プログラミングとは?初心者&小学生にもわかる仕組み・身近な例・始め方ガイド
「プログラミングとは何?」と聞かれて、すぐに説明できる人は意外と多くありません。
一方で、学校教育やニュースでは「これからの時代に必要」「小学生から学ぶべき」と言われています。
必要性は感じているものの、正体がつかめず、モヤっとしている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、プログラミングとは何かを出発点に、身近な例やプログラミングを通して学べることを、初心者や小学生にも伝えられる言葉で整理します。
プログラミングとは「コンピューターに指示を出すこと」

まず押さえたいのは、プログラミングの基本的な意味です。
難しい専門用語を使わずに説明すると、プログラミングとは、コンピューターに「何を」「どの順番で」「どう動くか」を伝えることです。
プログラムはどうやって動く?やさしい仕組みの話
コンピューターは、自分で考えて動いているわけではありません。
人が作った「プログラム」と呼ばれる指示書どおりに動いています。
たとえば「ボタンを押したら音が鳴る」「条件を満たしたら次に進む」といったルールを順番に書いたものがプログラムです。
料理でいえばレシピのような存在です。
①材料を切る→②火をつける→③味付けするという手順があるため料理が完成するのと同じです。
プログラムも、順番が違ってしまうとうまく動きません。
この「順番を考える力」が、後ほど紹介する学びにもつながります。
「プログラミングが大事」と言われる理由
プログラミングが大事だと言われる理由は「プログラミングが身の回りにたくさんあるから」だけではありません。
プログラミング学習では、コードを書く技術そのもの以上に「順番に考える」「原因を探す」「試して直す」といった考え方の型を身につけることができます。
このような型を身につけることで、子どもは仕組みを「自分にはわからないもの」として受け取るのではなく、「どうなっているのかを考え、自分なりに理解しよう」とする姿勢を持ちやすくなります。
今の社会では、アプリやゲーム、動画配信、検索、買い物など、多くのことがプログラムによって動いています。
私たちは、その仕組みを知らなくても生活できる、とても便利な時代にいます。
一方でその便利な状況は「用意された使い方をそのまま使う人」と「仕組みを理解して、自分なりに工夫できる人」に分かれやすい環境でもあります。
この違いは、物事がうまくいかなかったときの考え方に表れやすいです。
たとえば、うまく動かない場面で「動かないから無理」「言われた通りにやったのに失敗した」で止まってしまうのか、それとも「どこが原因だろう?」「順番を変えたらどうなるかな?」と考えられるのか。
こうした考え方の積み重ねは、勉強や日常生活での問題解決力となり、将来の仕事や社会との関わり方にもつながっていきます。
プログラミングとは?身近な例からイメージしよう

定義を知っただけでは、まだプログラミングがどういうものか理解しづらいかもしれません。
そこで、私たちの生活の中にあるプログラミングを見ていきましょう。
身近な例を知ると「特別な世界の話ではない」と感じられるはずです。
生活に欠かせないプログラミング(アプリ・ゲーム・家電)
スマートフォンのアプリ、家庭用ゲーム、エアコンや洗濯機などの家電も、すべてプログラムで動いています。
たとえばゲームでは「ボタンを押すとキャラクターが動く」「条件を満たすと次のステージに進む」といった仕組みがあります。
これは、あらかじめ決められた指示があるからです。
未来の技術を支えるプログラミング(AI・ロボット)
さらに視野を広げると、AIやロボット、電車の運行システムなど、私たちの社会を支える多くの技術にもプログラミングが使われています。
AIは自分で考えているように見えますが、実際には人が決めたルールや手順、たくさんのデータをもとに動いているのです。
「こういうときはこう動く」「この情報が来たら次はこれをする」といった指示を積み重ねていくことで、賢く見える動きが生まれます。
その土台になっているのがプログラミングであり、未来の技術を動かすための大切な基礎です。
プログラミングで育つ小学生の学び

