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子どもの居場所はありますか?「サードプレイス」とは?ファーストプレイス、セカンドプレイスについても解説

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 子どもの居場所はありますか?「サードプレイス」とは?ファーストプレイス、セカンドプレイスについても解説

「サードプレイス」とも呼ばれる「子どもの居場所」に注目が集まっています。子どもにとっての居場所、サードプレイスと聞くと、友だちと交流を持つことができる息抜きやリラックスの場が思い浮かびますね。実はそれだけではなく、自分に自信を持てたり、多様な価値観に触れられるなど、良い影響がたくさんあるのです。サードプレイスの必要性が認識され、現在はさまざまな場所が子どもの居場所として機能しています。子どもの居場所、サードプレイスについて紹介します!

もくじ

    サードプレイスとは?

    サードプレイスの必要性は、アメリカの社会学者、レイ・オルデンバーグにより提唱されました。オルデンバーグは1989年に出版の著書「The Great Good Place」の中で、家庭でも、職場でも、学校でもなく、与えられた義務や責任から解放されて自分をリラックスさせられる場所(サードプレイス)が現代社会には必要だと述べています。サードプレイスには多様な人間関係の広がりや、地域の交流や文化活動を活性化させる機能を備えている、というのです。

    「ファーストプレイス」・「セカンドプレイス」とは?

    サードプレイスに対して、ファーストプレイスとは、睡眠、食事などの基本的な日常生活を送る場所、すなわち自分の家のことを指します。また、セカンドプレイスとは、職場・学校を指します。仕事や学業など義務や責任を伴う活動を行う場所のことをいいます。

    子どもにとってのサードプレイスとは?居場所のない子どもたち

    子どもにとっても、サードプレイスと呼ばれる居場所があることはとても大切です。子ども家庭庁の設立準備室が行った居場所に関する調査の中で、「居場所が欲しい」と回答した子どもに対して、「居場所があるか」どうか聞くと、12歳までの2~3割の子どもが「居場所がない」と回答しました。以下のグラフを見ると年齢があがるにつれて、居場所がない子どもが増えていることがわかります。

    引用元:こどもの居場所づくりに関する調査研究 報告書 より

    居場所も支援も必要な子どもたち

    貧困により食事が満足にとれなかったり、親が長時間不在であったり、学校になじめなかったり、友だち関係がこじれてしまっていたり、不登校になってしまったり、家庭や学校で、さまざまな理由で困難な状況におかれている子どもたちがいます。学校にも家庭にも居場所がなく、なおかつ支援が必要な子どもたちは、サードプレイスの必要性が高いと言えます。

    子どもに居場所が必要な理由主体的に動くことで自分に自信が持てるように

    子どもの居場所として機能している場所は、過ごし方の自由度が高く、子どもが主体的に活動できます。大人から言われたことを受動的に行うのではなく、自分の知識や経験をもとに能動的に行動する力を育むことができます。それは自分に自信を持つことにつながっていくのです。主体的に行動できる力は社会に出て行った際、おおいに役に立つでしょう。

    人間関係が広がる

    家庭には家族間の関係があり、学校では先生や友だちとの関係があります。どちらも一定時期の多くの時間を一緒に過ごすことになるため人間関係は比較的固定されています。サードプレイスでは、見守る大人、集まる子どもたち、場所によってさまざまな世代の人々と人間関係を築いていくことで、異なる価値観や多様性を学び、思いやりも育まれます。また、もし家庭や学校で人間関係に悩んでいた場合に、息抜きになったり、悩みを相談したり、困った時に援助要請することにつながりやすくなります。

    趣味を深めて共有できる

    普段あまり接点のなかった友だちと、共通の趣味を通じて話すようになった経験がある方もいるのではないでしょうか? 同じ趣味を持つ友だちとは、価値観をお互い認めて、肯定し合える状態から交流を深めていくことができます。お互いの考えに共感しやすく、共に知識や、技術を磨いていくことができ、一緒に夢中になることで仲間意識も育まれていきます。

    多様な価値観に触れられる

    サードプレイスでは親でも教師でもない大人と関わる機会が持てます。一緒に過ごす中で、人によって言う事が違ったり、価値観が違ったり、善悪の判断の基準も人によって少し違うこともあるでしょう。人の価値観の多様性を学ぶことができます。

