小学生の姿勢が悪くなってしまうのはなぜ?よい姿勢のメリットや親子でできる筋力UPの方法もご紹介!
子どもの姿勢が悪いと体に良くないのではないかと気になりますよね。姿勢をよくして欲しくて声をかけても、すぐに元の姿勢に戻ってしまうお子さまも多いのではないでしょうか。よい姿勢がどのようなものかを知らなければ、よい姿勢を身につけるのは難しいことです。
今回は、なぜ姿勢が悪くなってしまうのか、よい姿勢のメリットやよい姿勢を保つためのトレーニングなどを紹介します。姿勢を見直して親子でよい姿勢のメリットを受け取ってみてください。
姿勢が悪い原因とデメリット
姿勢は、私たちの生活習慣や生活環境が大きく関わっています。子どもたちの姿勢が悪いことには原因があります。具体的には、
- 外で遊ぶ時間が減り体力や筋力が低下している
- 大人も子どもも座っている時間が長い
- スマートフォンの普及によりスマホを見る時間が伸びた
こういった生活習慣や生活環境の変化が姿勢の悪さに影響しています。
文部科学省は、2002年に、子どもの体力向上のための総合的な方策をまとめました。そのまとめの中では、文部科学省が昭和39年から行っている「体力・運動能力調査」で、子どもの走る力や投げる力、握力などが昭和60年ごろから現在まで低下傾向が続いているのです。
また、子どもの体力や筋力低下は様々な要因が絡まって起こっていると考えられています。
- 学習や知識を重視するあまり外で遊ぶ時間やお手伝いの時間が減ったこと
- 家電が発達し、そもそも家事をする必要がなくなったこと
- 都市化や少子化により遊ぶ場所や遊ぶ仲間が減ったこと
などがあると述べています。将来苦労して欲しくないという思いや、家事から解放された現状が子どもの筋力に影響しているとは、なかなか結びつかないですよね。
引用元:産経新聞
また、日本人は世界でも座っている時間が長いとされています。座っている時間が長いと、血流が悪くなり、腰痛や肩こりを引き起こしやすく、生活習慣病のリスクも高まるとされています。
よい姿勢で座っている時間と、立ってする作業の時間とがバランスよく取れていれば問題はありませんが、筋力が不足している状態の現在の自分が楽な姿勢をとってしまうため体のどこかに負担がかかります。その結果体にとってストレスがかかり、学習への集中が途切れてしまうのです。実際に悪い姿勢でいると、神経が圧迫され、脳への血流が減少し、動きが不活発になります。悪い姿勢でいるデメリットは、目に見えませんが私たちの体や集中力に大きく影響しているのです。
よい姿勢のメリットとは?
一方でよい姿勢のメリットは何があるでしょうか?今回は以下の3つをご紹介します。
- 集中しやすく記憶力がUPする
- 肩こりや腰痛が改善されたり運動機能が鍛えられたりする
- 疲れにくくストレスの解消になる
それぞれ見ていきましょう。
集中しやすく記憶力がUPする
姿勢がよいと呼吸をするときに使われる肺や横隔膜、胸周りの筋肉などをうまく使うことができます。よい姿勢であれば、横隔膜が下がりやすく、肺が膨らみやすいので深い呼吸ができるようになります。深い呼吸は新しい酸素をたくさん取り入れることができ、それが脳にも送られるので集中力がUPするのです。集中して勉強することで記憶力もUPしやすくなります。また、テストを受ける時の姿勢で受けることでより記憶力が上がるようです。脳は勉強をしている内容だけでなく姿勢も記憶するため、よい姿勢で勉強し、よい姿勢でテストを受けることで思い出しやすくなるのです。
肩こりや腰痛が改善されたり運動機能が鍛えられたりする
近頃は、学校に持っていく荷物が多く、肩こりや腰痛に悩まされている小学生も少なくないようです。よい姿勢は、肩こりや腰痛に影響のある血行促進や疲労の回復といった効果もあります。よい姿勢でいると体にとって無理がなくなるからです。例えば、姿勢を良くすると首や背中の骨が正しい位置になって、重い頭を楽に支えることができます。押し潰されていた血管も元に戻り、血液の流れがよくなります。楽に頭を支え、血液の流れが良くなれば老廃物が溜まりにくく肩こりや腰痛が改善されるのです。よい姿勢は関節や筋肉の力を出しやすくするため、運動機能を鍛えることにも繋がります。
疲れにくくストレスの解消になる
よい姿勢は呼吸や血流、筋肉などの使い方に影響があります。血液の流れがよいので疲れが流れやすい状態になります。そして体にとっても楽な状態で勉強や作業ができるため疲れにくいのです。また、呼吸が深まって酸素が取り込みやすくなり、ストレスの解消にも繋がります。小学生はストレスを感じてもうまく表現ができないことがあります。ストレスを感じた結果、イライラしてものや周りに当たったり、お腹が痛くなったりするのです。こういったことを事前に予防してあげられることも、よい姿勢でいるメリットではないでしょうか。
正しい姿勢とその座り方とは?
