働いて自分の強みを見つけよう!子どもに伝えたいキャッシュフロークワドラントの労働者(E)の特徴を解説
キャッシュフロークワドラントはロバート・キヨサキ氏の著書『金持ち父さん貧乏父さん』シリーズに出てくる、お金の稼ぎ方を4つに分けた考え方のことです。
その中の労働者(Employee)クワドラントは自分自身で仕事を獲得する必要がなく、会社に入ることですぐに仕事に取り掛かれるといった特徴があります。労働者(E)クワドラントのメリットとデメリットを把握し、お子さまのなりたい未来をつかむための参考にしてみてください。
自分が将来どうありたいかをもとに働き方を考えてみよう
お子さまにとって働くことはまだまだ先のため、働き方を考えることは難しいかもしれません。しかし、働くことを「自分が将来どうありたいかを叶えるためのツール」の一つと考えてみてはいかがでしょうか。「こんなことができるようになりたいから、この仕事をする」「こういう時間が欲しいからこの働き方を選ぶ」というように、仕事も目的を達成するための方法と捉えると、将来の働き方を選ぶ参考になるかもしれません。これから多くの人が経験する労働者(E)という働き方について詳しくみていきましょう。
キャッシュフロークワドラントの労働者(Employee)とは?
労働者(E)は、キャッシュフロークワドラントの左側に位置し、自分自身の時間をお金に変えています。また、組織の中で働きながら、給与という形でお金を受け取る人たちのことを指します。
国税庁の統計データによると、日本では約9割の人が労働者(E)だといわれています。申告所得税額(給与所得者分)を見てみると、2022年分の合計は約60兆円であり、そのうち、給与所得の合計は約56兆円、事業所得の合計は約3兆円、利子所得の合計は約1兆円となっています。それぞれの割合は、給与所得者は約93%、事業所得者は約4.6%、利子所得者は約1.6%となります。
海外の各クワドラントの割合を見てみると、従業員が約80%、自営業者が約10%、投資家が約5%、起業家が約5%とされています。この数字は、Credit Suisseの「Global Wealth Report」によるものです。2022年の報告書によると、世界の富は約510兆ドルでした。そのうち、従業員の富は約408兆ドル、自営業者の富は約51兆ドル、投資家の富は約25兆ドル、起業家の富は約26兆ドルとなっていることからこの割合となっています。
世界と比べて日本がこのような割合になっているのは、これまで日本では終身雇用制度や年功序列による昇進が一般的だったからではないかといわれています。労働者(E)として長期間働くと、給料が上がっていき、一生安定した生活が送れる時代であったため、多くの人が労働者(E)を目指すことになり、今の時代もその考え方が残っていると考えられます。
続いて労働者(E)クワドラントのメリットとデメリットを紹介します。それぞれを把握し、お子さまの働き方の参考にしてみてください。
労働者(E)クワドラントのメリット
- 自分自身で仕事を獲得する必要がなくすぐに仕事に取り掛かれる
- 働く時間が明確で仕事に慣れれば時間的余裕を持てる
- 社会や組織の中でチームで動くことが学べる
- 業界の最新情報に触れられる
- 社会保険料を会社が半分負担してくれる
労働者(E)クワドラントのメリットは、確立された組織の中で働けることです。自分自身で仕事を獲得する必要がなく、すぐに仕事に取り掛かれます。決められた労働時間の中で働けば、その規定分のお金をもらうことができます。
会社で仕事に取り組むと、すぐに人の役に立つことができます。お金を稼ぐ基本は人から「ありがとう」をもらうことです。労働者(E)として会社に勤めるのは、多くの人を幸せにする一員になれるともいえます。また、会社はすでに多くの人の役に立っているので、何をすることで人の役に立てるかを知ることもできます。
自分のやりたいことがまだ明確でなくても、労働者(E)として限られた条件の中で働くとやりたいことが見つかるかもしれません。他にも、自分では気がつかなかった人の役に立てる能力が見つかったり、身についたりする可能性もあります。人との違いがその子の強みであり、魅力であるため、労働者という人が多い中で自分を見つめることで自分の武器が見つかり、磨かれていくのではないでしょうか。
