SDGs4の取り組みとは?私たちにできることはある?現状や事例を解説!

SDGsの中でも、教育に関する内容がSDGs4「質の高い教育をみんなに」です。親としては子どもの教育や将来の事が気になるところですが、SDGsは「国や企業が取り組むもの」と思っていませんか?確かにSDGsは国連で採択された国際的な目標のため、国連加盟国が当事者です。
しかし、実現のためには政府や関連機関だけではなく、企業、教育機関、NPO、市民社会、そして個人がそれぞれの立場から取り組んでいくことが必要です。
今回は、SDGs4について、私たちができることについて解説します。よりSDGsが身近に感じられ、自分事として考えられるようになるでしょう。
SDGs4「質の高い教育をみんなに」とは?
SDGs4「質の高い教育をみんなに」とは、世界中の人々が平等に質の高い教育を受けられる世界を目指すものです。
日本では、義務教育が行われ、ほとんどの子どもは学校にいきます。読み書きできるのは当然であり、学校で学ぶことが当たり前という恵まれた社会です。
しかし、ひとたび世界に目を向けると、まだまだ教育を受けられていない子どもが多いのが実情です。そこで、SDGs4では「より質の高い教育」を「みんなが」受けられるようにすることを目指しています。
ターゲットと実現方法
SDGsには「ターゲット」と呼ばれるものがあります。「ターゲット」には、掲げられている目標達成のために、「いつまでにどのくらいの数値で達成すればよいか」、「課題や、達成のための実現方法」がしるされています。
例えば、SDGs4では「TARGET 4-1」や「TARGET 4-a」などと表現されています。右側が数字で書かれているものは目標に対する課題を示し、アルファベットのものは目標を達成するための実現の方法について書かれています。
SDGs4「質の高い教育をみんなに」のターゲットとは?
SDGs4のターゲットの課題としては、2030年までに幼稚園に行けるようにすることや、障害者・先住民族などの弱い立場にある人であっても教育が受けられるようにすることのほか、下記の内容が挙げられています。
- すべての子どもが男女で区別されることなく無償かつ公正で質の高い小学校や中学校を卒業できるようにする
- 雇用、働きがいのある人間らしい仕事、および企業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる
- すべての若者および大多数の成人が男女で区別されることなく、読み書き能力や計算能力を身に付けられるようにする
となっています。
実現の方法としては
- 子ども、障がいおよびジェンダーに配慮した教育施設を建てたり、改築したりし、すべての人々が安全で暴力にさらされることなく、効果的な学習環境を提供できるようにする
- 2020年までに先進国およびその他の開発途上国に置ける高等教育の奨学金の件数を全世界で大幅に増加させる
- 2030年までに開発途上国、特に後発開発途上国および小島嶼開発途上国における教員研修のための国際協力などを通じて、質の高い教員を大幅に増員させる
ということが掲げられています。
SDGsが目指す「地球上の誰一人取り残さない世界」を教育でも目指しています。
SDGs4「質の高い教育をみんなに」の現状と課題
日本にいると小学校・中学校の義務教育を受けるのは当たり前のこととされていますが、世界ではまだまだ教育を受けられていない人たちがたくさんいます。現状と課題について見てみましょう。
【現状を改善するための課題:1】世界で5900万人以上が小学校へ通えていない
世界の子ども5900万人以上が小学校へ通えていません。これは、日本の総人口の約半分の人数にあたります。
学校へ通えない理由としては下記が挙げられます。
- 学校が近くにない
- 先生がいない
- お金がない
- 家計のために働かなくてはならない
- 兄弟の世話がある
- 親が学校に行かせてくれない
- 病気のため
- 戦争や紛争のためにいけない
学校がなかったり、先生がいなかったりという理由の他、親が通わせてくれない、というものもあります。これは、「教育は生きていくのに不要である」「子どもは働き手」と親が考えているからです。
学校や先生を充実させても、子どもを取り巻く社会や保護者を「教育は受けるべきものである」という意識に変えていかなければ、子どもたちに教育はいきわたらないでしょう。
【現状を改善するための課題:2】世界の読み書きできない15~24歳の人口はは5900万人
世界で読み書きのできない15~24歳の人口は5900万人と言われています。
しかし、読み書きや基礎的な計算能力は、生きていくうえで重要な能力です。もし低所得国のすべての学生たちが基礎的な読解力を身に付けていれば、1億7100人が貧困から抜け出すことができると言われています。
また、後発開発途上国における読み書きのできない人のうち、3分の2が女性だという点も特筆すべき事項です。「女の子は学校に行かなくてもいい」「女性に教育は不要」という考え方の地域がまだまだあります。
【現状を改善するための課題:3】教育には男女格差がある
後発開発途上国における読み書きができない人口の3分の2は女性ということからも分かるように、教育には男女格差があります。特に発展途上国においては、女子よりも男子を優先的に学校に通わせるようです。
その背景には「児童婚」があります。幼い女の子を結婚させるため、教育は必要ないと考える国や地域が多いのです。
しかし、女子への教育は重要です。
なぜなら、
低所得国のすべての母親が中等教育を受けていれば、
- 1200万人の子どもたちを発育阻害から救い出せる
- 子どもの死亡は49%減少する
- 児童婚の64%が減少し、それにより早すぎる妊娠が59%減少する