    支援の必要な子どもが社会とつながることができる

    子どもを取り巻く環境はさまざまです。中には家庭が貧困だったり、学校に行くことが難しかったり、気持ちが不安定になってしまっていたり、親兄弟の世話をしなければならなかったりする場合もあります。一人で抱えきれないほどの困難な状況にいる子どもには周囲や行政の支援が必要です。ニーズに合った適切なサードプレイスにつながることができれば、勉強を教えてくれたり、ご飯を仲間と一緒に食べることができたり、行政サービスと接点を持つことができたりと、本人の置かれた状況を改善していく機会が増えます。

    多様な居場所をご紹介

    子ども家庭庁の設立準備室が、こどもの居場所づくりを推進していくために「こどもの居場所づくりに関する調査研究検討委員会」を開き、調査や研究を行い、理念や重要なポイントを報告書として令和5年3月にまとめました。報告書の中の、居場所の種類(分類)の表を見ると、すべての子どもから、特別なニーズがある子どもまで、誰しもが居場所を持てるよう想定されています。また、対面(リアル)の場所だけではなく仮想(オンライン)空間も居場所として含まれていることがわかります。

    引用元:こどもの居場所づくりに関する調査研究 報告書概要 より

    学童クラブ・放課後クラブ

    子どもたちが、放課後、学校や児童館などで宿題や、外遊び、ゲーム、玩具、マンガが楽しめたり等、自由に過ごすことができます。放課後クラブ、学童クラブ、などと地域によって呼び方が違いますが、自治体によって運営されています。学校に併設されていることも多く、利用には保護者の就労や健康上の理由などが条件になります。また民間の学童クラブだと、スポーツやパソコンなど、カリキュラムに特化しているところもあります。毎日主体性を持って気の合う友だちや大人と一緒に過ごすことができます。

    子ども食堂

    子ども食堂は、子どもが低額や無料で食事をとることができ、子ども一人でも行くことができる食堂です。食堂によって、食事を提供するだけではなく、勉強を教えてくれたり、食事以外の時間にもゆったり過ごせるスペースがあったり、イベントを開催していたりといろいろな特徴があります。また、地域に根付いた活動であるため、子どもの孤立化を防いだり、様子を見守ったりする機能もあります。

    子ども食堂は発足から10年余りで全国で7,000件以上に増えています。全ての子どもが利用できる機会が保障されるために、さらに増えていくことが期待されます。

    引用元:2018年以降は認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ、および地域ネットワーク団体調べ、2016年は朝日新聞調べ

    オンライン上やメタバース空間にある居場所

    不登校の子どものために

    不登校の子どもたちがオンライン上やメタバースの空間で一緒に交流や課題をする取り組みも行われています。家から出ることが難しくてもつながることができ、顔を出さない、匿名にする、参加するタイミングを選べるなど、本人にとってちょうどいい方法で社会とつながることができます。

    グループでの習い事

    近年、多様な習い事がオンラインでできるようになってきました。グループで参加できるものであれば、同じ目標に向かって話したり、共同作業があったり、一緒に没頭したり、お互いに高め合ったりすることができます。また、専門の講師が、考える力や達成感が味わえるようサポートをしてくれます。講師に専門的な質問をしたり、相談に乗ってもらうことも、オンラインだと敷居が低く感じるお子さまもいることでしょう。実際に通わなくても、子どもの居場所としての機能を果たすことができるのです。

    こちらの記事では習い事について紹介していますのでぜひご覧ください。
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    家庭でも安心できる環境を

    子どもにとって居場所、サードプレイスがあることがとても大切だということがわかりました。日常生活の中から自然に居場所を見つけ出す子どももいる一方で、居場所にできる場所を大人が意識的に作ってあげる必要がある子どももいます。同時に、家庭内で子どもが安心できる環境が整っていることも、とても大切です。すべての子どもたちが安心して健やかに育っていけるよう、私たちに何ができるかを考えていけるといいですね。

    こちらの記事では子どものために家庭でできる取り組みが詳しく載っていますのでぜひご覧ください。
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