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子どもの発達障害とは? 3つのタイプ別に特徴をわかりやすく解説!

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子どもの発達障害とは? 3つのタイプ別に特徴をわかりやすく解説!

発達障害については、ニュースや特集でもよく見聞きし、ドラマや映画にも題材として取り上げられることも多いですね。一言で発達障害といっても、障害の種類や特性はさまざまです。ここでは、発達障害の特徴についてわかりやすく解説します。

もくじ

    発達障害とは?

    3つのタイプ別特徴

    発達障害には主に3つのタイプがあります。
    ■自閉スペクトラム症(ASD)
    ■注意欠如・多動症(ADHD)
    ■学習障害・限局性学習症(LD・SLD)これらは、複数の特性を併せ持つ場合もあり、特性の表れ方は人それぞれとなっています。


    図参考:
    国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター「知的・発達障害の概要」
    政府広報オンライン「発達障害って、なんだろう?」

    また、発達障害と混同されやすいものに「ギフテッド」があります。
    ギフテッドについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。
    ギフテッドと発達障害の違いや似ている点をわかりやすく解説
    みらいいおすすめ!「ギフテッドの個性を知り、伸ばす方法」をご紹介!

    ADHD(注意欠如・多動症)の特徴

    注意欠如・多動症(ADHD)とは

    (AD/HD:Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)

    発達水準からみて不相応に注意を持続させることが困難であったり、順序立てて行動することが苦手であったり、落ち着きがない、待てない、行動の抑制が困難であるなどといった特徴が持続的に認められ、そのために日常生活に困難が起こっている状態です。12歳以前からこれらの行動特徴があり、学校、家庭、職場などの複数の場面で困難がみられる場合に診断されます。
    引用元:国立精神・神経医療研究センター


    ADHDには「不注意」と「多動・衝動性」の特性があります。
    ◯不注意:注意が続かない、活動に集中できない、作業中にミスが多い、物をなくしやすい、気が散りやすい、作業の段取りが苦手、整理整頓が苦手
    ◯多動・衝動性:じっとしていられない、静かに遊べない、順番を待てない、しゃべりすぎる、他人の話や活動に割り込む
    「不注意」と「多動・衝動性」のどちらかの特性を持つ場合と、両方の特性を併せ持っている場合があります。ADHDは自分で自分の行動をコントロールしたり、周囲に順応させることに困難が見られるため、周囲の人に叱られたり注意されやすくなってしまいます。自己肯定感が下がり自信がなくなってしまうことにも注意が必要です。また、感情のコントロールの難しさもあります。

    ADHDの診断

    ADHDの診断については、アメリカ精神医学会(APA)のDSM-5(「精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版」)に記述されており、下記などの条件が全て満たされたときにADHDと診断されます。
    ●ADHDの診断基準
    1.「不注意(活動に集中できない・気が散りやすい・物をなくしやすい・順序だてて活動に取り組めないなど)」と「多動-衝動性(じっとしていられない・静かに遊べない・待つことが苦手で他人のじゃまをしてしまうなど)」が同程度の年齢の発達水準に比べてより頻繁に強く認められること
    2.症状のいくつかが12歳以前より認められること
    3.2つ以上の状況において(家庭、学校、職場、その他の活動中など)障害となっていること
    4.発達に応じた対人関係や学業的・職業的な機能が障害されていること
    5.その症状が、統合失調症、または他の精神病性障害の経過中に起こるものではなく、他の精神疾患ではうまく説明されないこと
    引用元:厚生労働省e-ヘルスネット

    ADHDは、検査で数値が出て診断されるものではないため、医師によって、診断基準に適合するかを問診や行動観察などから判断された上で診断されます。

    ASD(自閉スペクトラム症)の特徴 

    ASD(自閉スペクトラム症)とは

    (Autism Spectrum Disorder)

    言葉や、言葉以外の方法、例えば、表情、視線、身振りなどから相手の考えていることを読み取ったり、自分の考えを伝えたりすることが不得手である、特定のことに強い興味や関心を持っていたり、こだわり行動があるといったことによって特徴付けられます。自閉スペクトラム症は、人生早期から認められる脳の働き方の違いによって起こるもので、親の子育てが原因となるわけではありません。引用元:国立精神・神経医療研究センター

    自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害などは、まとめてASDと呼ばれます。スペクトラム(spectrum)という言葉には、連続体という意味があり、人によって特性の表れ方に濃淡があり、グラデーションのように連続して存在しているということを表しています。
    自閉スペクトラム症には、「社会性、コミュニケーション、こだわり」という大きな3つの特性があります。
    ◯社会性:視線が合わない、人に共感したり、人の気持ちを理解したり察したりすることが難しい、社会的常識や暗黙のルールなどを汲み取ることが難しいなど
    ◯コミュニケーション:話す言葉の発達が遅れている、人とコミュニケーションをとることが難しい、言葉を文字通りに捉えてしまう(冗談が通じない)など
    ◯こだわりの強さ、想像力や思考の柔軟性:周囲の変化が苦手、同じ手順や自分のルールにこだわる(本人の安心につながる)、柔軟な行動が苦手、次に何が起こるか想像することが難しいなど
    他にも、認知・知的の障害や、感覚の過敏さが加わる場合もあります。

