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【小学生でも自分事に】海外問題から考えるSDGs16。親子でできることは?

社会・SDGs
公開日:2023年12月2日 更新日:2023年12月2日
【小学生でも自分事に】海外問題から考えるSDGs16。親子でできることは?

毎日のようにニュースで流れてくるイスラエル・パレスチナの凄惨な映像。
日本にいると別世界のことのように思えてきますが、同じ世界で実際に起きている出来事なのです。

今ある日本の平和は、決して当たり前のものではありません。

平和について考え、平和を実現するためにできることを考える。
親子で話し合えると、子どもにとっても「平和とは何なのか」「何をすればよいのか」と自分事として考えられるようになるでしょう。

2030年までに達成を目指す国際的目標として掲げられたSDGsにも、目標16「平和と公正をすべての人に」という項目があり、平和に関する内容となっています。

ここでは、海外情勢から見るSDGs、そしてSDGs16を実現するために何ができるのか?
詳しく解説しています。

もくじ

    イスラエル・パレスチナ問題について

    イスラエルとパレスチナの衝突については、ニュースでよく目にしているでしょう。
    この項目では、具体的な内容や原因について深掘りしています。

    イスラエルとパレスチナの紛争。何が起きているのか?

    武力衝突や空爆、テロ、犠牲になっている民間人。
    2023年10月7日、パレスチナ・ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスが、イスラエルに大規模攻撃を仕掛けました。この攻撃をきっかけに、イスラエルとパレスチナの紛争が勃発。イスラエル軍がガザ地区に空爆を仕掛けると、ハマスも多数のロケット弾を発射し抵抗しています。
    2023年12月現在でも衝突・交戦は続いており、多くの尊い命が失われています。
    深刻さはさらに増しているといえるでしょう。

    そもそもなぜイスラエルとパレスチナは衝突しているのか?

    イスラエルとパレスチナが衝突していることは分かるけれども、なぜこのような事態になっているのか説明できる人はそう多くはないでしょう。
    イスラエルとパレスチナが衝突するようになったきっかけは、2000年前まで歴史をさかのぼる必要があります。
    はるか昔、地中海の東の沿岸にある地域は、「パレスチナ」と呼ばれていました。

    引用元:NHK就活応援ニュースゼミ

    2000年前、パレスチナには、ユダヤ教を信仰するユダヤ人の国がありました。しかし、この国はローマ帝国に滅ぼされ、ユダヤ人はパレスチナを追われてしまいます。
    その後、パレスチナにはアラブ人、後にパレスチナ人と呼ばれる人々が住み続けるようになります。
    一方、追い出されて世界中に散らばったユダヤ人。ヨーロッパや中東、アフリカに住んでいましたが、特にヨーロッパにおいて差別や弾圧にあっていました。
    差別や弾圧が続く中、時は過ぎて19世紀。
    ユダヤ人は、かつて自分たちの国があったパレスチナに戻って、再び国をつくろうという運動を起こします。もう二度とユダヤ人が差別されることはあってはならない。そのような思いを強めていき、1948年、ユダヤ人はパレスチナにてイスラエルを建国しました。
    パレスチナ側からすると、ユダヤ人がイスラエルをつくったことで、自分たちの土地を失うことになります。「勝手に国をつくるのはおかしい」と反発し、建国の翌日(1948年5月15日)には、周りのアラブ諸国がイスラエルに攻め込んだのです。

    パレスチナ問題をめぐる経緯

    引用元:朝日新聞デジタル公式HP

    その後は現在に至るまで、イスラエルとパレスチナの衝突は何度も繰り返されています。
    つまり、イスラエル・パレスチナ問題の原因は、アラブ人とユダヤ人の対立。
    アラブ人が住むパレスチナにユダヤ人がイスラエルを建国したことで、双方が対立するようになりました。
    イスラエル建国に至るまでには、第一次世界大戦中のイギリスの三枚舌外交によって民族対立が激しくなったり、ドイツのヒトラー率いるナチスがユダヤ人を迫害・追放したりと、さまざまな経緯がありますが、紛争の歴史は2000年前から始まっていたのですね。
    イスラエル・パレスチナ問題には宗教問題も絡み合ってくるため、世界でもっとも解決が難しい紛争だといわれています。

    パレスチナにいる市民は?生活はどうなっているの?

