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【日本に住む外国人に聞いた!】いま日本の子どもたちに必要な英語教育って?

親の学び
公開日:2022年1月29日 更新日:2022年1月29日
【日本に住む外国人に聞いた!】いま日本の子どもたちに必要な英語教育って?

なぜ英語が身につかない日本人が多いのでしょうか。2020年度から小学校で英語が必修化され、英語教育に期待されています。
日本人の英語力や英語教育について、日本で働くベトナム人ななさんに、みらいい編集部がインタビューしました。

なぜ中学、高校、大学と10年間も学校で英語を勉強しているのに英語が身についていないと感じる日本人が多いのでしょうか。2020年度から小学校で英語が必修化され、これからの子どもたちへの英語教育に期待する声が多く聞かれます。日本人の英語力や英語教育について、日本で働くベトナム人ななさんに、みらいい編集部Hiroがインタビューしました。

ベトナム出身ななさんのプロフィール

出身:ベトナム ホーチミン市
学歴:立命館アジア太平洋大学 国際経営学部(大学時代に1年半カナダに交換留学)
現在は外資系金融企業のアカウントマネージャーとして東京で働いています

英語教育の必要性

非英語圏で英語力の高い国というのは日常的に英語を使う機会が多くあるといいます。しかしながら、日本では英語を話せないといけない場面がほとんどないので、英語力も自然には身につきません。英語を話さなくても問題がない日本で暮らすからこそ、英語が話せるようになるには、英語の学習に時間を割くことが大切です。

そのためには年齢が低いうちから英語学習に取り組んだほうが効率的です。特に9歳までの子どもは臨界期にあたるため、言語学習に適しています。臨界期とは脳に刺激を受けたとき、その効果が最大限に現れるとされている時期です。新しいことを吸収する力が強く、良い刺激を受けると吸収できます。

感受性が高く、好奇心旺盛で異なる言語や文化を素直に受け入れる点も言語学習では大きなメリットです。

小学校で英語が必修に

これまでの日本の英語教育は受験英語に偏っていて、ペーパーテストに出る英語の習得に多くの時間を費やし、英語でコミュニケーションをとることをおろそかにしてきていることが問題視されています。

2020年度から小学校で英語が必修化されましたが、他のアジアの国々には大きく遅れをとっています。アジアの非英語圏ではタイが1996年、韓国が1997年に小学校で英語を必修化しているのです。スタートが遅いだけでなく、学習時間の不足も問題視されています。

小学校での英語の授業数は日本の小学5年生が週1回であるのに対し、中国では週4回以上、韓国でも週3回以上と倍以上の差がついてしまいました。

その結果、日本人の英語力不足が問題とされて、学校においてもさまざまな取り組みが行われています。急速に進むグローバル社会において、将来的に活躍できる存在を育てるというのが教育改革の目的であり、英語教育はその目玉です。

この改革により、小学3年生から「外国語活動」、小学5年生から「英語」の授業が始まり、子どもたちが英語に親しむ時間が増えました。

英語が話せるメリットは?

英語が話せるメリットはたくさんありますが、まずは入手できる情報が何倍にも増えることです。インターネット上で英語を使うユーザーは44億人を超えます。一方で日本語を使うユーザーは2億人以下です。日本語しか使えないと世界中の情報のわずか数パーセントしか情報を得られないということになります。日本語だけで得られる情報は少なすぎるのです。

つぎに、将来、活動する場において海外を視野に入れられるということです。留学や移住などを考えるとき、英語を使いこなせることは最低条件です。英語ができると将来、海外就職、海外移住なども選択でき、子どもたちの将来の可能性が広がります。

それから、出会える人の幅が広がるということです。世界で最も話されている言語ランキング第1位の英語を話す人は世界中に12億人以上います。日本語のみを話す時と比較すると約12倍の人と会話をすることができるのです。子どもたちも世界中の多くの人と交流できれば、自分自身の価値観や考え方を変えることができるでしょう。

生まれ育った環境が異なる人々とコミュニケーションができ、思考を変えるきっかけとなってくれる近道が英語なのです。

英語力があるからこそできるワールドワイドな仕事

Hiroーななさんは英語はなぜ必要だと感じますか?