次に、プログラミングを学ぶとどんな力が育つのかを整理します。
プログラミングを学ぶと、以下のような力を身につけられます。
- ものごとを順番に考える「論理的思考力」
- 自分で気づく「課題発見・問題解決力」
- アイデアを形にする「創造・表現力」
- 失敗を恐れずやり抜く「ねばり強さ」
一つずつ見ていきましょう。
ものごとを順番に考える「論理的思考力」
プログラミング学習では「最初に何をするか」「次にどう動くか」を順番に考える必要があります。
たとえばキャラクターを動かす場合でも「前に進む」「右に曲がる」「ゴールについたら止まる」といった指示を、正しい順序で並べなければ思った通りに動きません。
この経験を通して、感覚ではなく、理由を考えながら行動する力を身につけられます。
「とりあえずやってみる」だけでなく「なぜこの順番にしたのか」「順番を変えたらどうなるか」と考えられるようになるのが特徴です。
こうした力は、算数の文章題を解くときや、国語で文章の流れを読み取るときにも役立ちます。
プログラミングは、特別なスキルというよりも、考え方のトレーニングとして論理的思考力を育てていく学びです。
自分で気づく「課題発見・問題解決力」
プログラミング学習では、最初からうまくいくことはあまりありません。
思った通りに動かない、途中で止まってしまうなど、小さな失敗が必ず起こります。
そのときに「どこで間違えたんだろう?」「何を直せばいいんだろう?」と原因を探します。
先生や大人がすぐに答えを教えなくても、画面の動きを見ながら自分で試行錯誤できるのが、プログラミング学習の特徴です。
この経験を積み重ねることで「うまくいかない=ダメ」ではなく「うまくいかない=直すポイントがある」と考えられるようになります。
日常生活でも、宿題が進まないときや、友だちとのトラブルが起きたときに、状況を整理して解決策を考える力として生きてきます。
アイデアを形にする「創造・表現力」
プログラミングには「こうしなければならない」という唯一の正解がありません。
同じゲームや作品でも、作る人によって動きや見た目、ルールが変わります。
「こんなキャラクターを動かしたい」「こういうゲームがあったら楽しそう」というアイデアを、実際に画面の中で形にできるのが魅力です。
絵が得意ならデザインに力を入れたり、ストーリーが好きなら物語性のある作品を作ったりと、得意なことを活かしながら表現できる点も特徴です。
プログラミングは理系の学びと思われがちですが、実際には「表現活動」に近い一面もあり、自分の考えを形にする経験が、その人の自信につながっていきます。
失敗を恐れずやり抜く「ねばり強さ」
プログラミングでは、失敗は特別なことではありません。
むしろ「うまく動かない状態」から始まる場合がほとんどです。
何度も試して、少しずつ直していく中で「一回でできなくてもいい」「やり直せばいい」という感覚が自然と身についていきます。
この積み重ねが、途中で投げ出さずに続ける力、ねばり強さを育てるのです。
テスト勉強や習い事など、すぐに結果が出ない場面でも「続ければ前に進める」という実感が支えになります。
失敗を責められるのではなく、失敗を通して前に進める環境で学ぶことが、子どもにとって大きな成長の機会になります。
学校ではプログラミングをどう学ぶ?小学校での取り組み

家庭での学びを考える前に、まず学校でのプログラミング教育の位置づけを確認しておきましょう。
学校教育の考え方を知ることで、家庭学習との役割分担や、子どもが学校でどんな体験をしているかがより具体的に見えてきます。
授業の位置づけ(学習指導要領の考え方)
小学校では、プログラミングが独立した「教科」として設けられているわけではありません。
2020年度からの新しい学習指導要領では、コンピューターの扱い方そのものを教えるのではなく、プログラミング的思考(考え方)を育てることを目的として位置づけられています。
プログラミング的思考とは、「順序立てて考える」「条件によって動きが変わる仕組みを理解する」といった、論理的な考え方そのものです。
授業の実例
東京都のある小学校では、小学5年生の算数「公倍数」の単元で プログル(プログラミング教材) を使い、倍数や公倍数の性質を学びながら「条件分岐」「繰り返し」などのプログラミング的思考を育む授業が行われています。児童はタブレット上で課題を設定し、操作しながら試行錯誤を経験します。
愛媛県の小学校では、算数の「円と正多角形」の単元で、同じくプログルを利用してプログラムで正多角形を描く活動が実施されています。図形の性質を理解する過程で、プログラムの順序や処理の考え方を体験的に学びます。
学校でのプログラミング教育は、「プログラミング言語を覚えること」が目的ではなく、物事を順序立てて考える力・原因を探る力・試行錯誤の経験を身につけることです。
家庭では、こうした学校の活動をベースに、興味のあるテーマでゲームやツールを一緒に触ってみたり、ルールを考えたりする時間を作ると、プログラミングの考え方がより身につきやすくなります。
子どもに「プログラミング」をやさしく伝えるコツ