    ASDの診断

    自閉スペクトラム症の診断については、DSM-5に記述されており、下記などの条件が満たされたときに診断されます。
    ●ASDの診断基準

    1.複数の状況で社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的欠陥があること
    2.行動、興味、または活動の限定された反復的な様式が2つ以上あること(情動的、反復的な身体の運動や会話、固執やこだわり、極めて限定され執着する興味、感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さ など)
    3.発達早期から1、2の症状が存在していること
    4.発達に応じた対人関係や学業的・職業的な機能が障害されていること
    5.これらの障害が、知的能力障害(知的障害)や全般性発達遅延ではうまく説明されないこと
    引用元:厚生労働省e-ヘルスネット


    ASDの症状と、知的障害、言語障害、ADHD(注意欠如・多動症)が併発しているかについても確認して診断されます。また、遺伝学的疾患(レット症候群、脆弱X症候群、ダウン症候群など)の症状の一部としてASDの症状が現れる場合もあります。

    LD・SLD(学習障害・限局性学習症)の特徴

    LD・SLD(学習障害・限局性学習症)とは

    Learning Disabilities/Specific Learning Disorder
    知的発達に遅れがなく、本人が努力をしているにも関わらず、特定の学習の習得と、能力を使用することに困難が見られる障害です。
    主に以下に困難が見られます。
    ◯聞く、◯話す、◯読む、◯書く、◯計算する、◯推論する
    小学校に入って、勉強が始まってから困難さを認識し障害に気づくことが多いです。学習障害の特性だけを持つ子もいますが、ASDやADHDと併発する場合もあります。読み書きについての障害は「発達性ディスレクシア」と呼ばれます。

    発達性ディスレクシア(発達性読み書き障害)の診断

    発達性ディスレクシアの診断は、標準化された読字・書字検査に基づいて行われます。
    ●発達性ディスレクシアの診断基準

    1.最初に知的機能評価を行います。このためにはWechsler式知能検査などの標準化された知能検査が重要です。知能指数(IQ)が知的障害のレベルにはないことを確認します
    2.次に、ひらがな音読検査を行い、その流暢性や正確性を確認します。2010年に発行された「特異的発達障害診断・治療のための実践ガイドライン」に、4つの音読検査が示されています。また、STRAW-R、KABC-II習得度検査、CARD等により、漢字やひらがなの読字書字到達度を測ることができます。最近は、英単語の読み書き理解についての検査法も刊行されています
    3.読みを支える側面について、音韻認識機能の検査(しりとり、単語逆唱、非語の復唱)、視覚認知機能の検査(Rey複雑図形模写、視知覚発達検査)、言葉の記銘力検査(auditory verbal learning test; AVLT)などを行う場合もあります。
    引用元:厚生労働省e-ヘルスネット

    発達障害の原因は? 

    発達障害は、脳機能の問題から引き起こされるといわれています。親の育て方、しつけ、愛情不足、食事などから発症するものではありません。また、本人の努力不足でもないため、本人に厳しくしつけや指導をすることも避けなければなりません。年齢によって特性の表れ方には濃淡があるといわれていますが、基本的に一生涯つき合っていくものとなります。
    脳の障害のため、体の動かし方やコミュニケーションの取り方が特徴的な場合もありますが、外見からは障害の有無が分かりにくいものです。そのため、周囲の人からの理解を得ることが難しく、正しく本人の持つ特性を把握することや、適切に支援をすることがとても大切になります。

    重要なのは環境調整

    発達障害は先天的なものですが、本人の周囲の環境を整えてあげることで特性が目立たなくなったり、逆に周囲の環境が本人の刺激になってしまい、特性が強く出てしまうといったことがあります。
    発達障害の支援として環境を調整してあげることはとても有効です。人によって有効な支援の内容は変わりますが、例えば以下のような環境設定を行うことがあります。
    ◯活動の切り替えが難しい場合:タイマーを使って終わりの時間を目で見てわかるようにする
    ◯新しい場所が苦手な場合:前もって写真などを見せて新しい場所への見通しが持てるようにする
    ◯目に入るものにすぐに気を取られてしまう場合:周囲をパーテーションなどで囲って目から入る刺激の量を少なくする
    ◯動きたい衝動が強い場合:活動の合間に動いていい時間を確保してあげる

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    一人ひとりの特性を理解しよう

    ご紹介したように、発達障害は特性の表れ方が一人ひとり異なります。発達障害の人と関わることがあったら、どんな特性があるのか、どんなことが苦手なのか、本人を理解することから始めましょう。また、同時に本人の得意なことや好きなことに目を向けることも、とても大切です。発達障害を持つ子どもたちは、特性が目立ってしまい、周囲の無理解から叱責を受けることが増えてしまう可能性が高いため、成長過程でどう自己肯定感を育くんでいくかがとても重要になってきます。発達障害の人がいきいきと自分らしく生きていくことができるといいですね。

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