    いまだ紛争が続くパレスチナ。大きな犠牲が続いています。
    パレスチナ・ガザ地区のいちばんの課題は、物資の不足。
    ガザ地区は、外とのアクセスがすべて遮断され、必要な物資が何も入ってこない状況になっています。水や食料不足が長期化すると、重大な人道被害に繋がりかねません。
    ガザ地区では、今も必要最低限の生活さえできない市民が大勢います。
    食料が不足しており、「食事は1~2日に1回」しか取れないと話す市民も。
    もともと人口が密集しているガザ地区。種子島ほどの面積に、200万人以上の人が住んでいると想像してください。
    その中で避難しなければならない人が何万人、何十万人もいます。しかし、環境がどんどん悪くなっており、居場所もなく、横になることもできない。住む家もないので、雨風をしのぐことさえできない、悲惨な状況が続いています。
    日本に住んでいると想像しづらいですが、一般市民のなかでも、女性や子どもがいちばんの犠牲者になっています。爆発に巻き込まれたり、家が壊れて下敷きになったり…。ケガをしても、病院で手当てすらできない。
    狭いガザ地区の中で、ただ逃げ回ることしかできない生活。イスラエルによる攻撃が止まらず、常に危険と隣り合わせの生活となっているのです。
     
    以下の記事でも、ガザ地区について詳しく紹介しています。
    【SDGs現地レポート】パレスチナのガザ地区のお母さんと子どもの生活と健康の現状 (miraii.jp)

    イスラエルとパレスチナそれぞれの大義がある

    ニュースを見ていると、被害者の数は圧倒的にパレスチナが多いです。そのため、イスラエルが一方的に攻撃を仕掛けているような印象を受けます。
    イスラエルが悪いのではないか、と考えてしまうかもしれませんね。
    しかし、注意しておきたいのは、紛争においてどちらが正義でどちらが悪という概念はありません。なぜなら、どちらも己の正義を貫き、自分たちの国を守るという思いがあるからです。
    実際、イスラエル側にも「パレスチナ側をねじふせてでもイスラエルを守りたい」という人、「パレスチナと共存したい」というリベラルな人もいるようです。
    いろいろな思想の人が存在していますが、共通しているのは「自分たちを守らなくてはならない」という強い防衛本能。
    テロ行為自体は、決して許されることではありません。
    しかし、イスラエルもパレスチナも、それぞれの正義を持っているのです。双方に、揺るぎない大義がある。
    この問題がどれだけ複雑で、和解するのがどれだけ大変かということを知っておくだけで、これまで見ていた報道内容に対する印象が変わるかもしれません。

    イスラエル・パレスチナ問題から見るSDGsとは

    SDGs 16「平和と公正をすべての人に」では、あらゆる争いごとをなくし、みんなが安心して平和に生活できることを目標にしています。
    以下の記事でも詳しく説明しているので、参考にしてください。
    【小学生のためのSDGs解説】それぞれの目標を親子で学ぼう (miraii.jp)
    SDGs市民社会ネットワーク(SDGsジャパン)は、認定特定非営利活動法人国際協力NGOセンター(JANIC)が緊急声明として発表した、「パレスチナ・イスラエル紛争激化に対する緊急声明」に賛同しました。
    日本政府に対して、

    • G7各国と協力し、ハマス、イスラエル双方に武力紛争の即時停止を呼びかけること
    • ガザ地区へのライフラインの供給継続など、人道支援の継続を主導すること

    など、外交努力を求めています。
    SDGs16を実現するためには、世界各国で協力することが必要なのですね。

    SDGs16を実現するためにできることって?

