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SDGs4「質の高い教育をみんなに」日本の事例に学ぶ小学生ができること!

社会・SDGs
公開日:2023年7月7日 更新日:2023年7月7日
SDGs4「質の高い教育をみんなに」日本の事例に学ぶ小学生ができること!

現在、日本では、多くの企業がSDGs4「質の高い教育をみんなに」のためにさまざまな取り組みを行っています。親であれば、「子どもに質の高い教育を受けさせたい」と思うのは当然のこと。しかし、SDGs4が自分たちとどう関係があるのかよくわからないという人もいるでしょう。

この記事では、SDGs4における日本での課題や取り組み事例を詳しく紹介しています。ぜひチェックして、自分にできることを子どもと一緒に考えてみましょう。


もくじ

    SDGs4「質の高い教育をみんなに」とは?

    まず、SDGs4「質の高い教育をみんなに」とはどのような目標なのかをあらためてチェックしていきましょう。
    SDGs4とは、2030年までに「すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進すること」を目標としています。わかりやすく言うと、「国籍や性別などは関係なく、すべての人々に平等に教育を受けられる機会を提供すること」。
    なお、SDGs4の対象は子どもだけではありません。「質の高い教育をみんなに」の「みんな」は、さまざまな理由で教育を受けられなかった大人も含まれています。
     詳しい内容は、以下のページをチェックしてください。
    SDGs4の取り組みとは?私たちにできることはある?現状や事例を解説! (miraii.jp)
    こちらの動画でもわかりやすく説明しています。


    誰もが平等に質の高い教育が受けられる世界を目指す

    日本では小中9年間の義務教育が定められており、子どもは基礎的な知識を学べる環境にあります。
    しかし、世界はどうでしょう。テレビなどで目にする、満足に教育を受けられない子どもたち。世界に視野を広げてみると、誰もがみな学校に通えるのは決して当たり前ではないという事実がわかりますよね。
    世界には学校に通えない子どもや、大人になっても文字の読み書きができない人が多くいるのです。また、貧富やジェンダーによる教育格差もあります。
    SDGs4は、教育が受けられない人をなくし、生涯にわたって学べる機会を促すことを記した目標だといえるでしょう。

    なぜ?SDGs4が必要な理由

    では、ここでもう少しSDGs4について深掘りしていきましょう。
    国連が、SDGs4が必要だという結論に至った理由。それは、平等に学ぶ機会を提供することが、サスティナブル(持続可能)な社会の実現に繋がるからです。
    勉強できる環境がなければ、当然ですが文字の読み書きや簡単な計算もできません。満足な教育を受けられなかった場合、将来、就ける職業も限られてしまうのです。
    しかし、学ぶ機会が増えると、読み書きなどの基礎的な知識を習得でき、よりよい就労機会を得られます。社会づくりの担い手が増え、未来へと続く社会の実現が可能になるというわけです。
    サスティナブルな社会づくりはもちろん、個々が健康で持続可能な生活を送れるようにするため。これらが、SDGs4が必要な理由といえるでしょう。
     SDGsの目標はそれぞれ繋がっています。たとえば、SDGs4の達成はSDGs1「貧困をなくそう」の達成にも結びつきます。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
    【小学生のためのSDGs解説】それぞれの目標を親子で学ぼう (miraii.jp)

    SDGs4における日本の現状と課題

    次に、SDGs4における日本の現状と課題をみていきましょう。一見教育が行き届いているように思える日本でも、さまざまな課題が生じています。

    不登校生徒の増加

    日本の学校ではここ数年、不登校の生徒が急増しています。
    2022年10月に発表された文部科学省のデータによると、2021年の小中学校の不登校児童数は、

    • 小学校81,498人(前年63,350人)
    • 中学校163,442人 (前年132,777人)

    となっており、2020年よりも大幅に増加しました。不登校の要因は、「いじめを除く友人関係」「学業不振」「家庭環境のストレス」が多くを占めており、「いじめ」は意外と少ない理由であることがわかります。