ななさんーわたしは自分の英語能力のおかげで大学から奨学金をもらえ、日本に留学できました。また、バイリンガルだからこそ、国内のお客さんだけでなく、グローバルな企業のお客さんも担当させていただきました。言語能力は人生の可能性を広げると思います。

現代は、さまざまなものが自動化され、便利になっています。わたしたちは面倒なことから解放されるぶん、コミュニケーション能力や対人能力、言語能力がますます大事になっていくと思います。そのため、世界で最もグローバルな言語だといわれる英語能力はもっと大事になっていくと思います。

英語ができれば、自分の国だけでなく世界の人とコミュニケーションをとれ、仕事にも生活にも役立ちます。

英語のアウトプットの機会が少ない日本

Hiroーななさんはどうやって英語を学んだのですか?

ななさんー英語だけでなく、どの言語でもインプットとアウトプットが必要です。アウトプットの方が大事だと思うかもしれません。でも、インプットをきちんとやっておかないと自分でアウトプットしたいときにできないので、インプットももちろん大事だと思います。

そして、できるだけ現実に近いインプットとアウトプットをした方がいいと思います。例えば、インプットというと教科書や参考書の中から文法や正しい語彙を学ぶことだと思うかもしれませんが、実際には映画やニュースから実際に生活で使われている英語を学ぶことをお勧めします。

アウトプットは実際に英語を話したり、書いたりすることです。それから、教科書に載っている会話の例に沿って読むだけではなく、実際に英語で会話をしたり、ディスカッションしたり、頭を使いながら英語を使うのが効果的だと思います。

Hiroーななさんは何歳から英語を勉強していましたか?

ななさんーベトナムでは基本6歳から英語を勉強します。

使うことが想定されていなかった日本の英語教育

Hiroーななさんから見て、日本人の英語力はどうでしょうか。日本人と英語で話す機会はありますか。

ななさんー大学時代や職場の日本人と英語でやり取りする機会があります。日本人は、英語の中でもライティングの力は素晴らしいと思います。でも、スピーキングが苦手なように見えます。

日本人が英語を話すことが他の国と比べてあまり上手でないのは、英語を勉強するモチベーションがあまりなかったからだと思います。日本はもともとオープンな国ではなくて島国だったから、他の国とやりとりすることも比較的少なく、日本の大手企業と取引したい海外の企業は、日本語を話せる社員を使ってやりとりしようとしていたようです。

だから日本人は英語を勉強しなくても仕事ができるし、勉強しても使う機会が少なかったと思います。

英語学習を始めるのは早いほどいい

Hiroー2019年のスイスの国際語学教育機関の調査によれば、英語を母語としない100カ国・地域のうち日本人の英語力は53位となっていました。ななさんは日本人の英語力が低い理由として、海外の企業が日本語で話してくれていたから英語をアウトプットする機会があまりないことと、英語に触れる機会が少ないことがあるということですね。

日本人は子どもの頃に1000時間しか英語に触れていないのですが、英語を習得するには2700時間必要といわれているのでとても足りないんです。日本の子どもたちに何かアドバイスしてもらえませんか。先生たちへのアドバイスでもいいです。

ななさんー2つのアドバイスがあります。1つは英語の学習を早くスタートした方がいいということです。幼稚園か小学校の早いうちに始めてほしいです。その理由は、若いうちは吸収力がすごいからです。日本人の英語の発音はネイティブに聞こえないことが多いです。でも、英語の学習のスタートが早ければ英語の発音を克服できると思います。

日本語は母音の数がアイウエオの5つしかない単純な発音です。日本語ではアという音は1つですが、英語だとアという音だけで5種類あります。​​​​大きくなってからだとその発音の違いを出すのが難しいです。それ以外にも日本語にない発音、例えばthのようなものがあり、日本人にとっては難しいようです。

小さいうちにいろいろな発音に触れる機会があれば、英語の子音、母音に早く慣れるのでいいと思います。

もう1つは、英語のインプットとアウトプットを同時にやるといいと思います。ベトナムの学校では英語を勉強するとき、教科書を見て、先生のいうことを聞くだけで、習った英語を使って話すようなアウトプットの機会が少なかったです。日本もそうだと思います。子どもたちが英語で話す機会をどんどん作ってほしいと思います。

子どものやる気を引き出すには目的を示すこと!