    ここでは、SDGs16を実現するため、私たちができることをまとめました。
    イスラエル・パレスチナ問題の規模の大きさを考えると、私たちにできることは何もないと思ってしまいがちですが、そうではありません。一人ひとりが意識し、行動を起こすことが大切です。
    ぜひ、子どもと一緒に考えてみてください。

    世界で何が起きているのかを知る

    世界ではどのような紛争があり、そこに住む人はどんな生活を送っているのか。世界的な問題に対して、まずは興味を持つことが非常に重要です。
    テレビや新聞のニュースを見て自分なりに調べてみたり、時事問題を取り上げているネット動画を見たりして知るのもよいでしょう。ガザ地区で治療にあたっていた医師も、「このような現実があることをまず知ってほしい」と訴えていました。大切なのは、何事もまず知ることから。
    他人事だと思わずに、今どのような紛争が起きて、現地の人はどのような暮らしをしているのかを知ることから始めてみましょう。

    平和や戦争に関する本を読む

    平和や戦争に関する本を読むのもおすすめです。
    平和とは何か、戦争が起きるとどうなるのか。SDGs16「平和と公正をすべての人に」を自分事として捉えられるようになり、自分が何をすればよいのかが少しずつ見えてくるはずです。
    子どもの年齢に合った本を選びましょう。
    おすすめの本を1冊紹介します。

    へいわとせんそう

    • 作:たにかわ しゅんたろう
    • 絵:Noritake
    • 出版社:ブロンズ新社

    平和と戦争について考えさせられる絵本。左右のページにはさまざまな人や物や場所の「へいわ」の状況と「せんそう」の状況が並び、ひとめでその違いが分かるような構成になっています。
    たとえば、「へいわのチチ」はいつもどおり。僕と一緒に遊んでいる。
    「せんそうのチチ」は銃を持ってひとり戦っている。

    引用元:絵本ナビ

    シンプルなイラストだからこそ印象に残りやすい。小学生の子どもでも、平和と戦争の違いをイラストで実感できるでしょう。 
    SDGsに関する本を読むのもよいですね。
    目標ごとにわけて解説している本が多く、わかりやすい構成になっています。
    以下の記事で紹介している本を読んでみてください。SDGsへの理解度が深まります。
    【SDGs本】子どもと一緒に読むならこれ!おすすめ9選 (miraii.jp)

    ユニセフなどの募金に参加してみる

    ユニセフやジャパンプラットフォームなどの募金に参加するのもよいでしょう。
    紛争が起こっている地域では食料や物資が不足しているため、募金をするのも十分平和につながる行動です。
    コンビニや商業施設などに募金箱が置いてある場合が多いので、お釣りを入れてみても。インターネットでも、簡単に募金することが可能です。
    募金したお金の行方を調べてみるのもよいですね。
    寄付したお金がどこに行くのかどのように使われているのかを知ることで、自分が少しでも平和に貢献していることが実感できるかもしれません。
     
    SDGs16を実現するためにできること。以下の記事も参考にしてみてください。
    【SDGs 16.平和と公正をすべての人に】の現状と子どもができること (miraii.jp)
    「SDGs 16.平和と公正をすべての人に」の取り組み事例5選! (miraii.jp)

    視野を広げ海外情勢を知ることから始めよう

    現在、イスラエル・パレスチナ問題で不安定になっている海外情勢。決して違う世界の出来事ではなく、実際に起こっていることなのです。
    SDGsジャパンは、すぐに紛争を停止し、ライフラインや物資の供給、人命の救助などを呼びかけているNGOの共同声明に賛同しています。
    SDGs16を実現するには、紛争やテロは絶対に起こさないこと。
    自分事として捉えられるよう、そして平和を実現できるよう、海外情勢にも視野を広げてみてください。なぜ紛争が起こっているのか、そこで暮らしている人はどのような生活を送っているのかをまず知ることから始めてみましょう。

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