ギフテッドは遺伝?環境?才能を見つける判定テストもご紹介
子どもが両親や祖父母に似るように、ギフテッドも遺伝するのでしょうか。「子どものギフテッドの可能性を知りたい!」という方もいるでしょう。
ギフテッドと遺伝の関係性、アメリカの小学校で用いられているギフテッドプログラムに入るための判定テストなどをご紹介します。
ギフテッドは遺伝?環境?才能を見つける判定テストもご紹介
子どもの容姿や得意なことなどが両親や祖父母に似るように、ギフテッドも遺伝するのでしょうか?
ギフテッドに遺伝の影響があるのなら、親子で、もしくは兄弟でギフテッドになる可能性の高さも気になりますね。 また、「子どものギフテッドの可能性を知りたい!」という方もいるかもしれません。
こちらの記事では、ギフテッドと遺伝の関係性、アメリカの小学校で用いられているギフテッドプログラムに入るための判定テストなどをご紹介していきます。
ギフテッドについて詳しく知りたいかたは、こちらの記事もご覧ください!!
ギフテッドとは?ギフテッドな児童の現状
ギフテッドは遺伝の影響があるの?
ギフテッドの遺伝に関する様々研究がされていますが、未だはっきりと解明されていません。NAGC(National Association for Gifted Children)は、ギフテッドに生まれつく子どもはいないと述べています。
天才、もしくは高度な知的能力の潜在能力の発達は、幼少期の非常に早い段階から始まります。 1970年から行われている研究では、それらの潜在能力の発達は、遺伝的に受け継がれた特質と、豊かで適切な環境の相互作用の結果であることを一貫して示していると説明しています。
参考: NAGC No Child is Just Born Gifted
ギフテッド家系がある?
ギフテッド教育先進国のひとつであるアメリカでは、1980年代にすでにギフテッド教育が始まっており、1901年にはマサチューセッツ州の学校でギフテッドプログラムが導入されたそうです。
そのため、アメリカでは親や祖父母世代でギフテッドと診断されている人も少なくなく、親子でギフテッド、祖父母や従妹など、親戚の中に何人ものギフテッドがいるようなケースも確認されています。
また、臨床およびカウンセリング心理学者、そしてギフテッドカウンセラーのリンダ・シルバーマン(Linda Silverman Ph,D)は、「親や親戚にギフテッドがいる場合、子どもがギフテッドになる可能性が高くなる」と述べています。
その家庭ならではの育て方や生活環境が子どもたちの才能を大きく開花させている可能性もありますが、ギフテッド家系があることは否定できないとされています。
参考:Hogies' Gifted Education Page
IQは遺伝する
音楽やスポーツ、IQ(知能指数)は、遺伝が大きく影響がするという研究結果があります。とくにIQは、幼児期より成人後のほうが遺伝の影響が強く出るという説もあります。IQについてもシルバーマンは、「兄弟間のIQの差が10ポイント以内というケースは多いという研究結果がある」と述べています。
米国の国立衛生研究所(National Institues of Health)の情報サイトには、「人間の行動や認知のほとんどの側面と同様に、知能(Intelligence)は遺伝的要因と環境要因の両方の影響を受ける複雑な特性」と記載されています。
知的能力や運動能力など様々な能力は、「遺伝する」というより「遺伝子を受け継ぐ」という表現のほうがしっくりくるようです。受け継いだ遺伝子がどのように現れ、子どもに影響を与えるかは、育つ環境によって変わります。
参考:National Institues of Health Medline Plus
後天的な要因も影響する
「IQ(知能指数)は遺伝する?」で述べたように、知的能力は環境要因が影響を与えます。生活環境や教育環境、経験によって変わってきます。高い教育を受けた保護者を持つ子どもは、知能が高くなるというデータがあります。これは、保護者が子どもの教育を重要視し、自分と同じように高い教育を受けさせることが影響しています。
仮に、子どもが突出した才能を持って生まれても、才能に気づかれず、才能を伸ばすチャンスのない環境であれば、才能を充分に伸ばせない可能性が大きくなります。
しかし、ギフテッドの子どもの中には、思いがけないきっかけで周りが才能に気づいたり、才能が爆発的に開花したりする場合もあります。ギフテッドの子どもには様々な経験をし、興味を持ったことに挑戦できる環境を作ることが大切です。
ギフテッドを判定するテストはあるの?