プログラミングという言葉は、大人でも難しく感じやすいものです。
そのため、最初から専門的な説明をしようとすると、子どもが身構えてしまうことがあります。
「勉強」として教えるのではなく、身近な体験と結びつけて説明するのがやさしく伝えるコツです。
知っているものに例えて説明する
ゲームやアプリなど、子どもが知っているものに結びつけて説明すると理解しやすさがUPします。
プログラミングは「コンピューターへのお願いメモ」のようなものであり「このボタンを押したらこう動く」「この順番で指示を出すとゲームが始まる」と子どもが想像できる状況を加えて説明すると、自然とイメージが広がります。
少し慣れてきたら「この動きをするにはどんな指示が必要だと思う?」と問いかけてあげると論理的思考を伸ばすきっかけにもなってくれるでしょう。
保護者が楽しむ姿を見せて「やってみたい」を引き出す
保護者の「一緒にやってみよう」という姿勢が、子どもの興味を引き出します。
「勉強だからやりなさい」と伝えるよりも効果的です。
保護者が楽しそうに画面を見たり、一緒に触って「これ動いたね」「こうやって動くんだね」と声をかけたりすると、子どもは安心して挑戦できます。
子どものペースで学べる環境にする
プログラミングの仕組みなど理解のスピードには個人差があります。
早く進めることよりもその子自身の「できた」「わかった」という経験を積み重ねることが大切です。
比べずに続けられる環境や、途中でやめたくなってもまた戻れる環境を用意してあげられるとよいですね。
子どもが興味を持ったら?やさしい始め方ガイド
子どもが「やってみたい」と言い出したときが、プログラミングを始めるよいタイミングです。
最初から本格的な学習を目指す必要はありません。無理のない始め方を選びましょう。
家庭で使える無料の学習ツールを試してみる
まずは、無料で始められるプログラミング学習ツールで試してみるのがおすすめです。
代表的なものとして、世界中で使われているScratch(スクラッチ)があります。
Scratchは、キャラクターを動かしたり、オリジナルのゲームやアニメーションを作れたりするツールです。
パズルのようにブロックを組み合わせていくだけで、遊び感覚でプログラミングが身につきます。
こちらの記事では、低学年高学年別に、家庭で使えるプログラミング教材を紹介しています。
小学生からプログラミング学習をおすすめする理由とは?効果的な家庭学習をサポートする教材も一挙紹介!
体験イベントやワークショップに参加してみる
家庭での学習に加えて、外での体験イベントもおすすめです。
実際に人に教えてもらいながら学ぶ場は、子どもの「できた!」という成功体験につながります。
地域の科学館や市民センター、企業が主体となって、プログラミング体験教室が開催されることがあります。
こうしたイベントは、初心者向けのものも多く、同世代の子どもたちと一緒に体験できるのが特徴です。
一緒に取り組むことでプログラミングが楽しいものだと感じられるかもしれません。
地域のイベントを調べる際は「プログラミングイベント 小学生 〇〇市」などで調べてみましょう。
参加するには抽選が必要なものや応募期間が短いものもあるため、やってみたいと思ったらまずは調べてみるのがおすすめです。
みらいいおすすめのプログラミング教室「みらいいアカデミア」
もし家庭だけで学習の継続や進め方に不安があれば、プログラミング教室への参加も一つの選択肢です。
子どもの理解に合わせたプログラミング教室「みらいいアカデミア」がおすすめです。
みらいいアカデミアではプロのコーチが、個々の理解度やペースに合わせて指導してくれるため、初めて触る子どもでも安心して取り組めます。
また、オンラインですが、同じ目標を持つ仲間と一緒に学べるので、モチベーションを維持しやすいのも大きな魅力です。
みらいいアカデミアの詳しい内容やカリキュラムについては、こちらの記事をご参照ください。
プログラミングだけじゃない!体験から子どもたちの自立を促すオンラインプログラミングスクール「みらいいアカデミア」
みらいいアカデミアの体験談記事はこちら!
小学生向けオンラインプログラミング教室が熱い!利用している方に聞いてみた!
将来につながるプログラミングの仕事

