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性被害ニュースから考えるSDGs5。LGBTとは?SDGs5を実現するため子どもと一緒にできること

SDGs・ESD
性被害ニュースから考えるSDGs5。LGBTとは?SDGs5を実現するため子どもと一緒にできること

大手アイドル事務所における少年への性被害のニュースが世間を騒がせたのは、まだ記憶に新しいでしょう。性被害というと女性が被害にあう印象が強いですが、もはやそうではありません。今は、「レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー」の4つのアルファベットの頭文字をとった「LGBT」という言葉も認知度が高くなっており、性の多様性が認められつつある世の中になっています。

だからこそ、子どもには、相手の性がどのようなものであっても、差別することなく受け入れられる人間になってもらいたいですよね。

このサイトで何度も紹介しているSDGsにも、ジェンダー平等を訴えるものがあります。SDGs5「ジェンダー平等を実現しよう」です。

SDGs5を実現するため、子どもと一緒にできることはあるのでしょうか。

LGBTについての内容も含め、詳しくみていきましょう。

もくじ

    男性が性被害にあうこともある

    男性が性被害にあうこともある冒頭でも述べたとおり、大手アイドル事務所による性被害のニュースが世間を騒がせました。芸能界において女性の被害者が告発することはこれまでもありましたが、男性が告発というケースはあまりなかったようなイメージを持つ人も多いでしょう。
    しかし、被害にあった人には共通点があります。
    それは、俳優だったりモデルだったりと、いわゆる「弱い立場」である点です。
    相手が、事務の社長、映画監督、プロデューサー、オーディションの審査員。自分より上の立場であることが多く、断れば仕事がもらえなくなるかもしれないという恐れから、拒めなかった。また、ほかの演者やスタッフにも迷惑がかかってしまうというプレッシャーもあるため、受け入れざるを得なかったという人が多いのです。
    男性が性被害にあった場合、男性だから恥ずかしい、なかなか声を上げられなかったという理由で表沙汰になることはあまりありませんが、性被害にあっているのは決して女性だけではないのです。

    LGBTという言葉の認知度は格段に向上している世の中になっている

    虹色の旗

    性被害については男性が被害者となるケースも珍しくなく、「女だから」「男だから」というくくりでは分けられなくなっています。
    現在では「LGBT」という言葉の認知度も飛躍的にアップしており、人間の性は「男性」「女性」という二つの性別だけでは単純に表せられない世の中になってきました。
    近年では、「LGBT」のほか、「LGBTQ」や、複数形のsを付けた「LGBTs」、「Sexual Orientation(性的指向)」「Gender Identity (性自認)」の頭文字をとった「SOGI(ソジ、ソギ)」という言葉も出てきています。
    なお、「LGBTQ」のQは、Questioning(クエスチョニング)を指すもの。自身の性のあり方がまだわからない・決めていない・あえて決めない人のことを表しています。
    LGBTの意味を知っている人も多いでしょうが、改めて解説しておきましょう。
    L:レズビアン。女性の同性愛者
    G:ゲイ。男性の同性愛者
    B:バイセクシュアル。男性も女性も好きになる人
    T:トランスジェンダー。身体の性と性自認が違う人
    となっています。
    トランスジェンダーについては、女の子として生きているけれども、制服のスカートに違和感があったり、胸が膨らんでくるのが我慢できなかったり。なかには、性同一性障害と診断される人もいます。
    今の日本では、女性のスポーツ選手がレズビアンであることをカミングアウトしたり、人気パフォーマンスグループのメンバーがゲイであることを告白したりと、自分の性的指向を公表している人が少しずつ増えている印象がありますが、まだまだ性的マイノリティが認められないケースもあるようです。

    LGBTに関する日本の制度は遅れている?