    引用元:文部科学省公式「令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」
    また、「不登校児童生徒数の推移」によれば、不登校生徒は年々増加傾向。右肩上がりである現状から、ますます深刻な課題になっていることがわかるでしょう。
    参考文献:文部科学省公式「令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」(2023年6月10日時点) 

    環境による教育格差

    家庭の経済状況によって学ぶ機会が少ない子どもがいるということも、大きな課題です。
    一般的に、子どもが大学卒業までにかかる教育費は公立で約1,000万円、私立で公立の約2倍以上だといわれており、低所得の家庭では子どもに十分な教育費をかけられません。ここで、環境による教育格差が生じるというわけです。
    また、低所得の家庭の場合、子どもが食事の用意など家の仕事を担うケースもあるため、そもそも勉強する時間が取れないという悪循環に陥っている場合も。
    学ぶ機会が与えられない子どもは、己の学力や能力を伸ばせません。将来の所得格差にも影響する可能性があります。
    参考文献:文部科学省公式「教育投資参考資料集」(2023年6月10日時点)

    教員の負担増加

    教員の負担が大幅に増加している点も、日本の教育における課題だといえるでしょう。
    2018年に発表された国際教員指導環境調査によると、教員の1週間の仕事時間は、小中学校ともにOECD(※)参加国の中で日本がもっとも長くなっています。
    特徴的な点が、課外活動や事務作業、授業準備にかかる長さ。一方で、自身のスキルアップに使える時間は最短という現状です。
    負担だけが年々増加しており、子どもへの十分なフォローもできず、スキルアップする時間も取れない。疲弊して離職する教員が増えると、教員不足にも繋がってしまうリスクがあります。
    ※経済協力開発機構。西ヨーロッパ・アメリカ・カナダ・日本など、自由主義先進工業国を中心とする国際協力機関。自由世界の経済発展、発展途上国の援助、貿易の拡大などをはかることを目的とする。
    参考文献:文部科学省公式OECD 国際教員指導環境調査(TALIS)(2023年6月10日時点)

    以上の課題を解決に導くことが、日本においてSGDs4を実現するために必要不可欠だと言えるでしょう。

    SDGs4に関する日本の取り組み事例

    次に、SDGs4に関する日本企業の取り組み事例について詳しく紹介していきましょう。中には、あの企業も?と思うものもあるかもしれません。ぜひチェックしてみてください。

    富士通フロンテック株式会社の教育支援活動

    教育支援活動として、中学校での「職業人のお話を聞く会」や、地域の学校や病気の子どもを支援するためのチャリティーマラソンに参加しています。
    授業では、事業形態の特色でもある「開発→製造→販売→保守・修理」のライフサイクルビジネスを説明したうえで、製品開発業務についても紹介。
    学べる機会を提供し、働くことへの意欲、職業に対する興味を生徒に持ってもらえるよう注力しています。
    参考文献:地域貢献活動 事例 : 富士通フロンテック (fujitsu.com)(2023年6月10日時点)

    株式会社サイバーエージェントのプログラミング教育支援

    株式会社サイバーエージェントといえば、「アメーバブログ」が有名。
    グループ会社である株式会社CA Tech Kidsは、地方をメインとした全国各地のプログラミング教育支援に尽力しています。
    小学校や自治体に出張授業・講師育成研修などを実施し、自立的・持続的なプログラミング教育の実現をサポート。さらに、全国No.1小学生プログラマーを決めるコンテスト「Tech Kids Grand Prix」も開催しています。各地の自治体と連携し、地元の小学生を対象にした地域コンテストを行うことで、小学生のプログラミングスキルの向上に貢献しています。
    参考文献:SDGsへの取り組み | 株式会社サイバーエージェント (cyberagent.co.jp)(2023年6月10日時点)

    リコージャパン株式会社の合同授業

    児童数・生徒数の少ない小中学校の統廃合を防ぐため、愛媛県西条市にある小学校にて、リコージャパン株式会社のICT技術を駆使したインターネット通信型の合同授業を実施しました。