Hiroー「英語を話すのは恥ずかしい」という気持ちを持つ人がいますが、それはどうしたらいいですか。

ななさんー恥ずかしい気持ちは私もありました。だからこそ、恥ずかしいという気持ちがわからない、小さいうちに英語を始めておけば上達も早いと思います。教える側は、恥ずかしい気持ちを起こさせない工夫も必要です。「What are you eating?」などと聞かれて自分が食べているものを答えるのは誰でもちょっと恥ずかしいです。でも、一緒に何かを考えたり、問題解決したりしながら英語を使えば恥ずかしい気持ちよりもモチベーションが上がってやる気が出ると思います。

Hiroーなるほど。何かを学ぶ上で目的があるのは大事ですよね。では、話す機会がないという点についてはどんなことができそうですか?

ななさんー日本にいる外国人の数も増えていますし、政府も日本に外国人が来る仕組みを作っていますので、日本でも英語を話す機会がこれから増えていくと思います。みらいいのような組織がイベントを開催してくれることもありますので、そういう機会を積極的に探して参加してほしいです。

Hiroーいまはコロナ禍でオンラインイベントが多くなっていて、地方の人もオンラインならば参加できますね。ちなみにななさんだったら日本の小学生にどういう授業をしますか。

ななさんーインプットはまずしっかりさせたいです。同じ意味を持つ言葉でも使い方が全く違うようなこともあるので、言葉を学ぶ時はどうやって使えばいいかを例文とともにしっかり覚えることが大切だと思います。アウトプットでも子どもたちのモチベーションを上げると積極的にアウトプットしやすいと思います。

自分が好きなことについて自由に話させるとか、解決したいことについて自由に話し合わせるのがいいと思います。

Hiroー最後に何か言いたいことはありますか。

ななさんーわたしは自分の言語能力や外国人とのコミュニケーションの経験によって、海外留学ができました。そして、素晴らしい仕事につけ、たくさんの外国の友達が作れています。子どもは未来の社会を支える大事な存在で
す。だからわたしも子どもたちの未来を支援していきたいと思っています。

日本の子どもたちも将来やりたいことができるように、早いうちから英語を使う機会を見つけてほしいです。

Hiroーこれからもっと日本に海外の人が増えてくるでしょうから、そういう人とコミュニケーションがとれるといいですよね。ななさんはいろんな国の人と話せるのは楽しいですか。

ななさんーはい、楽しいです。出身国が違う人が集まると、1つの問題に対してそれぞれ違う考えを持っていることがありますし、解決のしかたも違うので、聞いていて本当に勉強になるし、自分の視点も広がりました。何か困ったことが起きたときにいろいろな解決方法が思いつくので自分の人生にプラスになっています。

「生きる力」を育てる英語教育

英語教育を進めるのは国際語として英語能力が必要だからだけではありません。子どもたちが将来、国内外で、お互いの個性を尊重し、思いやりを持って助け合い、さまざまな変化に適応して生きていける力(「生きる力」)を育てる必要があるからです。

インタビューの中でななさんが話したとおり、これからの英語教育ではお互いの知恵を出し合い、問題解決するためのコミュニケーション能力を育てることを重視していかなければなりません。
文部科学省が定めた「生きる力」を解説!学校教育が変わる6つのポイント

これからは語彙や文法の丸暗記だけではなく、覚えた英語を使って子どもたちが自分を自由に表現できるように導くことが大事です。これからの英語教育では子どもたちが伝えたいメッセージを持ち、自分の考えや気持ちを言葉で表現し、相手にわかりやすく伝えることを重視していく必要があるのです。その積み重ねが、いまの子どもたちの将来の助けとなる「生きる力」を育てる英語教育になるのです。

みらいいでは子どもたちの「生きる力」を育むさまざまなイベントを開催しています。

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