    日本はG7メンバーの7カ国(日本、アメリカ、カナダ、フランス、イギリス、ドイツ、イタリア)のなかで、唯一同性婚を認めていない国です。地域によってはパートナーシップ制度を導入している自治体もありますが、国としては明確な法的保護も与えていません。
    同性カップルの結婚制度を認めていないため、日本のLGBTに該当する人たちは、自分たちは弱い立場にいると感じているようです。
    一緒に住める部屋が見つからない、家族としての相続ができない、ローンを組みにくい、手術の同意書にサインができない、など。法的な婚姻関係が認められないことで、差別にあったり、医療や社会保障の格差が生じたりと、生活しづらいという実態があります。
    法律で認められない=LGBTへの差別が差別と意識されない、ということ。
    その結果、LGBTに対する理解も深まらず、当事者は常に周りの目を気にしながら生活しなければいけません。
     
    日本ではまだまだLGBTに関する課題が多く、性的マイノリティに該当する人は早急に法整備がされることを望んでいます。

    ジェンダー・LGBTとSDGsとの関わりとは

    「男らしさとは」「女らしさとは」いわゆるジェンダーについての目標は、SDGs5「ジェンダー平等を実現しよう」として国連によって掲げられています。
    詳しく見ていきましょう。

    ジェンダー平等とは何かをまず知ろう

    ジェンダー平等とは、一人ひとりの人間が性別問わず、平等に責任や機会などを分かち合い、あらゆる物事を一緒に決め、個性と能力を十分に発揮できる社会を意味します。
    つまり、性差別をなくすことです。
    たとえば、女性が会社の管理職になってキャリアを積んでも、男性が専業主夫として家事や育児に専念しても、それはその人が好きでやっているのかもしれません。しかし、周りからは「女なのに」「男なのに」と言われてしまうことがあるのです。
    まずは、「女だから家事育児をしなければいけない」「男だから社会に出て働かなければいけない」という価値観を押しつけ、その人の個性や得意なことを制限してしまうのはおかしいという考え方を身につけることが大切だといえるでしょう。

    詳しくは以下の記事にも書かれていますので、ぜひチェックしてください。
    「SDGs 5.ジェンダー平等を実現しよう」とは?私たちができること (miraii.jp)

    性犯罪をなくすことが目標として掲げられている

    LGBTやジェンダー平等は、SDGsが目指す社会に近づくための国際的な課題として掲げられています。
    なかでも、SDGs5「ジェンダー平等を実現しよう」の項目では、
    「女性や女の子を売り買いしたり、性的に、また、その他の目的で一方的に利用することをふくめ、すべての女性へのあらゆる暴力をなくす」
    という目標があり、女性にスポットが当てられています。
     
    さまざまなシーンで女性が不利益になるケースが多いため、SDGs5は女性に焦点を当てた目標になっていますが、SDGsが目指しているのは「男性も女性も社会的に平等であること」。「男性だから性被害にあうことはないだろう」ではなく、男女ともに性犯罪をなくすことが、SDGsを実現するために必要なのですね。

    LGBTを理解することがさまざまなSDGsの実現に繋がる

    SDGsを定めた国連は、「LGBTはSDGsのすべての項目に関わる問題であり、『誰も置き去りにしない』というSDGsのモットーに含まれている」と考えています。
    しかし、LGBTへの取り組み自体は、目標の中に明確に記載されているわけではありません。
    その理由として、LGBTへの理解が十分に進んでいないことが挙げられます。
    国によっては同性での性的関係が犯罪とみなされるところもあるため、LGBTに該当する人の権利や理解について国際的な基準をつくることが求められています。
    LGBTへの取り組みはSDGs内にはっきり記載こそされていませんが、LGBTを理解し、さまざまな性的マイノリティが存在することを受け入れることは、多くのSDGsの実現に繋がることを覚えておきましょう。
    SDGs5のほか、SDGs10「人や国の不平等をなくそう」、SDGs16「平和と公正をすべての人に」などを実現するためにも、LGBTへの理解は必要不可欠といえます。

    SDGsを実現するために親子でできることって?

