ギフテッドと発達障害の違いや似ている点をわかりやすく解説
生まれつき高い才能を持つギフテッド。独特の特性を持つ発達障害。
ギフテッドと発達障害は、異なるものですが、同じような行動特性を持つ面もあり、区別が難しいものです。
ギフテッドと発達障害の違いについて紹介するにあたり、まずはそれぞれの特徴についてみていきましょう。
ギフテッドとは
ギフテッドとは、先天的に特定の領域の能力が高い人のことをいいます。知的、芸術、運動などの分野において、同じ年代に比べて突出した能力があるのが特徴です。ギフテッド(Gifted)という言葉は、「贈り物」を意味するギフト(Gift)を語源とし「授けられた才能」といった意味を持っています。ギフテッドと聞くと「天才」「高い能力」といったイメージが先行してしまいますが、実は困りごとも大きく、学校などでは支援や配慮が必要になる場合があります。
ギフテッドの特徴として、高い能力を持つ半面、環境からの刺激に対して、体や心の感覚が日常の刺激に対して過度に反応し働いてしまう「過度激動」という特徴を持っている場合があります。他の人が気にならないことについても強く気になってしまったりこだわってしまうなど、日常生活を送る上で周囲と同じペースで行動することが難しく、本人が葛藤や苦しみを抱えてしまう場合もあります。
「過度激動」については、以下の記事でも詳しく紹介しています!
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発達障害とは
発達障害には、主に自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害・限局性学習症(LD・SLD)の3つの障害があり、子どもが発達していく上で困難や問題が生じてしまいます。主な特性として、認知、運動、コミュニケーション、衝動性、注意機能などに困難や問題が認められます。
人によって、3つの障害のうち複数の特性を併せ持っていることもあります。また、年齢によって特性の症状の現れ方が変わってくることもあります。発達障害は、脳機能の問題から引き起こされるといわれています。養育環境や育て方が原因ではありません。
発達障害については以下の記事でも詳しく紹介しています!
子どもの発達障害とは?3つのタイプ別に特徴を分かりやすく解説!
◯ASD 自閉スペクトラム症
自閉症は主に「社会性、コミュニケーション、こだわり」に特性があります。人によって特性の表れ方に濃淡があり、グラデーションのように連続して存在していることから、「自閉スペクトラム症」(スペクトラム=連続体)と呼ばれます。自閉症の特性を持ちながら、知的障害を伴わないものは、アスペルガー症候群、高機能自閉症とも呼ばれています。
◯ADHD 注意欠如・多動症
注意欠如・多動症は、「集中が持続できない、じっとしていることが難しく落ち着きがない、思いつくと衝動的に動いてしまう、待つことができない」などの特性が幼少期から認められます。家庭でも集団の中でも日常生活に困難や支障が出てしまいます。
◯LD・SLD 学習障害・限局性学習症
学習障害・限局性学習症は、知的発達に遅れがなく、本人が努力をしているにも関わらず、特定の学習の習得が困難になります。主な症状は読むこと、書くこと、計算をすることの3種類となります。小学校に入り勉強が始まってから、困難さを認識し障害に気づくことが多いです。学習障害の特性だけを持つ子もいますが、ASDやADHDと併発する場合もあります。
2E(二重に特別な支援を必要とする)とは
ギフテッドと発達障害の特性を併せ持っているために、二重に特別な支援を必要とする人のことを2E(Twice Exceptional)といいます。ある分野では特別な才能がありながらも、発達障害の特性もあるため、得意なことと苦手なことの差が大きく、本人の生き辛さに加えて周囲の人も、支援をする難しさがあります。
ギフテッドと発達障害の違いをわかりやすく解説
ギフテッドと発達障害どうして混同されやすいの?
ギフテッドには、環境からの刺激に対して、体や心の感覚が過度に反応する「過度激動」という特徴を持つ傾向がみられます。過度激動の一例として、衝動的な行動、感覚の過敏さ、感情コントロールの難しさなどがあります。発達障害にも同様の特性がみられるため、ギフテッドの困りごとや、苦手なことのみに焦点を当ててしまうと、区別が難しくなってしまうのです。
ギフテッドと発達障害、困りごとへの支援方法は同じ?
