

SDGsの目標1「貧困をなくそう」は国、自治体、企業、非営利団体など、さまざまな分野の取り組みが必要ですが、わたしたちにもできることが沢山あります。
SDGsの目標1の現状と課題をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください!

SDGsの目標1「貧困をなくそう」は国、自治体、企業、非営利団体など、さまざまな分野の取り組みが必要ですが、わたしたち一人ひとりにも、できることが沢山あります。今回は、SDGsの目標1について現状と課題をご紹介します。子どもと一緒に取り組めることもありますので、ぜひ参考にしてみてください!

動画でも3分で解説しておりますので、ご覧ください!


SDGs1.「貧困をなくそう」とは?

「貧困をなくそう」の内容と7つのターゲット

全世界を見てみると、現在も多くの人々が貧しい生活を強いられている状況です。

1日1.25ドル未満で暮らしている、十分な食事ができなくて常に空腹状態、きれいな水を手に入れることができない、教育を受けられない…国の経済が成長しても、何世代にもわたる貧困から抜け出せない人々も多くいるのが現状です。

世界中で極度の貧困に陥っている人々を救い、その後自らの力で生活を成り立たせられるようにしていくことが大きな課題となっているのです。

SDGs1.「貧困をなくそう」では、具体的に次の2つを目指しています。

  • 世界中で極度の貧困にある人をなくす
  • さまざまな次元で貧困ラインを下回っている人の割合を半減させる

 7つのターゲット

SDGs1.「貧困をなくそう」には、7つのターゲットが設定されています。(要約)

  • 1日1.25ドル未満で生活する極度の貧困を終わらせる
  • 貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半分にする
  • 社会的に弱い立場の人々や貧困層を保護する、社会保護制度や対策を実施する
  • 社会的に弱い立場や、貧困層含むすべての人々が、基礎的なサービスや財産、新技術、天然資源、金融サービスを平等に受けられるようにする
  • 社会的に弱い立場や、貧困層含むすべての人々が、異常気象や災害、経済や社会から取り残されないようにする
  • 貧困を終わらせるために開発協力を強化し、さまざまな供給源から資源確保する
  • 貧困撲滅のために、貧困層やジェンダーに配慮した政策的な枠組みをつくる

 7つのターゲットは、「貧困をなくそう」の目標がより細かい部分まで設定されているので、問題解決のために行うべきことを具体的に知ることができます。

 現状の問題から紐解く!なぜ目標になっているのか

「貧困」とは、どのようなことを指すのでしょうか。ここではまず、貧困の定義について説明します。

SDGsが定義づけている貧困は、世界銀行で決定された国際貧困ラインを基準にしています。国際貧困ラインでは「1日1.9ドル未満で生活している人=貧困」とされています。

SDGsが定められた当初の国際貧困ラインは1.25ドルでしたが、2015年10月に現在の1.9ドルまで引き上げられました。SDGsのターゲットが1.25ドルとなっているのはそのためです。

1.9ドルを日本円(1ドル110円として)換算すると、約209円。つまり、SDGsの定義では「日本では1日209円未満で生活している人」が極度の貧困だと考えられます。こうして金額に表してみると貧困問題をより想像しやすくなるのではないでしょうか。

現在、極度の貧困状態で暮らしている人は7億900万人以上にもなります。貧困問題は経済成長に悪影響を与え、社会情勢の不安定や紛争にも繋がっていく恐れがあるため、目標として定められています。
参照:公益財団法人日本ユニセフ協会THE WORLD BANK

SDGs 1.「貧困をなくそう」の現状と課題

 貧困はあらゆる問題の原因

出典:公益財団法人日本ユニセフ協会

上のグラフは、きわめて貧しい暮らしを強いられている人の数と割合の変化を表しています。多くの国で経済成長や国が発展したため、きわめて貧しい暮らしを強いられる人たちの割合は大きく減っています。

しかしながら、サハラ以南のアフリカでは、割合は減っているものの、人口が増えたために、1日1.9ドル以下で暮らしている人が1億1300万人も増えてしまっています。世界中のきわめて貧しい暮らしを送る人々の半分が、サハラ以南のアフリカに集中してしまっているのです。

日本でも7人に1人の子どもが貧困状態

ユニセフの調査によると日本でも7人に1人の子どもが貧困状態にあるという事実が明らかになっています。この「7人に1人」という割合は、先進国31か国中で高い方から数えると10番目。日本でも、貧困の中で暮らしている子どもはごく身近に存在しているのです。

また、日本にいる貧困状態の子どもたちは気づかれにくいと言われています。

  • 食料が買えずに食事がとれず、学校の給食が頼り
  • 学用品や日用品の購入ができない
  • 博物館やスポーツ観戦に行くなど、文化に触れる機会が少ない
  • 塾や習い事に通えない
  • 経済的理由で進学が制限される

上記の通り貧困の影響は多岐にわたります。また、貧困状態でも、親が子どものためを思い、服はしっかり揃えてあげていたり、ゲーム機やスマートフォンなどを持たせてあげていたりした場合、子どもが置かれている貧困の状況に、周囲が気づかないといった事態も起こりえます。
参考:公益財団法人日本ユニセフ協会

SDGs1.「貧困をなくそう」の取り組み事例 

では、SDGs1.「貧困をなくそう」の目標に向けてどんな取り組みが行われているか見てみましょう。

以下のリンク先の記事にも詳しく載っていますので是非ご覧ください。
SDGs 1.「 貧困をなくそう」の取り組み事例を解説

 女性だから…という理由の貧困

貧困問題は、SDGs5.「ジェンダー平等を実現しよう」の問題とも結びついています。世界の貧困家庭では、学校に通わせてもらう優先順位が男の子の方が高く、女の子は学校に行けず、その代わりに家事労働に長時間従事している場合があります。