また、やりたいことがあったとしても、どのように動くべきかわからない時にも労働者(E)としての働き方は魅力的です。会社としては、どのように社会に役に立つかその方法を知っているからです。お給料をもらいながらその方法を学び、実践し、振り返りができます。新しい能力を身につけるためには整った環境が用意されているのは、労働者(E)クワドラントの特徴の一つです。
他にも、他の人と一緒に働くため、メンバーシップやリーダーシップなど生きていく上で身につけたい力を仕事をしながら身につけることが可能です。業界によっては、個人では得ることが難しい業界の最新情報にも触れられることがありますよ。社会保険料の負担については後ほど紹介しますね。
労働者(E)クワドラントのデメリット
- 収入をすぐには上げにくく、収入の限界がある
- 仕事の自由度が制限されている
- 会社が突然倒産してしまうリスクがある(失業保険でカバーできる)
労働者(E)クワドラントのデメリットは、収入が上げにくく限界がきやすいところです。その理由は、会社の規定により給料が決められていたり、そもそも自分自身の時間をお金に変えているからです。しかし、お給料を上げるポイントが明記されている場合があったり、その組織の中でこれ以上給与を上げられないとしても、自分の経験を活かして転職をすると給料を上げたりすることは可能です。
また、仕事内容を会社に決められてしまうように、仕事の自由度が制限されやすいこともデメリットといわれています。自分で挑戦してみたいものが出てきたら、いきなりそれを使って今まで通りの金額を稼ごうとするのではなく、自分が取れるリスクの範囲内で少しずつ挑戦してみるといいですね。例えば、副業でネットを利用してもう一つの収入の柱を立てたいと考えた場合は、クラウドソーシングサイトで仕事を探すことができます。すぐに収入に繋がらないような分野でも、まずはボランティアスタッフなどの募集がないか探してみてもいいかもしれません。
労働者(E)クワドラントの大きなデメリットは会社が突然倒産してしまうリスクがあることです。急な倒産は個人の力ではどうにもできません。そのため、倒産してしまうリスクがあるということを念頭に、その業界で求められるスキルを身につけたり、失業保険の利用方法を勉強しておいたり、万が一に備えておきましょう。
日本の労働者は守られている
2019年にトヨタ自動車の豊田章男社長や当時の経団連の中西宏明会長により「終身雇用制度の維持が難しい」との発言がありました。実際に年功序列による昇進は少なくなってきているため、労働者(E)とは言っても、安定している、保証が手厚いとは言いにくいですよね。しかし、法律の面では、日本の労働者(E)の生活は守られているといえます。労働者(E)として働くメリットの1つでもあり、労働者(E)として働く際には知っておくと役に立つ知識もあるので、一緒に見ていきましょう。
日本では、労働基準法などの法律が整備されているため、労働者の権利や利益が保護されています。例えば、労働基準法では、労働時間や休日の日数、最低賃金などの基準が定められており、会社はこれらの基準を守ることが義務づけられています。働きすぎて体を壊さないように時間を制限したり、しっかりと体を休められるように休日の日数が決まっていたりするのです。
また、社会保険制度によって、労働者の生活も保障されています。健康保険や厚生年金保険に加入していれば、病気やケガをした時の他に、老齢といった年を取って働けなくなった場合や、失業した場合にも給付を受けることができます。
雇用保険に加入していれば、条件にもよりますが、失業した場合に、次の仕事が見つかるまで失業給付を受けることができます。会社都合で失業した場合は、ハローワークへ離職票を届け出たのち、7日間の待機期間の後に基本手当がもらえます。
このような制度が整えられているため労働者の生活が守られている側面があります。一方で、最近は年金がもらえるか疑わしかったり、労働基準法に違反するような働き方を強いられてしまったり、労働者(E)だから必ずしも安定しているとはいいづらい時代になっています。
労働者(E)の現実を知った上で、使える制度は積極的に利用し、自分自身のなりたい姿ややりたいことを踏まえつつ働き方を選べるといいですね。
労働者(E)の税金や社会保険の特徴は?
