過度激動(OE)とギフテッド。HSPやADHDに見られる特徴も
過度激動(OE)はギフテッドの主な特徴であり、5つの分野に分類されています。それぞれの性質や親が抱えやすい悩み、注意点などを解説します。
また、OEとHSP(HSC)やADHDに共通して見られる特徴についても説明しますので、ぜひ参考にしてください。
過度激動(OE)はギフテッドの主な特徴であり、5つの分野に分類されています。今回は、OEの5つの性質や親が抱えやすい悩み、注意点などを解説していきます。また、OEとHSP(HSC)やADHDに共通して見られる特徴についても説明しますので、ぜひ参考にしてください。
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ギフテッドにも多く見られる過度激動(OE)とは
ここでは、過度激動について詳しく説明していきます。
過度激動(OE)とは
過度激動はOverexcitabilityを和訳したもので、略してOEと呼ばれることもあります。
Overexcitabilityは積極的分離理論の一部として、 ポーランドの心理学者・精神科医であるカジミェシュ・ドンブロフスキ(Kazimierz Dabrowski)が心理学に導入した用語です。ドンブロフスキは過度激動の性質を5つの分野に分類しています。ギフテッドは複数の性質を持つ傾向がありますが、その中でもひとつの性質が特に強く現れるケースが多く見られます。
過度激動(OE)の5つの性質
OEとも呼ばれる過度激動の性質は以下の5つです。
・精神運動性OE
精神運動性OEは身体的多動と、頭の回転が速い、頭が働きすぎて眠れないなどの精神的多動の2つを示します。頭の回転が速い=理解力が高いため、早口で、会話のテンポも速くなります。
話が飛躍したり、考えごとをしながら歩き回ったりし、落ち着きがないという印象を与えることもあります。
・知性OE
一般的にギフテッドの特徴として知られる性質です。好奇心が旺盛で、多くの知識を求めます。探求心が強く、新しい意味を見出したり、物事を色々な側面から見ることを好みます。
問題解決が好きで、疑問に持ったことに対し論理的な答えを求め、納得いくまで調べたり、質問したりします。授業中に次々と先生に質問し、授業を中断させてしまったり、難しい質問への答えを求めたりして、先生に扱いづらい生徒と思われてしまうこともあります。
・知覚性OE
5感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)がとても敏感で、光や音、感触などに感覚器官が受ける刺激に過剰に反応します。
日常的な光をまぶしく感じる、外出しても人や車、音楽などの色々な音が耳に入り疲れてしまう、服のタグや縫い目がチクチクして苦手、食物の食感や匂いに敏感で食べられないものが多いなどの例が挙げられます。
感性が鋭いことは優れた美的感覚にも通じます。幼少期から美しい文書や音楽、美術品、自然などに感動し、感謝の気持ちが芽生えます。
・想像性OE
想像力が豊かで、詩的表現を好みます。枠にとらわれず自由な発想ができ、独創的なアイデアを生み出します。白昼夢を楽しみ、空想の世界に入り込んで、授業に集中できず注意散漫と捉えられてしまうこともあります。
ワクワクすることを想像すると落ち着きがなくなったり、見た夢にいつまでもこだわったりする子どももいます。
・感情性OE
喜怒哀楽が激しく、全ての感情の幅が広い傾向があります。周りが驚くほど、激しく喜んだり、怒ったりすることも。共感力が高く、感情移入も深いため、悲しい曲や物語で強い悲しみや辛さを感じてしまいます。
また、自省意識や正義感が強く、成長するにつれてストイックで自分に厳しくなる人や、不正や差別など不公平な事柄に強い憤りを感じる人も少なくありません。
参考:Very Well Family
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HSPやADHDと共通する特徴も
OEとHSPやADHDには類似する特徴があります。HSPはHighly Sensitive Personの略語で、生まれつきとても敏感な感性や感受性を持つ人を指します。また、HSPの子どもは、Highly Sensitive Child、略してHSCと呼ばれる場合もあります。
HSPには以下のような、感情性OEと知覚性OEと共通する特徴があります。
- 感情の振り幅が広い
- 共感力が高く、他人の悲しみや苦しみを自分のことのように受け止める
- 情報や物事を深く受け取り、考え込んだり悩んだりする
- 音や光などの刺激に敏感でストレスを受けやすい
精神運動性、想像性OEの特徴である、高い活動性や衝動的な反応、頻繁に見られる空想などは、注意欠如・多動性障害と呼ばれるADHD(Attention Deficit Hyperactivity Disorder)の特徴と類似しています。
具体的な例には、次のようなものがあります。
- 授業への注意が持続できない
- 順番を待てない
- しゃべりすぎる
- じっとしていることが苦手
また、ギフテッドとADHD、ASD(自閉症スペクトラム症、アスペルガー症候群)、LD(学習障害)を併せて持つ、2E(Twice-Exceptional・二重に特殊な、二重に特別な)と呼ばれる人たちもいます。
なにかしらの突出した才能と発達障害を併せ持っていることを指し、2Eには非同期的な発達が見られます。
2Eの子どもたちは、「語彙が豊富で文章理解力に優れているが、文字を書くことが極端に苦手」「小学生で高校レベルの数学を解くが、周りとのコミュニケーションがうまく取れない」など、得意なことと不得意なことの差が大きくなります。
2Eへの理解がないために、得意なことより不得意なことへ目が向けられ、辛い思いをしてしまう子どもたちもいます。素晴らしい才能を伸ばすためにも、周囲の支援と適切な環境が大切です。
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子どもの発達障害の特徴・対応・接し方・診断などについてわかりやすく解説!
