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【SDGs8.働きがいも、経済成長も】とは?現状と私たちにできること

社会・SDGs
公開日:2024年2月26日 更新日:2024年2月26日
【SDGs8.働きがいも、経済成長も】とは?現状と私たちにできること

SDGsの8番目の目標である「働きがいも、経済成長も」。
私たちが安心して暮らすためには切り離せない、仕事と経済について焦点を当てた目標です。
こちらの記事では、SDGs8.「働きがいも、経済成長も」への理解を深め、子どもたちとできる取り組みについて考えていきます。

もくじ

    動画でも3分で解説しておりますので、是非ご覧ください!


    SDGs8.「働きがいも、経済成長も」とは?

    SDGs8では、具体的に次の2つを目指しています。

    環境を守りながら持続可能な経済成長の仕組みづくりを目指し、充分な雇用機会を確保する
    ・世界中の人々のディーセント・ワークを促進する

    ディーセント・ワークとは

    働きがいのある人間らしい仕事。働く人のあらゆる権利が守られ、安定した生活のできる仕事」のことを指します。

    ディーセントワークには尊厳、平等、公正な収入、そして安全な労働環境が必要です。
    ディーセントワークを導入することで、失業者や貧困者の減少、働く人の定着率の向上などが期待できます。
    それにより人々が健康で文化的な、安心して生活のできる環境を手に入れることができます。

    SDGs8のターゲットと実現方法

    ではどのようにSDGs8.「働きがいも、経済成長も」を目指していけばよいのでしょうか。
    SDGs8には12個のターゲットが設定されています。ターゲットとはSDGsの目標を達成するために具体的な内容を示したものです。
    12個のターゲットのうち、目標達成への実現方法を書いた項目があります。

    8.a 後発開発途上国への貿易関連技術支援のための拡大統合フレームワーク(EIF)などを通じた支援を含む、開発途上国、特に後発開発途上国に対する貿易のための援助を拡大する。
     8.b 2020 年までに、若年雇用のための世界的戦略及び国際労働機関(ILO)の仕事に関す る世界協定の実施を展開・運用化する。 

    「開発途上国に対する貿易への援助を拡大する」「2020年までに若年雇用のための国際的な取り決めを実施し、運用していく」ことによって、SDGs8の達成を目指しています。

    世界、日本が抱える労働や雇用の問題

    ここでは、世界や日本において労働や雇用についてどのような問題が起きているのか、具体的に掘り下げていきます。

    労働者に対して足りない雇用

    世界の雇用についての現状は、世界の経済が回復を続けているものの、その成長スピードは遅く、格差は広がり、雇用は労働力人口の成長に見合うペースで増加していません。

    2020年には世界の失業者は2.2億人を超えており、そもそもの雇用機会が不足している現状です。

    日本では新型コロナウイルスの影響で一時的に完全失業率は増加しましたが、2023年1月時点で2.4%まで下がり、完全失業者数は164万人と、19か月連続で減少を続けています。
    しかしながら、非正規雇用問題などの雇用の質についてが課題となっています。

    参考:総務省統計局

    教育を受けられず働く、児童労働者

    児童労働(Child Labour)とは、15歳未満(開発途上国は14歳未満)の義務教育を受けるべき年齢の子どもが教育を受けずに大人と同じように働くこと、または18歳未満の危険で有害な労働のことを指します。
    児童労働の原因には、貧困や教育機会の欠如、過剰人口、差別、慣習、武力紛争、自然災害など、様々なものがあります。

    2021年6月に発表されたILOとUNICEFの共同調査書によると、全世界の児童労働者(5~17歳)は1億6000万人(男の子9700万人、女の子6300万人)とされています。これは世界の子ども(5〜17歳)の人口のおよそ10人に1人が児童労働をしていることになります。
    また、このうち、健康、安全、道徳面で有害な可能性が高い、危険な仕事に就いている児童労働者の数は、2016年から650万人増加し7900万人となっています。
    これまでの20年間、減少傾向にあった児童労働ですが、2020年には20年ぶりの増加傾向になりました。これは新型コロナウイルス(COVID-19)の感染症拡大の影響により、開発途上国を中心に経済状況が悪化したことが大きな原因だと考えられています。

    参考:公益財団法人日本ユニセフ協会

    実は日本にも児童労働は存在しています。2015年には、児童労働に相当すると考えられる福祉犯の被害者数が6235人、人身取引の被害者数が16 人、計6251人が存在していました。
    日本で起きている主な児童労働の内容としては、児童ポルノ、ブルセラ、出会い系ビジネス、援助交際 、建設業、接客娯楽業などが挙げられます。

    参考:日本にも存在する児童労働 〜その形態と事例〜

    世界的なジェンダー格差問題

    労働市場ではジェンダーの格差が大きな問題になっています。
    2018年には、女性の労働力率は世界平均で48.5%、失業率は女性の世界平均が6%を示していますが、これは男性就業者10人当たり6人しか女性は職に就いていないことを意味しています。