次に稼ぎ方によって異なる税金や社会保険制度について見ていきましょう。労働者(E)として給料をもらう場合に、どれくらいの税金がかかるのか、何に支払っているのかをみていきましょう。今回は自営業者との税金の制度を比較し、所得税と住民税、社会保険料の違いについて紹介します。そして実際の金額も提示しているので、労働者(E)として働くイメージづくりに役立ててください。
所得税や住民税の違い
労働者(E)の給与は、基本的には稼いだ金額の全てに税金がかかります。一方で、自営業者(S)などは、お金を稼ぐために使ったお金は「必要経費」というものにできます。例えば、パン屋さんがパンを売って、100万円の儲けが出たとしましょう。この場合、パン屋さんはその100万円を稼ぐために小麦粉やバターなどの材料を仕入れたり、お店を借りたり、電気やガス代などを支払ったりしています。そのお金が必要経費であり、100万円稼ぐために80万円使っていた場合、100万円-80万円=20万円となり、この20万円に対して税金がかかるようになるのです。
税金がかかる部分のことを「課税所得」といい、自営業であれば必要経費を使って課税所得の金額を減らせます。そうすることで結果的に税金の負担は自営業者の方が労働者(E)に比べて軽くなることがあります。
社会保険の違い
社会保険には、「健康保険」「介護保険」「厚生年金保険」「労災保険」「雇用保険」などがあります。その中でも労働者(E)は、健康保険、厚生年金保険、介護保険の3つの保険料を会社と半分ずつ負担しています。自営業者は健康保険や介護保険は自分で全ての金額を支払う必要があるため、半分の負担でいいことは労働者(E)のメリットだといえます。
また、労働者(E)の場合、国民年金と厚生年金の両方を受け取ることができるため、自営業の人よりももらえる年金額が多くなり、保証が厚くなります。以下に2024年現在の労働者(E)と自営業の人の毎月かかる年金と健康保険料をまとめてみました。
労働者(E)クワドラントで稼ぐことが向いている人
これまでの労働者(E)クワドラントの特徴やメリット、デメリットをまとめて、労働者(E)クワドラントで稼ぐことが向いている人をまとめてみました。
- 定期的な収入や変化の少ない環境が欲しい人
- 会社にいて安心感を得られる人
- 人の企画にも誠実に取り組める人
- 業界に求められる能力を身につけたい人(仕事をすることでお金をもらいながらスキルを身につけることができる)
- チームで働く能力を身につけたい人
労働者(E)クワドラントは、時間をお金に変えることができるため、収入の目安が立てやすいです。また、組織の中で細分化された業務に取り組むことが多いため、労働者(E)クワドラントは変化の少ない環境で働きたいと考える場合には取り入れたい稼ぎ方です。
能力を高めるために環境が整っていたり、自分自身の強みを見つけたりするにも適した環境だといえるでしょう。これから自分自身がどのように役に立てるのか知るチャンスでもありますね。
一方で、自分のやりたいことができない、時間によって制限されているのが嫌だと感じる人は労働者(E)クワドラントの働き方はお勧めできません。しかし、労働者(E)クワドラントであるからといってやりたい仕事ができないわけではありません。業界や、会社によっては取り組む業務の幅が広かったり、環境の変化が大きい会社もあるため、どのような場所ならお子さまが持つ力が発揮されやすいか、お子さま自身は何を得たいのかなどを軸に、将来の働き方について考えてみるといいですね。
投資にも慣れておこう!
労働者(E)クワドラントにいながら、資産を増やしたいと考える場合は、投資の力を借りることも検討してみましょう。労働者(E)クワドラントのように、収入の目安が立てやすいのは、投資をする上ではメリットといえます。収入を上げて、支出を抑えれば投資に回すことができ、お金にお金を稼いでもらえます。
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社会に貢献しながら成長できる働き方
労働者(E)という働き方は、人の役にたつ方法が確立されており、すぐに社会に貢献できる働き方です。多くの人が労働者(E)として働いているため、その経験は将来的にも役にたつものになるでしょう。人と比べる環境があるからこそ、自分を発見できます。自分の得意や不得意、好きな仕事や役に立てることなど自分を発見していくと挑戦してみたいことや高めたいこととも出会えるかもしれません。お子さまが自分にとって大切なものや自分にとっての安心やリスクは何かを考え、リスクに備えながら、やりたいことを叶えられるといいですね。
やりたいことが見つかっていないというお子さまもいるかもしれません。そんな時には自分自身の研究をしてみてはいかがでしょうか。人とは違うところ(個性)が出てきて、実は得意なことだと認識できるようになる可能性もあります。こちらの記事では自分研究について紹介しています。
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