    Web会議システム、プロジェクター、スピーカーシステムなどを設置し、通信先の学校の子どもや先生を実物大で映せる大画面スクリーンを導入。リコージャパンの技術でふたつの教室がひとつになり、賑やかな授業スタイルを実現しました。
    子どもが学習できる環境を守っていくことも、SDGs4を実現するために必要だと言えますね。
    参考文献:新しい授業スタイルの実現に挑む。(愛媛県西条市) / 地域の力×リコー | リコー (ricoh.co.jp)(2023年6月10日)

    株式会社学研スタディエの教育サポート

    送迎面や健康面で塾に通うことが難しい生徒や学び直しを希望する大人に、質の高い教育の機会を提供。また、さまざまな学習指導ニーズに対応するため、オンライン教室や通信教育型個別指導教室を展開しています。
    そのほか、海外にもサービスを拡大。シンガポールや台湾などにも学校を設け、どの国にいても格差のない教育が受けられるシステムを構築しています。
    参考文献:SDGsへの取り組み | 株式会社学研スタディエ (gakken-studyet.com)(2023年6月10日時点)

    上野キヤノンマテリアル株式会社の写真プロジェクト

    身近な自然と向き合い、環境について楽しく学ぶ写真教室「キヤノン ジュニアフォトグラファーズ」を開催しています。
    自然をテーマとした写真撮影の体験を提供。子どもの環境への興味を高めるとともに、豊かな感性を育む写真プロジェクトです。撮影した写真を仲間の前で発表し、感動や発見を伝えるプログラムもあります。
    参考文献:社会貢献活動 | 上野キヤノンマテリアル株式会社 (ueno.canon)(2023年6月10日時点)

    パナソニック株式会社のソーラーランタン

    パナソニック株式会社は、「ソーラーランタン10万台プロジェクト」を実施しています。
    カンボジアで活動するNPO・NGO15団体に、太陽光で発電できるソーラーランタンを寄贈。カンボジアでは電化率が低い傾向にあるため、識字教室にてソーラーランタンが活用されています。
    以下の画像が、パナソニック株式会社が寄贈したソーラーランタンです。

    引用元:Panasonic公式

    子どもや成人女性の学ぶ環境を明かりで支援。また、各家庭の生活にも利用されており、夜間での子供の自習にも使われているそうです。
    パナソニック株式会社のソーラーランタンは、カンボジアの村人の生活向上とともに、学習環境の改善にも役立っているのですね。
    参考文献:カンボジア:農村部での識字率アップに貢献 | 100 THOUSAND SOLAR LANTERNS PROJECT | Panasonic(2023年6月10日時点)

    FOSCHIA JAPAN株式会社

    SDGs4を達成するべく、日本の教育を無償で世界中に届けるプロジェクト「FREE UNIVERSITY」を展開している企業です。学校や先生の数が足りず、十分な教育を受けられない国に向けて支援を行っています。
    FREE UNIVERSITYは、オンラインでいつでも受講が可能。教育が行き届かない環境でも、インターネットとスマートフォンなどの端末があれば、教育を受けられるシステムです。
    先進国にて買い替えられたスマートフォンやタブレットなどを、開発途上国に無償で引き渡すプロジェクトも同時進行中です。
    参考文献:FREE UNIVERSITY | FOSCHIA JAPAN株式会社(2023年6月10日時点)

    日本の小学校で行われているSDGsの取り組み事例は、以下の記事をご覧ください。
    小学校教育でのSDGsの取り組み事例と身につく力 (miraii.jp)

    SDGs4のために子どもと一緒にできることって?