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ギフテッドとは?ギフテッドな児童の現状
過度激動(OE)の子どもを育てる難しさ
OEの子どもは平均的な子どもたちより、日常的に様々な刺激を強く感じ、その刺激に対し大きく反応をしています。そのため、OEの性質も持つ子どもの子育てには悩みを抱えやすいとされています。
戸惑いを感じてしまう
子どもの有り余るエネルギーや思考の早さについていけない、激しい感情の起伏に振り回されてしまうなど、OEの性質によって様々な悩みがあります。親が想像していなかったような行動や物事に対する反応、繊細で感情が不安定な子どもへの対応に戸惑う親も少なくありません。
人間にはそれぞれ個性があります。OEの特性も個性と受け止め、子どもの考え方や感じ方を見つめてみてはいかがでしょうか。また、子どもの持つOEの性質が分かると、考え方や感じ方に対する対応や対策ができる場面も多くなるはずです。
周りから浮いてしまい辛い
突然みんなと違うことを始めてしまったり、自分の伝えたいことを一方的に話してしまったり。刺激や恐怖を感じるもの、嬉しいことや楽しいできごとに激しく反応し、周囲を驚かせてしまうことも珍しくありません。
変わっている、神経質という印象を持たれ、クラスやお友だちの中で浮いてしまったり、距離を置かれてしまったりして、親子で辛い思いをすることもあります。同じようにOEを持つ子どもやその親との交流は、子ども同士だけではなく親にとっても心強いものになります。
共感することの大切さ
親が戸惑うような子どもの行動や反応はOEの性質だと理解し、常に多くの感覚情報や刺激を受けている分、なるべくリラックスできる環境を作ってあげたいですね。例えば、考え事をしながらウロウロしていても、「座りなさい」と怒るより「なにか楽しいことを考えてるの?」「ワクワクすると落ち着かなくなるよね」とポジティブな声掛けを心がけます。
怖い映画を観て泣きじゃくる子どもへは、「ママもドキドキしちゃった」「ママとパパはいつでも傍にいるからね」と、子どもの気持ちを受け止める言葉をかけるようにしましょう。
親が子どもの考えや感じていることへの共感は、OEの子どもの安心感に繋がりとても大切です。
また、同じように高い知的能力や想像力、感性を持つ子どもと一緒に過ごすことで、「共感できる人がいる」「仲間がいる」と感じられ、自己否定や孤独感が減ります。OEの特性を持つ子どもにとって自分は一人じゃない、分かってくれる人がいると感じる体験は、自己肯定感やセルフイメージが高まる重要な時間となります。
OEの素晴らしい性質に目を向けよう
OEには、高い理解力や探求心の強さ、自由で独特な発想力など、多くの素晴らしい性質があります。それらの性質を発揮できる環境を与えることで、普通の人では思いつかないようなものを生み出す可能性があるのです。
OEの子どもは、いくつかの性質を併せ持ったり、ひとつの性質が強く出たりと様々です。自分の個性が理解され、知性や感性を伸ばす機会を得ることが、心の安定や充実した日々を過ごすために大切なことでしょう。
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