似ている特性もありますが、ギフテッドと発達障害は本質的に違うため、支援方法を混同してしまうと、子どもにとって的外れな支援になってしまう恐れがあります。「自閉スペクトラム症」「注意欠如・多動症」「ギフテッド」などと、それぞれ分けて考えたほうが、本人の症状や環境に加えて特性への配慮も考慮した上で支援方法を決めていくことができます。
ギフテッドの支援については、以下の記事でも詳しく紹介しています!
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発達障害とギフテッドの診断の違い
■発達障害(ASD、ADHD、LD・SLDなど)は医療機関にて診断されます。
診断は、医療機関(児童精神科、小児科、心療内科など)にて、問診、心理検査、知能検査、行動観察など、必要な検査結果を総合的に判断した上でくだされます。
発達障害の傾向があるからといって、必ずしも診断名が必要な訳ではありません。大切なのは子ども本人への必要な支援が適切に行われることです。ただ、行政のサービスを受けるために、診断がついていることが条件になる場合もあります。
■「ギフテッド」は、実は医学的な診断名ではありません。知能検査を行い知能指数(IQ)の高さを調べたり、困りごとなどの聞き取りから総合的に判断していきます。
発達障害とギフテッドの検査の違い
子どもの成長や発達について心配なことがある場合、心理検査をすることで、発達度合いや知能指数を詳しく調べることができます。検査は、子ども本人がどんなことで困っているのかわかったり、適切な周囲のサポート方法を考えていく手掛かりになります。学校などで支援を受ける際にも、検査結果を元に本人の特性を客観的に正しく相手に伝えることができます。これらの検査は、医療機関や地域の発達支援センターや療育施設などで受けることができます。子どもが受ける心理検査の代表的なものを紹介します。
■発達検査
発達検査は、子どもの発達度合いを詳しく知ることができます。
言葉の領域や認知の度合いなど幅広く検査して数値化することで、発達水準、発達年齢などがわかります。検査を通して、本人の苦手分野や支援が必要な部分を知ることができます。発達検査だけでは発達障害かどうかの診断はできません。
【代表的な発達検査】
・新版K式発達検査
・遠城寺式乳幼児分析的発達診断検査
など
■知能検査
知能検査は、知能指数(IQ)を知ることができます。現在の知識や、推理や記憶する力、物事の理解力などを検査した上で総合的な知能指数がわかります。
ギフテッドかどうかを知るために知能指数(IQ)は重要ですが、知能指数に加えて本人の様子などから総合的に判断されます。
【代表的な知能検査】
・WISC知能検査
・田中ビネー知能検査
など
ギフテッド? 発達障害? お子さまの様子が気になったら
お子さまが、特性によって、うまくいかないことや、苦手なことが多かったりすると、気になることや心配なことがあり、支える親の負担も大きいものです。
本人を理解してあげることが難しいと感じてしまったり、周囲に本人の特性を正しく伝えることにも難しさを感じてしまう場合もあるでしょう。大切なのは特性への配慮や支援をしつつ、才能や得意な分野を伸ばしてあげて本人に自信を持たせてあげることです。
お子さまについて心配なことがあったら、地域の健康サポートセンターや、発達支援センターなどの施設、学校での悩みや心配ごとならスクールカウンセラーや地域の教育相談、また、小児科や児童精神科、心療内科などもあるので、適切な相談先を見つけましょう。また、実際にギフテッドや発達障害の子どもを育てる親同士のコミュニティもあります。
現在の悩みを分かち合えたり、先輩の体験談も参考になるはずです。興味があれば探してみて、情報収集をしたり、コンタクトを取ってみるのもよいかもしれませんね。
親子が無理せず笑顔で過ごせることが一番! お子さまのよいところをたくさん伸ばせるように、必要な配慮や支援が受けられる環境を整えてあげることが大切です。
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