初等教育だけでも受けていれば、
- 出産における死亡は66%減少する
と言われているからです。
母親が文字を読めなければ、貧困地域に粉ミルクを与えたとしても説明書きを読めないために正しくミルクを作れず、子どもが亡くなってしまうかもしれません。文字が読めれば知識を吸収できますが、読み書き能力がなければ学べず、思考も貧困なままになってしまうのです。
参照:公益財団法人日本ユニセフ協会
SDGs4「質の高い教育をみんなに」の取り組み事例
SDGs4の実現のために、政府や企業が様々なことに取り組んでいます。ここではヤマハ株式会社の「スクールプロジェクト」についてご紹介しましょう。
ヤマハ株式会社「スクールプロジェクト」の内容と成果
楽器や音響機器のメーカーであるヤマハ株式会社は、ベトナムやインドなどの子どもたちを対象に、楽器・教材・指導ノウハウをパッケージにした「Musuc time」プログラムを核として、子どもたちが楽器演奏をする環境を提供しています。
現地の講師となる指導者にはヤマハ株式会社独自の研修も行い、持続可能な教育を目指しています。2021年3月時点では、6か国、4100校で、約71万人の子どもたちに器楽教育経験を提供してきました。
支援した多くの学校では楽器演奏の機会はなく、音楽の授業もないか、あっても内容が不十分でした。そのため、現地の子どもたちが楽しく取り組めるように、その国や地域の音楽文化を取り入れ、学習の成果を発表する場としてフェスティバルの開催なども行っています。
本番に向けて練習を重ね、子ども同士で協力し合うことで、感情表現の幅を広げたり、他者との協調性、責任感を育むなどの教育上のメリットもあります。
詳細はこちらのサイトをご覧ください。
スクールプロジェクト - ヤマハ株式会社
ヤマハ株式会社以外にもSDGs4に取り組んでいる企業・団体の事例はこちらです。
「SDGs 4.質の高い教育をみんなに」の日本と海外の取り組み事例
SDGs4「質の高い教育をみんなに」のために子どもと一緒に私たちができること
では、SDGs4「質の高い教育をみんなに」の実現に向けて、子どもたちと一緒に何ができるか考えてみましょう。
例えば下記のようなことがあげられます。
- SDGs4について関心を持つ
- 語学を学び世界に目を向ける
- SDGs4に取り組んでいる企業を応援する
- 買い物をするときにフェアトレード商品を選択肢に入れる
- 将来自分らしく働くことについて考えてみる
詳しく見てみましょう。
SDGs4について関心を持つ
まずはSDGs4が何かを知ることから始めてみます。この記事を参考にお子さんと話し合ってみたり、インターネットや図書館で調べてみたり、動画を見たりするのもお勧めです。
こちらの動画では、SDGs4について3分間で解説しています。
語学を学び世界に目を向ける
語学を学ぶ時に、言葉だけではなく、その国の文化や歴史についても調べてみましょう。言葉の先に生きている人々がいると知り、世界に目を向けることができます。
親が子どもと興味のある国の言葉について一緒に学ぶのも、より知識を深めることができるためお勧めです。
SDGs4に取り組んでいる団体を応援する
SDGsに取り組んでいる団体はたくさんあります。
それらの中で、寄付を募っているものを探し、寄付をしてみる、というのも一つの方法です。寄付をする際は、どこの国にどんな支援を行っているのかなども一緒に調べ、寄付したお金がどのように使われるのかについても興味を持てるようにすると良いですね。
例えば、下記のような団体を応援してみてはどうでしょうか。
紛争や政情不安…困難に直面する人々に未来を変える学びの力を届けたい(認定NPO法人日本国際ボランティアセンター)
【ご寄付のお願い】子どもたちに教育支援を - 子どもの貧困・教育格差の解決を支援する | CFC | 子どもの貧困・教育格差の解決を支援する | CFC
買い物をするときにフェアトレード商品を選択肢に入れる
普段の買い物でも、SDGsに取り組めることはあります。
それが「フェアトレード商品」と呼ばれるものです。「フェアトレード商品」とは、発展途上国で作られた製品を適正な価格で取引した商品のことです。消費者が適正な価格の商品を購入することによって、貧困地域の労働者の生活向上に役立ちます。
将来自分らしく働くことについて考えてみる
将来、自分らしく働くことについて考えてみることもSDGs4に関連します。
SDGs4のターゲットの一つに「雇用、働きがいのある人間らしい仕事、および企業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる」という項目がありました。多くの人が自分らしく生きることで、社会の問題も解決に向かう、というものです。
子どもが今から「働く」ことについて考えるのは難しいかもしれませんが、将来、自分らしい働き方を選ぶためにできることがあります。
それは、できるだけたくさんの大人に会わせてあげること。様々な仕事、考え方をする大人と会うことで、子どもが将来どうしたいかが見えてくるのではないでしょうか。
SDGs4を自分事に!身の回りに興味を持つことから始めてみよう
SDGsは遠い世界のことではなく、普段の生活から未来にも繋がるものです。少し気を付けて周りを見てみると、フェアトレード商品が見つかったり、企業の取り組みを知ったりすることができるでしょう。
まずは身の回りのことに興味をもち、子どもと一緒に学ぶ姿勢を持ってみてはいかがでしょうか。
みらいいではさまざまな角度からSDGsを紹介しています。ぜひ合わせてご覧ください。
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