    ここでは、子どもと一緒にできることをまとめてみました。SDGs4を実現するためには、一人ひとりが行動に移していくことが必要だからです。子どもの教育にはもちろん、お母さん・お父さんの学びにも繋がるかも?ぜひチェックしてください。

    地域の体験学習に参加してみる

    子どもと一緒に地域の体験学習に参加してみましょう。
    「学ぶ」という観点でも、地域の学習体験は「学習意欲がアップする」「協調性を養う」「自分で考える力を伸ばす」など、さまざまなメリットがあります。
    たとえば、サマーキャンプや英会話、料理体験などがおすすめ。
    キャンプは、子どもの協調性や思考力を育んでくれます。料理は五感をフルに活用するため、子どもの好奇心を刺激する体験となるでしょう。食材を見たり触ったり、味見をしたりといったプロセスは、脳を活性化させます。
    親子で学べる機会をつくり、「子どもが自分で考える力」を伸ばすことで、SDGs4実現に繋がるアイデアや手段が見つかるかもしれません。
    ネットで検索すると、いろいろなイベントが見つかります。ぜひ子どもと一緒に参加してみてはいかがでしょうか?

    ボランティア活動をしてみる

    子どもと一緒にボランティア活動をしてみるのもおすすめです。
    ボランティア活動は、さまざまな学びを得られる場所。社会課題に触れ、多くの人と接することは、子どもの視野を広げ、社会的能力を伸ばしてくれるでしょう。
    たとえば、介護施設訪問やゴミ拾い、動物のお世話などがあります。
    近年では、保護犬・保護猫の世話を自宅で行い、里親へバトンを渡す活動をしているボランティアも増加しています。命の大切さ・尊さと向き合うよい機会になるはずです。
    ボランティア活動に積極的に取り組むことで、子どもが将来やりたいことを見つけられるかもしれません。
    自分らしく働き、生きること。
    SDGs4のターゲットの一つである「雇用、働きがいのある人間らしい仕事、および企業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる」に繋がるため、社会が抱える課題を解決へと導くひとつの要因となるでしょう。

    お金について学んでみる

    お金について学ぶことも、子どもに多くの学びを与えてくれます。
    お金の稼ぎ方や流れなど、お金にまつわる知識を勉強することで、お金を支払う先に働いている人がいることを知れるでしょう。また、フェアトレードの知識も身に付けられるかもしれません。
    フェアトレード製品の購入で、途上国の人々に適正な賃金が支払われます。教育を受けられなかった子どもが学校に通えるようになったり、貧困で働かざるを得ない子どもを減らせたりと、SDGs4の実現に少しずつ近づけるはず。
    現在では、小学生を対象とした、お金について楽しく学べる体験型のキッズマネースクールもあり、親子で一緒に学習することが可能です。お母さん・お父さんも、新たな気づきを得られるかもしれませんよ!
    前述した以外にも、子どもと一緒にできることはたくさんあります。以下の記事を参考にしてみてください。
    SDGs4の取り組みとは?私たちにできることはある?現状や事例を解説! (miraii.jp)
    【身近なSDGs特集】未来のために子どもたちと「いま」からできること (miraii.jp)

    まずは子どもと一緒に現状を知ることから始めてみよう

    教育は、子どもの未来に大きな影響を与えるもの。SDGs4を実現するため、日本企業も、学ぶ機会を提供したり、平等に教育を受けられるシステムを構築したりなど、さまざまな取り組みを行っています。
    まずは、子どもと一緒に日本の現状を知ることから始めてみてはいかがでしょうか?
    教育環境に恵まれている日本でも、教育格差など多くの課題が生じています。現状を知ったうえで、体験学習やボランティアなど、できることから少しずつ取り組んでいきましょう。
    一緒に学ぶ姿勢を大切にすることで、子どもがSDGs4を自分事として考え、行動できるようになるかもしれませんよ!初めの小さな一歩が、大きな未来へと繋がっていくはずです。
    みらいいでは、SDGs達成に向け、私たちができることをたくさん紹介しています。ぜひ、ほかの記事もチェックしてみてくださいね。
    【SDGs1.貧困をなくそう】の現状と私たちができることを解説 (miraii.jp)
    SDGs3「すべての人に健康と福祉を」の現状と私たちにできること (miraii.jp)
    「SDGs 5.ジェンダー平等を実現しよう」とは?私たちができること (miraii.jp)

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