日本でもギフテッドについての関心が年々高くなっています。ギフテッドの特徴に当てはまることの多い子どもは、学校などでギフテッドの可能性を指摘されることもありますが、その先に進むのが難しい現状もあるようです。
ギフテッド教育が進むアメリカでは、ギフテッドプログラムを行っている州や郡の公立校で判定テストを受けることができます。こちらでは、ギフテッドの判定基準となるテストや、テストでは測れない子どもの才能の見つけ方を紹介していきます。
アメリカのギフテッド教育に用いられているテスト
多くの州で小学4年生からギフテッドプログラムのクラスが始まります。3年生になると希望者は、ギフテッドプログラムに入るための選定テストを受けることができます。選定するための代表的なテストに、CogAT(The Cognitive Abilities Test)、SCAT(The School and College Ability Test)があります。
CogATは様々な種類の質問で推論能力を測定し、一般的にギフテッドプログラムへ入るために受ける適性テストとして用いられています。
テストは言語(英語・Verval)、定量(Quantitative)、および非言語(Nonverval)の科目で構成されています。各科目は3つの異なるタイプの質問がセクションごとに分かれており、そこには独自の認知能力を測定する質問も含まれています。
キンダーガーテン(5歳)から12年生(17歳)までの14レベルのテストが用意されており、レベルによって質問の難しさや質問数、質問の種類と長さが変わります。言語科目は、同じ関係にある単語を選んだり、文章を完成させるために適切な単語を選んだりするなど、ボキャブラリーを必要とする質問です。
定量に関する質問は、一定のルールに従って次にくる数字を選んだり、計算式の中に当てはまる数字を選んだり、数字パズルや算数問題などがあります。
非言語科目は、形や折り紙などに関する質問が出ます。例えば、一定のルールで様々な形を並べ次にくる形を選んだり、折ってハサミを入れた紙が開いた時はどのような形になるのか選んだりします。
CogAtテストは学校などで学習したことが反映されたテストではありません。サイトには、「方程式や事実を単に覚えるより扱いにくい質問になっているが、練習することはできる」と記載されています。
下記のサイトでCogAtのサンプルテストがご覧いただけます。
CogAT by Grade level
SCATは、ギフテッドの子どもたちの言語の推論能力と数学能力を測定するために使われています。学年水準以上のテストとして2〜6年生が対象となっており、7〜12年生にはアドバンスSCATが用意されています。
言語科目は、いくつかの単語を特定の方法で並べた例題と同じ方法で並んでいるものをいくつかの答えの中から選びます。数学科目は、コラムAとBの数字がどちらが大きくなるか、計算や文章問題など様々な方法で質問されます。
こちらのサイトでサンプルテストが試せます。興味があればチャレンジしてみてください!
SCAT Practice Test
テストでは測れない才能もある
子どもの才能は、テストのスコアに現れるものや、記憶力が抜群によい、走るのがずば抜けて速いというような、目立つものだけではありません。ギフテッドは学習能力に注目されがちですが、芸術やスポーツ、独特な表現方法など様々な分野の才能も含まれます。
何気ない落書きやおもちゃやで遊んでいる姿など、普段の生活の中から才能に気づくチャンスがあります。
親が教科書に描かれた独創的な絵を発見したことが、子どもが絵を本格的に描くきっかけになった、大好きなおもちゃのピアノで好きなだけ遊ばせていたらメロディーを作るようになった、というようなエピソードもあります。
子どもが興味を示したことや好きなことは、分野に関わらず注意して見守りましょう。小さなきっかけが才能を大きく伸ばすこともあります。子どもの発するサインを見逃さず、好きなことは思いっきりやらせてあげることが大切です。
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ギフテッドにこだわり過ぎず個性を大切に
ギフテッドは遺伝する可能性があり、親子で、兄弟でギフテッドという家庭もあるでしょう。 兄弟でギフテッドと判定されても、ギフテッドレベルや才能のある分野が異なることもあります。
ギフテッドの子どもに限らず、好きなことや得意なことは子どもによって違います。ギフテッドにこだわり過ぎず、それぞれの子どもが持つ特別なものに目を向けましょう。子どもの個性を尊重し、のびのび学習できる環境を整えることが、才能を伸ばすカギとなるのではないでしょうか。
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