よい姿勢でいるメリットを知るとよい姿勢で過ごしてみたくなりますよね。ここでは「正しい姿勢」とその姿勢になるための座り方を紹介します。
正しい姿勢とは画像のような座り方であり、以下のようなポイントがあります。
- 骨盤が立っており、背中の骨はS字カーブを描いている。
- 背筋が伸びていて背もたれに寄りかかっていない。
- 頭が体の真上にある。
- 視線は前を向いている。
- 胸を張っているが、肩に力は入っていない。
このような正しい姿勢で座るためには、以下のような流れで姿勢を整えてみてください。
1.椅子に深く座る
2.踵を全て床につける
3.腰からお辞儀をするようにして骨盤を立てる
4.背筋を伸ばして背もたれには寄りかからない
5.顎を引く
6.肩の力を抜き視線は前に向ける
学習や作業をするときには、上記のポイントに加え、肘が机の高さになり、膝と足首は90度になっていることも大切です。座ってみるとよい姿勢をキープすることはなかなか難しいのではないでしょうか。筋力低下もありますが、そもそも人間は座り続けられるようなつくりになっていません。30分に1回を目安に体を動かして違う姿勢をとったり休んだりすると、体に無理をさせることなく過ごすことができます。
正しい姿勢を保つために親子でできる鍛え方
正しい姿勢を保つためには、普段から意識することと、実際に体を支える筋肉が大切です。よい姿勢のためには、インナーマッスルを鍛えたり、背中や肩の筋肉をほぐしたりする必要があります。
今回は、おうちで親子で取り組める簡単なストレッチと鍛え方を紹介します。
猫のポーズ
こちらは画像のような姿勢で、筋肉を伸ばしたり、深く呼吸をしたりすることを意識してみましょう。
1.四つん這いになり、手首は肩の真下、両膝は足の付け根の真下におく。
2.膝と膝の間はこぶし1つ分程度開ける。
3.鼻から大きく息を吸ってから、吐く息で背中を丸め、視線はお腹に向ける。
4.息をゆっくり吸いながら背中を反らせ、視線は正面に向ける。
この流れをワンセットとして呼吸に合わせて5〜8回繰り返します。
詳しくはこちらのサイトを参考にしてください。
猫のポーズ(キャットアンドカウ)の効果とやり方を分かりやすく解説!
足じゃんけん
続いて足じゃんけんは、腹筋などインナーマッスルを鍛えることができます。
- 向き合って体育座りになる
- 両手を後ろにつき、足を少し浮かせる
- パーは開脚、チョキは足を前後にする、グーは足を閉じるとし、じゃんけんをする
腹式呼吸で深呼吸
最後に紹介するのは、腹式呼吸を意識することです。鼻から4秒息を吸って、口から6秒かけて息を吐き出しましょう。口から息を吐き出すときに、お腹に力を入れるようにします。初めはお腹のあたりを指でつっつくようにすると、お腹に力を入れるのがどういうことかが掴みやすいです。どれもすぐに取り組むことができるので、親子で楽しくチャレンジしてみてくださいね。
お子さまの筋力は習い事でも鍛えることができます。こちらの記事では、小学生におすすめの習い事や、筋力がつく以外の習い事のメリットを紹介しています。
小学生の習い事おすすめは?選び方やメリットも紹介!