世界的に見て、小学校等で授業を受けられる女の子は増加していますが、中等教育、高等教育を受ける機会が奪われている地域もまだまだ多く見られます。習慣的に、女性は家事労働、育児、介護などを担い、男性が家畜を所有したり、農地を相続する役割になっています。

家庭での発言権や決定権が男性の方が強く、女性の立場が弱い場合が多いのです。教育が受けられないと、就業や生活のスキルを習得し、高める機会が持てません。女性が経済的・社会的に自立して、貧困を断ち切るためには、教育を受けることが必要不可欠なのです。

女の子が教育を受けられないと…

  • 読み書きや計算ができないので、仕事を選べなくなる
  • 必要な知識が得られないので、社会から取り残される
  • 将来、子どもができた時に、正しい知識がなく、子どもが亡くなってしまう
  • 地域によっては、子どものうちに結婚しなければいけない

参考:ワールド・ビジョン・ジャパン

こうした問題を解決するため「プラン・インターナショナル」では、厳しい状況におかれている途上国の女の子のために、さまざまな支援活動を行っています。例えば、復学支援や非公式教育といった教育への取り組み、経済力を養うための職業訓練、 性を守るための性教育や衛生管理など多角的な活動に長期で取り組んでいます。

プロジェクトを通して、地域全体の意識が変わり始めるなど活動の成果も出ています。
プラン・インターナショナル

 日本の子どもの貧困を救うために

世界中で子どもの支援を専門的に行う「セーブ・ザ・チルドレン」は、100年の歴史を持つNGOです。

日本国内でも子どもの貧困問題や虐待の解決や予防への支援を行っています。新生児を迎える貧困家庭に対して育児用品を提供したり、新入学をサポートする給付金を付与したりといった直接支援のほか、社会啓発や政策提言などの取り組みも行っています。
 
家庭で取り組めるSDGsについてはこちらでご紹介しています!
SDGs(エスディージーズ)とは?家庭でできることを紹介!

 SDGs 1.「貧困をなくそう」のために子どもと一緒に、私たちができること

支援団体とつながろう

貧困の問題について、子どもと一緒に取り組めることはあるのでしょうか? 問題解決に向けての課題がたくさんありすぎて、何が自分たちにできることなのか混乱してしまいますね…。

行政と民間団体が連携し、貧困問題などの解決に向け社会全体で協力することを目的とした「子どもの未来応援プロジェクト」のホームページには、どのような支援の方法があるか、どのような支援先があるのか紹介されています。

また、教育支援、子ども食堂、フードバンクについて、それぞれの全国ネットワークの情報が掲載されていていますので、チェックしてみて、自身に合った支援先を探してみるといいでしょう。

 読み終わった本が支援につながる【バリューブックス】

バリューブックスは、長野県上田市にある古本買取販売を行う会社です。バリューブックスでは読み終わって不要になった本やDVDなどを送ってもらい、まとめて買い取り、換金します。そのお金を社会問題に取り組む団体に寄付をする「charibon(チャリボン)」という取り組みが行われています。

本を送る際には、さまざまな分野で社会的な課題解決をめざす団体(NPO・学校・自治体)の中から、自ら寄付先を選ぶことができます。また、販売できなかった本は、「ブックギフトプロジェクト」として、福祉施設・保育園・小学校などに送る取り組みも行われています。

▲ホームページ上で支援先を自分で指定することができます

 「お供え」を「おすそ分け」に、お寺の取り組み【おてらおやつクラブ】


お寺には、お供えとしてさまざまな食料が集まってきます。認定NPO法人おてらおやつクラブでは、お寺と子どもを支援する団体とが協力して、この「お供え」を「おすそ分け」として経済的に困っている家庭へ届けるのが「おてらおやつクラブ」という活動です。

活動趣旨に賛同する全国のお寺と、子どもやひとり親家庭などを支援する各地域の団体をつなげ、お菓子や果物、食品や日用品を届けています。全国のお寺、支援団体、檀信徒、地域住民など多くの人が協力して、貧困問題の解決を共に目指して活動することで、地域に根差した見守り体制を作っていくことができるのです。

「おてらおやつクラブ」の活動は、2018年度グッドデザイン大賞を受賞しました。
 
以下は審査委員の評価です。
【従来、寺院が地域社会で行ってきた営みを現代的な仕組みとしてデザインし直し、寺院の「ある」と社会の「ない」を無理なくつなげる優れた取り組み。全国800以上の寺院が参加する広がりも評価ポイントのひとつ。活動の意義とともに、既存の組織・人・もの・習慣をつなぎ直すだけで機能する仕組みの美しさが高く評価された。】(抜粋)

おてらおやつクラブでは、定期的にボランティア(関西エリア)や寄付を募集しています。もし興味がある場合、連絡を取ってみるとよいでしょう。

 SDGsの主人公はわたしたち

わたしたちが、SDGs1.「貧困をなくそう」を達成させるために最初にできることは、まず貧困の問題を知るということ。子どもにとって他人や他の国の生活環境を想像するのは難しいことです。「どうして貧しい人が世界中にいるの?」「貧しいとどうなるの?」「貧しい人はどうやって生きているの?」などといった質問があったら、一緒に調べてあげましょう。

子どもによっては自分自身や、友達が、貧困世帯であることに気がつくこともあるかもしれません。貧困は身近な社会問題であり、解決していかなければならない課題です。子どもと一緒に知識や理解を深めていけるといいですね。
 
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