    浜辺で遊ぶ子供たち

    SDGs5をはじめとしたさまざまなSDGsを実現するため、私たちにもできることがあります。

    性別関係なく子どもの好きなものを尊重し、「男の子だから」「女の子だから」と押しつけない

    子どもに自分の価値観を押しつけるのはやめましょう。
    たとえば、男の子が「ピンク色」が好きだったり、女の子が「変身ヒーロー」が好きだったりと、個人の趣味は人それぞれ。子どもの趣味を否定しないことが大切です。
    親が「こうあるべき」という考えを子どもに押しつけてしまえば、子どもは「こんな自分はダメなんだ」「こうしなきゃいけないんだ」と本当の自分を押し殺してしまうだけでなく、親と同じ価値観を持つようになってしまうリスクもあります。
    たとえば、「ピンク色は女の子の色」「変身ヒーローは男の子のもの」といった固まった価値観を持つ人間になってしまうかもしれません。
    男女関係なく子どもの趣味を尊重することが、SDGsの実現にも繋がっていくでしょう。

    余談になりますが、近年では、「戦隊シリーズ」で男性がピンク色の戦士に変身したり、「仮面ライダー」にジェンダーレスの俳優を起用したり、「プリキュア」で男の子が変身したりと、子ども番組においても多様化が見られるようになっています。
    ジェンダー平等という概念を子どもに分かりやすく伝えるため、子ども番組にも柔軟に時代の流れを取り入れているのかもしれませんね。

    周りにいる人と仲良くする

    こちらは、子どもにも当てはまることといえるでしょう。
    前述したように、SDGsは、誰も置き去りにせず、豊かな社会を目指して宣言された目標です。SDGs5では「ジェンダー平等を実現しよう」、10では「人や国の不平等をなくそう」、16では「平和と公正をすべての人に」が掲げられ、人々の多様性を尊重することが重要視されています。
    さまざまな考え方を持った人が共存する豊かな社会を実現するためにも、周りにいる人と仲良くすることがとても大切。多くの人と触れ合うことで、多種多様な価値観や違いがあることを知れるでしょう。
    相手の考え方を否定するのではなく、そういう考え方もあるんだと尊重して受け入れる。
    ささいなことかもしれませんが、周りにいる人と仲良くすることは、SDGsを実現する第一歩になるのです。

    SDGsに関する本を読む

    SDGsを学ぶのであれば、SDGsに関する本を読むのもおすすめです。
    子どもでもSDGsを自分事として捉えられるよう、分かりやすく解説しています。
    実践した方がよいこともまとめられているので、SDGsを実現するためにはどうすればよいのか無理なく理解できるはず。
    子どもの年齢にぴったりな本を選びましょう。親子で一緒に読むのもよいですね。

    以下の記事では、学年別におすすめの本を紹介しています。ぜひ参考にしてください。
    【SDGs本】子どもと一緒に読むならこれ!おすすめ9選 (miraii.jp)

    「男だから」「女だから」という価値観は変化しつつある時代に突入している

    手をつなぐ

    芸能界の性被害やLGBTのニュースで見られるように、現在は「男だから」「女だから」という固まった価値観が少しずつ変化しつつある時代です。
    国連が定めたSDGsでもジェンダー平等が唱えられ、世界にその考え方が広まっています。LGBTを理解し、さまざまな価値観や考え方を受け入れることは、SDGs5のほか、SDGs10「人や国の不平等をなくそう」、SDGs16「平和と公正をすべての人に」などを実現するために必要なことといえるでしょう。
    私たちにもできることはあります。
    小さなことからでよいので、普段から意識して取り組んでみてください。
     
    SDGsについては、以下の記事でも詳しく紹介しています。
    【小学生のためのSDGs解説】それぞれの目標を親子で学ぼう (miraii.jp)
    「SDGs 5.ジェンダー平等を実現しよう」の日本や海外の取り組み事例 (miraii.jp)

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