姿勢を直して欲しい時の伝え方のポイント
最後に、なかなか姿勢を直してくれない時の伝え方のポイントをみていきましょう。
- 姿勢がよいことのメリットを伝える
- 写真を撮って姿勢の悪さを自覚してもらう
- 短い時間から意識してみる
まずは、よい姿勢でいることのメリットを伝えてあげましょう。「姿勢が悪いよ」と伝えるだけで改善させることは難しいです。お子さまが好きなものや、欲しがっているものと絡めて伝えてあげるのもいいですね。「姿勢がよいと好きなキャラクターみたいでかっこいいね」「よい姿勢で勉強すると集中できてわかる問題も増えるんじゃないかな」「体が動きやすくなるから、体育でもっと動けるようになるかもしれないよ」など声かけも工夫してみてください。
写真を撮って自分で姿勢の悪さを自覚してもらうのも一つの手です。保護者の方がみている姿勢は、子ども自身がみることは出来ず、姿勢が悪いとはなかなか認識しにくいものです。
そこで写真を撮って自分自身で自分の姿勢を見てもらいましょう。よい姿勢と悪い姿勢の2枚の写真を撮って比較するといいですね。見た目でどう見えるかだけでなく、よい姿勢にしてみて感覚的にどうだったかなどの感想を言い合うと新しい発見があるかもしれません。
そして、短い時間から意識してみることを伝えてあげましょう。初めからよい姿勢をずっと維持するのは難しいです。筋力が十分でなかったり、慣れないことは体が拒否しやすかったりするからです。そのため、少しずつよい姿勢でいる時間を増やせるように工夫していきましょう。よい姿勢で座ってみる。それを1分キープしてみる。徐々によい姿勢でいるタイミングを日常の動作に組み込む(歯磨き中やトイレ中、食事中など)。このように少しずつ体を慣らしていけば、筋肉も少しずつついて、よい姿勢を身につけやすくなります。
立って勉強するのはいいこと?
よい姿勢で座って勉強するだけでなく、立って勉強をするとよいという話も聞いたことがあるかもしれません。今回はそのメリットも紹介します。立って勉強をするメリットは以下の4つです。
- 集中力が高まる
- 眠気覚ましになる
- 姿勢が良くなる
- 運動不足の解消になる
こちらも詳しくみていきましょう。
集中力が高まる
立つことで、座っているときには使われない筋肉が使われるようになります。太ももの大きな筋肉は立っているときに使われます。そのため、座っている時よりも血流が促進され、脳に酸素がより多く供給されます。 その結果、集中力が高まり、勉強に効率的に取り組むことができます。
眠気覚ましになる
座っていると、どうしても眠くなってしまうことがあります。眠りにつきやすい体勢であることや、呼吸が浅くなり酸素が不足しやすいことなどが原因として考えられます。立つことで、体が適度に刺激され、眠気覚ましになるのです。
姿勢が良くなる
立って勉強することで、背筋が自然に伸び、正しい姿勢を保ちやすくなります。 姿勢が良くなると、集中力も高まり疲れにくくなります。
運動不足解消になる
座りっぱなしは、運動不足になりがちです。記事の前半では遊ぶ時間やお手伝いの時間が減ったことをお伝えしました。立って勉強することで、適度に体を動かすことができ、運動不足の解消になります。
意識的に姿勢を正すように心がけよう!
姿勢一つとっても体に大きな影響を与えることがわかりましたね。だからといって、急に今までの習慣を変えようとすると一気にハードルが上がってしまいます。正しい姿勢を意識し、少しずつ生活に取り入れてみてください。
睡眠も子どもの健康に大きな影響があります。現代では睡眠時間が少なく、よい眠りにつけている人も少ないとされています。こちらでは、睡眠の環境を整えるためのコツも紹介しているので、併せてチェックしてみてください。
子どもの睡眠時間が足りてない?!「良い眠りのコツ」とは?
よい姿勢でいることがが難しいのは、ゲームが楽しすぎるからかもしれません。ついつい長い時間ゲームをしてしまうお子さまもいるのではないでしょうか。この記事ではゲームのプレイ時間の平均や、ゲームをやりすぎないためのコツを紹介していますよ。
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