プログラミングは「将来プログラマーになる子のための特別な学び」と思われがちですが、実際はさまざまな仕事につながる基礎力を育てる学びです。
ここでは、子どもが大人になったときに、どのような場面でプログラミングの力が生きるのかを具体的に見ていきましょう。
プログラマー・エンジニアとして活躍する
プログラミングを仕事にする代表的な職業が、プログラマーやエンジニアです。
アプリやゲーム、Webサイト、会社で使われるシステムなどは、すべてプログラミングによって作られています。
将来、IT分野の仕事は人手不足が続くといわれており、専門性のあるエンジニアは長く活躍しやすい職業の一つです。
たとえば、スマートフォンのアプリ開発では「どんな動きをさせたいか」「どんな順番で処理するか」を考えながらコードを書きます。
小学生のうちにScratchなどで学ぶ「順番に考える力」や「試して直す力」は、この仕事の基礎になるでしょう。
プログラマーに興味のあるお子さま・保護者向けの記事はこちら!
プログラマーってどんな仕事?向いている人や小学生の今からできることも紹介!
AI・ロボットなど、未来分野の仕事につながる
プログラミングは、AI(人工知能)やロボット、ドローン、自動運転など、これからの社会を支える技術の土台です。
これらの技術も、すべて「コンピューターにどう動いてほしいか」を指示するプログラムによって成り立っています。
また、将来、今はまだ名前のない仕事が生まれると言われています。
そのときに、プログラミングの考え方を知っていること自体が強みになってくれる可能性もありそうですね。
どんな職業でも「デジタルの基礎力」は役立つ
プログラミングは、IT系の仕事だけのものではありません。
医師、教師、デザイナー、研究者、営業職など、どんな仕事でもデジタルを使う時代になっています。
たとえば「作業を自動化したい」「データを整理したい」「効率よく仕事を進めたい」と考えたとき、プログラミング的な考え方が役立ちます。
「何が問題か」「どうすれば改善できるか」を論理的に考える力は、あらゆる仕事に共通する力です。
小学生のうちからプログラミングを学ぶことは、特定の職業を決めるためではなく、将来どんな道に進んでも困らない力を育てることにつながります。
小学生のプログラミング学習でよくある質問

ここでは、よく聞かれる疑問について、できるだけわかりやすく答えていきます。
初めてプログラミングに触れる場合でも、不安を感じにくくなるでしょう。
プログラミングって具体的に何をするの?
プログラミングとは「コンピューターに指示を出すこと」です。
小学生のプログラミング学習では、目で見て動きがわかる形で学ぶのが特徴です。
いきなり難しい文字を書く場面はほとんどありません。
多くの場合、色のついたブロックを組み合わせて「キャラクターを動かす」「音を鳴らす」「ゲームを作る」といった活動を行います。
小学生でもプログラミングはできる?
小学生でも十分にできます。
実際、学校の授業や無料ツールでは、低学年でも理解できる内容が用意されています。
大切なのは「正解を出す」よりも「試してみる」ことです。
最初は何から始めればいいの?
最初の一歩としておすすめなのは、無料で使えるプログラミング教材を触ってみることです。
Scratchは、登録すればすぐに始められ、保護者が専門知識を持っていなくても安心です。
いきなり「毎日やらせよう」「成果を出そう」と考える必要はありません。
「少し触ってみる」「一つ動かせたらOK」くらいの気持ちで始めると、子どももプレッシャーを感じにくくなります。
興味が続きそうであれば、プログラミングの習い事を検討するとよいでしょう。
プログラミングは小学生の未来を広げる学び
プログラミングとは、コンピューターに指示を出すための特別な技術ではなく、物事を順番に考え、試しながら形にしていく考え方です。
小学生のうちにプログラミングに触れることは、
- 論理的に考える力
- 自分で問題に気づき解決しようとする力
- アイデアを形にする力
など、どんな進路を選んでも役立つ土台を育ててくれます。
大切なのは、最初から完璧を目指さないことです。
「少し動かせた」「自分で作れた」という小さな成功体験が、学びを続ける原動力になります。
興味を持ったタイミングで、家庭で触れてみる、体験イベントに参加してみるなど、できることから始めてみましょう。