    参考:国際労働機関(ILO)

    このような格差は、男女間の職階の差や配偶者やパートナーが女性の労働を望まないこと、家庭や社会に根付く考え方、宗教的な差別的規範、育児や介護サービスの不足などが挙げられます。
    また、女性の格差問題だけでなく、LGBT+の人々の多くが、世界中の労働市場で強い差別を受けている現状があります。

    SDGs8.「働きがいも、経済成長も」を目指した日本企業の取り組み事例

    では具体的に、SDGs8をどうやって実現していくのか、日本で行われている取り組み事例をみてみましょう。

    日本航空株式会社

    日本航空株式会社のSDGs8への主な取り組みとしては、

    ・ラオス・ミャンマーにおける空港サービス教育
    ・人身取引を未然に防ぐ

    以上の2点があります。

    日本航空株式会社は2019年に、ラオスの首都ビエンチャンにあるワットタイ国際空港国際線ターミナルの運営会社L-JATS社と、 ミャンマーのマンダレー国際空港の運営会社MJAS社の空港旅客スタッフに対して、 それぞれにサービス教育を実施しました。 会社や国の枠を越えて安全やサービスのノウハウを提供し、 航空分野全体のサービス品質の向上を目指しています。

    人身取引を防ぐ取り組みについては、人権教育の時間を設けているほか、人事業務や調達業務の担当者に対しては社外の弁護士による勉強会を実施するなど 、社員の意識啓発に努めています。
    さらに 2020年4月からは警察などと連携し、人身取引の兆候を発見した際の対応要領や通報体制を確立して、 水際でできる対策を徹底しています 。

    前者はディーセント・ワークを促進し、後者はターゲットの8.7に掲げられる「強制労働を根絶し、現代の奴隷制、人身売買を終らせるための緊急かつ効果的な措置の実施」に貢献しています。
    参考:日本航空株式会社
    日本航空株式会社以外にもSDGs4に取り組んでいる企業・団体の事例はこちらです。
    チェック!「SDGs 8.働きがいも、経済成長も」の取り組み事例

    SDGs8.「働きがいも、経済成長も」を目指すために子どもと一緒に私たちができること

    エシカル消費を心がける

    エシカル消費とは、地域の活性化や雇用などを含む、人・社会・地域・環境に配慮した消費行動のことです。
    私たちがエシカル消費を心がけ続けることで、児童労働に関与している違法な業者やメーカーの商品が売れなくなり、正規ルートの取引が活発になることが期待されてます。
    そうなることで、貧困によって労働を強いられていた子どもたちは児童労働から解放され、開発途上国の生活水準や経済の安定を目指すことができます。

    フェアトレード商品を選ぶ

    フェアトレードとは、貧困のない公正な社会をつくるために、開発途上国の経済的社会的に弱い立場にある生産者と経済的社会的に強い立場にある先進国の消費者が対等な立場で行う貿易のことを指します。
    フェアトレード商品とは、開発途上国で作られた製品を適正な価格で取引した商品のことです。

    国際フェアトレード基準では、経済的基準、社会的基準、環境的基準の3つを軸としています。その中の社会的基準には安全な労働環境、民主的な運営、差別の禁止、児童労働・強制労働の禁止などが定められています。
    フェアトレード商品を選ぶことで、児童労働問題やジェンダー格差問題の改善、ディーセント・ワークの促進に繋がります。

    将来、自分らしく働くことについて考えてみる

    次世代を担う子どもたちに、将来どうなっていたいか、どんな仕事に就きたいか考える時間を作ることも、SDGs8への取り組みに関連します。

    お子さま自身が将来仕事を探す時、働きやすい環境に加えて「やりたい/強みを活かせる仕事か」どうかというのも重要なポイントになってきます。 
    専門性や強みがあると職場環境や待遇を選べる立場になり、結果的に「働きがい」や「雇用環境」の向上を目指せる可能性が高まるからです。「好き」✕「得意」が成果を得られやすいといわれています。

    目の前のお子さまの遊びや行動パターンに隠されていることが多いので、よく観察したり話を聞くことで見つけ、それを踏まえて将来について一緒に考えてみる事をお勧めします。

    プログラミングで社会課題の解決に挑戦した子どもたちの記事はこちらから!
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    SDGs8.「働きがいも、経済成長も」を私たちのことと捉え、話し合い考えていくことが大切

    SDGs8で取り上げられている問題は実感しにくいものもありますが、私たちの身近でも起きており、決して世界の他の国だけの問題ではありません。
    まずは現状や取り組みを知り、私たちの生活にどのような影響があるかを知る事が重要です。子どもと一緒に知識や理解を深めていき、SDGsについて話し合う機会を設けてみてはいかがでしょうか。

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